自己資金40万から250万の融資、クラウドファンディングで100万達成!「宅飲み酒場アヤノヤ」の前代未聞の開業ストーリー
「わたしの夢に投資してください」宅飲み居酒屋アヤノヤ・西田彩乃さんインタビュー
(2016/11/17更新)
19歳の時に飲食の道に進むことを決め、2016年11月末に、晴れて居酒屋を開業することになったという「宅飲み居酒屋アヤノヤ」のオーナー・西田彩乃さん。前代未聞の自己資金40万円からのスタートでも臆することなく周囲を巻き込み、合計350万円の資金調達を成し遂げました。そんな西田さんの創業ストーリーや、資金調達・PRのコツを取材しました。
「合わない靴を履くのは、やめた」
19歳のとき、新橋の囲炉裏料理の居酒屋でアルバイトしたのが始まりです。そのときに、お客さまから「今日あなたにあえて良かった。明日を生きる活力になったよ。」とおっしゃっていただいたことが、飲食業で働こうと決めたきっかけです。
19歳のわたしでも、社会の第一線で活躍しているサラリーマンの役に立てたことが、すごく嬉しかったんです。瞬間評価という、その場で自分の評価が返ってくることが、飲食業の魅力ですね。
そうですね。19歳の時の経験の他にも、「こうしたい」という自分の意志が強すぎて、会社に適合しないっていうのも、理由としてあります。社会に押さえ込まれることが嫌いで、はみ出そうとする。
関係のない話なんですけど、手足が大きいんです。25センチもありまして、Mサイズという平均サイズの靴がはいらないもんだから、靴選びにめちゃくちゃ苦労するんですよ。だから、最初から「大きいサイズ」専門店に行くんです。
わたしの場合、会社選びもそうでした。
「合わない靴を履くのはやめる」
「すこしコストはかかってもオーダーメイドで自分ぴったりの靴を履く」
そう決断したからこそ、自分に合う会社を探すより自分で作っちゃおうと思ったんですよね。
個人事業の場合、全部自分でやらなきゃいけないので、その点は苦労しましたね。でも一番困ったのが、いざ、お店をやってみようと思ったときに「何をすればいいのか分からない」ということですね。
でも、わたしには優秀な秘書が居たんです。「Google」って言うんですけど。「OK Google」って言うと教えてくれるんですよ。そこで、紹介されたのが創業手帳さんです。
ホームページから無料の冊子「創業手帳」を請求して以降、教科書にしておりました!
自己資金40万から、250万の融資が決定
本当にその通りで、創業するときにはとにかくお金が必要なんですよ。しかも、お店ってすごく高い。実は私、開業前に自己資金が40万しかなくて。
どう資金調達したら良いかなんて全く分からなかったので、とりあえず、創業手帳さんの個人面談で相談したんです。そのときに、「お金がなくても飲める店を作るのに、お金がないからお店はできないなんて、矛盾している」と気がついて、どうやったら少ない資金で開業できるだろうと考えました。結果、公庫とクラウドファンディングを利用することにしました。
その後、創業手帳さんから紹介された税理士の先生と奮闘し、自己資金は40万だったんですけど、250万の日本政策金融公庫さんからの融資が確定いたしました。
SNSの拡散力で「全品300円」を実現
やっぱり、全品300円にしているところですね。なんでかって、お客さまが毎日来ちゃうからです。わたしは、22歳のときに新宿三丁目でやきとん屋の店長をやっていたんですけど、常連様は週4で通ってくれました。
なので、1日は900円でいいんです。週4通って3600円。それ以上はお小遣い制のお父さんからはいただけないじゃないですか。だから、価格を先に決めました。
わたしの場合、求人費と広告費が節約できるので大胆な原価設定ができるんです。
提供価格を安くしているからって、安いお酒は使えないですよ。美味しいお酒が提供できないとお客さまを口福にできない。だから、ネームバリューのあるお酒のみを取り扱っています。
私は、「Twitter」「Facebook」「Instagram」アカウント全部持っています。ネットライターもやっているので検索サイトに広告費をのせなくても情報の拡散ができちゃうんです。
中学3年生から携帯電話を持っていましたし、高校生のときには自分のパソコンで個人サイトを持っていました。今は、個人の発信力が企業に勝る時代です。便利な世の中になりました。
「わたしの夢に投資してください」
はい。今や誰もが気軽に投資家になれる時代。利用しない手はないですよね。それに、クラウドファンディングはお金を集めながら宣伝もできるんです。
でも、お金集めには苦労しました。日本ではまだまだクラウドファンディングが浸透していないので、まず仕組みを理解していただくまでが大変で最初はずっと集まりませんでした。めげずに毎日Facebookで宣伝していたらシェアしてくれる人も増えて【終了の3時間前】に達成いたしました。
自分で稼ぐという遠回りをしなくても、公庫やクラウドファンディングを活用すれば資金調達ができます。すごい時代になりました。
「夢を取り戻せ!」
1つは、「自分にできることをやる」ということですね。できないことを中途半端にやるよりは、できることを、思いっきりやる。
実はわたし、料理ができないんですよ。料理ができないわたしが中途半端な料理を作るより商店街のど真ん中で持ち込み自由にしたほうがよっぽど美味しいものが食べられます。だから、思いきって乾きものしか出さないお店にしました。
それと、「夢を取り戻せ!」ということをお伝えしたいです。これは、当店のキャッチコピーですね。
忙殺された現代人はいつの間にか夢を忘れてしまったんでしょうね。なので夢を思い出す仕組みをたくさん考えました。
○歌手志望が聴かせる歌を歌う最新のカラオケ機器
○あなたの想いを書き出せる壁一面の黒板
○ひとりきりでアートと向き合うトイレ内の、世界一小さなミュージアム
○子どもの頃の夢を思い出す絵本棚
○飲食店独立を志す若者を叱咤激励するオーナーのわたしと、オススメの本
わたしは言います。その夢には、いったいいくら必要で、いつまでに実現するの?計画書なくして夢は実現しません。脳内の妄想を書き出して、視認できるようになれば人に見てもらえるようになります。そうすると、たくさんのアドバイスが加わって計画書は夢への道標となるのです。
わたしが持つフラッグシップ店。多くの若者たちがアヤノヤから帆を張って大海原に挑戦していくようになる。
「夢を取り戻せ!」
(取材協力:宅飲み居酒屋アヤノヤ/西田彩乃)
(編集:創業手帳編集部)