ChatGPT最新モデルGPT-4.5とは?能力や特徴、活用方法のアイデアを紹介

創業手帳

GPT-4.5とGPT4-oとの違いや、無料で使えるのかを徹底解説します。

急激なペースで開発が進められている生成AI業界に、また新たな事件が起きました。ChatGPTの最新モデル、GPT-4.5がついにリリースされたのです。今回はどのような能力の向上があったのでしょうか。本記事で詳しくご紹介します。ビジネスへの活用法・アイデアとあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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ChatGPTのGPT-4.5とは?

GPT-4.5は、従来のGPT-4やGPT-4oと比較して、規模と性能が飛躍的に向上したOpenAIが発表した最新のAIモデルです。このモデルはChatGPTプラットフォームを通じて利用することができます。

特に注目すべきは「教師なし学習のスケールアップ」に重点を置いた開発アプローチです。これにより、AIは膨大なデータから自律的にパターンや関係性を見出し、より高度な知識体系と創造的な洞察を提供できるようになりました。

初期段階のテスト結果では、GPT-4.5との対話がより自然で流暢になり、ユーザーの真の意図を把握する能力が顕著に向上していることが確認されています。さらに、進化した「EQ(感情知能)」により、実用的な問題解決から文章作成、プログラミング支援に至るまで、幅広い分野でより優れたパフォーマンスを発揮することが実証されています。

ChatGPTのGPT-4.5の料金。無料でも使える?いつから使える?

最初、ChatGPT Proプラン加入者およびAPI経由の利用者にリリースされましたが、日本時間25年3月6日にはPlusプランユーザーにも「GPT-4.5(研究プレビュー)」がリリースされました。

ただし、一般の無料ユーザー向けのリリース予定については、現時点で公式な発表はされていません。

ChatGPTのGPT-4.5の特徴

ChatGPTのGPT-4.5の特徴についてご紹介します。

対話能力の向上と高いEQ

GPT-4.5の最大の進化の1つには、感情を理解する力(情緒的知性:EQ)と、より自然な対話ができる能力の向上が挙げられます。
OpenAIが発表したデータによると、人間が評価するテストで、GPT-4.5は次のような場面でGPT-4oよりも優れた応答を示しました。

    日常的な会話では57.0%のケースで優位
    専門的な質問では63.2%のケースで優位
    創造性や感情理解が求められる場面では56.8%のケースで優位

この進化により、GPT-4.5は相手の意図をより深く理解できるようになり、言葉に表れていない微妙なニュアンスや相手が何を期待しているのかを読み取る能力が向上しました。例えば、感情が絡む質問にも、より共感的で前向きな回答ができるようになっています。
また、この自然な対話能力の向上は、単に「人間らしさ」や「温かみのあるやり取り」を生み出すだけではありません。
文章作成やデザインといったクリエイティブな作業においても、大きな強みとなります。ユーザーの意図や好みをより正確に把握することで、より適切で洗練された提案ができるようになりました。

教師なし学習の能力向上

GPT-4.5の最大の進化の2つ目には、「教師なし学習」の大幅な強化です。
OpenAIによると、AIの能力向上には2つの重要な要素があります。

    1、教師なし学習:データから自律的にパターンを学ぶ力
    2、リーズニング(推論):論理的に考え、結論を導き出す力

これらはAIの知能を支える2つの軸となっており、GPT-4.5では特に教師なし学習の精度が飛躍的に向上しました。

教師なし学習の進化とは?

従来のAIは、人間が与えた指示に基づいて学習することが多かったのですが、教師なし学習では、AIが自らデータのパターンを見つけ出し、理解することができます。GPT-4.5では、この仕組みが大幅に改善されました。

    膨大なコンピュータリソースとデータセットを活用
    アーキテクチャの改良で効率的な学習を実現
    最適化プロセスの革新により、より高度な「世界モデル」を構築

この進化により、GPT-4.5は、直感的な理解力と広範な知識を活用し、より速く、より正確な回答を生成できるようになりました。
一方、OpenAIのo1やo3-miniといったモデルでは、「思考の連鎖」を通じた『推論能力(リーズニング)』の強化に重点を置いています。
GPT-4.5はこれとは異なるアプローチを採用し、大量のデータから得た知識をもとに、幅広い分野で素早く高品質な応答を提供できるようになっています。

回答精度の向上とハルシネーションの削減

OpenAIが実施したベンチマークテストによると、シンプルな質問に対する正答率を測る「SimpleQAベンチマーク」では、

・GPT-4oの正答率:38.2%
・GPT-4.5の正答率:62.5%

と、大きな改善が見られました。
また、AIの重要な課題である「ハルシネーション」(実在しない情報の生成や事実誤認)も大きく減少し、誤った情報を出す割合が大幅に低下しています。

・GPT-4oのハルシネーション率:61.8%
・GPT-4.5のハルシネーション率:37.1%

このハルシネーション削減の主な要因は、教師なし学習の拡大によって、モデルが保持する知識の範囲と深さが向上したことにあります。さらに、新たな監督手法を従来の教師ありファインチューニング(SFT)や人間のフィードバックを活用した強化学習(RLHF)と効果的に組み合わせることで、不確実な情報に対する慎重なアプローチを習得しています。

これらの改善により、GPT-4.5は自身の知識の限界を適切に認識し、確信が持てない情報については「わからない」と回答する能力も向上しています。この進化は、ビジネスにおける意思決定支援や教育目的での活用など、高い正確性が求められる場面での信頼性を大幅に高めています。

ChatGPTのGPT-4oとの能力比較

一つ前のモデル、GPT4-oと能力を比較してみました。

能力 GPT-4.5 GPT4-o
SimpleQA回答正確率 62.5% 38.2%
SimpleQAハルシネーション率 37.1% 61.8%
GPQA(科学知識) 71.4% 53.6%
AIME ’24(数学) 36.7% 9.3%
MMMU(マルチモーダル能力) 74.4% 69.1%

全体的に能力が向上していますが、特に「SimpleQA回答正確率」「SimpleQAハルシネーション率」「AIME ’24(数学)」の数値の改善が著しいです。全体的に数値の正確性が向上した、とまとめることができると思います。

ChatGPTのGPT-4.5のビジネスへの使い方・活用方法のアイデア

では、GPT-4.5をビジネスにどのように活用すれば効果的なのでしょうか。以下でご紹介します。

コード生成・最適化

GPT-4.5はコード生成や最適化において強力なツールとして活用できます。コード生成の面では、詳細な仕様や要件を伝えることで、それに合わせた実装コードを作成することが可能です。単純な機能からより複雑なアルゴリズムまで、様々なレベルのコードを生成できるため、開発の初期段階での時間短縮に役立ちます。

コード最適化においては、既存のコードを提示して改善点を求めることで、パフォーマンスの向上やバグの修正、リファクタリングの提案を得ることができます。時間計算量や空間計算量を改善するアルゴリズムの提案や、コードの可読性を高める方法なども示してくれます。

実践的な使い方としては、言語やフレームワーク、バージョンなどの具体的な条件を明示することで、より適切なコードが得られます。
また段階的に機能を追加していく対話式の開発や、自分のコードのレビューを依頼することも効果的です。特定のエラーや問題の解決策を求めたり、コードの動作原理や代替アプローチについて学ぶための対話も可能です。

ただし、生成されたコードは必ず自分で検証し、セキュリティやパフォーマンス面での問題がないか確認することが重要です。GPT-4.5は開発プロセスを加速させるツールとして活用しつつ、最終的な判断は開発者自身が行うべきでしょう。

カスタマーサポート

GPT-4.5をカスタマーサポートに活用する方法はさまざまです。顧客からの一般的な問い合わせに対応する初期対応窓口として機能させることができます。よくある質問への回答、製品やサービスの基本情報の提供、アカウント設定の案内など、定型的なサポート業務を24時間体制で自動化できるため、人的リソースを複雑な問題解決に集中させることが可能になります。

また、顧客とのやり取りをより効率的にするための支援ツールとしても活用できます。カスタマーサポート担当者がGPT-4.5を使って回答案を素早く生成し、それを確認・編集してから顧客に送ることで、対応時間を短縮しながらも品質を維持できます。顧客の問い合わせ内容を分析し、適切な部署や担当者への振り分け(トリアージ)を支援することも可能です。

さらに、多言語対応の強化にも役立ちます。GPT-4.5は多数の言語に対応しているため、グローバルな顧客ベースを持つ企業が言語の壁を越えてサポートを提供するのに役立ちます。顧客の問い合わせを自動翻訳し、その言語で回答を生成することで、専門の通訳者がいなくても多言語サポートが可能になります。

データ収集と分析にも活用できます。顧客の問い合わせ内容やフィードバックから傾向を分析し、製品やサービスの改善点を特定するインサイトを得ることができます。また、チャットログを分析して頻出する問題を特定し、FAQやナレッジベースの拡充に役立てることも可能です。

ただし、完全な自動化ではなく、人間のサポート担当者と組み合わせたハイブリッドアプローチが最も効果的です。複雑な問題や感情的なサポートが必要な場合は人間のスタッフに引き継ぐ仕組みを整え、AIと人間それぞれの強みを活かした顧客サポート体制を構築することが重要です。

社員教育・研修

GPT-4.5を社員教育・研修に活用することで、組織の学習環境を大きく向上させることができます。まず、パーソナライズされた学習体験の提供が可能になります。従業員一人ひとりの知識レベル、学習ペース、具体的な業務課題に合わせてカスタマイズされたコンテンツを生成できるため、大規模な研修でありがちな「一律」の内容を超えた効果的な学習が実現します。

オンデマンドでアクセス可能な学習リソースとしても非常に価値があります。時間や場所を選ばず、従業員が必要な時に質問したり、特定のスキルについて学んだりすることができます。特に、分散したチームや異なる時間帯で働く社員を抱える組織にとって、この柔軟性は大きなメリットとなります。

実践的なシナリオトレーニングも可能です。営業シミュレーション、顧客対応の練習、困難な会話の予行演習など、リアルな状況に基づいた対話を通じて、実務で直面する場面への準備を支援します。また、スキルギャップの特定と対応として、従業員との対話を通じて知識の弱点を見つけ出し、それを補うための学習リソースを提案することも可能です。

チームや部門を越えた知識の標準化にも貢献します。企業の方針、手順、ベストプラクティスなどについて一貫した情報を提供し、組織全体の知識基盤を均質化できます。新入社員のオンボーディングでは、会社の歴史、方針、文化、基本的な業務手順などについての情報を提供し、新しい環境への適応をサポートします。

専門分野の学習支援としても有効で、プログラミング、マーケティング、財務など特定の専門知識の習得を助け、実践的なアドバイスや解説を提供できます。また、リーダーシップやコミュニケーションスキルなどのソフトスキルの発達にも役立ち、効果的なフィードバックの提供方法や、困難な状況の対処法について学ぶ機会を提供します。

導入する際は、AIの限界を認識し、人間の講師や専門家との適切な組み合わせを考慮することが重要です。GPT-4.5は情報提供や基礎トレーニングを担当し、より複雑な議論や実践的な指導は人間が行うハイブリッドモデルが効果的でしょう。また、提供される情報の正確性を定期的に検証し、企業固有の方針や最新の業界動向を反映させるためのメンテナンスも必要です。

クリエイティブ支援

GPT-4.5をクリエイティブ作成・支援に活用することで、創造的なプロセスを大きく強化できます。アイデア発想の段階では、ブレインストーミングのパートナーとして機能し、新しい視点や意外な組み合わせを提案することで創造性の幅を広げます。例えば、広告キャンペーンのコンセプト出しや物語の展開案など、多様なアイデアを短時間で生成できるため、クリエイティブブロックを打破するのに役立ちます。

コンテンツ制作においては、様々な形式やトーンの文章作成を支援します。ブログ記事、SNS投稿、広告コピー、プレスリリースなど、目的や対象読者に合わせた文章を下書きとして生成し、クリエイターはそれを洗練させることに集中できます。また、既存のコンテンツの書き直しや最適化も可能で、同じ内容を異なる媒体や対象者向けに適応させる作業を効率化できます。

物語やキャラクター開発においても強力なツールとなります。物語の構造やプロット展開の提案、魅力的なキャラクター設定の作成、対話シーンの生成など、創作プロセスの様々な側面をサポートします。特に行き詰まった時に、物語の新たな展開方向や解決策を提案してくれることは非常に価値があります。

また、クリエイティブプロジェクトの計画や構成にも役立ちます。プレゼンテーションの構成案、イベントのプログラム設計、ウェブサイトの情報設計など、プロジェクトの枠組みを整理する段階での支援が可能です。リサーチ支援ツールとしても機能し、特定のテーマや業界に関する背景情報を集約し、クリエイティブワークに必要な知識基盤を強化します。
創作過程におけるフィードバックパートナーとしても活用できます。作品の一貫性、明確さ、影響力などについて客観的な視点からのコメントを提供し、改善点を特定するのに役立ちます。異なる対象読者がどのように受け取る可能性があるかといった観点からのフィードバックも可能です。

ただし、GPT-4.5は最終的な創作物を生み出すというよりも、人間のクリエイターの思考や制作プロセスを補完・拡張するツールとして位置づけるのが理想的です。AIの提案を出発点として、人間ならではの感性や経験、文化的文脈の理解を加えることで、より深みと独自性のある創作物が生まれます。

ChatGPTのGPT-4.5を活用しましょう

以上、ChatGPTの最新モデルGPT-4.5についてご紹介しました。ぜひ積極的に活用してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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