注目のスタートアップ

ゲノム編集技術などの品種改良技術×スマート養殖技術の「リージョナルフィッシュ」が20.4億円調達

company

2022年9月5日、リージョナルフィッシュ株式会社は、総額20億4,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

ゲノム編集技術などを活用した超高速の品種改良技術とスマート養殖を組み合わせた次世代水産養殖システムを開発・展開しています。

すでに世界初のゲノム編集動物食品である可食部増量マダイ「22世紀鯛」、成長トラフグ「22世紀ふぐ」などを販売しています。

今回の資金は、国内最大級の養殖プラントの建設、水産物の量産体制の構築、品種改良の対象品種・新規特性の拡大やスマート養殖の実現に向けた研究開発、アジアを始めとした海外参入、人材採用などに充当します。

品種改良は生物の遺伝子の変化を利用し、目的にあった品種を選別したり、異なる品種をかけ合わせることで目的の特性を持った品種をつくりだしたりする技術のことです。

品種改良には短くても5年から10年ほどの時間が必要となります。スピーディな品種改良ができないため、市場の変化などに対応することが難しいほか、コストも高くなります。

この課題を解決するため、別の生物から目的とする遺伝子を導入することで、新しい性質を持たせる遺伝子組み換えという遺伝子を操作する技術が生まれました。

遺伝子組み換えでは、たとえば特定の除草剤では枯れないといった性質を持った作物がつくられ、上空から除草剤を散布することで、大規模農場で効率的に栽培が可能となりました。

一方で、遺伝子組み換え作物はまだ歴史が浅く、人間への健康面での長期的な影響ははっきりとはわかっていません。

そのため、遺伝子組み換え作物にマイナスイメージを持つ消費者が多く、国内では遺伝子組み換えを使用する食品は表示義務があります。

ゲノム編集技術は、遺伝子組み換えと同じく遺伝子を操作する技術ですが、現在実用化されている技術は、酵素によってゲノムの特定の部位を切断し、突然変異を起こすという技術です。

これは自然発生的に起こる突然変異を人為的に起こすものであり、安全であるといわれています。

高い頻度で突然変異を起こすことができるため、品種改良の効率が飛躍的に向上します。そのため新たな品種改良技術として高い注目を集めています。

ところで、近年気候変動に伴う海洋環境の変化により、世界各地で漁獲量に大きな影響がでています。

また、世界的な人口増により、早くて2030年にはタンパク質の需要と供給のバランスが崩れ始めると予測されており、世界では代替となるタンパク質の供給に向けた体制の構築が進んでいます。

代替タンパク質としては、大豆などを利用した代替肉(植物肉)や、昆虫、藻類が注目されていますが、水産養殖(魚介類)の注目も高まっています。

水産養殖は世界的なトレンドで、1995年から2011年の間に世界の養殖生産金額は3倍以上になっています。

水産養殖が注目されている理由は、健康志向による魚食の増加や、畜産に比べて環境負荷が圧倒的に低いことが挙げられます。

そして、持続可能な水産養殖を実現するため、水産養殖の生産性の向上や、海洋汚染を防ぐためのテクノロジーの活用が求められており、水産養殖の領域では多くのスタートアップが参入してきています。

事業の拡大のためには資金調達が非常に重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報を掲載しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ ゲノム編集 システム スマート養殖 タンパク質危機 リージョナルフィッシュ 品種改良 技術 株式会社 次世代 水産 水産養殖 資金調達 食品 養殖
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
【2025年版】補助金・助成金を活用しよう!起業・創業・開業に役立つ14選の制度
【起業準備】会社設立前に絶対にやるべき10のアクションリスト
【2025年最新】クラウドファンディングのやり方とは?仕組み・種類・始め方の手順ガイド
有限会社とは?なぜもう設立できないのか?
普通の人が起業するには。起業の成功に大切な5ステップを創業手帳・代表の大久保が解説!
企業組合とは?設立方法とメリット・デメリットを紹介

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

時間単位の従量課金で社内SE・ITサポート業務を提供する「システム担当​ 1DAYパス」がリリース
2022年2月15日、合同会社百色は、スカイテック株式会社、株式会社フリートライと共同で、「システム担当​ 1DAYパス」の提供を開始することを発表しました。 「システム担当​ 1DAYパス」は、社内…
製造業の原価管理をIoTで自動化する「GenKan」提供の「KOSKA」が2.5億円調達
2020年10月19日、株式会社KOSKAは、総額2億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 また、「GenKan」の正式版のリリースも併せて発表しました。 KOSKAが提供する「Ge…
スマホ向けバッテリー・スタンド運営の「INFORICH」が10億円調達
2020年3月16日、株式会社INFORICHは、総額10億円の資金調達を実施したことを発表しました。 スマホ充電器のシェアリング・サービス「ChargeSPOT」を運営しています。 駅などに設置され…
AIを用いた不正検知サービス・サイバーセキュリティサービスを提供する「ChillStack」が資金調達
2024年9月12日、株式会社ChillStackは、資金調達を実施したことを発表しました。 今回の資金調達により、累計調達額は約3.5億円となりました。 ChillStackは、不正経費自動検知クラ…
匂い(香り)を可視化するにおいセンサーを提供する「レボーン」が資金調達
2022年12月19日、株式会社レボーンは、資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、エステー株式会社などです。 レボーンは、においセンサー「Obre」や、においセンサーで測定したセンシングデ…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集