起業後に良い人材を採用するコツ『DODA』木下学編集長 インタビュー

創業手帳
※このインタビュー内容は2014年10月に行われた取材時点のものです。

スタートアップ企業が知っておきたい昨今の転職事情&より良い人材を採用するコツ

いくら良い商品や良いサービスを持っていても、良い人材がいなければ会社は絶対に成長しない。人材こそが企業を発展させる鍵であり、少人数で経営を行うスタートアップであればなおさらのこと。そこで今回は、株式会社インテリジェンスが運営する転職情報サイト『DODA』で編集長を務める木下学氏に、昨今の転職事情や良い人材の見極め方、人材採用のコツについてお話を伺った。
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木下 学(きのした・まなぶ)
慶應義塾大学商学部卒業後、新卒にてインテリジェンス入社。事務派遣領域(現:派遣ディビジョン)で法人営業に従事し、マネジャー、紹介予定派遣事業推進責任者の経験を経て、2007年に人事部門の新卒・中途採用責任者となる。2009年より、人材紹介サービスを手掛けるキャリアディビジョンにて関西地区の責任者、および部門人事の責任者に従事し、2012年10月にDODA編集長に就任。現在に至る。

ーまず最初に、ここ数年の転職市場の動向について教えていただけますか?

木下:求人はリーマンショックでかなり減り、そこからじわりじわりと増えていき、安倍政権に代わった頃から右肩上がりの角度が急になってきてちょうど一年が経つという状況です。企業はこれまで数々の苦い経験をしてきたので最初は求人を出すことに抵抗がありましたが、徐々に積極的になってきました。

求職者も、求人の伸びと同じように一気に増加しています。ただ最近は、「どうしても転職したい」という方ばかりでなく、「いいところがあれば転職したい」という求職者が増えてきたので、求職者の伸びに比べて実際の転職者数は緩やかな右肩上がり。今は求人も求職者も多いので転職市場が活況なのは確かですが、企業の採用難易度は非常に高くなっています。

ー他に特徴はありますか?

木下:昔に比べて年齢層が広がりましたよね。以前は20代後半で転職を考えるのが主流だったのが、最近はどんどん年次が高まってきています。また、リーマンショックの頃に社会人になった世代は一度も好況を知らないまま働いてきましたが、今ならもっといい会社にいけるかもしれないということで動く人も出てきた。

もう1つの特徴としては、女性が増えたことが挙げられます。一生働ける仕事を探しているキャリア志向の20代女性の登録は非常に多い。企業も女性を積極採用しているので、それも相まって活気づいています。

一定の展望が見えたときに我々のサービスを活用して欲しい

ースタートアップ企業がDODAのような人材採用のサービスを利用する場合、どのように活用すると効果的でしょうか。

木下:DODAには、人材紹介と転職サイトという2つの採用サービスがあります。人材紹介はキャリアコンサルタントの“目利き”で、企業のニーズに合った人材をご紹介しています。採用時点でのマッチングだけなら機械でもできますが、我々は5年、10年先を見据えたサービスを提供しています。

一方、公開求人を行っている転職サイトは、求人という機能のほかに、理念や人材像を通じて企業広告の側面もあると考えていただきたいですね。採用したい人材要件に応じてうまく活用していただきたい。特に、一定の展望が見えたときや、マイルストーンを描き始めたときにいいんじゃないでしょうか。DODAに登録している個人ユーザーの中には、いずれ独立したいけれどまずは経営を肌で感じられる環境で働きたい、経営力を早く身に付けたい、という意欲を持った方たちが結構いらっしゃるんですよ。ですから、中小ベンチャーの事業企画や事業開発系、社長直下のポジションといった求人は人気があります。
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スキルマッチングではなくベクトル合わせが重要

ー採用する側にはどういった人材を勧めますか?

木下:我々は転職する人が目指したい方向性と、会社が目指している方向性のベクトル合わせが非常に大事だと思っています。もしくは社長が求めている人物像、社長が描く未来とのマッチングですよね。2年後、3年後を見据えた時に、お互いのニーズが合致している人材なのかということがポイントになってきます。それは決してスキルマッチングではないんですね。ですからDODAでは、その時に身に付けているスキルだけなく、物の考え方やキャリアの志向性、さらには仕事に限らない価値観まで見て求人をご紹介するように心掛けています。

社長自身の言葉で成し得たいことや事業をやる意味を発信する

ーでは、創業したばかりの会社が良い人材を採用するコツはありますか?

木下:社長自身が、成し得たいことやその事業をやり始めた意義などを、自らの言葉でどれだけ発信しているか、ということが重要になってくると思います。結局、働く側がそこに共感できるかどうかなんですよ。経営の根幹で働きたいと思っている人は、オファーされる年収額やポジションで「この会社に入りたい」と思うのではなく、自分に向けられたメッセージを基に「この社長と働きたいか」を判断するのです。

それから、あるスペリャリストだけが欲しいという見せ方よりも、二人三脚で共に肩を組んで歩ける人を探している、というメッセージにした方が良い人材に出会う可能性が高いですね。あとは皆さん実践されているかと思いますが、いろいろな方と会ってネットワークを広げること。面接ではご縁がなかったかもしれないけれど、その後ビジネスでつながるということは往々にしてありますので、そういったことはすごく大事かなと思いますね。

社長自身が人事そのものである

ー最後に、創業手帳を読んでいる起業家の方に向けてひと言お願いします。

木下:これまで多くの経営者の方にお会いしてきましたが、やはり社長自身が人事そのものであると思います。どんなに良い商品や良いサービスがあっても、組織は人で構成されている。優れた人材に出会って、その人に入社を決断してもらうということは、事業そのものと同じくらいパワーを使っていかないとできないんですよね。今はSNSやクラウドソーシングなどで採用やアウトソースが可能ですので、それらも活用して一長一短をご判断の上で、本当に価値ある人材を必要とする時にはぜひDODAにもご相談ください。
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