業界別AIの活用方法をご紹介!AIの定義やできることは?

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身近な存在になっているAI!各業界での活用方法とは


AIはあらゆる場面で活用されており、すでに身近な技術です。各業界ではAIの活用が進んでおり、AIは業務の効率化や新しい製品・サービスの創出などに貢献しています。

進化を続けるAIをビジネスで使いたいのであれば、できることとできないことを知ることが大切です。
この記事ではAIの定義や実現できることから、業界別に活用事例までご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

活用が広まっているAI(人工知能)とは?


AIとは「Artificial Intelligence」の略語で、日本語での意味は「人工知能」です。AIは研究者ごとに解釈が異なるため、はっきりとした定義がありません。
総務省の定義では「人間の思考プロセスと同じ形で動作するプログラム、あるいは人間が知的と感じる情報処理・技術」となっています。

簡単にいえば、AIは人間が持つ知能をプログラムで再現する技術、または人間の知能を超越する情報の処理をする技術を指します。
一般的には、人間の生活を補助してくれる技術という認識が強いのではないでしょうか。

AIで実現できること


生活を便利にしてくれるAIですが、現在の技術で実現できることは限られています。具体的に実現できることは以下の6つです。

画像認識

画像認証とは、画像に映る対象物を認識する技術です。活用されているものには顔認証・画像検索・異常認知などのシステムが挙げられます。

特に実用化が進んでいるのは顔認証システムです。ディープラーニングによりAIが学習し、自動的に顔の特徴を抽出できるようになりました。
現在は斜めに向く顔やサングラスを付けた状態でも顔認証ができるレベルにまで技術が発展しています。

音声認識

音声認識とは、人間が発する音声を認識してテキストに変換する技術です。
音声をもとに自動的に文字起こしをする音声入力に用いられており、スマートフォンやスマートスピーカーなど様々な機器で実用化されています。

音声に関するAI技術には、人工的な音声を作り出す音声合成もあります。主に活用されている場面は、電話の自動対応・電子機器の音声・構内放送などです。
最近は人の声と変わらないレベルにまで精度が向上しています。

自然言語処理

自然言語処理とは、人間が日々の暮らしの中で使う言語を処理する技術です。音声とテキストの両方に対応でき、音声認識も自然言語処理に関連する技術になります。
また、自然言語理解と自然言語生成の2つに分けることができます。

自然言語理解は人が話す言葉を分析し、その意味や文脈を理解して処理する技術です。
ディープラーニングによりAIは学習ができるので、過去のデータから傾向を分析し、自然言語の理解精度は高まっています。

一方、自然言語生成は適切な意味で自然言語を自動生成する技術です。言語の翻訳システム・添削サービス・チャットボットなどで活用されています。

データの分析・推論・予測

AIは、蓄積したデータを分析して最適解を推論することが可能です。推論とは、過去のデータをもとに新しいデータに対する答えを見つけることを意味します。
AIはトレーニングにより多くの知識やデータを学習できるので、人間の能力を超える推論を発揮できます。

また、過去のデータに基づいて、会社の売上げや来月の商品需要、交通の渋滞など将来の予測も可能です。
例えば、製造業なら需要を予測できれば、妥当な生産量を決めやすくなり、余剰在庫の防止に役立ちます。

AIのデータ分析や推論・予測技術は、検索エンジン・株価予想・マーケティング・生産管理など幅広く実用化されています。

機械やロボットの制御

AIはデータに基づき、機械やロボットの操作をコントロールすることが可能です。産業用・物流用ロボットや自動運転などでの分野で実用化が進んでいます。

今までのコンピュータープログラムでも機械制御の自動化はできました。
しかし、AIの場合はデータを知識として理解し、学習しながら機械制御を行っていく特徴があります。
学習を繰り返すことで精度に磨きがかかり、最適な機械制御を実現することが可能です。

異常の検知

異常検知は、与えられたデータを分析して、正常の範囲を超える部分を検知する技術です。異常検知には、変化点検知と外れ値点検の2種類に分けられます。

変化点検知は、時系列のデータから急激な変化を見つけ、早期に異常の前触れを検知する技術です。
一方、外れ値検査は、過去の統計パターンから大きく外れた値を検知できる技術のことです。

異常検知は、製造業や医療現場、セキュリティ対策など様々な場面で活用できます。例えば、製造業であれば、不良品の検知ができます。

医療現場では、病気による身体への影響を検出することが可能です。セキュリティ面では、防犯カメラから異常行動を検知し、危険を未然に防ぐことができます。

AIで実現ができないこと


AIができることは多岐にわたりますが、反対に実現ができないことや苦手なことがあることも理解しておく必要があります。
AIで実現ができない・苦手なことは、主に以下の3つです。

感情の理解・共感

AIは言葉を理解することはできますが、感情に対して理解をしたり、共感したりすることはできません。
AIが得意なのは、過去のデータに基づいて最適な反応を示すことです。相手の気持ちを汲み取る作業に関しては、当然のことながら人間のほうが得意です。

自発的なタスク実行

AIは、特定の指令を受けることでタスクを実行する仕組みとなっています。そのため、自発的にタスクを実行することはありません。

一部の大学や研究所では、自発的に考えて動く汎用型AIの研究開発が行われています。
しかし、汎用型AIはまだ実現できておらず、実装されるまでしばらく時間がかかると予想されています。

クリエイティブな作業

過去のデータに基づいて作業を行うことに特化しているAIは、画期的なアイデアを生み出すクリエイティブな作業は不得意です。
今までのデータから最適なものを作り出すことはできても、まったく新しいものを生み出す力は人間の知能よりも劣ります。

業界12種のAI活用方法


AIの導入は、業務効率化・品質の向上・コスト削減など様々なメリットが期待できます。
業界によって活用方法が異なるので、導入にあたり何ができるのかを知っておくことが大切です。それでは、12種の業界別にAIの活用事例をご紹介します。

製造業界でのAI活用方法

製造業界では、製品の需要予測にAIが活用されるケースが多くあります。
需要予測をもとに製造数や供給数を決めることができ、余剰在庫の防止や出荷・輸送時のコストの最適化が図れます。

ほかにも、製品データの分析から不良品の発生を予防したり、機械や製品の異常検知したり、ロボットによる製造作業の自動化などもAIを用いることが可能です。

小売業界でのAI活用方法

小売業界でも、需要予測にAIが用いられています。いつ、何が顧客に求められているのかを把握できるので、仕入れや従業員の配置を調整する際に役立ちます。
需要予測により、価格の上げ下げに最適なタイミングも見極めることが可能です。

AIなら顧客データから購買履歴を分析し、その人に合った商品の提案もできます。
商品の特徴や顧客の嗜好を分析して、販売効率を向上させる店内レイアウトや陳列方法を考えることにも用いられています。

物流業界でのAI活用方法

物流業では、配送ルートの最適化にAIを活用できます。
交通状況から渋滞を予想し、荷物の種類・載積量・車両の大きさなどに考慮して、スムーズに移動できる配送ルートを求めることが可能です。
配送時間の短縮と燃費削減のメリットにも期待できます。

ほかにも自動運転技術を搭載した車両の活用により、長時間運転を続けるドライバーの負担軽減を図れます。需要予想や在庫数を算出し、在庫の最適化や品切れの予防も可能です。

飲食・サービス業界でのAI活用方法

飲食業やサービス業界では、端末からメニューを選び、受注や会計をAIが行ってくれるシステムが実用化されています。
注文から会計までがスピーディーに行えて、待ち時間の短縮や従業員の負担軽減につながることがメリットです。
過去の注文履歴をAIが分析すれば、個別に最適なメニューの提案が可能です。

また、勤務スケジュールをもとに、労働管理を最適化することもできます。
AIがピーク時とそれ以外の時間帯を予測して時間帯ごとに人員を調整できれば、人件費の削減やサービスの品質向上につながります。

金融・保険業界でのAI活用方法

金融業界や保険業界では、顧客サービスの向上やリスク管理の強化を目的にAIが活用されています。
例えば、自動言語処理ができるチャットボットを活用し、顧客からの問い合わせ内容を理解し、適切な回答をリアルタイムで返答するなどです。

投資分野では、投資家ごとのスタイルやリスク許容後を分析して、投資アドバイスを提供するサービスも登場しています。
投資家の利益最大化や投資初心者の不安解消に貢献できます。

リスク管理では、AIが金融市場の動向や経済指標などの情報を解析し、事前にリスクを予測することが可能です。
また、異常検知技術を用いれば、不正アクセスや不正取引きなどを検知と防止に役立ちます。

不動産業界でのAI活用方法

不動産の価格は人的な調査に基づいて判断されるのが一般的ですが、AIを用いれば簡単に価格推定が行えます。
立地・面積・地価・周辺の物件価格などのデータに基づいて価格が算出されるので、スムーズな不動産売買や家賃価格の設定を実現できます。

AIが顧客の属性や履歴を分析すれば、顧客ニーズの把握も可能です。
ニーズに応じて最適な物件やリフォームなどの提案、有益な不動産情報を提供できれば、顧客満足度が向上します。

医療・福祉業界でのAI活用方法

医療業界では、AIによる画像認識やデータ分析・予測技術が用いられています。
例えば、画像データを学習したAIが判断に悩む医師に変わって病変箇所を検知し、診断の精度を向上させるといった具合です。

数々の医療データに基づき、病気の発症や治癒効果などの予測モデルを構築できれば、疾患の早期発見や治療の最適化を図ることも可能です。
また、健康データや患者のライフログを分析し、その人に適した生活習慣の改善・疾患予防のためのアドバイスができます。

福祉業界で活用されているAIは、介護施設の入居者と会話ができるロボットや行動のモニタリング、音声による自動記録などです。
介護の現場は多忙なため、介護士をサポートしてくれるAI技術は業務の負担軽減や効率化につながります。

教育業界でのAI活用方法

教育業界で活用されているAIで代表的なものは、学習支援システムや評価支援システムです。
学習支援システムでは生徒の学習状況を分析でき、状況に合わせた問題や学習時間を提供し、効率の良い学習を実現できます。

評価支援システムの場合、生徒の知識や理解度をAIが自動で評価してくれます。個々の評価がわかるので、個別指導や授業の質の向上に役立てることが可能です。

現在は、AIを活用したオンライン教育サービスも登場しています。
AIを用いることで利用者の学習状況の収集と分析ができ、利用者ごとに適した学習コンテンツを提供できます。

スポーツ業界でのAI活用方法

スポーツ業界では、アスリートのパフォーマンスやファンエンゲージメントの向上などを目的にAIが活用されています。
例えば、動きを測定・分析できる機器を使い、トレーニングや試合をすることで選手のパフォーマンスの評価とデータ収集が可能です。
集めたデータをAIが分析し、そこから現状の課題や改善点を把握できます。

過去の試合データを分析して、試合の勝敗や選手の動きなどを予測することもでき、そこから勝利するための戦略や課題を見つけられます。

AIを使ってファンの行動や嗜好も分析が可能です。分析結果をもとに、それぞれのファンにメリットのある情報やキャンペーンを提供でき、ファンとのつながりを強化できます。

農業でのAI活用方法

AIを使えば土壌の状態や気象データ、光量など生育状況を過去のデータから把握し、最適な栽培方法を提案することが可能です。
効果的な栽培方法を採用すれば、生産性の向上につながります。

AIによるモニタリングや異常検知機能を活用すれば、病害虫の発生予測や病気の早期発見が行え、被害の最小化や予防ができます。
ほかにもAIで収穫量を予測できれば、生産計画を考えたり、市場価格を予測したりしたい時に得た情報が役立つでしょう。

作業の一部を自動化させることも可能です。自動運転機能が付いたトラクターなら、人手不足の解消や作業時間の短縮につながります。

畜産業でのAI活用方法

AIを用いて、動物の行動や健康状態のモニタリングと異常の検知が可能です。いち早く異常を検知できれば、早期に獣医師への通知や適切な対応がとれます。
家畜の体調や栄養バランスをモニタリングして、与えるエサの量を適切に管理することも可能なので、飼育の効率化を図れます。

また、AIは家畜の遺伝情報から繁殖に最適なペアを見つけ出すことも可能です。それにより、高品質な子孫を生産できる体制を整えられます。

水産業でのAI活用方法

漁業であれば、AIが搭載された船舶やドローンを活用することで、魚群の位置を確認して効率良く漁獲ができます。
漁獲した水産物ごとに仕分けや検査にもAIは役立ち、高度な品質管理を保つことが可能です。

養殖業ではAIを使って水質や魚の状態をモニタリングすることで、健康な魚に育てられます。
エサの量を自動で調整できるAIシステムがあれば、エサの与えすぎや与え忘れを防げるだけでなく、適切なエサ管理ができると同時に養殖コストの削減も可能です。

水産物の加工では、魚の種類や大きさに応じてAIが最適な加工方法を提案できます。
加工作業もAIにより生産ラインを自動化できれば、生産性の向上や人手不足の解消につながります。

まとめ

AIは、画像認識や音声認識、機械制御など様々なことを実現でき、人々の生活やビジネスに欠かせない技術となっています。
業界ごとに活用方法は異なるため、自社ではどのような使い方ができるのか理解することが大切です。
業務効率化や生産性向上など多くのメリットがあるので、ビジネスを最大化させるためにAIの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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(編集:創業手帳編集部)

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