請求書が来てからだと遅い!? 「買掛金」計上のポイントは商品納品時にあり

資金調達手帳

木村さきの【新米社長のための会計講座】

(2017/7/24更新)

とある大手企業の経理部に勤める木村さきが、起業したての父親に、“知らなきゃヤバい”会計のイロハを教える本シリーズ。今回は、勘定科目「買掛金」についてレクチャーします。

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【登場人物】

木村さき(26)
上場企業の経理部に勤務するかたわら、公認会計士を目指して専門学校に通うOL。大学で現代会計のゼミに所属したことをきっかけに、会計の世界にのめり込む。

パパ(55)
出向してきた上司と反りが合わず、長年勤めた県庁を勢いで退職してしまい、妻の父親が経営する会社のサポートを受けて起業。アイデアには富んでいるが、考えるより先に行動するタイプで、なかなか会社経営を軌道に乗せられずにいる。

さき

ただいまー

パパ

おかえり……って、なんだ、さきか。

さき

なんだはないでしょ。あんまり顔見せないと、この間みたいに振り込め詐欺に引っ掛かりそうになるから、近況報告に来てあげたのに。

パパ

あれは不覚だった。さきが自動車で事故を起こしたとか言うもんだから、慌てちゃって。

さき

ママがいたから騙されずに済んだんだからね。

パパ

面目ない。

さき

「内容を忘れたら困るので録音します」って言うと、あきらめるケースも多いそうよ。だいたい、車の免許取りに行く費用出してって、最近お願いしたところじゃない。

パパ

まだ、出すとは言ってないぞ。

さき

他人には簡単に騙されそうになるくせに、娘のお願いには財布の紐が堅いんだから。会社ではどっちなんだろ?

パパ

会社では、払うべきものは払うし、払う必要のないものは当然払わんさ。

さき

じゃ、買掛金の管理はしっかりできてるってことね。

パパ

管理も何も、請求書が来たら計上して、期日になったら支払うだけだろ。

さき

どうやら、買掛金の管理についても、レクチャーしておいた方がいいようね。いい? 買掛金管理のポイントは、“必要のない支払をしないようにすること”“いついくら支払うのかを把握すること”なの。

パパ

そんなこと言われなくても、だれも必要のない支払なんてしないよ。

さき

じゃあ聞くけど、パパはどうして、毎月支払っている買掛金が、本当に払っていいものだってわかるわけ?

パパ

だから、仕入先から請求書が届くだろ。その請求書に基づいて買掛金を計上してるんだから、払う必要があるに決まってるじゃないか。

さき

本当にそうかしら。

パパ

そのうえ、実際に送金する前には、請求書と支払額を再度チェックさせてるし。

さき

パパは、請求されればなんでも払っちゃうわけ? 請求書が間違ってるかもしれないのに。

パパ

ん?どういうこと?

さき

例えば、仕入先が間違って売上を二重計上しているかもしれないし、値引や返品の処理を忘れているかもしれないでしょ。

パパ

言われてみればそうだな。でも、請求書の間違いなんて、どうやって調べるんだ?

さき

そこで大事なのが、買掛金を計上するタイミングなのよ。

パパ

請求書が届いてからじゃダメってことか。

さき

そうなの。実際に仕入れた時、つまり商品が納品された時に計上することが重要なのよ。

パパ

なるほど。そうすることによって買掛金は、当社が仕入れたと認識している、つまり、本当に支払わなければいけない金額になるわけだ。

さき

そして、請求書が届いたら、買掛金の帳簿残高と照合をするの。

パパ

それで、仕入先の二重請求なんかが判明することもあるんだな。

さき

それに、納品されたタイミングで買掛金を計上するのは、損益管理の面でも大切なのよ。

パパ

確かに、請求書が届いてから買掛金を計上する場合は、仕入先がタイムリーに請求書を送ってくれないと、原価の計上がもれちまうもんな。

さき

その通り。そしてさらに、買掛金管理のもう一つのポイントである、いついくら支払うのかを把握することにもつながるのよ。

パパ

と言うと?

さき

クレジットカードでの買い物を想像してみてよ。カード会社からの請求書を見て、請求額に驚いちゃうことってあるでしょ。

パパ

あるある。

さき

でも、買い物の度にレシートを集計しておけば、カードの請求額を見て慌てることなんてなくなるじゃない。会社の場合も同じよ。

パパ

万が一、支払えないなんてことになったら一大事だもんな。資金繰りのためにも、買掛金の管理が大事ってよくわかったよ。

さき

じゃあ今日は、支払の大切さを学んだということで、私の自動車免許取得の費用のお支払の方もお願いします。

パパ

えー、内容を忘れたら困るので録音します。

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(監修:監査法人A&Aパートナーズ)
(編集:創業手帳編集部)

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