デジタルで経営はどう変わる?起業家、個人事業主必見!デジタルツール導入企業に聞いてみました

(2018/09/28更新)

突然ですが、読者の皆様は経営にデジタルツールを導入していますか?

会計業務や予約管理など、あらゆるタイプが展開されているデジタルツール。業務の効率化や作業時間の短縮に有効で、多くの企業が導入しています。特に、作業に充てられる時間や人材が限られているスタートアップにとっては、相性の良いサービスと言えるでしょう。また行政でも、中小企業やベンチャー企業などを対象に、こうしたデジタルツールの導入にかかる費用の一部を補助する「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業:ポータルサイトはこちら)」も用意されています。

そこで今回は、実際にこのIT導入補助金も活用しながらツールを導入した企業に導入後の変化について、お話を伺いました。
併せて、この夏動き出した経済産業省の取り組み「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」についてもご紹介します。

「デジタルツール」を導入した企業の声

リンクウィズ株式会社 代表取締役 吹野 豪 氏


—御社の事業について教えてください。

吹野:さも人が作業しているかのように、自分の状況と作業対象物のカタチを認識して作業を行うスマートロボティクスソフトウェアを開発・販売しています。職人が微細な違いを見極めて進めるような作業を、自動で判断・作業してくれるロボットです。

—どのようなデジタルツールを導入されましたか?

吹野クラウド会計システム「freee」を導入しました。

—サービス導入前後で、どのような変化がありましたか?

吹野:以前は、一般的な会計事務所さんが提供している会計サービスを使用していました。
伝票を作って、会計士さんがそれを確認しにきて、月次決算を作っていくというものだったので、会計作業に多くの時間を割いていました。
サービス導入後は、会計士さんとオンラインで繋がったので、疑問点などのやり取りがすぐ出来る様になり、とても業務の効率も上がりました。

また、システムのUI(※1)がとても優秀なので、今までは任せっきりになっていた経理業務も自分でやってみるという習慣が付き、経理的な知識を向上させることができました。経営者として、とても良いインプットの時間になりました。この経験がなければエンジニア出身の私が数字的な感覚を掴むのは難しかったと思います。

従来の会計サービスから移行した際の業務効率ですが、体感的には3倍ほど業務スピードが速くなったと感じています。
ちなみに、各月の会計を確定していく「月次締め」という作業をするのですが、「freee」では随時リアルタイムに試算表が出力できるので、とても助かっています。取引先からも経理がしっかりしているというお声を頂いているのも嬉しいですね。

※1
UI:ユーザーインターフェイス(User Interface)の略で、サービスを利用するユーザーの目に触れる且つ使用する部分のこと。

リンクウィズ株式会社の外観

—サービス導入によって削減できた時間はどう使っていますか?

吹野:会計に関しての知識を得るための学習の時間に充てました。今まで会社経営自体をしたことがなかったので、この時間がとても大切でした。

現在は「サポートチーム」という経理、総務、管理を担うチームを作っていますが、経理作業がスピーディーに完了できているので、その他社員の働き方や会社としての福利厚生など社員のために時間を使うことができていると思います。

—ベンチャー企業・中小企業にとって、貴社のようにITツールを導入することはどのような意義があると思いますか。

吹野:スタートアップにとって重要なのは、「時間」と「スピード感」だと思います。
会計業務など、いわゆる「バックオフィス」と呼ばれる業務が忙しくて本業の開発ができない、営業開拓ができない、となってしまっては本末転倒です。創業期は自身の会社の強みを具現化して業務を進めることが最重要課題となります。それ以外に時間を使っている余裕はないのです。時間を作り出す為には、極限まで仕事をシンプルに分解して、自分でできることと外部にアウトソースできることを判断しなければなりません。

便利なツールは使い倒して、自身の武器を磨き、戦うフィールドを選び、そして市場競争に競合企業に勝っていく。リンクウィズの挑戦も始まったばかりですが、皆さんと一緒に世界を変える会社を目指して頑張っていこうと思います。

ロイヤル胎内パークホテル 神田 慎吾 氏


—御社の事業について教えてください。

神田:新潟県胎内市にあるホテル「ロイヤル胎内パークホテル」を運営しています。
「造るなら本物」という理念のもと、「5つ星の贅沢」をコンセプトに、大理石をふんだんに使用したロビーや、洋館を思わせるステンドグラス、質の高い家具・調度品など、非日常の世界をつくりだしています。

—どのようなデジタルツールを導入されましたか?

神田WEB集客の効率化とラインナップ充実を期待できるプラン一括管理ツール「かんざしクラウド」と、複数サイトに画像を一括アップロードできる一括管理ツール「シャシーン」を導入しました。

—ツール導入前後で、どのような変化がありましたか?

神田:もともと、WEB 集客の向上が課題でした。一般業務に時間をとられ8つある各予約サイトのプラン登録や写真管理になかなか時間を作ることが出来ていない状況が続いていました。
ツール導入後は、WEBサイトに関する作業時間が大幅に短縮されました。作業時間は120分から15分程度と、1/8程度に短縮されたと思います。

—サービス導入によって削減できた時間を、どう活用していますか。

神田WEB業務の時間短縮によって、今まで手が回らなかったSNSやWEBページの更新など、新たなWEB業務に時間を割くことができました。また、接客業務へのゆとりが生まれ、本来のおもてなしの心がより実践できていると感じています。

他には、インバウンド対応として外国語研修や、茶道や華道などおもてなし研修にも社員を参加させることができるようになりました。

ロイヤル胎内パークホテル外観

—起業家に向けてメッセージをお願いします。

神田:人数が少ない施設や企業こそ、最新のITツールを最大限活用することは必須であると思います。事業の成功は社員の協力が必須です。そのために環境を整えることは、経営者の義務です。人間にしかできないこと以外は、どんどんITツールを活用して、大成功されることを祈念しています。一緒に頑張りましょう!

株式会社ばさら厨房 代表 横川 尚行 氏


画像は株式会社ばさら厨房ホームページより引用

—御社が展開している飲食店の概要やコンセプトについて教えてください。

横川弊社は東京都の府中市・調布市を中心に展開している飲食店です。
魚介類をメインとした海鮮居酒屋とオイスターバーを経営しています。
今から12年ほど前に海鮮居酒屋を始めまして、オイスターバーは4年前から始めています。

—どのようなデジタルツールを導入されましたか?

横川レストラン・飲食店向け予約管理システム「トレタ」です。
iPadで使用するアプリなのですが、予約を入れていくだけでそのまま予約台帳にできたり、予約情報から自動的に顧客台帳を作ったりすることができます。

また、データの集計・分析や無料でのウェブ予約ページを作成できるなど、飲食店での業務の中でも手間がかかる業務を効率化できるツールですね。

—サービス導入前は、どのように日々の業務をこなしていましたか?

横川:予約管理などを紙ベースで行なっていたので、紙がどんどん増えていき確認がとても大変でした。また、紙での管理はベテランのスタッフと新任のスタッフで管理のクオリティに差があったので、それも課題でしたね。

—サービス導入後は、どのような変化がありましたか?

横川記録の検索がとても楽になりました。例えば、「○月○日に予約している方の詳細を調べたい」となった場合、今までは膨大な紙の資料の中から探していました。ですが今では、キーワードを入れるだけで詳細を調べることができるようになったので、その点がとても楽ですね。

また、ベテランでも新任でも、誰が管理していても同じクオリティになったので、その点も魅力です。

—起業家に向けてメッセージをお願いします。

横川:実は飲食業界は、「テクノロジーを使った効率化」をあまりやってこなかった業界でした。

これから飲食店を始めようと思っている方は、ぜひこのようなツールを上手に使っていってほしいですね。

「デジタルツール」の波は行政にも!

経済産業省のホームページより引用

ご紹介したように、いま、デジタルツールの活用で、中小企業やベンチャー企業の業務や経営が次々と変わっていますが、このようにデジタルで新しい価値を生み出すイノベーション「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」は、政府でも始まっています。

デジタルで行政サービスを圧倒的に便利に・簡単にするとともに、データに基づいた政策立案を組織的に推進するべく、大きく動き出したのが経産省です。

経産省の「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」とは

では、経産省のDXで、私たちにはどんな良いことが起こるのでしょうか?

行政手続きを圧倒的に簡単に・便利に

経済産業省のホームページより引用

行政手続きのデジタル化はこれまでも進められてきましたが、多くの場合は「紙からPC画面になっただけ」で、情報の整理、入力、確認など作業の本質は変化なし。私たち行政サービスの利用者にとって大きな負担でした。経産省のDXでは、この手続きが簡単・便利に変わっていきます。

例えば、異なる手続きで同じ情報を何度も入力する必要があったものが一度の入力で良くなる「ワンスオンリー」や、関連する手続きが一括で終わる「ワンストップ」。また、申請時の添付漏れや記載ミス等はシステムで自動的にわかり、窓口での面倒なやりとりが無くなるなど、申請者フレンドリーなサービスが目指されます。

政策のデジタルマーケティングへ

経済産業省のホームページより引用

また、行政手続きを通じて得られるデータを政策立案のヒントとしてもっと活用しながら、政策をプッシュ型で届けるなどより便利なサービスが目指されています。このために、経産省では、手続き自体をデジタル化して、ここから得られるデータを活用できる基盤づくりに取り掛かります。

詳しくはこちらから!

このような経産省の取組みの一つが、今回ご紹介した企業も活用している、「IT導入補助金(ポータルサイトはこちら)」の申請プロセスのデジタル化です。では具体的にどのような点が変わったのでしょうか?

詳しい内容は、下のボタンからご覧ください!

※『経済産業省のデジタル・トランスフォーメーション特設Webサイト』に遷移します

(監修:経済産業省
(編集:創業手帳編集部)

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