法人のインターネット回線の選び方は?法人回線の特徴と選び方ガイド

創業手帳

法人のインターネット回線は自社のニーズを明確にして選ぼう


インターネット回線は、ビジネスでは欠かせないインフラのひとつです。
しかし、法人のインターネット回線を申し込んだことがなければ、どうやって選べばいいのか頭を抱えてしまうかもしれません。

インターネット回線を申し込むには、自社でどのようにインターネットを使うのかを考えてみてください。インターネット回線の選び方を紹介します。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

法人のインターネット回線の特徴


多くの人が仕事で毎日インターネットを使っています。
法人を設立する場合には、オフィスや店舗のインフラとしてインターネットについても考えておく必要があります。

個人ではインターネットを申し込んでいても、法人での申し込みは初めての人もいるかもしれません。
ここでは法人のインターネット回線の特徴についてまとめました。

インターネット回線の法人契約と個人契約の違い

法人のインターネット回線と個人のインターネット回線は変わらないと考えている人もいるかもしれません。
しかし、法人向けのインターネット回線は契約などが異なります。どういった点が異なるのかまとめました。

固定IPアドレスを取得できる

IPアドレスは、インターネット上でいう住所のことです。
インターネットで接続された機器から特定の相手にデータやファイルを送付する時に、IPアドレスが使われます。

個人向けのインターネット回線は接続するたびにIPアドレスが変わりますが、固定IPアドレスになればいつ接続しても変わりません
自社のサーバーでWebサイトを公開したり、社内パソコンにリモートアクセスするには固定IPアドレスが必要です。

法人向けのインターネット回線は固定のIPアドレスを複数取得できるため、Webサイトの運営や情報共有に役立ちます。
法人向けのインターネット回線を選ぶ時には、固定IPアドレスを取得できるかどうかを確認してください。

セキュリティサービスが用意されている

VPNは、固定IPアドレスをつないで第三者がアクセスできないようするセキュリティサービスにより、本店と支社、テレワークの人の通信を安全にしてくれます。

VPNを使うことで、出張先や外出先からも安全な環境でネットワーク接続が可能です。
テレワークで働く人材が多い企業やセキュリティを高めたいと考える企業は、VPNの利用を検討してください。

法人名義で領収書が発行される

法人向けのインターネット回線契約は、法人名義で請求書や領収書が発行されます。法人名義で契約すれば、法人名義で請求書や領収書発行が可能です。
契約したい回線が個人向けプランしかない場合にも問い合わせると法人名義で契約できる可能性があります。
経費として計上することも考えて、法人名義での契約をおすすめします。

混雑の影響を受けにくい専用回線

プロバイダにより、法人向けのインターネット回線は混雑の影響を受けにくい専用回線を用意していることがあります。
帯域保証型サービスや占有型サービスと呼ばれるものです。

法人向けのインターネット回線は、ビジネスで使用するため安定した通信が求められます
動画配信サービスや音楽配信サービスを利用する個人も増加し、通信混雑の懸念もあるため、混雑の影響を受けにくい回線で安定した業務を遂行してください。

携帯電話でセット割が適用される場合がある

インターネット回線は、単体での契約のみではなく、社用携帯電話とセット契約できることがあります。
セット割として割引されることもあるので、インターネット回線を選ぶ時にはセット割引の有無も意識するようにしてください。
セット割の中には加入プランなどの適用条件があるので、条件を満たすかどうか、想定している使い方に対応できるかどうかの確認も重要です。

法人向けのインターネット回線のデメリット

法人向けのインターネット回線を使うことには多くのメリットがあります。ただし、契約する前にはデメリットの確認も必要です。
どのようなデメリットがあるのかまとめました。

契約時の提出書類が多い

個人がインターネット回線を契約する場合、本人確認書類として免許証や健康保険証の提示が求められます。
一方で、法人がインターネット回線を契約する場合には、法人確認書類を提出しなければいけません

各々の業者により求められる書類は違います。一般的には、登記簿謄本(又は履歴事項全部証明書)か法人の印鑑証明書が必要です。

どちらも法務局で入手できる書類ですが、請求や手続きに手間がかかってしまいます。
取り寄せにかかる時間もあるため、利用を急ぐ場合は必要書類として用意するべきものをあらかじめ確認してください。

月額料金が高くなりがち

法人として契約すると、インターネット回線の月額料金以外の追加費用が発生するケースがあります。ビジネスアカウント管理料やオプション料金などです。

法人契約は、個人契約よりも広いサービスを利用できる一方で、発生する費用も大きくなる場合があります
固定IPアドレスの取得や保守対応サービス付帯といったオプションがあるため、申し込む前に料金を問い合わせて、月額がいくらになるかシミュレーションしておくようにしてください。

光回線とプロバイダの違い


インターネット回線を利用するためには、光回線とプロバイダのそれぞれと契約が必要です。
光回線事業者とプロバイダは混同しやすく、どこが違うのかわかりにくいかもしれません。

光回線事業者は、通信設備を提供し運営する立場です。光ケーブルや回線終端装置などの機器は光回線事業者が提供します。
プロバイダ事業者は回線をインターネットに接続する役割で、メールアドレス発行やセキュリティサービスの提供などを行います。
昔は光回線事業者とプロバイダ事業者をそれぞれ契約する必要があるため、面倒に感じる人も多いかもしれません。

最近は、セットプランとして光回線とプロバイダをまとめて契約するのが主流です。
ひとつの契約にまとめられるため、支払いやプランもシンプルでわかりやすくなりました。

法人向けのインターネット回線にかかる費用の種類


インターネット回線にかかる費用には、初期費用と月額料金があります。それぞれの費用の種類を説明します。

初期費用

法人向けインターネット回線の初期費用は、工事費や契約事務手数料、固定IPアドレス代などです。
工事費用は、2~4万円程度が相場ですが、すでに建物に回線があって設備をそのまま使える場合には割安で済みます。
固定IPアドレスの初期費用は、業者によりばらつきはありますが、数千円程度です。

月額料金

月額料金は、毎月発生し続ける料金で月額4,000~6,000円程度が多いです。ネットワークの規模により、数万円から数十万円にのぼるケースもあります。

小規模であれば個人プランよりも少し高い程度の価格で、規模が大きくなると料金が上がる傾向です。
固定IPアドレスを使用する場合には、月額料金に加えて固定IPの料金がかかります。
固定IPアドレスの費用は、ひとつのIPアドレスにつき1,000円から10,000円程度が一般的です。
毎月発生する費用であるため、申し込む前に料金を確認してください。

法人向けインターネット回線の選び方


法人向けのインターネット回線には様々な種類があります。選ぶべき基準を紹介します。

業務に十分な通信速度があるかどうか

インターネット回線は、業務がスムーズに進められる通信速度があるものを選んでください。
プロバイダにより通信速度に違いがあるため、よく比較することが重要です。

インターネットの通信速度は「bps」という単位であらわされます。上りはアップロード、下りはダウンロードの早さです。
最大通信速度が下り最大1Gbpsのプランが主流で、この速度があれば業務に支障はありません。
仕事の内容により大規模なデータのやり取りが予想される場合には、より速度が出るものを選んでください。

帯域保証型かどうか

インターネット回線業者が示している通信速度は、大きくベストエフォート型と帯域保証型があります。
ベストエフォート型は理論上の最大速度を示すのに対して、帯域保証型のプランでは下限の速度を示します。

帯域保証型で示された速度が十分であれば、回線が混雑しても一定の通信速度で利用可能です。
通信速度がどのように表示されているのか確認しておいてください。

提供エリアが十分か

インターネット回線を申し込む時には、利用する場所が回線の対応エリアかどうか確認します。
提供エリアはインターネット回線業者の公式ホームページで調べるか、問い合わせ窓口を利用してください。

月額料金が予算内におさまっているか

インターネット回線の月額料金は、固定費として毎月支払う費用です。そのため、月額料金が予算内におさまっているかどうか確認が必要です。
ただし、経費を抑えようとして、速度やセキュリティに問題があるものはおすすめできません。
安全で快適にインターネットが使えることを優先して、最低限のスペックのものを選んでください。

業者によりスマートフォンとの同時契約によるセット割引や、無線LANルーターのプレゼントといった様々なキャンペーンが実施されています。
申し込む前にどのようなキャンペーンが行われているかも確認しましょう。

固定IPアドレスを使えるか

法人のインターネット回線は、セキュリティや使い勝手を考えて固定IPアドレスの利用をおすすめします。
固定IPアドレスが使えるかどうか、プランはいくらになるかをチェックしてください。

回線のタイプが適しているか

インターネット回線には、大きく有線タイプと無線タイプがあります。有線タイプは、建物にケーブルを引き込んでインターネット通信を行う回線です。
環境に左右されず安定して利用できる点がメリットですが、開設工事が必要です。

無線タイプでは、電波を使ってインターネットの送受信を行います。工事が不要なものの周辺環境に影響されやすい点がデメリットです。
自社での使い方に合わせてニーズに合うタイプを選んでください

サポート体制があるかどうか

会社でインターネットが使えなくなれば、業務に重大な影響を与えます。
そのため、法人向けのインターネット回線業者の多くが充実したサポート体制を提供しています。
電話やチャットで24時間対応可能であれば、トラブルが生じた時にも安心です。

法人向けインターネット回線おすすめ3社


法人向けのインターネット回線の選び方を踏まえて、おすすめのインターネット回線3社を紹介します。
法人向けプランではなくても、法人が利用しやすいプランもあるのでチェックしてください。

auひかり

auひかりは、法人プランがないので個人プランを法人名義で利用します。KDDI独自回線を利用できるため、回線が速い点が魅力です。
ただし、5Gbps・10Gbpsの高速通信は、関東近辺の一部エリアしか利用できないので注意してください。

auひかりは、auスマートフォンとセットで割引になるauスマートバリューを利用できます。
auひかり電話と一緒に契約するとお得になるため、利用を検討してみてください。

ドコモ光

ドコモ光は、法人向けプランではなく通常プランを法人名義で契約して利用します。個人契約でも担当がつくなど、サポートが充実しています。

ドコモ光はドコモスマートフォンとのセット割があるほか、速度が1Gbpsのプランと10Gbpsの高速プランが用意されている点が特徴です。
オンライン会議をスムーズにしたい場合や重いデータをやり取りする時にも困りません。

NURO BIz

NURO BIzは、NURO光が提供している法人向けプランです。スタンダードなプランでも、通信速度が2Gbpsと高速です。
固定IPが付属していて、10Mbps以上の帯域確保型回線のサービスである点が特徴となります。

NUROBIzでは、インターネット回線以外にもクラウドの導入やAWSの活用、セキュリティ強化と多くのサービスを提供しています。
ITやAIの活用を推進したい場合にも問い合わせてみてください。

まとめ

法人向けのインターネット回線は、業種や規模によりニーズが異なります。
社内で何台のパソコンでインターネットを使うか、リモートワークの有無なども考えてインターネット回線を申し込みましょう。

自社でサイトやサービスを提供するのであれば固定IPアドレスが必要となり、リモートワークが多ければVPN導入の検討も必要です。
自社の事業や利用の仕方に合わせて、最適のインターネット回線を探してください。

創業手帳(冊子版)は、個人事業主から大手企業まで幅広く参考にできる記事を多数掲載しています。また創業手帳と一緒にビジネスに役立つツール類の資料請求も可能。全て無料でお配りしていますので、是非活用ください。

関連記事
社内を活性化!リモートワークで良いコミュニケーションを続けるためには?
仕事用パソコンの選び方決定版!失敗したくない人に知ってほしいポイントまとめ

(編集:創業手帳編集部)

創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す
今すぐ
申し込む
【無料】