一人で会社を作るには?必要な手続き・費用・注意点を初心者向けに解説
不安が解消できる一人会社設立のガイド

「一人で会社を作りたいけど、何から始めればいいかわからない」「社員なしでも本当に会社は作れる?」とやりたいことはあっても不安で一歩踏み出せない人も多いのではないでしょうか。
手続きやお金の工面が懸念事項になっている人もいるかもしれません。ここでは一人会社を設立するための手順や注意点をまとめています。
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この記事の目次
一人で会社を作ることはできる?

会社を作ろうとしても、「でも誰と?」という疑問が頭をよぎる人は多いでしょう。
ここでは、そもそも一人で会社を作ることはできるのかどうかという点から解説していきます。
一人でも会社設立は可能
一人であっても会社設立は可能です。現行の会社法では、発起人1名・取締役1名のみで株式会社を設立できます。つまり、発起人と取締役、株主を兼任する形です。
例えば、個人事業主として事業を始めて、運営が安定してから会社を設立するようなケースもあります。
会社設立といえば、オフィスを借りて従業員を雇用するといったイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、実際には一人で自宅を職場にして会社を設立することも可能です。
一人会社が増えている理由
2006年5月から施行された新会社法により、資本金1円から一人でも株式会社を設立できるようになりました。
さらに、クラウド会計ソフトや顧客管理システム、AI技術の発展などにより事務作業や分析業務を効率化できるようになったことも、一人会社を作りやすくなった理由です。
法人化により社会的信用や税務上の選択肢が広がります。
さまざまな理由でフリーランスや副業から法人成りする人が増え、個人事業から一人会社へ移行するケースが拡大しているのです。
一人で作れる会社の種類と選び方

一人で会社を作れるといっても、会社には種類があり、どれを選ぶかによって経営にも影響があります。
現在新設できる会社形態は、株式会社と合同会社、合資会社と合名会社の4種です。ここではその中から、数が多い合同会社と株式会社を説明します。
株式会社と合同会社の違い
会社を設立する場合、多くは株式会社か合同会社が選択されます。
株式会社は設立費用が高い一方で社会的信用が高く、金融機関や大手企業との取引で有利とされています。
一方で、合同会社は設立費用や運営コストが低く、意思決定も迅速な点が魅力で小規模事業者向きの形態です。
株式会社は毎年の決算公告義務があり、定款の認証が必要な点も合同会社と違います。
ただし、合同会社は株式発行ができないので資金調達手段が限定されることに注意が必要です。
それぞれ会社法上の機関設計や違いがあり、どちらを選ぶかによって経営や資金調達に影響を受けます。違いを理解したうえでどちらにするか選択するようにしてください。
合同会社と株式会社の違いについて詳しくはこちらも参考にしてください。
【2025年最新版】合同会社と株式会社の違いを徹底比較!メリット・デメリットや選び方をわかりやすく解説 – 起業の「わからない」を「できる」に
一人で始めるならBtoB・BtoCどちらがおすすめ?
会社形態の違いではありませんが、BtoBかBtoCを選ぶかも起業時に決めておく内容です。
以下ではそれぞれの違いを項目別に紹介しています。
| 比較項目 | BtoB(法人向け) | BtoC(個人向け) |
|---|---|---|
| 収入の安定性 | 継続契約や取引単価が高い傾向があり、一人会社でも安定収入を確保しやすい。 | 単発取引が中心となりやすく、売上が集客状況に左右されやすい。 |
| 業務負荷 | 取引先数が限定されるため、一人でも業務量をコントロールしやすい。 | 集客やカスタマー対応の工数が増えやすく、一人運営では負荷が高くなる可能性がある。 |
| 法人化との相性 | 法人格を求められる取引が多く、一人会社との相性が良い。 | 個人事業でも対応可能な業種が多く、法人化の必然性は低い。 |
| 向いているケース | 専門スキルを活かし、継続取引を前提に事業を行う場合に向いている。 | 商品販売や集客力を強みに、回転率で売上を作る事業に向いている。 |
BtoBは継続契約や取引単価が高い傾向があり、一人会社でも安定収入を確保しやすい特徴があります。
契約期間や業務範囲が事前に定まるので、月次の売上見通しを立てやすい点も一人運営に向いている理由です。
BtoCは集客やカスタマー対応の工数が増えやすく、一人運営では業務負荷が高くなる可能性があります。
販売促進や問い合わせ対応を継続的に行う必要があり、事業以外の作業時間が増えやすい点に注意が必要です。
一方で、商品やサービスを標準化できる場合は、仕組み化により一人でも売上拡大を目指しやすい点はBtoCの強みです。
一人で会社を作るまでの流れ【5ステップ】

一人で会社を作るなんて、手続きが多くて無理と感じるかもしれません。しかし、正しい手順で進めれば一人でも会社を作れます。
ここでは5ステップに分けて会社を作るための基本的な流れをまとめました。
①会社の基本事項を決める
会社を設立するためには、商号、事業目的、本店所在地、資本金を事前に決めなければいけません。
事業目的は登記事項なので、将来行う可能性のある事業も含めてできるだけ具体的に記載するように求められます。
また、本店所在地は自宅でも認められていますが、自治体の用途制限や賃貸契約内容では、事業での利用を制限されている可能性があります。
マンションの規約なども確認して問題がないかチェックしてください。
②定款を作成する
定款は会社の基本ルールを定める重要書類であり、会社法第26条に基づき作成が義務付けられています。
株式会社の場合には、作成した定款を公証役場で認証してもらわなければいけません。
紙の定款もありますが、電子ファイル化した電子定款を利用すれば、収入印紙4万円が不要です。
定款内容に不備があると登記申請が却下されてしまいます。法務局の記載例を参照して作成するようにおすすめします。
内容に不安がある場合には、税理士や公認会計士といった専門家の力を借りることも検討してください。
③資本金を払い込む
資本金は、発起人名義の個人口座に払い込みます。まだ法務局への登記が完了していない段階では、会社名義の銀行口座を作ることができません。
そのため、まずは個人の口座を代わりに使用する仕組みです。登記申請で使用するため、入金が確認できる通帳のコピー等を取り、払込証明書を作成します。
法律上は資本金1円から設立できますが、実務上は事業規模に応じた資本金の設定が望ましいです。これから始める事業によって必要な資本金を調べておくようにしてください。
④法務局で設立登記をする
設立登記は本店所在地を管轄する法務局で行い、申請日が会社設立日とするのが一般的です。
自分で登記申請することも可能ですが、書類不備による補正が多く、修正の手間がかかります。
手続きに不安がある場合には、専門家に依頼した方がスムーズに手続きを進められます。
登録免許税は株式会社で最低15万円~、合同会社で6万円~で資本金額によって異なります。
⑤設立後の届出を行う
会社設立後は、法人設立の日以後2か月以内に税務署へ法人設立届出書を提出します。
青色申告承認申請書は設立から3か月以内または最初の事業年度終了日の前日までが期限です 。
さらに年金事務所では健康保険・厚生年金の新規適用届を提出します。都道府県税事務所や市区町村にも法人設立届出書の提出が必要です。
書類が多く大変に感じるかもしれませんが、e-Taxを利用できるものもあります。オンラインの提出も活用して効率的に処理しましょう。
一人会社設立にかかる費用はいくら?

会社を設立するときに気になるのは設立までにかかる費用面です。どの程度かかるのかを把握して、事前に準備しておきましょう。
最低限かかる設立費用
| 費用 | 株式会社 | 合同会社 |
| 登録免許税 | 15万円~(資本金額による) | 6万円(資本金額による) |
| 定款認証費用 | 1.5~5万円(資本金額と条件による) | 0円(定款認証不要) |
| 印紙代 | 0円(電子定款)/4万円(紙の定款) | 0円(定款認証不要) |
| 最低額合計 | 16.5万円 | 6万円 |
株式会社の設立費用は登録免許税15万円と定款認証費用等を含め最低約17万円がかかります。
一方で、合同会社の設立費用は登録免許税6万円のみで、定款認証が不要な点が特徴です。
費用面だけで比較すると、合同会社のほうが安く済むため魅力的に感じるかもしれません。
しかし、株式会社には、信用されやすく取引先や人材の確保に有利であることや株式発行での資金調達が可能であるメリットがあります。
コストだけでなく、設立後の運営まで考えてどちらにするか選択してください。
その他に見落としがちな費用
上記では、手続きで必ず支払う費用についてまとめました。しかし、それ以外にも資本金なども準備が必要です。
もちろん、資本金そのものは費用ではありません。しかし、実務上は運転資金を用意する必要があります。
また、会社印鑑(4千円程度~数万円)や会計ソフト導入費用など、設立後すぐに発生する支出についても考えておきましょう。
加えて、司法書士へ会社設立の手続きを依頼する場合には、報酬は数万円から10万円程度が相場です。
会社を設立したら、運営費用が足りなくなったといった事態に陥らないように余裕がある資金計画を立ててください。
一人で会社を作るメリット

法人化の手続きは手間も時間もかかるため、一人だけだと負担が集中してしまいます。一人で会社を作ることにはどういったメリットがあるのでしょうか。
個人事業主より信頼性が上がる
個人事業主から会社を設立することにより、信頼されやすくなることがあります。
法人格が与えられ、登記内容も公開されるため透明性が上がり、取引先や金融機関からの信頼も得やすくなるのです。
融資や案件受注で信用される材料となり、事業拡大や成長に貢献してくれます。
判断が速く事業を前に進めやすい
一人会社は、自分だけで事業の意思決定が可能なので判断が早い点が魅力です。意見の衝突で事業が停滞してしまうような事態を避けられます。
さらに、役員報酬や役員賞与も法の範囲であれば、自由に自分で決められます。
初期コストを抑えられる
一人会社では、従業員を雇わないので給与や社会保険料、採用コストがかかりません。オフィスも、自宅やバーチャルオフィスを利用すれば、固定費を最小限にできます。
法人になれば、役員報酬を会社の経費にでき、計上できる経費の幅が広がるので、節税手段も増えます。
税金や保険料負担をコントロールしやすくコスト削減しやすくなるでしょう。
働き方を自由に設計できる
一人会社は、自分が求める働き方を実現しやすい形態です。社内での会議やミーティングも発生せず、労働時間も自分で自由に設計できます。
自分の判断で労働量をコントロールできるので、趣味や家庭に集中したい人にも適しています。
経営スキルを実践的に習得できる
一人会社では、営業から会計、実務や総務まで自分だけで担います。人手が足りない不便はあるものの、経営に必要なスキルを実践で習得できるチャンスです。
将来的に従業員を雇う場合でも、網羅的な経営スキルが役に立ちます。
一人で会社を作るデメリット・注意点

一人で会社を作ることは多くのメリットがあるものの、デメリットも少なくありません。デメリットと注意点を紹介するので、事前に把握しておきましょう。
社会保険の負担が重くなる
個人事業主から会社を設立することで、社会保険の加入が義務付けられます。
法人は代表一人でも社会保険加入が義務であり、保険料負担が個人事業より増加する可能性があります。
健康保険と厚生年金の保険料は会社と個人で折半ですが、代表者一人の場合は実質的に全体を自分で負担することになります。
役員報酬額によって保険料が決まるため、報酬設計は保険料への影響を考えて慎重に検討してください。
赤字でも税金がかかる
個人事業主は、利益がでなければ課税されません。しかし、法人の場合は制度上赤字であっても法人住民税の均等割が毎年課税されます。
均等割は最低でも年間7万円程度が必要で、自治体条例に基づき徴収されます。利益が出なくても固定的な税負担が発生する点は注意してください。
事務作業が難しくなる
法人は決算書作成や申告書類が複雑で、個人事業主であったときより事務負担が増加します。
事務の内容も会計や税務の専門知識が求められるため、本業に取り組みながら事務作業を進めるのは難しいかもしれません。
実務では、税理士や会計ソフトを使用して効率化するのが一般的です。
「節税だけ目的」の法人化は危険
節税効果は利益水準や事業内容によって異なり、必ずしも有利になるとは限りません。形式的な法人化は税務調査で否認されるリスクがあります。
節税を目的にペーパーカンパニーを設立した場合、脱税とみなされ重加算税が課される可能性もあります。ペーパーカンパニーかどうかは事業実態に基づいて判断されます。
一人で会社を作るのに向いている人・向いていない人

一人でも会社を作ることはできますが、向き不向きがあります。自分の性質を踏まえて向いているかどうか考えてみましょう。
向いている人の特徴
毎月一定の売上が見込める継続収入を持っている人は、法人になっても運営が安定して継続しやすいでしょう。
BtoB取引が中心で、法人格を求められるような業種は一人会社との相性が良く、個人事業主でいるよりも仕事の幅が広がることがあります。
会社に関わる業務を一人で行うので、数字管理や事務作業を自ら把握できる人にとっては運営リスクを抑えられる点は、大きなメリットです。
現在、個人事業主であっても将来的に事業拡大を想定している人は、早期の法人化が制度上有利になる場合があります。収入が安定してきたら法人化を考えてみてください。
慎重に考えたほうがいい人
売上が不安定な場合、法人化による固定費負担が経営リスクとして重くなる可能性があります。
特に、事務作業が極端に苦手な人は事務仕事が増えることで外注に頼ることになるでしょう。その結果、コストが増加して利益が圧迫されてしまうのです。
まだ開業直後で売上見込みが立っていない場合には、個人事業主として実績を積み重ねるべき時期かもしれません。
よくある質問(FAQ)
・Q:一人会社でも銀行口座は作れる?
A:作れるが、金融機関は本人確認や事業実態確認を厳格に行うため、事業内容説明資料が重要。
・Q:自宅を本店にしてもいい?
A:可能であるが、賃貸借契約の使用制限や自治体の用途地域を事前に確認する必要がある。
・Q:会社を立ち上げたあと個人事業はどうなる?
A:廃業届を提出しない限り個人事業は残り、法人と個人が並存する状態となる。
・Q:会社を途中でやめたくなったら?
A:解散登記と清算手続きを行う必要があり、法務局での登記が会社法で義務付けられている。
まとめ|一人で会社を作るには「準備」と「判断」が重要
会社設立の手続き自体は一人でも可能であり、法制度上の制約はありません。重要なのは現在の収益状況や事業内容が法人化に適しているかの判断です。
一人で会社を作ることは可能ですが、「今が法人化のタイミングかどうか」を見極めることが何より重要です。
不安がある場合は、早い段階で専門家に相談し、数字に基づいた判断をすることが成功への近道になります。
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(編集:創業手帳編集部)





