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稼働率と可動率の違いは?

稼働率と可動率の定義、違いや使い方についてわかりやすく説明します。
稼動率と可動率は、一般的に工場などの生産設備の状況を表す指標です。読み方は同じ「かどうりつ」と読めますが、それぞれの意味は異なりますので、区別するために「稼動率(かどうりつ)」に対して「可動率(べきどうりつ)」とも呼ばれます。

稼働率は製品の生産効率を表しており、生産計画での生産量または時間に対する、実際の生産量または時間の比率を意味します。
一方、可動率は設備の運転効率を表すもので、正常時の生産時間に対する、実際の生産時間の比率を意味します。それぞれの計算式を示すと、次の通りとなります。
・稼働率(生産効率)=実際の生産量・時間÷生産計画の生産量・時間×100%
・可動率(運転効率)=実際の生産時間÷正常時の生産時間×100%

これらの違いは、言葉の文字通りに設備の「稼ぎ」を示す経営的な観点か、または設備の「動き」を示す現場の観点であるか、と言えます。稼働率は受注に応じた生産実績に基づきますので、設備投資の度合いや利益を示す経営の指標であるのに対して、可動率は設備運用の度合いで機械の仕事量を示す現場の指標となります。ちなみに、稼働率には同じ読み方と意味を示す「稼動率」があります。どちらを使っても間違いではありませんが、一般的には稼働率が広く使われます。

それでは、稼働率と可動率を詳しく説明するために、具体例として自動車の工場で考えてみましょう。ある自動車工場において、1日の生産ラインで定時となる操業時間が8時間、生産能力が100台とします。
まず、稼働率の場合は、生産量または時間の両方を基準に算定することができます。
生産量を用いると、生産能力の100台に対して、ある1日の生産台数は市場の受注によって50台であったとします。このときの稼働率は、50台÷100台×100%によって50%となります。
また、生産時間を用いると、操業時間が8時間のところ、ある1日の人や機械が実際に働いた生産時間は6時間であったとします。このときの稼働率は、6時間÷8時間×100%によって75%となります。
このように、稼働率は生産量と時間の基準によって、次の通りに表わすことができます。
・稼働率(生産量基準)=実際の生産台数÷生産能力の台数×100%
・稼働率(時間基準)=実際の生産時間÷操業時間×100%

ここで、稼働率はもともと運転効率を示すものですので、稼働率が100%に近いほど、設備を効率的に稼働できていると言えます。
また、稼働率は受注が増えた場合に100%を超えることもあります。たとえば、先ほどの自動車工場で1日の実際の生産台数が120台であった場合の稼働率は120%となります。当初の生産能力や操業時間を超えて生産をしたことを表していますので、人や設備への負荷があることも考えられます。
このように、稼働率は実際に生産が必要となる、受注に影響される指標と言えます。稼働率が100%前後で維持できれば、受注と生産能力または操業時間が適切となります。逆に、稼働率が低い場合には設備の過剰や、受注を増やす営業活動をする必要があり、稼働率が100%を超えて高い場合には、設備の不足や受注の過多が考えられます。

次に、可動率の場合は、生産に関わる時間を基準として算定します。
たとえば、ある1日の正常な生産時間は8時間ですが、設備トラブルが発生して2時間停止したため、実際の生産時間は6時間であったとします。このときの可動率は、6時間÷8時間×100%によって75%となります。
また、実際の生産台数と1台の生産に必要な時間、基準サイクルタイムからも算定することが可能です。ある1日の生産台数が60台、基準サイクルタイムが0.1時間、正常な生産時間が8時間とすると、このときの可動率は、生産台数60台×基準サイクルタイム0.1時間÷8時間×100%によって75%となります。
このように、可動率は生産時間やサイクルタイムを基準にして、次の通りに表わすことができます。
・可動率(生産時間基準)=(正常な生産時間―停止時間)÷正常な生産時間×100%
・可動率(サイクルタイム基準)=(実際の生産台数×基準サイクルタイム)÷正常な生産時間×100%

このように、可動率は設備の運転効率を示していますので、正常な生産時間の中で、できるだけ多い生産を実現することで100%を目標にするものです。可動率が100%に近ければ、設備がトラブルなく動き続けていることを示しています。逆に、可動率が極端に低ければ、トラブルや設備の故障が多いなどの設備に問題があることを示していますので、設備強化やメンテナンスなどを行って可動率を高める必要があると言えます。

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