ビジネスに革新をもたらすメタバースとは?仕組みや活用事例を徹底解説!

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近年注目されるメタバースってどのようなもの?様々な疑問を解決します。


近年、ビジネスにおいて革新をもたらす可能性が期待される「メタバース」が注目を浴びています。
メタバースとは、仮想空間の中で様々な取り引きが行える仕組みであり、既存のプラットフォームの枠を超えることも可能です。
大手IT企業である旧Facebook社(現・Meta社)が導入したことでも話題になったメタバースについて、詳しく解説します。

メタバースとは何か


では、近年注目されているメタバースとは、どのようなものでしょうか。

メタバースの概要について

メタバースとは、インターネット上における仮想空間であり、不特定多数のユーザーが仮想空間の中で様々な行動を取るために参加できる仕組みです。
ユーザーがメタバースに参加する際には、自身のアバターを作成して動き、ほかのアバターとの交流から商品・サービスの購入、通貨取り引きなどを可能にします。

また、メタバースの利用には明確な制約がありません。そのため、システムの提供者やユーザーは、仮想空間において目的に合わせた行動を自由に取れます。
つまり、メタバースの利用方法はほぼ無限であり、アイデア次第でビジネスにおける各業種に活用できます。

ゲームには導入されているものも多い

メタバースのシステムは、オンラインゲームなどで導入されるケースが多くなってきました。
メタバースを活用したオンラインゲームと、RPGのプレイを前提としたオンラインゲームには、大きな違いがあります。
前者では明確な目標を設定せず、例えば、アイテムを購入したり仮想空間をカスタマイズしたりしながら、ユーザー同士で自由に交流できるのが特徴です。

一方、後者はRPGがベースであることから、ほかのユーザーとの交流は基本的に仮想敵を倒すという目的で行われ、大枠のストーリーの中で行動します。
ゲームの中でも、自由度の高いコミュニケーションを実現しているタイトルの中には、国内外でヒットを飛ばしたものもあり、今後もゲーム業界では幅広く取り入れられると考えられます。

メタバースはどのようにして生まれたか

現在の3DCGを用いたメタバースに比較的近い仮想空間を構築したサービスは、2000年代前半に登場しました。
また、アバターを通して2Dの仮想空間でコミュニケーションを取る形のシステムは、すでに1980年代にリリースされています。
これらのシステムが進化を遂げ、現在のメタバースでは以下のような要素が加えられています。

  • 通貨のやりとり
  • VR(仮想現実)による仮想空間でのオブジェクトの構築
  • AR(拡張現実)による仮想空間と現実世界の融合

メタバースの利点とは

メタバースを導入することにより生まれる利点について、下記に挙げていきます。

・国や地域を問わないアクセス条件
メタバースにおける仮想空間は、国や地域を問わず広がっています。そのため、世界各国のユーザーと国境を越えてつながる点が、利点のひとつです。
仮想空間では、国や地域ごとの政治・経済・環境などの制約を受けないため、誰でも自由かつ平等に交流可能です。

・仮想空間における非現実の体験
仮想空間は、現実からかけ離れたところに構築されるものです。そして、仮想空間においては現実にありえないことも体験できます。
物理的・概念的なことで、メタバースの利用により非現実の出来事もリアリティをもって感じられるところが、ユーザーの楽しみといえるでしょう。

メタバースがもたらす効果

メタバースにおいて重要なのは、ユーザー=人同士の交流がもたらす共有体験です。
このような人間関係を築くには、現実世界においては組織などの制約に従う必要がありますが、メタバースでは個人同士の強固なつながりを得られます。
そして、個人同士で共有体験をすることで、目標を同じくするユーザーを募り、精鋭が集まるチームとして動き出すことも期待できます。

Facebookの社名変更により注目を浴びる

2021年10月に、Facebook社が社名を「Meta(メタ)」に変更して、メタバース開発にシフトすることが発表されました。
社名変更は大きな話題を呼ぶと同時に、メタバースとは何かを社会に認識させる機会にもなっています。

また、Meta社では社名変更と同時にVR環境をビジネス会議に用いたソフトウェア「Horizon Workrooms」をリリースしました。
このソフトウェアは、仮想空間にアバターとなったユーザー間で、制約や境界のない意見交換を行えるツールです。

さらに、メタバース事業に幅広く着手する目的で、向こう2年間でおよそ55億円(日本円換算)の投資を行うことも発表され、今後メタバース事業に強い期待を持っていることがわかります。

旧Facebook社がメタバース企業にシフトした理由とは

旧Facebook社がメタバースに注力するようになった理由は、これまでのSNSによる交流を、メタバースによって共有体験として高めることを目標に掲げているためです。
メタバースにおける共有体験は、単なる情報共有だけではなく、仮想空間においてユーザー同士が同じ体験をすることを指しています。

これを実現するのがVR環境の導入であり、これまでのインターネット上での交流を、よりリアルかつ強固にするでしょう。

Meta社では、これまで運営してきたFacebookやInstagramをはじめとした各種SNSを、VR環境下で一括で利用できるアプリ開発に取り組んでいるとされています。

・仮想オブジェクトにおけるリアル体験を実現する
メタバース活用の一環として、Meta社は仮想オブジェクトにおけるリアル体験を可能にする製品開発に着手しています。
人工皮膚「ReSkin」で、メタバースで得た情報を繊細な触覚に変換できるというものです。

人工皮膚に変化が起こると情報がAIに収集され、人間が触覚として認識できる形に変換するという仕組みです。
人工皮膚「ReSkin」により、微細な遠隔操作を実現できるほか、仮想空間におけるリアルな触感を得ることも期待できます。

また、製造過程におけるコストも、従来の人工皮膚より大幅に抑えられていると言われており、実用化に向けて活発な研究が行われています。

メタバースにより何が可能になるか


メタバースの導入により、実現可能になるとされる事柄について、下記に挙げていきます。

社員やチーム同士の仮想空間の共有

メタバースを活用すれば、社員同士もしくはチーム同士において共有体験が可能なため、仮想空間における共通の体験やコラボなどが期待できます。
仮想空間の共有を同じくすることで、従来のオンライン会議よりもさらにユーザーの積極性を促し、組織としての連携をより強める効果もあると考えられます。

仮想空間における共同作業

社員やチーム同士で仮想空間を共有できることは、その空間において遠隔で作業を共同で行えることにもつながります。

例えば、物理的な製品開発を要する会社やチームでは、3Dを活用したオブジェクトの共有が必要であり、当初はその目的でメタバースの開発が進んでいました。
仮想空間の共有は、結果的に遠方にいる社員やチームが、製品開発における図面や技術、デザインなどの共有および共同での制作作業を可能にするでしょう。

仮想空間での交流会などのイベント開催

国や地域、時間などの垣根なく仮想空間を共有できるメタバースでは、物理的に会場を設定しない交流会やパーティなどを開催できる可能性も広がります。
都合で現地に向かえない人とも仮想空間ですぐに出会うことができ、多くのコミュニケーションを実現します。
普段は顔を合わせられないユーザーと、仮想空間の中で状況にとらわれずじっくり話すことは、より深いコミュニケーションや信頼感を築くことにつながるでしょう。

全国各地での社員研修

特に、全国に支社を持つ会社においては、全社で社員に同様のスキルを習得させるために、均等な内容で研修を受けさせるよう求められます。
現在、遠方では情報共有も難しい面がありますが、メタバースを活用した社員研修により、共通の空間にて会社の一員である意識を高められます。

また、上司・同僚それぞれの個々のつながりをさらに深め、積極的な指導や意見交換を促進する足掛かりにもなるはずです。

アバターを利用した交流

メタバースの仮想空間において、アバターとして交流できる利点は、リアルタイムで空間を共有している感覚を得られることです。
アバターの技術には改良が進められており、音声を認識して顔の表情を自在に変えることや、身振り手振りを再現し表現を豊かにする研究が行われています。
リアルな表現が実現したアバターと仮想空間を共有して交流することは、実際のミーティング環境に近い感覚を生み出します。

VR技術の活用によるコミュニケ―ション

メタバースにVR環境を実装することは、仮想空間の共有をよりリアルなものとします。
その感覚は、ビジネスに限らずあらゆるコミュニケーションにおいてメリットをもたらすでしょう。

例えば、遠方にいながらにして同じ空間で過ごすリアルな感覚や、同じコンテンツを仮想空間内で体験できる楽しさの享受などです。
VR技術は、従来のソーシャルコミュニティでは実現しえなかった、より身近なコミュニケーションを実現し、ユーザーとの距離感を縮め共有体験を強める効果を増幅します。

メタバースと仮想通貨の関係性


近年、仮想通貨取り引きの中でもNFT(非代替性トークン)が注目されており、メタバース内での活用が期待されています。

仮想通貨NFTについて

NFT(Non-Fungible Token)は、仮想通貨のひとつであり、非代替性トークンと訳されます。
非代替性とは、ほかに代えることができない特定の識別子を持っていることを指し、仮想通貨の流通において誰が所有しているものかを識別できるものです。

仮想通貨は、取り引き履歴を暗号化して、それらの情報を連携させてつなげるブロックチェーンのもとに成立しています。
ブロックチェーンを構成することで、1カ所のみの情報改ざんが難しくなり、安全性が担保されます。
このブロックチェーンの仕組みと、NFTの持つ唯一性が融合することで、安全性の強化はもちろん所有者の明示につながるでしょう。

NFTの仕組みとは

NFTは、発行者および所有者、また、取り引き履歴がすべて記録され、ユーザー同士で取り引きを行うときにも、所在が明確であるため不正が起こりにくい仕組みです。
また、絵や文章、音楽などの著作権を所有する人がNFTを発行することで、権利に唯一性を持たせられ、ユーザー間の取り引きを行う際にも権利侵害が起きにくいといわれています。

NFTが導入されているカテゴリーとは

実際に、NFTが導入されているカテゴリーには、下記のようなものがあります。

・アート
各種アート作品においては、有形のものであればそのまま取り引きされ、デジタルコンテンツにおける著作物の取り扱いにはあいまいな部分がありました。
しかし、NFTの導入により、デジタルコンテンツにも唯一性を持たせることが可能となり、そこに付加価値をつけることを実現しています。

・ゲーム
メタバースで、すでに導入されているゲームのカテゴリーでは、NFTを活用することにより、ゲーム内でのアイテムやキャラクターなどが購入できます。
また、仮想空間を行き来できることから、ゲームのほかタイトルでも購入したアイテムやキャラクターを反映させられ、ゲームの楽しみ方の枠を外すことが可能です。

・不動産
不動産売買においては、所有権の管理やそれに伴う契約書の作成などが煩雑でしたが、所有者が明確になるNFTにより、契約書作成などの手間を大幅に省けます。
唯一性が担保できるNFTでは、不動産売買にかかる税金関連の手続きなどにおいても、さらに簡略化されることが期待されます。

・スポーツ
スポーツのカテゴリーにおいては、例えば、選手たちのトレーディングカードをデジタル化し、動画をセットにしてNFTで売買する試みが行われています。
選手たちのコレクションをデジタルデータとして残せるほか、所有者情報が記録されるNFTの特性を利用して、ファン同士で売買し投資対象にすることも可能です。

・オンラインチケット
各種チケットをデジタル化したオンラインチケットにおいても、NFTを利用して売買する動きがあります。
NFTの仕組みにより、不正な転売ではなく正当な売買として成立させられ、収益を主催者やアーティストに還元することも実現しています。

メタバースにおけるNFTの可能性

NFTによりアイテムの売買が可能

NFTのブロックチェーンをメタバースに導入すれば、仮想空間の中で所有者を明確にした状態で、ゲームのアイテムから不動産まで売買することができます。
さらに、NFTはメタバース内の仮想空間のみならず、メタバースの外でも利用可能なため、NFTマーケットプレイスにて有形・無形を問わずNFTでの取り引きが行えます。

ゲーム内における各種取り引き

NFTを活用したゲームでは、メタバースの仮想空間内でNFTを利用したアバターやアイテムなどが存在し、ゲーム内で購入することが可能です。
特に、ゲーム内でもレアアイテムについては、NFTによって高額で売買されることもあり、ゲーム内でマーケットが成立するでしょう。

オリジナルアバターの購入

メタバース内で、デザイン性の高いオリジナルアバターを作成して使用ができるプロジェクトが存在しています。
ユーザーは、オリジナルアバターを購入することで、そのアバターをメタバース各所で利用できます。

これにより、ほかのユーザーに自分を識別してもらえたり、特別感を持ってメタバース内で交流したりできることがメリットです。

ブロックチェーンを利用したカルチャー文化の展示即売

アニメをはじめとしたカルチャー文化についても、NFTのブロックチェーンを利用して展示販売するシステムでは、展示されているデジタル作品を購入できます。
また、これらのデジタル作品はメタバース外のマーケットプレイスでも取り引きが可能で、カルチャー文化をより広く流通させる足掛かりになるでしょう。

各企業のメタバース導入例


こちらからは、様々な企業がメタバースを導入している例を紹介します。

メタバースを活用した企業への投資信託(ETF)の承認申請

アメリカの企業では、メタバースを活用する企業に対し、投資信託・ETFを証券取引委員会に承認申請し実装する取り組みを行いました。
この申請が下りると、メタバースを開発・リリースする企業にETFとして投資が可能となります。

仮想空間におけるゲーム内広告の活用

イギリスの企業では、メタバースの仮想空間内で広告を表示できるプラットフォームをリリースする計画を立てています。
このプラットフォームのリリースが実現すれば、世界中のユーザーが利用するメタバース内で効果的に広告を打つことが期待できます。

様々なソフトウェアをつなげユーザー体験を向上

アメリカの大手IT企業の試みでは、同社がリリースするビジネス用ソフトやSNSなどをメタバース上ですべてつなげて一元化することを目指しています。
各種ソフトウェアの垣根をなくすことは、メタバースだからこそ実現することのひとつであり、それぞれのユーザーがメタバース上で共同作業を行うことなども見込めるでしょう。

アプリのプラットフォーム拡充

日本国内でも、ゲームなどのアプリを提供しているIT企業が、メタバース事業に注力し、その可能性により事業を新たな方向に転換するとしています。
具体的には、同社がリリースしているライブ配信アプリにメタバースを導入し、ユーザー間での交流をよりリアルなものとするプラットフォームを拡充する計画です。

まとめ

メタバースは、旧Facebook社が事業で特化させたことにより注目を浴び、様々な企業がメタバースの導入および活用に力を入れています。
メタバースは、どのようなビジネスでも活用の可能性があり、アイディア次第でビジネスが格段に広がるものです。
メタバースを活用するために、社会のニーズを汲み、ビジネスにどう活かすか精査することが大切です。

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