スグに使える!忙しい起業家におすすめの時短仕事術

創業手帳

仕事内容別・ケース別の仕事時短術もご紹介!

time-shortening

(2018/04/09更新)

起業すると、やりたいこと、やらなければいけないことが山のようにありますよね。その一方で、人材をはじめ、リソースは少ない。気持ちは焦るばかり。とにかく目の前の仕事をこなすしかないと、しゃかりきに働いてしまっているのではないでしょうか?

ですが、そんな働き方では長続きはしませんよね。身体を壊してしまえば、元も子もありません。しゃかりきに働くより大切なことは、仕事を効率化し、「長期的に見て生産性が高くなる働き方」を目指すことです。
今回はそんな働き方を実現するために起業家に必要な時短仕事術のコツを、残業ゼロの仕事術を指導している滝川 徹氏に解説していただきました。

滝川徹(たきがわ・とおる)
1982年東京生まれ。東証一部上場の大手金融機関で「残業ゼロ」を2016年4月から実践。2016年12月に「気持ちが楽になる働き方:33歳現役の大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。」(金風舎)を出版。出版を機にセミナー活動をはじめとした複業もはじめる。「30分仕事術」をはじめとした残業ゼロの実践ノウハウには定評がある。ブログ「残業ゼロでハッピーに生きる(https://wblog.jp)」「いつでもスタオバ!(https://startover.jp)」主宰。

仕事を効率化することで、起業家が得られるもの


そもそも、仕事を効率化することで起業家が得られるものは、大きく分けて三つあります。

一つ目は、単純ですが、経営の実効性が高まることです。仕事の効率が高まり、やりたい仕事がどんどん前に進んでいくので、それだけ早いスピードで会社は成長していくことができます。

二つ目は、膨大な仕事量を持ちながら、安心感をもって日々仕事に取り組めるようになることです。
詳しくは後述しますが、仕事を「見える化」することで仕事の見通しが見えるようになります。仕事の見通しが見えるようになると、仕事の進捗やスケジュールも工夫次第で一目瞭然になりますので、無理なスケジュールで働いたり、仕事のヌケ・モレがなくなります。そうすることで、安心して働けるようになるのです。

その結果、より目の前の仕事に集中して取り組めるようになり、仕事の生産性も高まるというメリットもあります。

三つ目は、がんばってがむしゃらに働くという起業家が陥りやすい無理な働き方をしなくてよくなる、ということです。仕事の効率が悪いと、どうしてもより多くの仕事をしなければならないという焦りから、人はがんばってたくさんの仕事をこなそうとしてしまうものです。

こうなると、仕事の効率のことを考える余裕がなくなり、まるでがんばることが目的となってしまったかのように働き続けてしまうのです。これは会社員でもよく見られる兆候です。

しかし仕事で大切なのは、成果を出すことです。いかに最小の労力で最大の成果を出すことに集中することがビジネスでは自然なスタンスと言えるでしょう。仕事を効率化していくと、このことを自然と意識していくようになります。

経営者が効率を意識して働くことで、仕事も仕組み化していき、結果的に会社全体の効率もよくなるというメリットも生まれていきます。

こんなときの時短仕事術(ケース別)

仕事を効率化することで得られるものがわかったところで、ここからはケース別の時短仕事術をご紹介します。

1.ひとりで仕事を進めるとき

ひとりで仕事を進める時は、いかに仕事を前に進めていけるかがとにかく大切になります。

そのためにあなたにおすすめしたい習慣は、仕事をはじめる前に計画を立ててから、仕事に取り組む習慣を作ることです。なぜなら、あなたが思う以上に、仕事というのは取り組む順番が大切になるからです。ただやみくもに仕事をこなしていては、高い生産性を発揮することはできません。

例えば、顧客へ提案のための「企画書を作る」というタスクがあるとしましょう。このタスクはクリエイティブな発想が必要な、いわゆる「頭を使う」タスクだとします。

この仕事はいつ取り組むのが最適なのでしょうか。もうお気づきかもしれませんが、午前中の時間帯、もっといえば朝起床直後がもっとも望ましいと言えるでしょう。なぜなら、脳のエネルギーは起床直後に最も豊富にあるとされており、脳のエネルギーがあればあるほど、仕事の先送りがされにくいと言われているからです。
逆にこれを疲れきった夕方に取り組もうとすると、ほぼ確実に「明日また時間を見つけてやろう」と仕事が先送りされてしまうことになります。

このように、同じ企画書を作るというタスクであっても、どの時間帯に取り組むかによって仕事に取り組めるか否かが変わってきてしまうのです。だからこそ、仕事をはじめる前に計画を作る必要があるのです。

ではどのように一日の計画を作るのか。まずは働く時間を2時間毎に区切ってみることをオススメします。 たとえば9時から17時まで働くなら、以下のように2時間毎に時間を区切ります。

A:9時~11時
B:11時~13時
C:13時~15時
D:15時~17時

こうして2時間毎に時間帯を作れば、どの時間帯に何をやるか計画を立てやすくなります。

例えば、12時に昼休み1時間を取る予定なら、Bの時間帯は1時間しかありません。この1時間をどう使うか考えます。
その他に15時から打ち合わせもあったりするでしょう。こうして予定から先に埋めていけば、2時間毎の時間帯にやることは自然と決まっていきます。

せっかくこうして計画を立てるのですから、紙や手帳に書いていつでも見えるようにしておきます。僕自身もそうしていますが、デジタルツールを使えば、より簡単に日々の計画を作れるようになります。

例えば、僕自身も使用しており、セミナーで教えているツールは「たすくま」というiPhoneで簡単に使えるタスク管理ツールです。
これを使えば、簡単にタスクリストを作ることができます。たとえば、以下は私が起床してから何をするか 計画したタスクリストです。このように起床直後から、私はリストに基づいて日々行動しています。

こうして毎日計画を作ってから仕事に取り組む習慣を作れば、今日やる仕事が明確になるので、目の前の仕事に集中できるようになります。また、仕事のヌケ・モレ防止にも役に立ちます。

「たすくま」についての詳細はこちら
スマホで簡単にタスク管理ができる!iPhoneアプリ「たすくま」でできる5つのこと

2.チームで一つの仕事を進めることになったとき

チームで一つの仕事を進める時は、とにかく作業工程を書き出すことからはじめてください。

例えば、「オフィスをキレイにする」というプロジェクトにみんなで取り組むなら、少なくとも以下のようなタスクが生まれるはずです。

本棚の本を整理する
床に掃除機をかける
不要な備品を廃棄する

まだまだやることはあるでしょう。思いつく限り、みんなで課題を出してみましょう。そうしてやることを整理したら、次は「誰が、何を、いつまでにやるのか」を決めます。

こうして仕事全体を「見える化」し、このプロジェクトが終わる見通しが見えるようになることが大切なのです。見通しが見えることで、安心して全員が仕事に取り組むことができるようになります。

チームリーダーはメンバーに割り振ったタスクの進捗をフォローすることに専念します。「誰が、何を、いつまでに」を決めておく理由はここにあります。ここが明確になっているからこそ、プロジェクト全体のスケジュールを管理できるのです。

つまり、チームリーダーの仕事は「各タスクのデッドラインがきちんと守られているかをチェックする」ということになります。

3.締め切りが迫ってきて、緊急な対応が必要になったとき

こういった緊急事態では、とにかくやらなければいけないことの優先順位が全てです。

例えば、今日中に対処しなければならない緊急の問題が発生した場合、最初にやることは、「今日中に絶対やらなければいけないタスク」を精査し書き出すことです。明日に回しても支障がないタスクは明日に回します。場合によっては、他のクライアントに電話して、今日中の仕事でも明日以降に期限を延ばしてもらえないか交渉してもいいでしょう。

とにかく、「今日中に絶対やらなければいけない仕事は何なのか」を見極めます。そうして今日中にやらなければいけないタスクを絞ったら、次にやらなければいけないことは「あなたしかできないタスク」を選定することです。他の人にお願いできるタスクは、緊急事態ですから、多少無理をしてでも他の人にお願いします。

ここまですれば、大抵の場合、問題となっている緊急の仕事以外に今日あなたがやらなければいけないタスクは多くて2つか3つまでになるでしょう。やらなければいけないことが絞られれば、落ち着いて目の前のタスクに集中して取り組めるようになります。

仮に外部からの問い合わせがきても同じです。基本的には他の人に用件をまずは聞いてもらい、どうしても今日対処しなければならなそうなものだけ対応するようにします。基本スタンスは「明日以降折りかえし連絡します」にします。

本当に今日中にやらなければいけない仕事にだけ対処することを徹底すれば、必ず乗り越えることができます。やることはまさに、医療でいう「トリアージ」なのです。

こんなときの仕事時短術(仕事内容別)

ケース別の仕事時短術をご紹介したところで、次は仕事内容別の仕事時短術をご紹介します。

1.原稿などの文章を素早く仕上げたいとき

文章を素早く書くコツは、構成を決めてから書きはじめる習慣を作ることです。なぜなら、構成を決めていれば、スラスラと文章は書けるからです。文章の筆が進まない時は、大抵自分が何を書けばいいか考えがまとまっていないことが多いんです。

構成はそんなに難しく考える必要はありません。箇条書きで、僕の場合は書くテーマについて「他人に話すとしたらどんな順番で話をするか」を書き出します。
例えば、今書いているここの部分については、以下のようにまず箇条書きで構成を書きました。

  • 書けない時は自分の考えがまとまっていないとき。とにかく構成をまず考える。
  • 構成を考える時は、まず全体を作ることを意識する。書けないところはとりあえず埋めないこと。
  • そうして構成を考えたら、一気に書き出す。

こうして書き出すことは、そう時間がかからないはずです。というか、こうして書き出せない場合は、あなたの考えがまだまとまっていないということですから、この作業を抜きに文章を書き始めると膨大な時間をロスすることになります。

そして大切なことは、とにかく構成を仕上げてしまうことです。作家さんがよく使うテクニックなのですが、 たとえば文章のタイトルでしっくりくるネーミングが見つからなかったとしたら、「タイトル」と仮置きして前に進みます。タイトルは後でじっくり考えます。

その他にも「ここには共感を示す言葉を入れたい」と思い、自分の中で適切な表現が見当たらなかったとしたら、「共感」などと書いておきます。表現は後で考えるようにします。

とにかく、筆を前に進めましょう。表現を考えたり、文章の修正などは後で別の工程で行うほうが効率的です。文章を早く書くコツは、とにかく筆をどんどん進めて、全体の構成を仕上げてしまうことなのです。

これは本文を書くときも同じです。とにかく全体を書き出すこと、筆を前に進めることを意識します。ここでも仮置きのテクニックを使います。そうして一気に書き上げて、あとで追記、修正をしていくのです。

文章を早く書けるようになりたいあなたには、オススメの書籍を記載しましたので、興味があったら読んでみてくださいね。

オススメの書籍>10倍速く書ける 超スピード文章術

2.研修・イベントを効率的に進めたいとき

実は、研修やイベントを効率的に進めたいときに意識するポイントは、前述した「チームで一つの仕事を進めることになったとき」のやり方とほとんど同じです。

仕事全体を見える化し、「誰が、何を、いつまでに」やるのかを決めることで、効率的に進めていきます。
研修やイベントを控えている方は、これらのことを意識して、取り組んでみましょう。

効率化とクオリティ向上を両立するために意識すること


効率化とクオリティの両立のコツは、単純に仕事の精度に濃淡をつけてしまうことです。

突然ですが、「80:20の法則」をご存知ですか?これは仕事でいえば、成果の8割は重要な2割の仕事が生み出しているという考え方です。つまり、8割の仕事は成果をあまり生まない仕事ということになるわけです。

だとすれば、やることはシンプルです。8割の仕事にかける時間を減らし、その分2割の仕事にかける時間を増やすようにするのです。

8割の仕事は成果を生まない仕事ですから、時間をあまりかけず、クオリティも最低限で仕上げます。逆に2割の仕事はきちんと時間をかけ、クオリティにもこだわるようにするのです。

大切なことは、重要な2割の仕事を見極めることです。あなたの成果の8割を生み出している仕事は何か。まずは考えてみてください。

そして、もう一つ大切なのは3割くらいの完成度で一度仕事を提出することです。「イメージだけざっと作ってみたんですけど、どうでしょうか?」という感じで顧客に見せます。そうすると、顧客から「ここはもう少しこういうイメージで作って欲しい」といった感じで早い段階で軌道修正が可能となります。仕事というのは、こうして走りながら修正したほうが早いのです。場合によっては、この段階で「これで十分だよ」とOKをもらえてしまうかもしれません。

忘れてはいけないのは、仕事の価値は他人が決めるということです。
自分の中でどんなに完成度を高めても、相手の求めているものと方向性が違えば、相手にとっては何も価値がないということを念頭に置く必要があります。

だからこそ、早めに相手からフィードバックをもらい、修正しながら仕事を仕上げていくのが最もスピーディに、かつ、クオリティを上げる効率的な方法になるのです。是非試してみてください。

「長期的な生産性」を意識しよう

事業の初期段階はやることは多いし、やりたいことも多いと思います。しかしここは是非「長期的な生産性」 を意識してほしいと思います。がんばりすぎると長期的には生産性が低下してしまうのです。

例えば、睡眠時間を削って無理をしていると、体調を崩し、結果的にがんばった分の仕事は水の泡になります。また睡眠時間が足りなければ意欲も低下するし、生産性も気づかないうちにどんどん落ちていくものです。

生産性を高めるためにもっとも大切なことは、コンディションを常にベストな状態に保つことです。そのために最も大切なことは、しっかりと寝ること(僕自身も毎日7時間以上寝るようにしています)。そして適度な休息も必要です。

緊急時は別として、「1日に働く時間は何時間まで」と決めることが重要です。時間を決めるからこそ、その時間で仕事を終わらせようと意識することで、仕事の効率もまた上がるからです。

あなた自身が1日にできることは限られています。だからこそ、がんばって働くことより、仕事の計画を立てることに時間を使ったり、他の人に仕事を任せたりすることが大切です。
あなたはあなたしかできない仕事に集中しましょう。

(監修:滝川徹(たきがわ・とおる)
(編集:創業手帳編集部)

創業手帳は、起業の成功率を上げる経営ガイドブックとして、毎月アップデートをし、今知っておいてほしい情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能です。

創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す