【速報】スタートアップ5社が半年間の成果を披露!IBM BlueHub Incubation Program Demo Day(第5期)レポ
創業手帳編集部が現地の様子をお届けします
(2019/03/18更新)
“OPEN INNOVATION”(オープン・イノベーション)の合言葉のもと、IBMの最先端テクノロジーを活用し、スタートアップ企業のサポートを推進している「IBM BlueHub」。
その「IBM BlueHub」が主催するイベント「IBM BlueHub Incubation Program DemoDay(第5期)」が、3月18日に東京ミッドタウン日比谷で開催されました。
IBMと著名メンター(指導者)による半年間のブラッシュアップを経た精鋭5社が、企業や投資家の前でプレゼンテーションを行う本イベント。今回はどんなスタートアップが栄光の座を勝ち取ったのでしょうか?創業手帳編集部がその様子をお届けします。
この記事の目次
「IBM BlueHub Incubation Program DemoDay」とは
「IBM BlueHub Incubation Program DemoDay」とは、IBMと著名メンター(指導者)による半年間のブラッシュアップを経たスタートアップが、企業や投資家の前でプレゼンテーションを行うイベントです。
過去にこのイベントがきっかけで出資・提携が多く生まれており、自身のサービスをアピールしたいスタートアップ、新たなサービスとのマッチングを目指す企業、まだ世に知られていない新たな可能性を見出したい投資家にとっても、注目のイベントとなっています。
スペシャルセッション
最初にご紹介するのは、スタートアップ業界に精通しているゲストを招待してのスペシャルセッション。
ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト、Yahoo!アカデミア学長の伊藤 羊一氏、株式会社ソラコム 代表取締役社長の玉川 憲氏、日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員の池田 和明氏の3名が登壇しました。
技術の進化をどのようにして取り込むべき?
スペシャルセッションのテーマは「-テクノロジーで日本をアップデートする-」。
司会の方から最初に出たのは、「テクノロジーは世界を変えるのか?技術の進化をどのようにして取り込んでいくべきでしょうか?」という質問。これに対して、3人はそれぞれこのように回答していました。
伊藤:「実は、Yahoo!では、PCとスマホでトップページのタイムラインに出るものが違います。ユーザーが検索したデータやショッピングデータなどを元に機械学習を行い、最適化する用意しています。
例えば、ネットショッピングを利用したことがない方は多いかもしれませんが、ネット検索をしたことがない人は少ないと思います。そういう方のために、ショッピングのページに行った際にその人が興味ありそうな商品を表示するようにしたことで、クリック率が従来と比べて5倍に跳ね上がったという実績もあります。このようなテクノロジーは今までの生活を変えていると言えるでしょう。
ですが、まだまだ改善していかなければいけないポイントがたくさんあります。その点はこれからの課題ですね。」
玉川:「近年は家電や自動車など、スマートフォン・タブレット以外でインターネットに繋がっているものが増えています。テクノロジーは私たちの生活を変えている、と言えるでしょう。
ですが、変わっている現状の中でも、「こういう風に世の中を変えたい!」という熱い情熱を持っている人はまだまだ少ないな、感じています。
一定のポテンシャルを持っている人がさらに実力を伸ばせるような仕組みづくりが、技術の進化を取り込むために必要だと思いますね。」
池田:「テクノロジーが進化することで、これからの世界がいい方向に向かうかもしれないし、悪い方向に向かってしまうかもしれない。私たちは企業のコンサルを行なっていますが、スタートアップの思いを汲んで、いい方向に進めるようにすることが仕事だと思っています。具体的には、会社のビジョンをしっかり整えてあげることですね。これを我々がしっかり取り組んでいきたいと思います。」
大企業×スタートアップの協業のリアル
続いての質問は、「大企業・スタートアップの協業のリアル」。これに対して、3人はそれぞれこのように回答していました。
伊藤:「大企業とスタートアップが協業するには、3つのポイントがあると思います。
1つ目は「人」です。熱い思いを持ったリーダーがビジョンを実現させるために進んでいくプロジェクトにする必要があるでしょう。
2つ目は「大企業とスタートアップは混ざり合わない」ということを理解すること。混ざり合ってしまうと、お互い会社の文化が馴染まず、うまく事業を進めていくことができません。
3つ目は、「対話」です。お互いがお互いを認めてコミュニケーションをとっていくことが、上手くいくために必要なことだと思います。」
玉川:「私たちも大企業と協業しており、順調に進んでいます。その要因は、伊藤さんもおっしゃった通り、「人」だと思います。
それぞれが「何をやりたいのか」を理解することが必要です。大企業とスタートアップ、どちらの事情も理解できる人が橋渡しの役目を担ってくれると、順調にいくと思います。」
池田:「大企業の視点から見ると、社会が豊かになるためには大企業がイノベーションを起こしていくことが必要だと考えています。ですが、大企業だけではなかなか難しいのが現状です。
スタートアップと協業することで、大企業が学ぶことができれば、そんな状況が変わるかと思います。」
今回のファイナリスト
本イベントでファイナリストとなったスタートアップ5社をご紹介します。
pickupon株式会社
ユーザーとの通話状況を分析し、製品の要望などを自動でピックアップするサービス「pickupon(ピクポン)」を運営しているスタートアップ。
お客様からの電話をとって対応するだけで、電話で話した内容を自動入力してくれます。さらに、会話での重要ポイントをピックアップしたり、お客様の音声やから感情性格を分析できたりします。
すでに中小企業でけでなく大企業でも導入が進んでいる、とのことです。
株式会社チュートリアル
ウェブサイトにアクセスすれば利用できるSaaS型RPA(※1)「Robotic Crowd」を開発しているスタートアップです。
このサービスは操作性を重視しており、一般エンジニアでの簡単に自動化を取り入れられるような構成になっています。
「RPA」はこれから広がっていく市場と言われており、2025年にはなんと10兆円の市場になると想定されているそうです。
※1
RPA:「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略語で、事務系のデスクワークを、AI(人工知能)などの技術を備えたソフトウェアのロボットが代行・自動化すること。
株式会社IMPAKT
必要な時に必要なだけ、対面やスカイプ等で専門家や経験者に相談できるサービス「IMPAKT」を運営するスタートアップです。
特に海外展開を目指している企業に向けてサービスを展開しています。
代表者自身がJICA(※2)で途上国に派遣された際に、「母国語だと言われていた言語をほとんど使用している人がいない」、「停電がほとんどない、と行っていたのに1日20時間以上停電する」といったギャップを現地で経験し、それをもとにこのサービスを作り上げたそうです。
※2
JICA:発展登場国への技術協力、資金協力を主な業務とする外務省所轄の独立行政法人「国際協力機構」のこと。
発展途上国が求めている欲求をくみ取って、日本の企業、団体に働きかけることによって、より適切な援助が行なえるようにするコーディネーターとしての事業が主である。
歯っぴー株式会社
口腔ケアシステムを開発しているスタートアップです。
歯周病の検査は「プローブ」という道具で行うのですが、この検査がとても痛いそう。それを解消するために、スマートフォンで口腔内の写真を撮れば検査ができるようになっています。
「福岡県での実証実験の開始など、メンターのサポート受けた半年間の間で、大きな動きがあった」と代表が語っていました。
株式会社グレースイメージング
アスリートのための疲労評価サービス「Grace imaging」を運営しているスタートアップです。
同社が独自で開発したシステムで、「疲れやすい筋肉」や「疲れづらい筋肉」なのかを見極めることができるなど、直感的に理解できるシステムが特長です。
実際にJ1に所属しているサッカーチームへのヒアリングも行なっており、高い評価を得ているとのこと。
先日開催されたSlush Tokyoでのピッチコンテストでもファイナリストに選ばれており、注目を集めています。
いよいよ結果発表!最優秀賞はこのスタートアップ!
最優秀賞は、株式会社グレースイメージングでした!
「今までは研究者として日々働いていましたが、お世話になっている教授から「せっかくいい研究をしているんだから、社会に還元できるようにしなさい」と言われ、一念発起して起業しました。このような賞をいただくことができ、大変光栄です!」
今後の活躍に期待です!
「IBM BlueHub Incubation Program DemoDay(第5期)」概要
【日 時】 2019年3月18日(月)15:00〜
【場 所】 東京ミッドタウン日比谷 6階 BASE Q(〒100-0006 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号)
(編集:創業手帳編集部)