育休中でも副業はできる!育児休業給付金の受給条件やおすすめの在宅仕事を紹介
育休中に副業する時には育児休業給付金や社会保険に注意しよう
育休中は仕事を離れて、キャリアパスや将来について考えをめぐらせる時間が取れる時期です。
将来起業したいと考えている人にとっても、事業の構想をめぐらせたり、将来どのようになっていたいかイメージを固められたりする時間となります。
これから起業する足掛かりとして、育休中に副業をスタートする人もいるでしょう。ここでは、育休中に副業を始める時に注意してほしいことをまとめました。
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この記事の目次
育休中の副業は禁止?
育休中は、働けないと思い込んでいる人もいるでしょう。しかし、法的に育休中の副業は禁止されていません。
実際に育休中の時間を利用して仕事をしている人も多くいます。
在宅勤務やリモートワークが普及しているため、自宅からでもできる仕事は増えている点も育休中の副業への追い風となっています。
ただし、会社の規定として副業が許されていないケースもあるので注意が必要です。育休中に副業を始めるまえに、会社の就業規定を確認してください。
また、後述するとおり、就労日数や賃金額によっては育児休業給付金がもらえなくなる可能性があるため、働き方に工夫が必要です。
そもそも育児休業給付金とは?
そもそも育休は育児介護休業法で定められていて、原則子どもが1歳になるまで育児のために労働が免除される期間をいいます。
ただし、子どもが保育園に入所できないといった理由があれば1歳6ヵ月もしくは2歳まで育児休業を取得可能です。
育休期間は労働しないため、無収入となってしまいます。そのため、育休期間中は雇用保険における育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金は支給条件が定められていて、一定の収入があると育児休業給付金の支給を受けられません。
育休中に育児休業給付金をもらいながら副業をするために、支給条件や金額を知っておいてください。
育児休業給付金の支給条件
育児休業給付金の支給条件として以下の要件があります。
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- 育児休業開始日前の2年間に雇用保険への加入期間が12カ月以上あること
- 1カ月の就労日数が10日(超える場合は80時間)以内であること
- 副業の給与が育休開始前の賃金の80%未満であること
まず、育児休業給付金は雇用保険から支払われるため、雇用保険加入期間の支給要件があります。
加入期間の条件を満たしていれば正社員でないパートやアルバイトでも支給対象です。
ただし、有期雇用契約労働者の場合には、以下の条件をクリアしなければいけません。
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- 1年以上同一事業主に継続雇用されていること
- 子どもが1歳6カ月になるまでの間に雇用契約期間が満了することが明らかでないこと
育児休業給付金を受け取るには、雇用保険の加入期間に加えて就労日数と給付額をクリアしなければいけません。
育児休業給付金は子育てに専念できるように支給されるものであるため、就労日数や就労時間が多すぎると支給対象外になります。
副業中に抵触してしまう可能性があるので、仕事量をコントロールするなど工夫してください。
育児休業給付金の支給金額
育児休業給付金は、育休中の生活を支えるために重要です。しかし、育児休業給付金をいくら受け取れるのか知らない人もいるかもしれません。
ここでは、育児休業給付金の支給金額を紹介します。
育休開始から半年間
育児休業給付金は、育児休業期間によって額が変わります。育休を開始してから180日目(6ヵ月)までは、以下の計算式の額です。
休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日)×67%(元の手取り収入の約8割)
休業開始時賃金日額は、賞与を除く育児休業開始前6ヵ月間の総支給額÷180で計算します。
例えば、育児休業開始前6カ月間の総支給額が月額20万円であれば、13万4千円が育児休業給付金の金額です。
育休開始から半年経過後
育休が開始してから181日目以降は、それまでと違う計算式で計算します。
休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日)×50%で計算された金額が育児休業給付金です。
上記の例であれば、育休を開始してから181日目以降は10万円が育児休業給付金の金額です。
育休中は育児休業給付金が受け取れるから安心と思われがちですが、収入額が変わる点には注意しなければいけません。
実際にいくらになるのか調べて、生活に無理がないか事前に計算しておいてください。
育児休業中の社会保険料はどうなる?
育児休業中の税金や社会保険料の支払いはどうしようかと考えてしまうかもしれません。
育児休業給付金は税金がかからず社会保険料も引かれないため、支給された額の満額を受け取れます。
もちろん、育児休業給付金の対象期間は社会保険料を支払っていなくても継続して健康保険証を使用でき、年金の対象期間にも含まれます。
育休中の社会保険料は、会社の届け出によって被保険者本人と事業主いずれも免除を受けられます。
ただし、住民税に関しては前年の1月1日から12月31日の収入に対して課税されるため、育休中でも支払わなければいけません。
自治体によっては支払い猶予の制度があるので、住所地の市区町村に問い合わせてみてください。
副業先の雇用形態によっては出産手当金のカットも
育休中の副業の扱いは、働き方によっても変わります。
企業に雇われて働く雇用型、または雇用契約を結ばない非雇用型のいずれかによって労働基準法の適用が異なります。
雇用型で働く場合には労働基準法の適用となるため、休業中の副業は労務です。
雇用型の場合の出産手当金は、労務に服さなかった期間のみの支給となり、産後8週間(医師が支障がないと認めれば6週間)は就業禁止となります。
一方、非雇用型は労務に当たらず労働基準法の適用外です。
労務ではないことから出産手当金がカットされることもなく、産後一定期間の就業禁止もありません。
出産手当金が減額されることなく、自分の裁量で働ける非雇用型のほうが副業として働きやすくおすすめです。
育休中の副業におすすめの在宅仕事6選
育休中に副業しても良いといわれても、すぐにイメージできない人も多いかもしれません。育休中でも始めやすいおすすめの副業にはどういったものがあるのでしょうか。
ここでは、スキマ時間を有効活用して育休中でも始めやすい在宅副業を6つ厳選して紹介します。
アンケートモニター
アンケートモニターは、リサーチ会社や企業の依頼を受けてアンケートや商品モニターなどに回答して報酬を受け取る仕事です。
アンケートモニターは時間や場所の制約がなく好きな時にどこからでも回答できるため、育休中でも気軽に始められます。
アンケートモニターの報酬は現金やポイント制が多く、数分で回答できるようなものだと数円~100円程度が相場です。
訪問インタビューを受けたり、報酬が高いものを探したりすれば月に数千円~2万円程度の報酬を見込めます。
オンラインショップ
オンラインショップは、ショップ開設サービスやフリマサイトを使って商品を販売して利益を出す仕事です。
自分のペースでできるため、まとまった時間が取りにくい育児中でも始めやすい副業です。
もともと趣味でハンドメイドをしていた人であれば、雑貨やアクセサリーを自分で作って販売できます。
オンラインショップの売上げは、ピンからキリまであります。最初はまったく利益が出ずに、仕入費や材料費の赤字が出ることがあるかもしれません。
しかし、軌道に乗れば年収百万円を超えることも可能です。将来的にショップオーナーを目指す人にも適している副業です。
データ入力
データ入力は、商品データなどの情報をExcelなどのフォーマットに入力する仕事です。パソコンの入力ができれば特別なスキルも必要ありません。
新しく知識やスキルを身につける時間が取れない時にも、自分ができることでお金を稼げる副業です。
在宅のデータ入力の仕事は、多くが成果報酬制で、作業単価に応じて支払いを受けられます。
報酬額は1件ごとに設定されるタイプと文字数で設定される場合があり、早く正確に仕事を進められる人であれば、それだけ収入も高くなります。
始めたばかりのうちは時給で数百円程度しか稼げないケースもありますが、慣れてきて効率的に働けるようになれば月収で数万円稼ぐことも可能です。
プログラミング
Webアプリのプログラミングや、システム・サービスの開発を行うプログラミングの仕事も副業として人気があります。
専門的な知識やスキル、経験があれば高単価の仕事もあるので短時間で効率良くお金を稼げます。
また、育休中の時間を活用してスキル習得に励めば収入アップも可能です。
プログラミングの副業は、多くが成果報酬制で大きな仕事であれば1件で数十万円以上の仕事もあります。
フリーランスのプログラマーやデザイナーとして働こうと考えている人にも、適した副業です。
ライター・編集
ライターや編集は、コスメやグルメ、気になる情報のまとめといったWebサイトやコラム記事の執筆や編集に携わる仕事です。
ライターや編集は、納期さえ守れるのであれば時間と場所を選ばず仕事ができます。
育休中に少しずつ副業を始めたいといった場合でも、仕事量を調節しながら働くことが可能です。
インターネットで情報を調べて文章にまとめたりコンテンツの企画を立てたりする仕事は、特殊な専門的な知識がなくてもスタートできるので副業初心者にもおすすめです。
多くの場合は成果報酬制で、実績を積み上げれば継続して仕事を得られるため安定して月数万円稼ぐこともできます。
イラストレーター・デザイナー
イラストレーターやデザイナーはイラストを描いたり、デザインしたりする仕事です。
雑誌のイラストやWebサイトのイラスト、結婚式のウェルカムボードのようなイラストは様々な場面でニーズがあります。
育休中でもパソコンやタブレットがあればすぐに始められる上、趣味のイラストでお金を稼ぐことが可能です。
イラストやデザインの仕事は1件ごとに仕事を受注するほか、サイトにイラストを掲載して買ってもらうことで報酬を得る方法があります。
最初は売れずに利益がまったく出ないこともありますが、人気に火がつけば商品化といったビジネスに広げられ、大きな利益を生む可能性もあります。
育休中の副業を会社に隠したい時は?
副業を始めたいとは思っていても、会社には知られないようにしたいと考える人もいるでしょう。
副業が会社にバレてしまう原因は、働きすぎて育児休業給付金が支給停止や減額になったり、住民税の額が増えてしまったりすることです。
副業をすればその分住民税の負担が大きくなります。住民税の特別徴収は、会社が本人に代わって住民税を納税するため、住民税決定通知書が会社に届きます。
会社の給与に対して住民税の額が大きいことから、給与以外の収入を知られてしまうのです。
育休中の副業を知られたくない時には、普通徴収を選択して、住民税の支払いを自分で行うようにしてください。
副業での働き方を調整したり、税金の手続きを変更すれば副業を隠すことは可能です。副業を知られたくない時には、誰にも副業の話はしないようにしてください。
育休中に副業した時の確定申告は?
育休中や産休中に支給される手当や給付金は所得とはみなされず、確定申告も要りません。
ただし、副業をしているケースでは確定申告が必要になることがあります。
副業で得た年間の合計所得金額が48万円を超えた時には確定申告が必要なので、翌年の2月16日から3月15日の間に手続きをしてください。
合計所得金額は売上から必要経費を差し引いて計算するため、売上が48万円を超えたとしても仕入費用や材料費を差し引いて48万円以下であれば確定申告は不要です。
会社員で年末調整を受けていると確定申告する機会は少ないかもしれません。
しかし、副業の確定申告を行っていないとペナルティを受けることもあるので注意してください。
まとめ・育休中の副業は就労条件や育児休業給付金の条件に注意して始めよう
育休中は、育児休業給付金が支給され、社会保険料の免除が受けられます。
育休中に副業すること自体は認められているものの、働き方によっては、育児休業給付金や社会保険料に影響するかもしれません。
働く場合には、働く時の条件や会社の規定を確認しておくようにおすすめします。将来を見据えて、育休中にスタートできる副業を探してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)