【2026年1月】行政書士法改正!主な改正点&企業が準備すべきことを解説

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行政書士法改正は2026年1月から施行


2026年1月に施行される行政書士法は、行政書士だけでなく、企業や個人事業主にとっても無関係ではありません。
電子申請の拡大や手続きのデジタル化が進む中で、行政書士に依頼する業務の範囲やサポート体制が変わるかもしれません。
そのため、日常的に許認可申請や契約関連の書類作成を行う事業者ほど、その影響を受けやすくなるでしょう。

本記事では、改正のポイントをわかりやすく整理するとともに、改正前に企業側で準備しておきたいポイントについても解説します。
法改正後に慌てないためには、今のうちに自社の手続きフローや行政書士との付き合い方を見直しておくことが重要です。

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【結論】行政書士法改正2026はこう変わる!

行政書士法改正の施行日

行政書士法の改正は2026年1月1日から順次施行されます。

今回の改正は、行政手続きのデジタル化や行政書士の役割明確化を目的としており、企業が委託する業務にも影響が出る可能性があります。

行政書士法改正の主な変更ポイント5つ(一覧表)

改正ポイント 概要(企業向けに要約)
① 使命の明文化 行政書士の役割が法律上明確化され、責任範囲がわかりやすくなる。
② 職責の新設・デジタル対応 電子申請・DXへの対応が明文化され、行政書類作成の効率化が期待できる。
③ 特定行政書士の業務範囲の拡大 不服申立て等で行える業務が拡大し、企業が一気通貫で委託しやすくなる。
④ 業務制限規定の明確化 「行政書士しかできない業務」が明確になり、無資格代行のリスクが増加。
⑤ 両罰規定の強化 行政書士だけでなく依頼した企業側も罰則対象になるケースが明確化。

詳しい内容は後ほど説明します。

企業に特に影響するポイントはこの3つ

行政書士法の改正内容のうち、企業が特に押さえるべき点は以下の3つです。

  • ① 特定行政書士の業務範囲が広がる
    → 企業が依頼できる手続きが増え、行政対応の外注範囲が拡大。
  • ② デジタル対応の努力義務
    → 電子申請や書類のデジタル化が加速し、企業側の書類準備方法も変わる可能性。
  • ③ 無資格代行に対する罰則強化(両罰規定)
    → 企業が「資格を確認せず依頼する」ことで罰則の対象になるリスクがある。

特に、補助金申請・許認可手続き・就労ビザ業務など、行政書士に委託する場面が多い企業は、今回の改正の影響を受ける可能性があるのです。

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行政書士法が改正される目的・背景


行政書士法が改正される背景に、無資格業者による申請代行が挙げられます。
現行の行政書士法には、他人の依頼を受けて官公庁に提出する書類を作成し、報酬を得られることが明記されています。
この業務は基本的に行政書士の資格を有する人、または行政書士法人しか対応できません。

しかし、近年は無資格者であるにも関わらず、手数料・コンサルティング料などと名目を変え、報酬を受け取っている事例が相次いでいます。
特に新型コロナの感染拡大以降、大規模な補助金制度の公募が続いたことから、補助金の申請を支援するというビジネスが増えました。
こうした事例を阻止し、行政書士の業務が不当に侵害されないように行政書士法の改正が行われます。

行政書士法改正点①使命の明文化


行政書士法の第1条で、改正前は「国民の権利利益の実施に資することを目的とする」と明記されていましたが、改正後は「目的」の部分が「使命」に置き換えられます。
弁護士法や税理士法、司法書士法では、第1条の文言に「使命」という文言が使われていましたが、行政書士法には使われていませんでした。

使命の明文化による効果

目的ではなく「使命」と明文化することで、行政書士という資格の社会的な意義の明示に効果が期待できます。
行政書士はこれまでも個人や中小企業を中心に、官公署への申請や届け出、契約書の作成をサポートしてきました。
しかし、社会的認知度はほかの士業に比べて低く、具体的にどのような役割を持っているのか知らない人が多いのも事実です。
そのため、行政書士の使命を明文化することにより、制度や資格への認知度が向上することが期待されています。

また、使命の明文化によって行政書士が社会的に重要な役割を担っていることが伝わるようになり、行政書士自身が使命感をもって活動することもできます。

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行政書士法改正点②職責の新設・デジタル対応


行政書士法では、使命の明文化に加え、新たに「職責」が設けられました。また、ほかの士業に先駆けて「デジタル社会への対応」が努力義務として明記されます。

職責の新設

職責とは、職務上生じる責任を指します。行政書士法の改正にともない、第1条に「職責」が追記されました。

行政書士の職責は「常に品位を保持し、業務に関する法令および実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」としています。
行政書士は、依頼を受けて官公署に提出する書類の作成や提出手続きの代理などの役割を担います。
行政に提出する書類に不備があったり、法令に基づいていなかったりすると書類の作り直し・再提出が必要となるため、法令・実務に精通し、公正かつ誠実に取り組まなければなりません。

こうした職責はほかの弁護士法や司法書士法でも明記されており、特に司法書士法にある職責と近いものです。

デジタル対応の努力義務

行政書士法の職責には、ほかの士業にはない「デジタル対応の努力義務」に関する内容も追記されています。
デジタル対応の努力義務が追加された背景には、行政手続きの急速なデジタル化が挙げられます。

例えばマイナポータル連携を活用することで、生命保険料控除証明書や住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書、寄付金控除に関する証明書などのデータを受け取れるようになりました。
確定申告もe-Taxから行えるようになり、デジタル対応にともない書類の電子化や押印が不要になっています。

こうした行政手続きのデジタル化は事務作業の効率化にもつながりますが、その一方で苦手とする人がいるのも事実です。
行政書士はデジタルに対して苦手意識を持つ人にも寄り添い、デジタル対応をサポートしていく必要があります。
そのため、今回の行政書士法の改正にともない、デジタル対応の努力義務が追加されたと考えられます。

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行政書士法改正点③特定行政書士の業務範囲拡大


特定行政書士とは、通常の行政書士業務に加え、許認可などに関する行政庁への不服申し立て手続きの代行が可能な行政書士のことです。
2026年の行政書士法改正にともない、特定行政書士の業務範囲も拡大することが決まっています。

特定行政書士のこれまでの業務範囲

特定行政書士は、これまで行政不服審査法に基づく不服申し立てを行うことが可能でした。
不服申し立ての手続きには審査請求や再調査請求、再審査請求などが挙げられます。
例えば行政書士がクライアントからの依頼で営業許可の申請代行を行ったところ、要件を満たしているにも関わらず不許可となってしまった場合、普通の行政書士は諦めるか弁護士などに業務を引き継ぐことしかできません。
特定行政書士なら納得できない不許可処分について、自分で不服申し立ての手続きを取ることができます。

ただし、いくら特定行政書士だったとしても、不服申し立て手続きを行えるのは自分で作成した申請書類のみです。
つまり、クライアント本人が申請して不許可となった場合、特定行政書士に相談しても関与できませんでした。

改正後できるようになること

行政書士法の改正により、特定行政書士が申請に関わっていない場合でも、不服申し立て手続きを対応できるようになりました。
これにより、従来は弁護士などしか対応できなかった審査請求なども、特定行政書士が対応できるようになります。
申請から不服申し立てまで一貫した対応が可能になります。
クライアント側にとっても安心できる要素であり、また行政書士側にとっても特定行政書士の資格を取得するメリットが大きくなったといえるでしょう。

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行政書士法改正点④業務制限規定の明確化


これまで補助金や許認可申請に必要な書類作成の代行業務についてグレーとされていた部分が、今回の行政書士法改正にともない業務制限規定が明確になり、行政書士の独占業務にあたることが明文化されました。

行政書士の独占業務

現行の行政書士法では第19条(業務の制限)について、「行政書士または行政書士法人でない者は、業として第1条の2に規定する業務を行うことができない」と記載していました。
第1条の2には、行政書士は他人の依頼で報酬を受け取り、官公署に提出する書類やその他権利義務または事実を証明する書類を作成することが業務であると定められています。

しかし、実際には書類作成にかかる費用を0円に設定しておき、そのほかの手数料やコンサルタント料で書類作成分の費用も回収できる価格設定にされているケースが多くありました。
そこで今回の改正により「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第1条の3に規定する業務を行うことができない」と変更されています。
この文章が追加されたことで、手数料やコンサルタント料などの名目であっても行政書士でない事業者は書類作成ができなくなります。

助言・支援なら行政書士資格は不要

書類作成は行政書士の独占業務にあたりますが、クライアントに対して書類作成に関する助言や支援までであれば、行政書士資格は不要です。
総務省は2022年にグレーゾーン解消制度における回答として、「相談の範疇に限り行政書士の独占業務とされる書類作成にはあたらない」と示しています。

なお、一般的な改善案や経験則によるもの、公募要領などに基づいた改善案を提示するものは「相談」に該当するとしています。
例えば「この項目はもう少し明確に記載したほうが良い」「この部分は論点を絞った内容にするとわかりやすい」などのアドバイスであれば、行政書士資格は必要ありません。

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行政書士法改正点⑤両罰規定の整備・強化


行政書士法の改正により、両罰規定が整備・強化されます。
両罰規定とは、法人に所属する役員・従業員が違法行為を行った場合、違法行為をした個人だけでなく法人も罰せられる規程です。
行政書士法にも両罰規定がありましたが、これまでは調査記録簿の記載・記録・保存などで違反行為をした場合のみ両罰規定が設けられていました。

両罰規定の対象となる違反行為

2026年の行政書士法改正によって、両罰規定の対象となる違反行為は以下のとおりです。

  • 行政書士または行政書士法人でない者が、行政書士の独占業務を行っていた
  • 行政書士または行政書士法人でない者が、「行政書士」と名乗っていた
  • 帳簿の備付や2年間の保存義務を怠っていた
  • 立ち入り検査に協力しなかった、妨げるような行為をした など

これらの違反行為はすべて両罰規定となり、個人だけでなく所属する企業・行政書士法人も罰則を受けることになります。

両罰規定によるペナルティ

両罰規定によるペナルティは、違反行為の内容によって異なります。
例えば行政書士の業務制限を違反した場合、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されます。
また、行政書士の資格を持たないのに行政書士を名乗ったり、行政書士と紛らわしい名称で活動していたりする場合も、100万円以下の罰金刑です。
両罰規定になるため、法人側も大きなペナルティとなることから、今後はさらなるコンプライアンスの強化が図られていくでしょう。

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2026年の行政書士法改正前に企業が準備すべきこと


2026年の行政書士法改正で、行政書士の申請代行手続きなどは独占業務となり、両罰規定なども設けられたことで行政書士法人などのコンプライアンス強化につながると考えられます。
そのような中で、行政書士に依頼する立場である企業はどのような準備を進めておくと良いのでしょう。
ここで、2026年の行政書士法改正前に企業が準備すべきことについて解説します。

委託している行政書士の資格を改めて確認する

すでに行政書士に申請手続きなどの業務を委託している場合、本当に行政書士の資格を持っているか確認する必要があります。
行政書士の資格を持っていない業者が申請手続きや書類作成代行を手がけている可能性も否定できません。
そのため、2026年の改正前に委託先が行政書士登録を行っているかどうか、契約内容は適切か、透明性の高い報酬体系か、などを改めて確認してみてください。

信頼できる行政書士を選ぶ

これから行政書士への依頼を検討している場合は、信頼できる行政書士を選ぶことが大切です。
行政書士登録を確認することはもちろん、依頼しようと考えている業務について実績はあるのか、手続きの内容や費用について明確に説明してくれるか、依頼者にとって不利になり得る情報も丁寧に教えてくれるか、などが重要となります。

また、行政書士への依頼時に料金を重視するケースは多いです。
しかし、相場より安すぎる価格設定の場合、一つひとつの案件に割く時間が少なく、クオリティが下がってしまう可能性が高いです。
行政書士を選ぶのに費用面を見ることも重要ですが、安さだけで選ぶと後悔するリスクが高まるので注意してください。

登録支援機関の代行業務にも注意する

登録支援機関とは、特定技能外国人を雇用する際に企業に代わって外国人の支援を行う期間を指します。
登録支援機関は主に外国人に対して生活支援を行うのが中心であり、行政手続きの書類作成や代行手続きなどは本来できません。
そのため、今後登録支援機関に相談して特定技能外国人を雇用したい場合、書類作成の代行業務などが含まれていたら、行政書士が在籍しているか確認する必要があります。

行政書士との顧問契約を検討する

「顧問契約」というと弁護士や税理士をイメージするものであり、行政書士は申請手続きが必要になったタイミングで依頼するケースがほとんどでした。
しかし、今回の行政書士法改正にともない、行政書士との顧問契約も検討することで、リスク管理につながると考えられます。

例えば申請手続きなど専門外のことに時間を費やし、何とか作成した書類に不備が見つかり再提出となるケースもあるかもしれません。
この場合、初めから信頼できる行政書士に任せていれば時間もかからず、再提出のリスクや負担も軽減されます。
問題が起きてから対処するよりも、問題が起きる前に「予防」することが重要です。こうしたリスク管理の面から、行政書士との顧問契約も検討してみると良いでしょう。

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まとめ・行政書士法の改正を機に行政書士との連携を図ろう

2026年1月から行政書士法は、今回紹介した内容に改正されます。
この改正によってこれまでグレーゾーンとされていた行政書士以外の書類作成代行業務などもすべて違反となることが明確になりました。
行政書士側にとっては非常に大きな改正となりますが、企業側にとってもこれまで委託してきた行政書士が本当に資格を有しているのかなどを見直す転換点となります。
リスク管理の観点から顧問行政書士も検討しつつ、信頼できる行政書士と連携を図り、正しく申請手続きなどが行えるようにしてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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