株主総会は書面決議でもできる?意外と知らない 株主総会の簡略化

創業手帳

招集・決議の省略で、スムーズな株主総会開催を

(2017/06/05更新)

この時期、株主総会を開かなければ!と憂鬱になっている方も多いのではないでしょうか。日程を決めて、会場を押さえ、人員を配置し、株主に通知を出して…と全部やっていたら、本業に差し支えてしまう…。でも、株主総会を開かなかったことによるトラブルは避けたいですよね。

株主総会はきちんと開きたいけれど、コストと手間をかけたくない。そんなときは、株主総会を簡略化してしまいましょう!今回は、株主総会の3つの簡略、「招集手続きの省略」「決議の省略(書面決議)」「報告の省略」について解説していきます。

また、株主総会の前には決算があります。決算報告書の作成と、確定申告をしなくてはならないのですが、どちらも時間がかかる面倒な作業です。100万部を突破した冊子版の創業手帳(無料)では、これらの業務を効率化する会計ソフトについて詳しく解説しています。また、創業期から、税理士などの専門家と契約することのメリットについても詳しく解説しています。

株主総会が簡略化できるケースとできないケース

株主全員の同意をとれる場合、招集手続きを省略し、株主総会自体も書面決議とすることで株主総会を簡略化できます。
そのため家族経営や親会社が株式を100%保有する完全子会社など株主が限定されていて同意がとりやすい場合には簡略化を検討できます。

株主総会を簡略化するメリットは?

株主総会の簡略化は、招集手続きを省略すれば、郵送費のコスト削減になりますし、決議の省略(書面決議)を採用すれば、経営者や取締役の株主総会にかける時間を大幅に省略できるなど、多くのメリットがあります。
もちろん株主総会を簡略化した場合でも、株主総会開催とみなされます。

1.招集手続きの省略

会社法では、公開会社の場合は2週間前、非公開会社の場合は1週間前までに株主に対して招集通知を送るとされています。
しかし非公開会社で取締役会非設置会社の場合は定款に定めることで1週間を下回る期間に短縮することができます。(相対的記載事項)

緊急を要するような場合に招集期間を短縮しておけば素早く意思決定できます。
通知方法も取締役会設置会社の場合、招集通知は書面または電磁的方法でしなければならないのが原則ですが、非公開会社で取締役会非設置会社の場合は口頭や電話などで通知することが可能となります。

さらに株主全員の同意がある場合には、招集手続き自体を省略することができます。
郵送コスト、通知から株主総会開催までの時間的コストを削減できますので迅速な意思決定に有効です。
※書面投票・電子投票制度がある場合は招集手続きを省略できません。

定款の作成は、専門的な知識を必要とします。本などを読み、起業家だけで作成することも不可能ではありませんが、もし瑕疵があった場合を考えると、専門家に依頼するほうがよいでしょう。創業手帳では、無料会員向けに、専門家を紹介しています。サービスを受けるにあたって、料金は一切かかりません。

2.決議の省略(書面決議)

会社法319条1項の定めにより、取締役または株主の提案に対して議決権を行使できる株主全員が、書面または電磁的記録によって提案内容に同意の意思表示をした場合は、株主総会を開かずに提案を可決する旨の株主総会決議があったとすることができます。

決議を省略したら、議事録はどうするの?

決議を省略した場合(書面決議)でも、以下4項目を記入した議事録を作らなければなりません。

  • 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容

  • 前号1の事項の提案をした者の氏名又は名称

  • 株主総会の決議があったものとみなされた日

  • 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

また、書面決議の同意の書面または電磁的記録の内容も株主総会の決議があったとみなされた日から10年間、本店に据え置く必要があります。

3.報告の省略

取締役が株主全員に対して、株主総会に報告しなければならない事項を通知した場合で、当該事項について株主総会で報告しないことについて株主全員が書面または電磁的記録で同意した場合は、当該事項が株主総会に報告があったとみなすことができます。

報告を省略したら、議事録はどうする?

報告を省略した場合も、以下3項目を記入した議事録を作らなければなりません。

  • 株主総会への報告があったものとみなされた事項の内容

  • 株主総会への報告があったものとみなされた日

  • 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
報告の省略のメリットは?

株式会社では、毎事業年度終了後に定時株主総会で事業報告の内容を報告することが必要とされていますが、決議の省略(書面決議)とあわせれば、定時株主総会の開催も省略することが可能になります。

まとめ

「株主総会はこれまでやっていなかった」や、「特に経営に影響があった経験がない」などと株主総会そのものを開催しない会社もあるようです。
しかし株主総会を軽視することで問題が表面化するのは多くの場合、会社と株主の間で実際に問題が発生したその時です。場合によっては会社の存続が危ぶまれるほど大きな損害となる可能性もあります。

株主総会は会社と株主双方の意思確認の場でもあります。株主総会開催の事実が確認できないことは株主を無視した経営をしているととられるリスクにつながります。株主総会の決議や報告を省略した場合でも、きちんと株主総会を行っていたとみなされます。トラブル防止の観点からも制度を理解してしっかりと義務を果たしましょう。

他にも、起業にはきっちりと把握しないといけないリスクを負ってしまうものがいくつかあります。冊子版の創業手帳では、専門家・起業家の膨大な意見から、起業初心者が躓きやすい事柄をピックアップして、ノウハウとして解説しています。税務関係の手続きなど、忘れてしまってはいけないものもありますので、ぜひ起業の際は、創業手帳を参考にしてみてください。

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(執筆:創業手帳編集部)

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