オフィス移転成功に向けての「具体的ステップ」と「スケジュール」

創業手帳

逆算がカギ!具体的ステップをみて、移転スケジュールを立てよう

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(2016/09/30更新)

前回は、オフィス移転のタイミング、移転要件についての紹介を行った。オフィス移転の必要性は理解いただけたと思うので、次は「具体的に何をすべきか」について説明する。前回に引き続きオフィス仲介大手である三幸エステート 営業部の遠藤佑輔さんにお聞きした内容をまとめた。

移転プロジェクトは担当者を決めることが第一歩

前回は「オフィス移転のタイミング」を知り、移転のタイミングに差し掛かった場合、移転要件を明確にすることの重要さを説いた。今回は、実際に移転プロジェクトが始まった際に、「何をすべきか」について考えていこう。

ベンチャー企業はオフィス移転に関して、経営者の関与度が高いケースが多い。とはいえ、ただでさえ多忙な経営者が移転プロジェクトにかけられる時間は少なく、どうしても後回しになりやすい。だから経営者とは別の担当者を決めることが大切となる。これが移転プロジェクトの第一歩といえる。適任なのは、兼務でも構わないのでタスク管理が得意な人。移転担当者は、会社の代表として関連各社と意見交換をするため、ある程度の権限を持たせてあげることも必要だ。

もちろん移転担当者がすべて決定するわけではない。検討事案を、今度は自社の経営陣と情報を共有し、少しずつ前進させていく。移転プロジェクトは、一度決めたことは後戻りできないということも頭に入れておいていただければと思う。

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「いつまで」を意識した逆算のスケジュールを立てる

移転計画は、決算期や繁忙期を考慮した「移転日」を決めることが重要なため、遅れが出ることは好ましくない。そこで、「いつまでに何をすべきか」を考えた逆算のスケジュールを作成することがポイントとなる。いつ、新オフィスで業務を開始するのか。その前には内装工事がある。内装業者を選定して発注するまでの時間も考えておかなければならない。

契約手続きにはリーガルチェックを入れると1ヵ月くらいは見ておくべきで、物件の選定にもそれなりの時間を要する。そんな逆算スケジュール表(図1)を作成したので、これを参考にして、移転全体のスケジュールを管理いただきたい。

オフィス移転のステップ

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この表は簡易的に作成しており、もちろんこの項目以外にも見えない作業がたくさんある。予期しないトラブルや出来事が起こる場合も想定し、あらかじめ余裕を持ったスケジュール管理が望ましい。

また、現オフィスの敷金の返還は原状回復工事が終わった引渡し完了後となる。新オフィスの敷金の支払時期のほうが早いので、資金繰りには注意が必要だ。
保証会社の利用やオフィス家具のレンタルサービス、前入居企業の内装をそのまま利用できる物件などもあるので、資金面で心配の方は専門会社へ相談してみたらいかがだろうか。

巻末コラム:サービスオフィスの活用

起業家やベンチャー企業ではスタートアップ時にサービスオフィスを使用することが多い。このコラムでは、サービスオフィスの概要、利点について紹介しよう。

サービスオフィスのメリット

一般的にサービスオフィスとは、ビジネススペースのほかに、共通の受付代行サービスや貸会議室、コピーサービスなどの付加サービスを必要に応じて利用できるオフィスのことだ。駅近くの大型ビルに入居していることが多く、通勤面や営業面での交通アクセスは良好だ。
会社所在地として、入居しているグレードの高いビル名が記載されるため、顧客に対して安心感を与えられるというメリットもある。入居テナント共通ではあるが受付代行サービスの利用で来客者への対応も万全だ。運営会社によっては、バイリンガルでの受付対応を行っているところもある。
最近では、サービスオフィス運営各社の地方主要都市への進出が増えていると聞く。そのため、企業の支店や分室などの開設準備室やサテライトオフィス、テレワーク用のオフィスなどの用途として注目を集めている。

コスト面でのメリット

サービスオフィスの場合、通常のオフィス契約時に必要な敷金は不要なケースが多い。家具・什器や通信インフラも備えているので、必要最低限の投資コストで入居できるというコストメリットが大きい。
契約期間の柔軟さも魅力で、契約は最短1ヵ月から。もちろん延長や解約も月単位となっている。そのため業務拡大や採用計画の進行状況を見ながらスペースの拡大・縮小の対応も可能だ。そんなスタイルが創業間もない企業や起業家の方に活用される理由のようだ。
ただし、長期間にわたって月額利用料を払い続けると割高になることが多いため、ある程度の人数規模になった企業は、通常のオフィスへ移転をするのが一般的である。メリット、デメリットを考えながら使い分けていくことが事業拡大の鍵といえる。

*詳しくは以下をご覧ください。
http://www.sanko-e.co.jp/service-office

知らないと損? 賃貸を法人契約する際に気をつけたほうが良いことを専門家に聞いてみた
賃貸オフィスを契約する前に知っておきたい ”6つのポイント”

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(監修:三幸エステート 営業部 遠藤佑輔(えんどう ゆうすけ) )
(編集:創業手帳編集部)

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