インフィニティ国際学院 高等部 中山大貴|「もったいないスープ」が故郷を救う
旅をしながら学んで見出した「規格外野菜×地元貢献」の可能性
海外と国内をフィールドに、旅をしながら学び合う「インフィニティ国際学院 高等部(以下、インフィニティ高等部)」に在籍している(※2022年2月取材当時。2022年3月にインフィニティ高等部を卒業。)中山大貴さん。
中小企業庁主催の「Japan Challenge Gate2022〜全国ビジネスプランコンテスト〜」にエントリーし、規格外野菜を活用したスープのビジネスモデルでファイナリストに選出。現役学生ならではの視点からのインフィニティ国際学院の魅力や、挑戦するビジネスについて、創業手帳代表の大久保が聞きました。
八洲学園大学国際高等学校 インフィニティ国際学院3年生
大阪府出身。両親が起業家という環境で育ち、小学生の頃から起業に関心を抱く。アントレプレナーの育成にも力を入れているインフィニティ国際学院 高等部に入学。カリキュラムの一環でスープを販売した経験を元に、エントリーした中小企業庁主催の「Japan Challenge Gate2022〜全国ビジネスプランコンテスト〜」でファイナリストに選出される。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。
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この記事の目次
ビジネスプランコンテストでファイナリストに選出
大久保:まずはビジネスプランコンテストで発表されたビジネスモデルの説明をして頂けますか?
中山:「『もったいないスープ』が故郷を救う」というテーマで、「Japan Challenge Gate 2022全国ビジネスプランコンテスト」に出場し、ファイナリストに選ばれました。
私が考えているビジネスモデルは、地域の農家さんから仕入れた規格外野菜でスープを作り、販売するビジネスです。ただスープを販売するだけではなく、直営店で開発したスープのレシピや蓄積したノウハウを提供する加盟店を全国で募り、フランチャイズ展開していくシステムです。
スープの売り上げの一部を加盟店がある地域のNPO法人に寄付したり、障がいのある方々の雇用創出にも貢献したいと考えており、スープを買うことで色々な角度から地元を救う活動に繋がる仕組みを考えています。
規格外野菜を活用したスープで地元に貢献
大久保:なぜスープに着目したのですか?
中山:まずスープに関しては、父親がよく作ってくれる野菜を使ったスープがきっかけです。父親が作るスープが美味しいので、これを自分の友人にも食べてもらいたいと思い、作り方を教わりました。
自分で作ったスープを友人に振る舞ったところ、すごく好評だったことがきっかけでスープでのビジネスを考え始めました。
大久保:なぜ規格外野菜に着目したのですか?
中山:インフィニティ高等部のカリキュラムの一環で、北九州の農家さんを訪問し、農作業を手伝う機会がありました。
作業をしながら、色々な話をお聞きした中で、大きさや形が不揃いだという理由で捨てられている規格外野菜の存在を知りました。
この規格外野菜と私が作るスープを組み合わせて、ビジネスモデルを作ったのが今回の発表内容です。
販売するのが困難な規格外野菜を私たちが仕入れることで、農家さんの現金収入も増え、捨てられる規格外野菜も減り、winwinなビジネスモデルが作れると考えています。
SDGsの12番目の目標である「つくる責任つかう責任」にも該当するビジネスです。
自らビジネスを創出した経験を元にビジネスモデルを構築
大久保:実際に商品を販売してみて感じたことはありますか?
中山:今までに3回スープを販売してきました。
1回目と2回目は青森県で販売しました。2つのイベントを合わせて6時間営業し、122杯のスープを販売できました。
3回目の瀬戸内国際交流イベントでは、4時間で90杯のスープを販売しました。
実際にスープを販売する前は、買ってくれるお客様が現れるのか心配でしたし、イベント当日もすごく緊張していました。
しかし、実際に販売してみると、思った以上にスープを買ってもらえて、「おいしかったよ」と声をかけてもらえたり、リピーターになってくれるお客様まで現れました。
このお客様との体験がすごく嬉しかったので、このスープでビジネスをしたいと思うようになりました。
大久保:今後も継続して販売していく予定ですか?
中山:イベント出店も検討していますが、大阪府内でスープを販売する店舗を構えたいと考えています。
自分の店舗を本店として、スープのレシピやノウハウを蓄積して、次のステップとして、全国で加盟店を募りたいと考えています。
この全国展開に向けて、クラウドファンディングを行い、フランチャイズ展開をスタートさせたいと考えています。
インフィニティ高等部のアントレプレナー精神を養うプログラム
大久保:小学生の頃から起業を志していたとお聞きしましたが、それには理由がありますか?
中山:私の両親も起業家で、幼い頃からその姿を見て来たので、起業家に対する憧れがありました。
大久保:インフィニティ高等部に入ったきっかけを教えて頂けますか?
中山:幼い頃から起業家になりたいと家族にも相談していたので、両親がインフィニティ高等部を勧めてくれました。
インフィニティ高等部について調べてみたところ、起業家育成にも力を入れている学校だと知り、入学を決めました。
大久保:インフィニティ高等部での学校生活や授業についてどう感じていますか?
中山:プレゼンテーションをする機会が多かったり、海外や国内の色々な場所を旅しながら学べるのがすごく楽しいです。
入学1年目からフィリピンに9ヶ月ほど行くプログラムに参加し、英語を集中的に勉強できたり、英語でプレゼンテーションを行いました。
このような経験が他にも多くある(※)ため、インフィニティ高等部での生活はすごく充実しています。
※2022年3月現在、インフィニティ高等部では、フィリピンだけに留まらず、国内外を4週間ごとに拠点を移しながら、多様な学びを展開しています。
海外や国内の旅先が教室になる
大久保:一般的な学校と比較して、違いを感じる部分はありますか?
中山:インフィニティ高等部は毎日同じ校舎に通うのではなく、海外や国内の色々な場所が教室になります。つまり、旅をしながら勉強をしています。
通常の学校であれば、基本的には同級生としか話さないと思います。
しかし、インフィニティ高等部では、旅先で色々な経験を持ったコーディネーターさんが先生になるため、普段の学校生活では出会えないような大人達と会えます。
他の学校に通う友人と話しても、教科書を使った勉強が中心だと聞くので、この部分は大きな違いを感じています。
実際に色々な場所に足を運び、五感で感じながら学べるので、私にはインフィニティ高等部での勉強スタイルが合っていると思います。
大久保:インフィニティ高等部で印象に残っているカリキュラムなどあれば教えてください。
中山:中国の深センに行ったカリキュラムがとても印象に残っています。
深センは日本と同じようなオフィスビルが立ち並んでいますが、服装もスーツではなく、カジュアルな方が多いですし、電気自動車やシェアライドが普及していたりと、すごく衝撃的でした。
実際に海外を体感し、グローバル視点を身につける
大久保:フィリピンにも行ったと伺いましたが、発展途上国の貧富の格差など、どう感じましたか?
中山:フィリピンでは、小学生向けに授業をするプログラムに参加しました。
子どもたちと一緒にフィリピンの村を散歩したり、バレーボールをしたり、様々な形で交流をしました。
そこで気づいたことは、フィリピンの子どもたちは貧しくても笑顔で生活しているということでした。
どの子どもが貧しい家庭なのか、裕福な家庭なのかは一見しただけではわかりませんでした。
大人達は貧富の差があることで、幸福度が変わってくるのかもしれませんが、私が現地の小学生達と授業をしたり、レクレーションをしたり、スポーツをしたりする中では、どの子供達も楽しそうにしていました。
一方で日本人は、小さなことを大きな問題にして、悩んだり苦情を言ったりする人が多いように感じます。
国内外で様々な経験を積む中で、このような価値観の違いを感じることが増えました。
このように、今自分がいる環境が全てではなく、世界には色々な環境があり、色々な人たちがいると、実際に体験してみて学ぶことができています。
(取材協力:
インフィニティ国際学院 中山大貴)
(編集: 創業手帳編集部)