オフィス移転成功術! 移転のタイミングを判断する10のポイントとは

創業手帳

オフィス移転を考えるタイミングと判断基準とは

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(2016/10/03更新)

事業が拡大し、従業員が増えていく中で、必ず「オフィス移転」の必要性が生まれる。
しかし、頭で考えているほどオフィス移転は簡単なことではない。通常の業務を進めながらのプロジェクトのため、段取りよく現オフィスの課題を明確にし、多岐にわたる作業項目、スケジュールを理解することが重要となる。
そこで当編集部では、4回にわたりオフィス仲介を専門に扱っている三幸エステート株式会社の営業部 遠藤佑輔さんから「オフィス移転で抑えるべきポイント」を解説いただく。第1回目は「オフィス移転を考えるタイミング」を紹介する。

オフィス移転のタイミングを考える

従業員の増減はオフィス面積の増減を左右する

起業家やベンチャー企業がオフィス移転を検討する際に最も多い理由といわれているのが「面積」の改善である。従業員の増減はオフィス面積の増減を左右する。業績が好調であればそれに伴い増員計画も生まれる。限られたスペースの中で人だけが増えるため、当然に一人当たりの面積は狭くなる。結果として物理的にモノが入らなくなるため、その段階が移転のタイミングといえるだろう。

もちろん、オフィス移転にはコストがかかるため、頻繁に行うことは出来ない。イニシャルコストとして敷金の支払や内装工事費、また現オフィスの原状回復工事の費用も考えておかなければならない。ちなみにオフィスの敷金は8~12ヶ月分の支払いが一般的となっている。
移転後すぐに「オフィスが狭くなったので、また移転をする」ということがないように、今後の採用計画を考えてしっかりとオフィス計画を立てる必要がある。

計画する上で気をつけなければならないのは、移転直後でのオフィス面積はぴったりの広さではなく、少しゆとりを持つということ。とはいえ、オフィス移転は先行投資のため、あまり長期間にわたってスペースが空いているのも無駄なコストを累積することに繋がることになる。「面積にゆとりを持つ」と「長期間にわたって空席をつくらない」。そのバランスがとても重要で、そのためにはオフィス移転を中期的な視点で考えることが重要といえる。

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今後の「人材」への投資と考える移転計画

「人材が不足している」「人材が確保できない」。そんな悩みを多くのベンチャー企業の担当者が口にする。中小企業庁の調べによると、「人材が確保できていない企業」は企業の採用力もさることながら、職場環境を含む「労働条件」に課題があると考えられている。

そのため、採用計画を成功させるために立地の良い物件を借り、見栄えの良いオフィスを構えることで会社のイメージアップにつなげる企業も少なくない。いわばオフィスは会社の顔。会社案内やWebサイトなどでオフィスの写真を掲載している企業が増えてきたのは、その表れといっても過言ではないだろう。

また、せっかく入社した社員に快適に働いてもらい、他社への転職という人財の流出を防ぐためにもオフィス環境の整備は必要となる。いくら企業側が素晴らしい企業理念をアピールしたとしても、そこで働く環境がそれに伴っていなければ、社員のモチベーションは下がるだけ。そうならないための仕掛けとして、最近では社内外のコミュニケーションを重要と考え、オープンスペースや多目的スペース、リフレッシュ空間の構築などが求められている。

外的要因を理由にしたオフィス移転は経営的にプラスになる

その他の移転理由として、市況の変化といった外的な要因に関するものもある。つまり貴社が契約している賃料が近隣の新規賃料と比較して安くなったり高くなったりした場合のこと。現在入居しているオフィスのビルオーナーから、賃料値上げを要求されるケースはこれにあたる。
「賃料が上がる」ということは「会社の運営コストが上がる」ということ。

実際に要求された額は本当に近隣のマーケットと比較して見合ったものなのか?
新賃料の要求が高くなりすぎた場合、コストを下げるためにはどのような方法があるのか? 
同じコストを支払うならば、他のビルやエリアも検討してもいいのではないか? 

というように、オフィス移転も一つの選択肢として検討することが必要だ。
また、新規賃料が安くなった場合には、移転の大チャンス。場合によっては、賃料負担は同額で今よりも広いスペースが借りられることもある。積極的にオフィス移転を検討するべきだ。

移転のための要件をきちっと決める

オフィス移転の計画が始まった際は、やるべきことが多いため行動スケジュールを立てることをお勧めする。初期段階で最も重要なのが「要件(課題)」の分析となる。それでは、どのような検討項目があるのかを紹介しよう。

1. 移転時期
・中長期の経営計画
2. 移転場所
・営業効率の改善
・社員の通勤費の改善
・企業イメージの向上
・リクルーティング戦略
3. 新オフィスの面積
・面積の適正化
・オフィスレイアウトの改善
4. 新オフィスの賃料
・ランニングコストの低減
・拠点戦略の見直し
5. オフィスインフラ
・BCP戦略
・免震・制振構造
・リスクマネジメント
6. コミュニケーションの活性化
・オープンスペース
・多目的スペース
・リフレッシュ空間
7. 社内ミーティングの向上
・業務効率の改善
・生産性の向上
・情報共有
8. 新しい発想の創造
・集中スペース
・働き方の見直し
・スタンディングデスク

オフィスの課題解決は重要な経営戦略の一つである。そのためさまざまな角度から分析を行い、最善の結果を導き出す必要がある。オフィスに関して悩みが生じたときは、迷わず専門会社にご相談を。初期段階からアドバイスを求めることはとても有効なこととなる。

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まとめ<移転のタイミングを判断する10の項目>をチェックしよう

今まで移転のタイミングについて話してきたが、実際に判断するのはなかなか難しいもの。そこでセルフチェックが出来るように10の項目を紹介しよう。下記の質問に3個以上あてはまったならば、もしかしたらオフィス移転のタイミングに差し掛かっているのかもしれない。

☑最近社内でオフィスについての不満の声が聞こえてくる
☑今後1年以内にオフィスの賃貸契約の更新時期を迎える
☑現オフィスの一人当たりの使用面積は1.5坪未満である
☑社内外での打ち合わせスペースが足りない(または余っている)
☑現オフィスに入居してから社員数は10%以上増減している
☑今後2年以内に、現在の社員数の20%以上の増員計画がある
☑今後3年間の自社の業績は一定の増収増益傾向が続く見込みである
☑入居中の現ビルの築年数が古く、設備に不満がある
☑現ビルの清掃や管理状況に不満がある
☑現ビルの立地環境は、通勤や営業活動の利便性の点で問題がある

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(監修:三幸エステート株式会社 営業部 遠藤佑輔(えんどう ゆうすけ)
(編集:創業手帳編集部)

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