【プロダクトマネージャー・カンファレンス2018レポ】 起業家必見!トップPMに学ぶ「愛されるプロダクト創り」

創業手帳

プロダクトマネジメントの最前線をレポートします

カンファレンス実行委員長の関満徳さん(グロース・アーキテクチャ&チームス株式会社)

(2011/11/12更新)

11月6日、7日の2日間にかけて、「プロダクトマネージャー・カンファレンス2018(以下、カンファレンス)」が開催されました。日本ではまだ広く浸透していないプロダクトマネージャー(PM)という職種の認知を高め、PM業務にかかわる人たちが情報や意見を交換するためのイベントで、2日間で563人が参加しました。
3回目となる今回は、「愛されるプロダクトを創ろう」をテーマに、楽天やLINE、Baiduなど名だたる企業のPMに携わる29人の登壇者が講演しました。

愛すべきプロダクトを創るべき「3つの理由」

初めに、カンファレンス実行委員の丹野瑞紀さん(株式会社ビズリーチ)が、「愛されるプロダクトを創るべき3つの理由」と題して講演しました。

PMの役目は、顧客にとってのプロダクトの価値と、自社にとっての価値のバランスをとり、利益を最大化することにあります。丹野さんは、目的を達成するために愛されるプロダクトを創るべき最初の理由は、「ビジネスモデル上の要請」だと述べました。昨今のビジネスの多くは、顧客がプロダクトの存在を知ってから購買に至るまでに複数のプロセスを経るAIDMAモデルにのっとっており、プロダクトがユーザーにとって価値のある、愛されるものでないと収益化に至るまでに顧客が離れてしまうリスクが高まります。最近は特に、少額の対価を継続的に支払ってもらうことで利益を出すサブスクリプション型のサービスがトレンドになっていることからみても、ユーザーから長期的に愛されるプロダクトを創る必要性が増していると言えます。

2点目は「SNSの普及」です。企業が新たなプロダクトを創り続けるためには、顧客獲得コストを上回る利益を得なければなりません。良いプロダクトはSNSでの拡散を通じて連鎖的に顧客を生む可能性が高くなり、愛されるプロダクトを創ることが、結果として顧客獲得コストの大幅な削減につながることもあるのです。

3つめの理由は、2日間のカンファレンスを通じて参加者全員で答えを見つける、という流れでゲストの基調講演に繋げました。

PMの戦略から、起業家が学べるポイントもたくさん

様々な業界から集まった登壇者は、自らが携わっているプロダクトを愛されるものにするために、どんな業務をこなし、どんな点を工夫しているのか、多様な角度から講演しました。記者はこれまで、PMに対して「大手企業の中で課題を解決する役職」というイメージを持っていましたが、実際に話を聞くとプロダクトマネジメントは企業の規模や業種を問わず、あらゆるビジネスの参考になる共通の要素を持つことを実感しました。

FOLIO代表取締役の甲斐真一郎さん

例えば株式会社FOLIOの代表取締役甲斐真一郎さんは、PMの存在を「プチ社長」だと考えていると述べました。甲斐さんは、LINEがもともとはネイバーという会社が作った1つのプロダクトであったことを例に挙げ、一つ一つのプロダクトも、作りこめば会社になり得るほど成長する可能性があると伝えました。PMが愛されるプロダクトを創る過程は、起業家が事業を大きくしていくプロセスのヒントになりそうです。


ピクシブ株式会社の清水智雄さんは、同社が5年の短期間に6種ものプロダクトをリリースできた背景を、事業のドメイン(部分領域)を絞り込んでいるからだと説明しました。ピクシブは、「創作」というドメインを軸に新たなプロダクトを創り続けています。ドメインを絞ることで社内に同領域のノウハウが蓄積され、新たなサービスを立ち上げる際も情報共有がスムーズに行われやすくなるため、スピーディーなリリースができるそうです。ピクシブの戦略は、起業家が星の数ほどある事業の中からどんなプロダクトを選び、大きくしていけばいいのかを考える上で一つの参考モデルになりそうです。

他にも、リリースしたプロダクトが大きくなってからの対応や、プロダクト創りの失敗を避けるために各企業が実践していること、海外での成功例など、各登壇者の講演は、起業という観点からみても学びを得られる知見の宝庫でした。

ラストは、参加型のワークショップ

カンファレンスの締めくくりに、2日間の基調講演をもとに、「日本のプロダクトマネジャーは今何をすべきか」を考えるワークショップが行われました。参加者同士で、初日の冒頭に問いかけられた「愛すべきプロダクトを創るべき3つめの理由」について意見を交わし、ネットツールを介してリアルタイムで各々の見つけた答えを発表する場になり、積極的な議論が展開されました。

業界の最前線を駆け抜けるトップPMから最新の知見を得られるエキサイティングなイベントでした。

(編集:創業手帳編集部)

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