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くつろぎたいのも山々。 猪原有紀子|地域課題のアップサイクル事業で注目の企業


規格外フルーツの無添加おやつの企画、販売、観光農園/キャンプ場の運営を通じて地域課題のアップサイクル事業に取り組み、注目されているのが、くつろぎたいのも山々。を立ち上げた猪原有紀子さんです。

現在、育児ストレスに悩む女性や家族は大勢います。
愛する我が子ゆえに、こんな風に育てたい、こうあってほしい、という強い気持ちで育児にあたる方が多いと思います。
その気持ちが強いゆえに、自分たちの思い通りに子育てが進まない時、子どもがぐずってどうしようもない時に、現実と理想の乖離に悩み、焦りやストレスを感じたり、最悪の場合は虐待という行動に発展してしまうことさえあります。

こうした理想と現実の狭間にあるものとして、よく上げられるのが「食べ物」や「食育」です。
アレルギー問題や好き嫌いの問題はもちろんのこと、加工食品に多く含まれる添加物を幼い子どもに与えることへ大きな抵抗を感じているという親御さんも少なくはありません。
ことさら、子どもたちが大好きな甘いお菓子には、実に様々な添加物が含まれています。子どもにせがまれたり駄々をこねられて、ついそれらのお菓子類を与えてしまうけれど、本当は添加物たっぷりのお菓子は与えたくない、というジレンマに苦しんでいるご家庭も多いことでしょう。

かたや、各地域には地域ならではの様々な課題が残存しています。食に関して言えば、食糧廃棄問題もその一つです。
規格に合わないからとか、大量に作りすぎたから、食べきれなかったから等という理由で、まだ食べられるにもかかわらず廃棄処理されてしまう食料が、日本だけで1年間に東京ドーム5個分も発生しているのです。
子どもに与えても安心・安全で、かつ子どもが笑顔になる食材や食品が各所で求められている一方で、農家さんたちが手塩にかけて大切に育て上げた、国産の新鮮で安心な美味しい生産物が無駄に廃棄されるという、矛盾した現実が広がっています。

今、こうした社会課題どうしを掛け合わせ、人も地域も幸せで笑顔になれるアップサイクル活動に、改めて大きな注目が集まっています。
くつろぎたいのも山々。の猪原有紀子さんも、社会課題や地域課題のアップサイクル事業に取り組んでいる起業家の一人です。

くつろぎたいのも山々。の猪原有紀子さんに、活動の特徴や今後の課題・展望などについてお話をお聞きしました。

・この事業を開発するに至った経緯やきっかけについて教えてください。

2019年の起業時にまず手掛けたのは『無添加こどもグミぃ〜。』です。これは、現在小学2年生の長男が2歳の頃、カラフルなグミが大好きになったことがきっかけで開発しました。

本当は添加物まみれのグミをあげたくないという気持ちが強かったのですが、子どもに騒がれると口止めするかのように与えてしまい、いつも罪悪感を抱いていました。
それだけならまだいいのですが、おやつストレスがきっかけで、不用意に怒ってしまうことが何より心の底から嫌でした。

カラフルで甘くて小さいグミはとてもかわいらしくて子供心をくすぐる素敵なお菓子です。あちこちを探し周りました、結局、無添加のグミ(お菓子)が売られていなかったんです。
そんな時かつらぎ町で廃棄されている柿を見て、これでグミをつくろうと思いました。2016年の冬のできごとです。

・『無添加こどもグミぃ〜。』の特徴は何ですか?

お母さんの罪悪感なし、ストレスなし、怖い顔不要なお菓子なのに、子どもが「くれくれ!」と夢中になる、かつ、無添加でサスティナブルだという点です。

実際はグミのような食感のドライフルーツで、原材料は和歌山県の規格外フルーツだけを使用しています。
ゼラチンも砂糖も着色料もレモン果汁すら入っていません。果物を特殊な技術で36時間かけて乾燥させて作り上げました。

・どういう方にこのプロダクトを使ってほしいですか?

おやつストレスに悩むママたちにぜひお勧めしたいです。
また、子どもにどんなお菓子を与えていいのかについて悩んでいるママたちの助けになれば、とも思います。

・このプロダクトの解決する社会課題はなんですか?

お母さんの育児ストレスを解決しながら、農家さんのフードロスの削減にもつながります。
また、商品製作の過程においては、持続可能な障害者雇用をも生み出せるという点も挙げられます。
まさに、多方面の社会課題解決に繋がる最強のおやつだと自負しています。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

廃棄フルーツでグミをつくりたいと思ったところで、私にはどうすればいいかわかりませんでした。
人脈もノウハウもお金もなにもなかったからです。
私は当時セプテーニというWEBマーケティング事業を手掛ける企業の会社員でした。
100人くらいの人にプレゼンをすること2年間。その中で大阪市立大学の乾燥工学の教授との出会いがあり、共同開発することになったのです。

・今後、どういう会社、サービス展開をお考えですか?

『子どもにとっていい社会をつくる!』、私たちはこの山に登っています。
そのためにお母さんをニコニコさせたい。あらゆる育児ストレスを、1つ1つ地域課題をアップサイクルすることで解決していきます。

直近では2022年1月26日に、「くつろぎたいのも山々」という施設をオープンさせました。そこは、日本一お子様連れを歓迎する観光農園/キャンプ場です。
お母さんのお出かけストレスを解決するために、800坪の耕作放棄地を2年半かけて開拓しました。

子連れ限定の場所で、大騒ぎ大暴れ大歓迎なんです。
スタッフが子どもの遊び相手になるので、お母さんはゆっくりコーヒーやBBQが楽しめるという天国のような場所です。

・今の課題はなんですか?

人材です。
現在20代の移住者のスタッフや、ボランティアメンバーでなんとか成り立っていますが、優秀な人材との出会いを求めています。

・読者にメッセージをお願いします。

何がなくとも「誰を助けたいのか?」という仕事において1番重要なところさえ押さえておけば、人、モノ、金は集まります。

事実、無名の町のまだ更地だった場所に、クラウドファンディングがきっかけで全国から200人以上のボランティアがきてくれたんです。
支援も1029万円集まりました。立ち上げメンバーも見つかりました。

今まで頂いた応援の全てをしっかり社会に、子ども達にお返ししていきたいと思います。
みなさん!やまやまで待っています!

会社名 くつろぎたいのも山々。
代表者名 猪原有紀子
創業年 2019年
社員数 5名
住所 〒649-7121 和歌山県伊都郡かつらぎ町丁ノ町1526
サービス名 「無添加こどもグミぃ〜。」「くつろぎたいのも山々」
事業内容 地域課題のアップサイクル事業。規格外フルーツの無添加おやつの企画、販売。観光農園/キャンプ場の運営。
代表者プロフィール 1986年12月7日、大阪府吹田市出身
2009年、同志社女子大学学芸学部情報メディア学科を卒業。株式会社セプテーニに入社。
2018年、和歌山県かつらぎ町に移住。
2019年、農業で起業。
2020年10月、廃棄フルーツをアップサイクルした「無添加こどもグミぃ〜。」を発売開始。
2022年1月26日、くつろぎたいのも山々オープン。
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ SDGs アップサイクル くつろぎたいのも山々 地方創生 廃棄フルーツ 猪原有紀子 耕作放棄地
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