バックオフィス業務をアウトソーシングするポイント

創業手帳

アウトソーシングでバックオフィス業務を効率化するメリットなどを解説します

(2020/08/22更新)

法務、総務、経理、人事といったバックオフィス業務は、経営のベースとなる大事な領域です。特に会社の創業期は、人材が少なかったり、組織体制が整っていなかったりといった理由で、代表や限られた人材がバックオフィス業務をこなさなければならない状況に陥りがちです。「本業に集中するため、バックオフィスの業務をいかに効率化するか」は、多くの経営者が事業の初期段階で直面する課題となります。

バックオフィス業務の負担を軽減する方法の一つに、アウトソーシング(外部に委託)するという方法があります。バックオフィス業務のアウトソーシングで得られるメリット・デメリットや、国内で展開しているサービス例を紹介します。

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バックオフィスのアウトソーシングはスタートアップと相性が良い

バックオフィスは、主たる事業を後方で支援する領域のことを指します。代表的な業務として「人事」「経理」「法務」「総務」「一般事務」などが挙げられます。定義が広めの言葉ですが、主に「顧客など外部と直接やり取りする機会がない領域」をバックオフィスの業務と捉える良いでしょう。

バックオフィス業務の負担を軽減する方法として、各業務を効率化するツールやサービスを導入する方法と、業務自体をアウトソーシングする方法が考えられます。

ツールやサービスを用いる場合は、ツールやサービスを活用するため、バックオフィスにある程度の知見を持った人材が社内にいることが前提になりますが、アウトソーシングを使う場合は、プロに業務をそのまま依頼できるため、社内のリソースを割く必要がなくなるという利点があります。アウトソーシングは、人手が不足しがちなスタートアップとも相性の良いサービスと言えるでしょう。

バックオフィスのアウトソーシングサービスの種類

バックオフィス業務をアウトソーシングするサービスには、さまざまな種類があります。代表的な「オンラインアシスタント」「BPO」「クラウドソーシング」について簡単に解説します。

オンラインアシスタント

高い専門性を持ったスタッフが、リモートで企業や個人事業主の業務をサポートするサービス。チーム単位で提供しているサービスが多く、幅広い分野に対応できる特徴があります。

BPO

BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)は、業務単位ではなく、業務のプロセス自体を委託できるサービスです。業務の企画設計、運用など、バックオフィスに関わるプロセスを包括的に代行してくれます。
ノンコア業務を一括で任せられる分、効果的にコストを削減しやすくなります。

クラウドソーシング

インターネットを通じて、専門性を持ったクラウドワーカー(個人)に対して単発の業務を代行してもらうサービスです。クラウドソーシングのプラットフォームを提供しているサービスを通じて、自社に必要な業務を委託できるクラウドワーカーと取引をする形を取ります。個人に対して依頼を行うことになるので、スキルの見極めやマネジメントを企業側で行う必要があります。

バックオフィス業務をアウトソーシングするメリット

バックオフィス業務をアウトソーシングすることで得られるメリットには、以下のようなものが挙げられます。

人件費カットにつながる

バックオフィスを担当する人材を従業員として雇う場合、1月あたり数十万円以上のコストがかかります。バックオフィスの業務を代行するサービスは、1か月10万円以内の価格帯から提供している業者も多く、人材を長期的に雇用する場合に比べて人件費をカットしやすくなります

さらに、代行業者はその道のプロフェッショナルなので、採用のミスマッチなどによって思うように業務が進まない、業務の質にムラがある、といったリスクも回避しやすくなります。

本業に集中しやすくなる

バックオフィスの業務は、専門的な知識が求められるものも多い領域です。これらの知見が浅い状態で内製化しようとすると、本業と同時にバックオフィスのインプットも行う必要が出てきます。

アウトソーシングを活用する場合、バックオフィス業務にかける時間やコストをカットでき、本業に注力しやすくなるメリットがあります。本業に注力して一気に事業を加速させたいと考える経営者にとっては、相性の良い選択肢と言えるでしょう。

バックオフィスをアウトソーシングするデメリット

バックオフィスの業務をアウトソーシングする際に生じるデメリット・リスクも紹介します。

業務のノウハウが社内に蓄積されない

デメリットとしては、業務を完全に他社に投げる分、自社内にバックオフィス管理のノウハウが蓄積されないことが挙げられます。事業を進める中で、バックオフィス業務を内製化したいとなった時は、ノウハウの吸収も含めて、1から構築することになる可能性が高くなるのです。

例えば、創業期はバックオフィス業務をアウトソーシングで始め、事業が拡大してバックオフィス業務の人材を雇えるようになったら将来的に内製化したい、と考えている経営者はこの点を抑えておきたいところです。

データ漏洩のリスクがある

バックオフィスの業務は、会社の個人情報・機密情報を扱うものも含まれます。アウトソーシングする場合は、他社に情報を渡すことになるため、漏洩のリスクをゼロにすることは難しいものです。
アウトソーシング先の実績や信頼度の高さをしっかりチェックしたり、アウトソーシング先と秘密保持契約をしっかり締結したりするなどして対策を取る必要があります。

日本で展開しているサービス例

日本で展開しているアウトソーシングサービスの例と特徴を紹介します。

NOCバックオフィス(事務代行)サービス

NOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社が提供しているBPOサービス。企業の管理部門の総合アウトソーサーとして30年以上の歴史と実績がある老舗です。RPA(ロボットが業務プロセスを自動化すること)など、最新の技術を積極的に用いて効率的な代行を実現しているという強みがあります。

グループ企業間で、バックオフィス業務を一括で請け負う「シェアードサービス」も展開しています。

NOCバックオフィス(事務代行)サービスで委託できる領域
  • 請求書発行・郵送代行
  • 入金管理・消込
  • 集金・収納代行
  • 支払業務
  • ハガキ・DM発行代行
  • データ入力
  • 料金:見積もりによって応相談

CASTER BIZ

株式会社キャスターが提供している、企業向けのオンラインアシスタントサービス。企業に対して1人のアシスタントではなく、チーム体制でサポート。専属のアシスタントがオンライン上に待機することで、依頼に対して即コンタクトが取ることができます。また、オプションによって、土日の業務対応も提供している点も嬉しいところです。

CASTER BIZで委託できる領域
  • 秘書(リサーチ、電話対応、翻訳など)
  • 人事(勤怠管理、採用活動サポート、各種手当の確認など)
  • 経理
  • WEBサイト運用(入稿作業、動画編集、Webデザインなど)
  • オフライン業務(書類の郵送、領収書や書類のファイリング管理など)
  • 料金:108,000円(6か月プラン)~

オンラインアシスタント フジ子さん

フジア株式会社が提供しているオンラインアシスタントサービス。月額4.7万円(月20時間)からのプランがあるなど、リーズナブルな価格で提供している点が特徴です。1か月のみの利用も可能で、仕事の量の変化に応じてプランを変更できるなど、柔軟なニーズに対応しています。トライアルでサービスの質を試してから導入できるのも魅力です。

オンラインアシスタント フジ子さんで委託できる領域
  • 経理
  • 秘書・総務(翻訳・英語メール対応、リサーチ業務、資料作成など)
  • 人事(求人広告出向、勤怠管理、採用活動サポートなど)
  • Webサイト運用(ECサイトの運用代行、クラウドソーシング管理、画像加工・編集など)
  • 料金:47,000円(月20時間)~

Lancers(ランサーズ)

ランサーズ株式会社による国内初のクラウドソーシングサービス。クラウドワーカーが50万人以上登録しており、依頼できる仕事のカテゴリも200種類以上と、選択肢が豊富な点が特徴です。

また、クラウドワーカーと直接契約する形と、BPOのようにチーム単位で業務を一括依頼することも可能です。

Lancersで委託できる領域
  • 総務
  • コンサルティング
  • 項目3
  • システム開発・運用
  • Web制作・Webデザイン
  • デザイン制作
  • 写真・動画・ナレーション
  • 翻訳・通訳
  • 料金:案件ごとに異なる

まとめ

バックオフィス業務のアウトソーシングは、忙しいスタートアップにとっても有効な選択肢です。日本で提供されているサービスの種類やシステムも多様で、事業の進捗や社内で割くことができるリソースなど、会社の経営状況にあわせて選ぶことができます。バックオフィス業務にかけるコストを減らしたいと考えている経営者は、積極的に活用して事業を加速するための味方につけることをおすすめします。

無料で利用できる創業手帳の冊子版では、業務を効率化するためのツールやサービス・ノウハウをまとめて解説しています。バックオフィス業務以外の効率化については、こちらも参考にしてみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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