株式会社設立の条件をまとめて解説!設立できる年齢や必要な人数、手続きとは?

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株式会社設立の条件を知り、起業に向けて準備を進めよう


個人事業が軌道に乗ったり、やりたい事業があったりと、株式会社設立を検討する理由は人によって様々です。
しかし、実際に株式会社を設立したいと思っても、何からやればいいのかがわからずに悩む方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、株式会社設立の条件として年齢や必要な人数、手続きについてお伝えします。
株式会社を設立する際に知っておきたいポイントもご紹介するので、設立を考えている方はぜひ参考にしてください。

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株式会社を設立できる年齢の条件


法定代理人の同意がなくても株式会社を設立できるのは、18歳以上からです。ただし、法定代理人の同意があれば、15歳以上からでも設立できます。
会社法に年齢に関する規定はないものの、子どもとみなされる年齢のうちは、自分で設立することはできません。

これは、株式会社を設立するには会社法などの法律に従う必要があること、そして民法上、法律行為は18歳以上と定められているためです。
では、なぜ同意があれば15歳以上でも設立できるのかというと、会社設立に必要な印鑑登録をできるのが15歳以上だからです。
したがって、親の同意があったとしても印鑑登録ができないうちは、会社を設立することはできません。

一方で、会社を設立するにあたり年齢の上限はありません。そのため、定年退職後はもちろん、破産者であってもほかの欠格事由に該当しなければ設立可能です。
ただし、会社法や破産法をはじめ各法に抵触して罰則を受けた経験がある場合、その後2年間は設立したとしても取締役にはなれません。

株式会社設立に必要な人数の条件


会社法の施行により、株式会社はひとりでも設立できるようになりました。ここでは、会社設立の条件である必要な人員を詳しく解説します。

発起人

発起人とは、会社設立にあたって資本金の出資をはじめ、会社の重要事項を決めたり、定款の作成や様々な手続きをしたりする人のことです。
設立後は、出資した資本金の額に応じて株式が発行され、株主として会社の経営に関与することになります。

発起人になるための制限はないため、未成年者や法人であっても発起人になれます。
人数に関する制限もないため、ひとりではなく複数人が発起人になっても問題はなく、発起人を取締役にすることも可能です。

ただし、発起人は会社設立の重要な役割を担っていることから、設立できなかったり、損害を与えたりした場合、責任を負う必要があります。

取締役・代表取締役

取締役は会社の業務執行に関わる意思決定を行う役職であり、その中でも特に強い権限を持つ取締役が代表取締役になります。
代表取締役は会社法によって定められた会社の最高責任者であり、取締役との違いは代表権を有しているかどうかです。

株式会社設立には取締役を決める必要がありますが、それを決定するのは発起人です。取締役の人数に上限はなく、ひとりでも問題ありません。
また、代表取締役は取締役の中から選びますが、必ずしも置かなければならないわけではなく、取締役と同様に人数の上限もありません。

そのため、取締役が複数いる場合、全員が代表取締役になれます。反対に、ひとりで設立した会社であれば、自分が代表取締役になることも可能です。

役員

役員とは、取締役をはじめ監査役や会計参与のことをいいます。
監査役は会社や取締役が不正をしていないか、計算関係の書類などが適正に処理されているかなどを監査する役割を担っており、大きく分けて「社内監査役」と「社外監査役」の2種類があります。

一方、会計参与とは取締役と共同で計算書類などを作成する機関です。
会計参与になるには、公認会計士や監査法人、あるいは税理士や税理士法人である必要があります。

株式会社の場合、取締役は必ずひとり必要です。ただし、監査役や会計参与は取締役会を設置している場合を除き、基本的には設置しなくても問題ありません。

従業員

従業員とは、会社と雇用契約を結び働く人のことをいいます。会社法では、従業員の人数に関する規定はありません。
必ずしも従業員を雇用する必要はないため、取締役ひとりであっても株式会社を設立できます。

従業員を雇用する場合、会社としての売上げや収入がなくても給与や社会保険料を支払わなくてはならず、負担は大きいものです。
そのため、経営が軌道に乗り安定するまでは、従業員を雇用しないのもひとつの方法です。

株式会社設立に必要な資本金の条件


資本金とはビジネスを運営するための元手金のことです。事業を行うにはお金が必要ですが、会社法では最低いくら必要といった条件はありません。
そのため、資本金1円であっても会社を設立可能です。

ただし、資本金は1円で良くても、会社を設立するには様々な手続きが必要であり、お金がかかります。
また、経営が軌道に乗るまでは、オフィスや店舗の賃料や契約費用をはじめ、仕入れや設備費などの費用がかかるものです。
そういった設備費などは資本金から支払うため、資本金は会社の体力や信用度を判断するための重要な指標となります。
資本金が少ないと返済能力が低い、事業資金がないとみなされ、融資が受けられなくなる場合があるので注意が必要です。

資本金額の一般的な目安は、設立費用と数カ月分の運転資金とされています。資本金を決める時は、事業に合わせて必要な初期費用や運転資金を計算することが大切です。

株式会社を設立するために必要な手続き


株式会社の場合、設立登記をすることで設立が認められます。ここでは、設立登記をするまでに必要な手続きを詳しく解説します。

会社の実印を作る

会社を設立する際に実印を作ります。実印は設立登記の手続きで「株式会社設立登記申請書」を作成する際に必要です。
この申請書には、登記の申請人の印鑑を押す必要があり、手続きを委任する場合であっても同様です。

また、会社の実印は設立登記だけでなく、各種契約書など様々な場面で使われます。
会社の実印は、法務局に印鑑届書を提出することで認められます。印鑑届書では印鑑のサイズが決まっており、直径18mmの丸印が一般的です。
ただし、範囲内であれば良いため、収まるものを用意してください。

なお、オンラインで登録申請をする場合、印鑑の提出は任意となりました。

定款の作成と認証

会社を設立するには、定款を作成する必要があります。定款とは、事業目的や資本金、発起人など、会社概要を文書にまとめたものです。

定款には絶対的記載事項のほか、相対的記載事項と任的記載事項があり、いわば会社の基本ルールのようなものです。
会社法によって定款に記載すべき内容が決まっており、例えば絶対的記載事項の場合、目的・商号・所在地・資本金・発起人の氏名や住所を必ず記載しなければいけません。

一方、相対的記載事項は、土地や車などの現物出資や財産引受がある場合、起こり得る金銭トラブルに備えて記載するものです。
定款に正しく記載していない場合、無効となってしまうため注意が必要です。最後の任意的記載事項は任意で記載するものなので、なくても困ることはありません。

作成した定款は公証役場にて認証してもらう必要があります。公証役場とは、法務省が管轄する役場のことで、全都道府県に設置されています。

資本金の払込みと証明書の作成

会社を設立するには、資本金(出資金)を払い込む必要があります。まだ法人口座がない段階のため、払込先は発起人あるいは取締役のうちの誰かひとりの銀行口座です。
払込みのタイミングは、会社設立のための出資金であることを明確にするため、定款作成日以降の日付にするのが一般的です。

資本金を払い込む際、もともと口座にあった金額と合算はできない点に注意してください。
最初から口座に80万円あった場合、20万入金し残高100万円になったとしても、その100万円は資本金として認められません。

認められるには一度引き出してから、まとめて100万円を入金することが必要です。ただし、発起人が2人いる場合は、まとめずにそれぞれ分けて入金します。

払込みをしたら、その事実を第三者に証明するため証明書を作成します。
銀行・支店名・口座番号・名義人・資本金の入金がわかるよう通帳をコピーし、資本金の払込証明書を作成してください。

設立登記を行う

会社の設立登記をするには、登記申請書のほか、定款や資本金の払込証明書、印鑑届出書など必要書類を法務局へ提出する必要があります。
場合によっては発起人の決定書や取締役全員の印鑑証明書などが求められることもあります。

また、原則として資本金の払込みから2週間以内に申請する必要があるため、スケジュールは余裕を持って組んでおくと安心です。
登記申請書の記載内容は、商業登記法によって定められています。
形式に従っていない場合、申請は却下されるため、登記申請書の作成は司法書士など専門家に依頼してみてください。

提出書類に問題なければ登記は完了し、登記完了証が交付されます。ただし、印鑑証明書や登記事項証明書ができるまでは、登記申請書の提出から1~2週間程度かかります。

会社の設立日は登記が完了した日ではなく、登記申請書を法務局に提出した日です。設立日にもこだわりたい方は、必要書類の提出日に注意してください。

株式会社設立する際に知っておきたいこと


最後に、発起設立と募集設立、公開会社と非公開会社の違いなど、株式会社設立時に知っておきたい内容を解説します。
登記内容を変更したい場合の注意点もご紹介するので、参考にしてください。

発起設立と募集設立の違い

発起設立と募集設立では、手続きや役員の決定に違いがあります。「発起設立」と「募集設立」は会社を設立するための資金調達方法のことです。
発起設立は、発起人のみが出資金(資本金)を調達、発行された株式はすべて発起人が引き受けます。

一方、募集設立は、発起人以外の第三者からも資金を調達する方法です。株主となりたい人を募集するため、当然ですが発起人以外にも株主がいます。

発起設立の場合、発起人の同意が得られれば良いため、設立における手続きは容易です。
しかし、募集設立の場合は創立総会を実施するなど、複雑な手続きを踏んで初めて株式会社を設立できます。
また、役員の決定も創立総会で議決を取る必要があるだけでなく、議決権を持つ株主が半数を超えて出席していなければならないなどの決まりがある点も両者の大きな違いです。

公開会社と非公開会社の違い

公開会社と非公開会社の違いは、株式を公開するかどうかです。
株式を公開して株主が自由に売り買いできる会社を公開会社、反対に株式を非公開にしている会社を非公開会社といいます。

公開会社は株式の売買ができる会社のことなので、必ずしも上場している必要はありません。上場していなくても売買に制限がなければ公開会社となります。
ちなみに、上場会社となるには証券取引所が定める基準をクリアし、承認を得る必要があります。

一方、非公開会社が株式を譲渡するには会社の承認が必要です。簡単に売買できないようにすることで、経営権が他人に奪われるリスクから会社を守っています。

登記内容の変更には変更登記が必要となる

移転や名義変更などにより登記内容を変更したい場合、変更登記が必要です。変更登記をすると、設立時に提出した会社登記の内容を書き換えられます。
登記内容に変更があったにもかかわらず手続きを行わずに放置していた場合、代表者に対して100万円以下の過料が課されることもあるので、注意してください。

変更登記が必要なケースは様々で、内容によってかかる費用が異なります。自分でも手続きができ、わからないことがあれば法務局の相談窓口に相談できます。

自分で行うことに不安がある場合は、司法書士など専門家に依頼すると良いでしょう。ただし、司法書士に依頼する場合、依頼料がかかります。

変更登記について、より詳しい手続き内容や費用を知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。

関連記事
変更登記とは?登記の種類と手続き方法

まとめ

株式会社を法定代理人の同意なく設立できるのは18歳以上ですが、同意があれば15歳以上から設立可能です。
年齢の上限はなく、会社法によってひとりでも株式会社を設立できるようになりました。
株式会社の設立を考えている方は、定款の作成・認証や資本金の払込みなど必要な手続きを進めていきましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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