会社名の英語表記は登記できる?「Co., Ltd.」など正式名称の決め方ガイド

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会社名を英語で表記するときの基本|「Co., Ltd.」「Inc.」などの意味を理解しよう

海外との取引や名刺・Webサイトで「会社名を英語でどう表記すればいい?」と悩む方も多いでしょう。
日本の会社形態には株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4種類があり、それぞれ英語表記も異なります。

本記事では、「Co., Ltd.」「Inc.」「Corp.」などの英語表記の意味と使い分け、登記でのルールや注意点をわかりやすく解説します。

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会社名の英語表記でよく使われる略語と意味


会社名を英語表記にするためには、いくつかの決まりを守らなければいけません。ルールに基づいて正式に会社名の英語表記を目指すために使える具体的な方法を紹介します。

会社名を英語表記で登記できるのは、会社の種類を示す「○○会社」以外の部分です。
ただし、「○○会社」の部分も英語表記に変えた会社名を正式名称として自社内で定めることはできます。
海外の取引先と契約を交わす予定や計画がある場合には、会社の種類まで英語表記にする方法も確認しておきましょう。

会社名をすべて英語表記にしたい場合には、会社の種類を示す英語表記の正式名称を理解しておきましょう。
よく見かける英語表記の中には、日本では親しみはあるものの海外ではあまり一般的ではないものもあります。
グローバル化を目指すならば、国外での理解しやすさも含めて表記を選びたいものです。

英語の略称 正式名称・意味
Co.,Ltd. Company Limited(有限責任の会社)
Ltd. Limited(有限責任)
Corp. Corpration(法人組織)
Inc. Incorprated(法人組織)
KK. Kabushiki Kaisha(株式会社のローマ字表記)
LLC. Limited Liability Companyの略(合同会社)
略称なし limited partnership company(Companyは省略可、合資会社)
略称なし General Partnership Company、Unlimited Partnership Company(どちらもCompanyは省略可、合名会社)

Co.,Ltd.

日本で最も多く使われている英語表記で、有限責任の株式会社を意味します。「カンパニーリミテッド」と読み、幅広い業種の企業が採用しています。

読み方 カンパニーリミテッド(Company Limited)
意味 有限責任の会社(株式会社)
表記のポイント 日本・アジア圏では「Co.」と「Ltd.」の間にカンマ(,)を入れるのが一般的。欧米では「Co.Ltd.」とカンマなしで使われることが多い
日本企業の例 イオン株式会社(AEON CO., LTD.)
東京ガス株式会社(TOKYO GAS CO., LTD.)
全日本空輸株式会社(ALL NIPPON AIRWAYS CO., LTD.)

Ltd.

「Co., Ltd.」から「Co.」を省略した形で、同じく有限責任の会社を意味します。特に金融機関での使用が多い表記です。

読み方 リミテッド(Limited)
意味 有限責任の会社
表記のポイント 「Co., Ltd.」の簡略版。銀行名では「○○ BANK, LTD.」という表記が一般的
日本企業の例 株式会社みずほ銀行(MIZUHO BANK, LTD.)
富士通株式会社(FUJITSU Limited)

Corp.

アメリカで最も広く使われる表記で、正式な法人組織を意味します。比較的大規模な企業やグローバル展開する企業に多く採用されています。

読み方 コーポレーション(Corporation の略)
意味 法人組織
表記のポイント 有限・無限責任の区別なし。大手メーカーや商社など、規模の大きな企業で使用されることが多い
日本企業の例 三菱商事株式会社(Mitsubishi Corporation)
トヨタ自動車株式会社(Toyota Motor Corporation)
株式会社ブルボン(Bourbon Corporation)

Inc.

「Corp.」と同じく法人組織を意味し、アメリカで広く使われています。IT企業やグローバル展開する企業での採用が多い表記です。

読み方 インコーポレイテッド(Incorporated の略)
意味 法人組織
表記のポイント 「Corp.」と同義で使われる。比較的大規模な企業、特にテクノロジー企業やグローバル企業に多い
日本企業の例 キヤノン株式会社(Canon Inc.)
楽天グループ株式会社(Rakuten Group, Inc.)

KK.

「株式会社」をローマ字表記した日本独自の英語表記です。
海外では意味が通じにくいため、現在は使用が減少していますが、外資系企業の日本法人で使われることがあります。

読み方 ケーケー(Kabushiki Kaisha の略)
意味 株式会社のローマ字表記
表記のポイント 日本独自の表記で海外では通じにくい。日本語をそのままローマ字化する傾向があり、グローバル展開には不向き
日本企業の例 リーバイ・ストラウスジャパン株式会社(LEVI STRAUSS JAPAN K.K.)※外資系日本法人
昭和シェル石油株式会社(SHOWA SHELL SEKIYU K.K.)

LLC.

株式会社ではなく、合同会社を意味する英語表記です。アメリカで広く使われる企業形態で、日本でも合同会社として設立された企業が使用します。

読み方 エルエルシー(Limited Liability Company の略)
意味 合同会社
表記のポイント 株式会社ではなく合同会社の英語表記。設立コストを抑えられることから、外資系企業の日本法人や新興企業で採用されることが多い
日本企業の例 合同会社DMM.com(DMM.com LLC)
P&Gジャパン合同会社(P&G Japan LLC)※外資系日本法人

会社名の英語表記ルールと注意点


会社名を英語表記にしたい場合、考えておきたいのは会社名の登記のルールについてです。
会社名を英語表記で登記できるのか、できるとしたらどんな制約があるのか、会社名の登記方法の法的な決まりについて確認していきます。

登記に使用できない文字と語句

会社名は会社の顔として第一印象を左右することも多く、インパクトを与えて相手の記憶に残すために奇抜な名前を付ける人もいます。
しかし、会社名の付け方には制限があり、自分の好みを叶えられるとは限りません。

表記方法は、会社法で定められた範囲から選ぶことになっています。
会社法で定められている登記に使える文字は、日本語のひらがなやカタカナ、漢字、また、アルファベットやアラビア数字などです。「&(アンド)」や「’(アポストロフィー)」「,(カンマ)などの一部の記号も使えます。

ただし、使用できるのはそれだけで、それ以外の文字や記号を使うことはできません。また、特定の語句や名称を使用することも禁止されています。
使用NGなのは、わいせつな言葉や犯罪に関する言葉など、公序良俗に反するものです。
また、会社の一部門を示すような「支店」や「支社」「事業部」といった言葉も使えません。

会社の名称に英語を使うことは可能

会社の名称には、日本語のほかにアルファベットも使えることになっているため、会社名を英語で作れるということになります。
今後のグローバル進出を目指して海外でも通じる国際的な名称を付けたい場合にも、会社法は対応しているということです。

実際に街やニュース、株式市場などで見る会社の中にも、英語で書かれた会社名はあります。
有名な携帯電話キャリアの「KDDI」やスーパーマーケットチェーンの「Olympic」などは、アルファベットだけの会社名です。

日本語と英語を組み合わせることも可能

会社法では、日本語もアルファベットも使えると定められており、その両方を使うことも認められています。
そのため、グローバル化に備えて、英語表記したいけれど日本人への親しみやすさも出したいといった場合には、2つの文字のいいとこ取りが可能です。

一部にアルファベットを使用している会社としては、「GMOインターネット」や「NTTドコモ」などがあります。

会社の種類を英語で登記することはできない

会社名はアルファベットで表記することが可能ですが、会社の種類(株式会社、合同会社など)を英語表記で登記することはできません。
会社法で定められているため、登記上はどうしても社名全部を英語にはできず、一部は漢字になってしまいます。

前述の「KDDI」も正式な社名は「KDDI株式会社」、「Olympic」は「株式会社Olympic」です。
「株式会社」を英語表記できないので、好む好まないに関わらず、登記上はこうした表記にならざる得ません。

日本の場合、株式会社○○や□□株式会社のように前株と後株の表記がありますが、どちらも深い意味はなく設立者の好みで決まります。
企業によっては慣習に従って前株、または後株とするケースがあります。

しかし、社名を英語表記する場合は前株や後株の区別がありません。全て会社名の後方に「Co.,Ltd.」会社形態をつけます。
海外では、会社名のあとで会社形態をつける名称が一般的なためです。

商号の中に「会社の種類」を漢字で入れるのが必須

会社法では、商号の中には会社の種類を含めるルールになっています。
会社法第六条に、会社の種類に従い商号中に「株式会社、合名会社、合資会社または合同会社という文字を」用いなければならないとなっています。
その文言の通り、株式会社であれば「株式会社」という文字を会社名に入れることが必要です。そのため、○○会社の部分だけは英語で表現することはできません。

日本語と英語の両方を登記することはできない

会社名の英語表記は、会社の種類以外の部分だけであれば可能となっていますが、会社名を英語表記にする場合には日本語の社名を登記することはできません。
1つの会社で2つの会社名を登記することはできないため、どちらかを選んで登記する必要があります。

会社名の英語表記の決め方


会社名を英語表記にする場合、表記方法の選択から定款での定め方、既存商号の変更手続きまで、いくつかのポイントがあります。
ここでは、英語表記を決める際の具体的な方法と手順を詳しく解説します。

ローマ字表記か英単語に変換するか決める

英語表記を取り入れる場合には、会社名に含まれる単語を英語に変換するのか、ローマ字表記にするのか考えることも必要です。
会社名はその会社の目的や方向性を含めて付けられることも多く、英語表記でどう表示するか迷うところでしょう。
ANAでは「空輸」=「AIRWAYS」と英語に変換していますが、昭和シェル石油のように「石油」を「SEKIYU」とローマ字表記する場合もあります。

定款内で会社名の英語表記について定める

定款にその内容を記載することで、日本語の会社名とは別に、正式に英語表記も定めることができます。登記は日本語のままで、英語表記も合わせて使いたい場合にはこの方法が有効です。日本語の会社名は登記し、英語表記は定款で定めます。

記載の仕方は、「本会社は日本XYZ株式会社と称し、英文ではJapan XYZ Co.,Ltd.とする」といった文言を入れるだけです。
この方法であれば、「株式会社」などの会社の種類まで英語表記できます。

既存の商号をローマ字に変える場合

すでに会社設立をしていて既存の商号(会社名)をローマ字表記に変えたい場合には、変更のため手続きをする必要があります。
状況に応じて適切な申請を行い、新しい会社名を登記しましょう。

定款でローマ字表記を定めていた場合

すでに定款でローマ字の表記を定めている会社では、商号の更正の登記を行います。

日本文字のみの商号を新しくローマ字表記したい場合

日本文字だけで登記し、定款でも日本文字だけの会社名を使っている場合、まずは定款の変更が必要です。
定款変更の手続きを終えたら、その後に商号変更登記を申請します。定款変更には定款変更の決議があった事の証明として「株主総会議事録」の作成・添付が必要です。

英語表記を検討したい業種や場面


会社名の英語表記は、実際のビジネスシーンでさまざまな用途があります。登記の有無に関わらず、英語表記を準備しておくことで、ビジネスチャンスを逃さず、スムーズな取引が可能になります。

契約書・名刺・Webサイト・海外取引での必要性

英語表記が実務で必要となる主な場面を以下にまとめました。

使用場面 具体的な用途 必要となる業種・ケース
契約書・正式書類 海外企業との契約書、業務提携書類、国際取引の英文 契約貿易業、製造業、輸出入関連
名刺・広報ツール 外国人顧客向け名刺、会社案内、商品カタログ 全業種(海外取引がある場合)
Webサイト 英語版サイト、SNS、オンラインプラットフォーム IT、コンテンツ制作、旅行業
商品パッケージ 輸出商品のパッケージ、取扱説明書 製造業、食品業、化粧品業
イベント・展示会 海外展示会のブース、プレゼン資料 全業種(海外展開を目指す場合)

これらの場面では、英語表記がないと取引や商談がスムーズに進まないケースもあります。
特に正式な契約書や公式書類では、統一された英語表記を使用することで、相手企業からの信頼も得やすくなります。

英語表記を持つと信頼感が高まるケース

英語表記を持つことで得られるメリットを整理しました。

メリット 効果 特に有効な業種
グローバル志向のアピール 国際的な視野を持つ企業という印象を与える IT、コンサルティング、商社
外国人顧客への配慮 訪日外国人や外国人居住者への安心感を提供 飲食、宿泊、小売、不動産
取引先からの評価向上 海外対応力のある信頼できるパートナーとして評価される 製造業、物流、サービス業
将来の事業拡大への備え 海外展開の機会が訪れた際に迅速に対応できる スタートアップ、成長企業全般

主に国内取引が中心の場合でも、業種や将来の方向性によっては、会社設立時または事業拡大のタイミングで英語表記を検討する価値があります。

まとめ・英語の会社名でグローバルに信頼される企業へ

会社名の英語表記は海外進出を目指す際に役立ちます。
会社名の英語表記での登記は可能ですが、会社の種類は漢字のみと定められており、登記上すべて英語にすることはできません。

会社名をすべて英語にして外国企業との取引きを円滑にしたい場合には、定款を使って正式に定めることをおすすめします。
定款上であれば、「Co.,Ltd.」など会社の種類まで完全に英語表記できますし、それを正式名称として英文の契約書に記載できます。

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(編集:創業手帳編集部)

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