【2025年最新】個人事業主の確定申告は「定額減税」に気をつけよう
税理士が解説!基礎から節税対策まで、確定申告のポイントまるわかり
2024年度の確定申告、ポイントは定額減税です。定額減税の特別控除により、いつもとは異なる計算が加わるので、抜け漏れがないよう注意しなくてはなりません。
本記事では、税理士の高井亮成さんに確定申告の基本や注意点を伺っています。定額減税を含めた2024年度分のポイントはもちろん、毎年共通して気になる節税や経費の疑問にも答えていただきました。
税理士法人経営サポートプラスアルファ 代表税理士
東京都練馬区。
税理士の経歴としては珍しく高校中退を経て10代から働く。
その後、簿記との出会いが人生を一変させ、簿記2級1級を一発合格ののち、税理士試験に挑戦し国税主要科目で税理士試験を突破。以降23年間、税務会計に情熱を注ぎ続ける。
学業中に父親の職業が会計事務所勤務と判明。知らぬ間に親子の道が繋がっていたことに驚き、深い縁を感じる。
モットーは「挑戦と努力で未来を切り開く」。
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この記事の目次
確定申告は期限厳守!デジタル連携で簡単・手軽に
高井:確定申告とは1月1日から12月31日の所得を計算してそれに対する所得税を申告・納税する手続きのことです。
なぜしないといけないのか、それは日本の課税方式が申告納税方式を採用しており、納税者が自ら計算して申告する制度となっているためです。
お勤め先からの給与収入のみであれば、年末調整を行うことで確定申告不要となりますが、副業をしている場合や個人事業主、医療費控除などを受ける方は確定申告が必要となります。
高井:確定申告を行う計算期間は2024年1月1日~2024年12月31日となります。
所得税の確定申告の期限は通常2月16日から3月15日となりますが、2024年分の確定申告について2025年2月17日(月)~2025年3月17日(月)となり、2025年3月17日(月)が所得税の確定申告書の提出期限であり、所得税の納付期限となります。
それに加えて消費税を納める義務がある方は2025年3月31日(月)までが消費税の確定申告書の提出期限であり、消費税の納付期限となります。
高井:以下3点のメリットがあります。
- 時間と場所の制約がない:税務署に出向く必要がなく、自宅などから24時間いつでも申告できます。
- ペーパーレス化:申告書や添付書類を紙で提出する必要がなく、印刷や郵送の手間を省けます。また仕上がった書類はそのままPDFで保存できるため便利です。
- 計算の自動化:システムで所得や控除額などを自動計算できるため、専門的な知識がなくても申告を行うことができます。
高井:マイナポータルと連携するメリットは、次の3つです。
- 手間を省ける:マイナポータルで控除証明書などの情報を取得し、e-Taxに自動入力できるため、控除証明書等の書類集めや入力の手間が省けます。
- ミスを防げる:自動取得により自動入力されることによって入力や計算ミスを防げます。
- 情報の一元管理:控除証明書をデータで提出するため控除証明書などの管理や保管が不要になります。
2024年度分は「定額減税」による変更点に注目
高井:大きく変わった点でいうとやはり令和6年分(2024年)の措置として「定額減税」があることでしょうか。対象者としては令和6年の合計所得金額が1,805万円以下である方が定額減税を受けられます。
定額減税による特別控除としては本人分として所得税が3万円、住民税が1万円の特別控除となり、同一生計配偶者または扶養親族1人につき所得税が3万円、住民税が1万円の特別控除となります。
高井:まずは定額減税を受けられるのは合計所得が1,805万円以下であるため、それを超えてしまっていると減税は受けられないという点があります(今から注意しようがないかもしれませんが)。
高井:やはり注意点は定額減税を加味して計算して頂くことかと思います。特にe-taxですと、自動計算されるため扶養情報など間違いなく入力していれば計算されますが、紙で手計算するとひょっとすると計算間違いを起こして受けられないなんてことは避けたいところです。
間違いのないようにe-taxで確定申告を行うことと、分からなければ税務署へ聞く、不安であれば税理士に相談してみるというのもいいのではないかと思います。
経費や節税はどうする?確定申告のギモンは無料相談で解決
高井:確定申告しなくてはならないのに確定申告を期日までに行わなかった場合にはペナルティが課されます。延滞税は最大で年14.6%+加算税となります。
加算税は種類に応じて%が異なりますが、例えば、過少申告加算税は5%~15%、無申告加算税は5%~30%、売上や経費を仮装隠蔽した場合などに課される重加算税は35%~50%というペナルティがあります。
遡って徴収される可能性のある期間は3年・5年・7年のため、最大年14.6%の延滞税がさらに膨らんでいく計算となってしまうんです。
高井:間違っていたら修正申告をすることもできるため、気付いた時点で早めに対応するのがいいと思います。特に納税を追加でしなければならない場合には延滞税がかかり続けているためです。
また中には「控除できるのに、控除し忘れてしまった」「控除を行う確定申告をし忘れていた」ということもあります。そういった場合には申告間違いの場合で税金が戻ってくる計算となれば、更正の請求という手続きを行い、申告をしていなかった場合には期限後申告を行うことで還付を受けられるということもあります。
更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内となります。
高井:これはお客様もよく悩まれることです。
「この事業におけるこの支出は経費になるか否か」という個別論点ではなく、経費という総論での回答になってしまいますが、事業のために要した費用としてそれぞれの解釈、判断が必要なため正解はありません。
事業のためというのは売上を上げるために必要であると主張できる論理を持っておくことが重要です。
あとは個人事業主の方ですと、個人カードでプライベートの利用もあれば、事業用の利用もあります。そうすると混同してしまうことになるため、できればプライベート利用のクレジットカードと事業利用のクレジットカードを分けておくこともおすすめです。銀行口座にも同じことが言えます。
高井:意識すべきは、節税と言いながら脱税になっていないか気を付けることです。どなたも節税は興味ありますし、これくらいならいいかと考えてしまうこともあるかもしれませんが、脱税になってしまってはやはりよろしくないわけです。
その上で節税という観点で言えば、ふるさと納税制度を活用していないのであれば、上限金額を計算して活用するとかもありますし、個人事業主の方であれば小規模企業共済とう制度も検討してみてもいいと思います。小規模企業共済というものは国が運営しているもので掛け金を年払いできるため、掛け金を年払いした年で控除することもできます。
また個人事業主の方でいえば、確定申告と少し話がずれてしまうかもしれませんが、個人事業主として確定申告するのではなく法人化するというのも一つです。個人事業主で所得税を計算されるよりも法人にして給与を受け取りつつ、法人税を払うという方がお得になるケースもあります。
よく年間利益1,000万円とも言われたりしますが、状況によっては年間利益600万円程度でも法人有利となるケースもあるため、無料相談を活用しながら検討してみてもいいと思います。
当社(経営サポートプラスアルファ)でも法人化の無料相談をオンラインで1回90分~120分を行っており、無理な営業も追っかけの営業も一切しません。無料相談で3回4回行うケースもあれば、事業計画を一緒に組んでみて「今じゃなさそうですね」なんていうこともよくあります。
とにかく調べるより聞くのが早いので専門家の力を借りて、無料で相談して知識を得て活用してみてもいいと思っています。
2025年の制度変更、対応には「信頼できる情報源」が必須
高井:個人事業主の方は特に選択肢があるため、一つ前に回答した小規模企業共済の加入の検討と法人化の検討をしてみるのがいいと思います。
高井:基礎控除と給与所得控除が上がります。個人の確定申告で言えば基礎控除が上がることで若干税金が抑えられますが、ある種、自動で恩恵を受ける形となります。
選択的に影響あるものとすれば、個人事業主の方や法人化した際にご家族の方へ非課税の範囲内で給与支給するケースがありますが、それが若干増えるため、基礎控除と給与所得控除が上がったことによって給与額の決定を少し上げて恩恵を受けるということもあると思います。
高井:最近個人的に思うことは、ただでさえ世の中の情報が溢れかえっている中でAIによる文章作成などもされてきており、たまに「あ、このサイトはAIに書かせた文章だろうなぁ」と思うケースも増えてきました。
そうなるとどの情報源から情報を得るかが大切だなと思います。
専門家から直接話を聞くのが(しかも無料相談という形で)一番良いと思ってはいますが、ネットから情報を得るなら間違いなく創業手帳さんから情報を得た方がいいと思っています。
なぜなら、この今日の話も直接インタビューを受けて回答しているものですし、どの記事でも専門性が高い情報があるなと思えるのは創業手帳さんだと思うからです。
確定申告についてよくわからないという方は、ぜひ「確定申告ガイド」もあわせてお読みください。確定申告の手順や仕組みなどを簡単に解説しています。無料でお読みいただけます。
(取材協力:
税理士法人経営サポートプラスアルファ 代表税理士 高井 亮成)
(編集: 創業手帳編集部)