より有利に経営を行うためのひとつの形「共同経営」について考える

創業手帳

共同経営を成功させ、失敗させないための方法

(2018/07/13更新)

単身での経営は、自由度が高いというメリットがありますが、すべての決定権が自分にあるため、責任も自分ひとりに集中するというデメリットもあります。1人での経営に不安を感じた経営者に考えていただきたい経営方法のひとつが、「共同経営」です。

有能なパートナーと力を合わせることで相乗効果が生まれ、経営が有利に行えます。うまく行けば、事業拡大につながるかもしれません。

しかしその一方で、共同経営のスタートにはさまざまな心配もあると思います。

今回は、共同経営を考えられている方に向けて、共同経営の契約方法やありがちなトラブルなどについて詳しく説明していきます。

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共同経営とは?

共同経営とは、その名の通り、複数の経営者が対等な立場で一緒に経営する形態のことです。お互いの足りない部分(資金や経営知識、業務スキル)などを補い合えるので、相乗効果が生まれ、事業のスタートがスムーズになる、既存事業がさらに発展するという効果が見込めます。

ただ、ひとえに「共同経営」といえど、出資比率や担当業務、会社形態によっていくつかのタイプに分けられます。

立場・役割による違い

資比率による関係

今回は株式会社を想定して解説します。出資者として会社を経営していく場合、出資比率の大きい人のほうが意思決定の権限を持つことになります(出資割合に応じて、決定権の範囲は変わります)。出資を折半する対等な関係が分かりやすいですが、その場合は逆に、意思決定に時間がかかるというデメリットがあります。

出資者と経営実務に分かれる関係

一方が出資者・オーナーという立場で、他方が実務を行う場合、日常実務における意思決定は、出資をしていない経営者も行います。ですが、最終決定権は出資者であるオーナーが持ちます。

業務ごとに住み分ける関係

事業形態以外にも、業務分担の点から見てもさまざまなパターンが考えられます。例えば、営業・開発・経理など業務のくくりで担当を分けるケース。担当分野で独自の意思決定が可能で、職責も分かりやすく分けられます。

運営する企業・団体による違い

共同で団体や組合を設立する場合

非営利事業であれば、NPO法人などを設立することもできます。その場合は、多数決で意思決定が行われます。

共同出資で事業を行う、民法上の組合を設立する場合の出資は、金品ではなく労力だけでも構いません。しかし、その組合が持っている資産も負債も、出資金の割合によらず全組合員平等に「共有」されるという特徴があります。なお、出資者は無限責任を負います。

個人事業で共同経営する場合

一方が個人事業の場合、パートナーがその被雇用者として経営に参画する形態です。事業は個人事業主メインで行うので、被雇用者となるパートナーは経営上の責任を負いません。

うまくいく「共同経営」ありがちな「共同経営」のトラブル

うまく共同経営を進めるために、ありがちな共同経営のトラブルについて把握しておきましょう。

意思決定に時間がかかる

個人事業のときは、自分自身で最終決定を下すことになりますが、共同経営になると(経営の形態にもよりますが)、経営者たちの間で合意を取り、決定する必要があります。全員の意見が一致すればいいのですが、経営課題は多岐にわたり、時には意見が決裂して決定までに時間がかかる場合があります。

意思決定に時間がかかると、個人事業や中小企業の強みであったスピード感が失われ、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。

人間関係に不満がたまる

経営状態がいいときは、前向きに協力関係が維持できますが、経営関係が悪化するとトラブルに発展しやすくなります。具体的には、相手のせいで経営が悪化しているのではと不満が募ったり、信頼関係が傷ついてしまったりします。

また、貢献度合いに見合った報酬比率のバランスを決めるのが難しく、そこで揉める可能性も否定できません。
ビジネス上はおろか、プライベートにまで悪影響を及ぼすかもしれません。

責任の所在が曖昧になる

経営者が複数になれば、責任の所在が曖昧になります。事業がうまくいっていない場合、誰の責任かが明らかにならず、重大な決断について適当に済まされるかもしれません。責任の所在が曖昧であれば、組織としての弱さとなってしまいます。

関係を解消する際に問題になる

共同経営の関係を解消しようと考えたとき、企業の所有権や対象事業の権利が配分されている場合には、協力解消の際に事業存続のリスクが発生します。共同経営を始める際にしっかりと取り決めをしていることも大切です。

ここまでは共同経営のトラブル事例をご紹介しましたが、共同経営にはこれを補えるメリットもあります。

自分の不足を補える

資金面や経営の知識など、自分にないものを補い合うことができます。また、得意なことも違うので事業成長にも良い影響があり、役割分担をすることで効率よく仕事をすることができます。

対等な立場で協力できる存在が得られる

経営者と従業員ではなく、対等な立場で協力できる存在が得られ、意思決定の際に相談することや、助言を得ることも可能です。経営者の孤独感を和らげることができます。

メリット デメリット
・自分が不足しているところを補い合える(資金、経営知識、業務スキル、など)
・対等な立場で協力できる存在が得られ、経営者の孤独感を和らげることができる
・1人で責任を負う必要がない
・意思決定の際に相談できたり、助言を得たりできる
・役割分担で、効率よく仕事ができる
・意見が割れた場合、意思決定に時間がかかり、経営のスピードが落ちる
・1人で経営していた時に比べ、思い通りにならない部分もある
・貢献度に見合った報酬比率のバランスを取るのが難しい
・責任の所在が曖昧になる
・企業の所有権や対象事業の権利が配分されている場合、協力解消の際に事業存続のリスクが発生する

トラブル回避のためにも!共同経営に必要な書類と手続き

共同経営を行うことで、単独で起業・経営するよりもビジネスの幅は大きく広がります。しかし、生じうるトラブルも大きくなる可能性があります。トラブルを減らし、少しでも共同経営をうまく実行するために、事前にしっかり準備をしておくことが大切です。

たとえば、資金、役割分担、決定権、報酬など…これらのルールを明示しておくことで、共同経営は成功に近づくでしょう。

ここでは、共同経営を進めるために必要な書類・手続きについて解説します。

共同経営を始める前に決めておくべきこと

共同経営を始める前に、以下の項目について話し合い、あらかじめルール化しておきましょう。これらが曖昧だと後々トラブルになる可能性があるため、しっかり明文化しておきましょう。

  • 出資金額
  • 報酬
  • 肩書
  • 担当分野
  • 責任と権限
  • 利益分配の方法
  • 意思疎通の方法
  • 考え方に相違があるときの対応
  • 引退するときの事業承継
  • 契約解除の手続き

ちなみに、出資割合は「同額」が対等な共同経営というイメージがありますが、実は、いざという時に一番トラブルになるのが同額出資の場合です。意思決定がどうにもならず、譲許が停滞してしまうからです。

作っておくべき書類

共同経営を始める際には、「共同経営契約書」を作成し、それぞれが保管しておきましょう。作成義務はありませんが、いざトラブルが起こった際に解決の役に立ちます。

契約書の中には、前項で示した「決めておくべきこと」も明示しておくと、お互いの認識のずれもありません。それに加えて、事業の目的や内容、契約期間、持ち分処分についてなども盛り込んで作成します。

また、株式会社を設立して共同経営を開始する場合は、株主総会や決算制度の手順を明確にしておくと、実務上で混乱を防ぐこともできます。

作った契約書は、契約期間ごとに見直し、常に最適な内容を保つようにすることも、トラブル防止に役立ちます。

共同経営を成功させるためのポイント

共同経営を成功させる最大のポイントは、信頼できるパートナーを見つけること。自分の不足を補ってくれて、ストレスなく意見交換ができ、同じビジョンを持って経営に臨めるパートナーを選びましょう。

「共同」経営だからといって、報酬や出資を無理に折半しないというのも成功に大切な考え方です。貢献度や実績など、客観的な指標で決めるほうが納得感を得られます。

また、確定申告にも注意が必要です。それぞれが独立して確定申告が必要になるので、経理面でも煩雑な手続きになります。経理作業に人手や時間を割くのが難しい場合は、税理士などの専門家に頼るほうが間違いなく手続きを進められます。

まとめ

信頼できるパートナーが見つかれば、共同経営は大きな可能性を開くことができる選択肢です。失敗すると言われがちな共同経営ですが、この記事で紹介したポイントを押さえることで、成功の確率を高めることができます。

メリットとデメリットを理解した上で、しっかりと事前準備をして共同経営に取り組みましょう。

(執筆:創業手帳編集部)

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