【体験レポート】「中小企業経営力強化資金」で融資を申し込んでみた
数ある創業融資制度から中小企業経営力強化資金が選ばれる理由
(2017/06/02更新)
国や自治体からお金が借りられる公的融資において、起業家にとって最も一般的とされる、日本政策金融公庫の融資制度。今回は、その中でも人気の「中小企業経営力強化資金」に実際に申し込んでみてわかった、融資を受ける際の注意点やメリットなどをお伝えします。できるだけ自分に合った資金調達がしたい!という方も参考にしてみてください。
この記事の目次
中小企業経営力強化資金とは
中小企業経営力強化資金とは、日本政策金融公庫の国民生活事業および中小企業事業の中で実施される制度です。
この制度の最大の魅力は、無担保・無保証、かつ、低金利で融資を受けることができるということ。起業したばかりの会社にもオススメできる制度です。
創業期であればほとんどの方が対象に
利用できる人は次のすべてに当てはまる方です。
- 経営革新又は異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方
- 自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けている方
難しい言葉が並んでいますが、創業期であればほとんどの方が対象になります。
使い道は事業計画の実施のために必要とする設備資金及び運転資金でなければいけません。
無担保、無保証人で最大2000万円
融資限度額は7,200万円。無担保、無保証人の場合は2,000万円です。
創業者が申請した場合、多くの方がこの2,000万円に当てはまるかと思います。
中小企業経営力強化資金の返済期間
設備資金の場合
20年以内<うち※据置期間2年以内>
運転資金の場合
7年以内<うち据置期間2年以内>
※据置期間:利息分だけを支払う期間のこと。
返済期間は「設備資金」と「運転資金」で期間が違います。
設備資金とは、簡単に言うと「金額の多い初期投資」のことで、具体的には内装工事代金、車の購入費用、機械設備の購入費用、パソコンや機材などの購入費用、店舗や事務所の敷金(保証金)などになります。
対して、運転資金とは、原材料・商品等を仕入れてから支払いを行うまでの期間と、仕入れた原材料・商品を一定期間在庫として保管し、商品・製品を売り上げて代金を入金するまでの期間の時間的なズレを補うための必要資金のことです。
利率は?
中小企業経営力強化資金の利率は、無担保・無保証の場合とそれ以外で異なります。
無担保・無保証、2,000万円以内の融資・・・2.06~2.35%(2017年5月現在)
それ以外・・・1.16~2.35%(2017年5月現在)
中小企業経営力強化資金3つの注意点
創業者にとって、魅力的な中小企業経営力強化資金ですが、申請するうえでの注意点もあります。
1. 税理士などの認定支援機関によるサポートが必須
中小企業経営力強化資金を利用するには、認定支援機関(経営革新等支援機関)の助言と指導を受けることが必須条件です。
利用したい場合は、サポートを受ける税理士や専門家を探す際に、認定支援機関になっているかどうかを必ずチェックするようにしましょう。
2. 融資実行後、支援した認定支援機関による調査が年に1回必要
中小企業経営力強化資金により融資を受けた場合には、日本公庫に対して年に1回の調査・報告が必要です。
これを怠った場合、金利の優遇が無くなってしまうので注意しましょう。
3. 一部のフランチャイズに加盟する場合は制度の対象外
創業期であれば、ほとんどの企業が対象となる中小企業経営力強化資金ですが、小売業などの一部のフランチャイズに参画する形での起業・開業は対象外となってしまいます。しかし、フランチャイズの場合でも業種によっては対象となる場合がありますので、その際はあきらめずに専門家に相談してみましょう。
【申請レポート】他の創業融資制度よりも融資しやすい!
さて、この中小企業経営力強化資金ですが、先日、わたくしのお客様で対象となる方がいらっしゃったので申請をしてみました。
今回、この制度を利用した理由は3つあります。
- 中小企業経営力強化資金という制度が日本政策金融公庫の他の創業融資制度よりも利息が低いこと
- 他の創業融資制度よりも経営力強化資金の方が日本政策金融公庫の融資を通しやすいこと。
- フランチャイズに加盟していたが、業種的に制度の対象になっていたこと。
では、なぜ日本政策金融公庫は経営力強化資金の方が他の創業融資制度よりも融資をしやすいのでしょうか?
それは、中小企業経営力強化資金は認定支援機関の協力があってはじめて利用できる制度だからです。
担当者の方によると、認定支援機関の支援がある、つまり私たちのような外部の専門家の支援が約束付けられているので他の制度よりも融資をしやすいし低金利で融資できる、とのことでした。
つまり、起業家と外部の専門家、日本政策金融公庫の3者で事業を支えていけるという事が大きいということです。
ちなみに、起業家さんのお手伝いを直接させて頂いた私自身は、この制度を使うための認定支援機関ではありませんが、税理士さんと協力して申し込むことが出来ました。
審査結果は、約1週間から2週間で伝えられる、とのことです。
起業家さんも胃が痛い一週間になりそうですとおっしゃっていましたが、良い結果が出るのを願うばかりです。
中小企業経営力強化資金は創業者にとっての強い味方に!
中小企業経営力強化資金は、無担保・無保証で融資を受けることができる制度なので、創業者にとって大きな味方となります。
申請のための注意点をしっかり押さえて、税理士などの専門家の認定機関のサポートを受けながら活用していきましょう。
(監修:かきざき行政書士事務所 柿崎 満佳(かきざき みつよし) )
(執筆:創業手帳編集部)