知名度ゼロでも採用の勝ち組になる6つのヒント
会社の知名度や人気に左右されない採用とは?
(執筆:採用支援サイト「ソーカツタイムズ」編集長 白井千絵)
(2015/12/22更新)
採用を行う上で、今やなくてはならないツールがWEBサイトです。しかし、求人サイトや自社サイトを通して様々な会社の求人情報が一斉に掲載されているため、創業したばかりの世の中に知られていない小さな会社は、求人していることさえ知ってもらうことができません。このコラムでは、知名度のない会社が存在を知ってもらい、欲しい人材に来てもらうにはどうしたらいいのか?をマーケティングの観点からご紹介します。
この記事の目次
1.「まず、検索」が採用の常識
「求人広告を出しても反応がない」「応募がなかなか集まらない」―――― 一部の大手企業をのぞいて、多くの会社からこのような厳しい声を伺います。それでは、なぜ応募がないのでしょうか?
応募が集まらない多くの理由は、仕事選びのスタイルにあります。
ご存知のとおり、インターネットが普及した現在の仕事探しでは、まず「検索」することが基本になっています。
仕事を探す場合は、社名または職種・業種で探しますが、創業間もない小さな会社では、社名の認知度がないため、そもそも社名で検索されないという実状があります。
職種・業種で仕事を探す場合も、知名度の高い大手企業を除いては、上位に表示されなければ、求人情報までなかなか辿りつくことができません。
そこで、大切なのがマーケティングの視点です。マーケティングの視点に立って、応募に結びつかない要因を明らかにすることで、戦略的に人材を確保することができます。
- 応募に至らない原因とは?
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小さな会社では、その多くの場合、「検索されない」「検索しても表示されない」ことがなかなか応募に結びつかない要因になっています。
ハローワークや仲介者による紹介の場合も、社名を知った段階で「検索」することが現在の常識になっていますが、検索しても、募集要項だけで応募を決断するための情報が充分でなければ、応募に結びつきません。
2.会社の存在をアピールする「採用PR」
求人広告やハローワーク、人材紹介などの従来のサービスには、求職者が集まっており、仕事を探している顕在的な人材が集まっていることが最大のメリットです。
しかし、膨大な数の競合の中から、「検索」であなたの会社にたどり着くための施策が必要です。あなたの会社にたどり着くための第一ステップとして、まずはあなたの会社の存在を知ってもらうことが必要です。
会社の認知度を高めるひとつの手段として、おすすめしているのが「PR」の活用です。
PRとは、Public Relationsの略で、新聞やテレビなどの公のメディアに対して会社や商品のトピックスをニュースとして配信して記事として取り上げてもらうことです。
記事として客観的に報道されることで、求職活動を積極的に行っている潜在層だけでなく、求人サイトやハローワークなどに登録していない顕在層にもあなたの会社の存在を知ってもらうことができます。
つまり、PRを上手く活用することによって、戦略的に露出を高めて、幅広い層にあなたの会社の存在をアピールすることができます。
- 「PR」は、こんな採用の課題に適しています
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- 求人広告を出しても応募が集まらない
- 人気のない業種のため、そもそも興味を持ってもらえない
- 会社案内と募集要項だけの掲載に終始し、求職者の不安や心配事が払拭されていない
- 人材紹介やハローワークを通して応募があっても辞退されてしまう
3.求人広告と採用PRはどこが違うのか?
メディアへの露出を高めるという意味では、従来の求人広告と同じですが、PRと求人広告はどこが違うのでしょうか。ここで、それぞれの特徴を比較しておきましょう。
基本的に、広告を掲載する場合は、その掲載の決定権は広告主である会社側にあります。
PRの場合は、あくまでもニュースや記事のため、掲載の決定権は新聞社やTV局などの媒体社に決定権があります。
そのため、単なる募集要項を掲載してもニュースや記事として取り上げてもらうことはできません。つまり、社会的に価値のあるニュースやトレンド感のある情報でなければ、取り上げてもらえないということです。
ここに、広告とPRの大きな違いがあります。
掲載を新聞社やTV局のような第三者が客観的に掲載を決定するため、記事として取り上げられることで、会社への信用度が大きく向上するという効果が期待できます。
ここで注意しておきたいのが、採用の課題や目的にあわせた手法を活用することです。どちらの手法を活用するにしても、戦略のない闇雲な活用では、期待する効果が得られません。
4.採用の課題を逆手にとってニュース化する
前述でもご紹介したとおり、PRの場合は、掲載の決定権がメディア側にあります。
そのため、単に募集要項を掲載してもニュースや記事として取り上げられることはありません。
より多くのメディアに取り上げられるためには、業界や社会にとって価値のあるニュースをいかに提供することができるかが肝になります。
ここで、採用PRによって「応募が集まらない」という採用の課題を解決した例を1つご紹介しておきましょう。
- 建築関連のベンチャー「レイオンコンサルティング」の場合
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<採用の課題>
「きつい」「危険」「きたない」といわれる建設関連の会社。いわゆる人気のない業種がメイン事業。建設業と言えば、大手ゼネコンに注目が集まってしまい、なかなか応募が集まらなかった。
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<採用PR>
体力に自信のある体育会学生を対象にした「マッチョ採用」を実施し、同時に業界の画期的な取り組みとしてPR(ニュース)を配信。
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<媒体掲載例>
TV番組でマッチョ採用の選考会の様子が紹介され認知度が高まり、入社に意欲的な応募が集まった。レイオンコンサルティングの取り組みについては、私が運営している「ソーカツタイムズ」で詳しくご紹介しております。ぜひこちらもあわせてご覧ください。
5.単なる話題づくりで終わらせない
「マッチョ採用」という言葉だけ見ていくと、口コミや炎上をねらった話題づくりのように思われるかもしれませんが、単なる話題づくりとPRは似て非なるものです。
ここで特に注目しておきたいのが、「マッチョ採用」を実施するに至った背景です。
第一に、取り組みの意義が明確であること。そして、取り組みの背景に、業界や自社の課題を解消するための一貫したストーリーがあることです。
この違いが、単なる話題づくりとして終わってしまうか、会社の信頼度を向上する価値のあるニュースとして取り上げられるかの分かれ道になります。
レイオンコンサルティングの例では、「きつい」「危険」「きたいない」と若い世代に敬遠されてしまう業界であることを認めた上で、若い世代でも短期間でキャリアアップできる職場環境を提供していることが、信ぴょう性のあるニュースとして取り上げられる理由となっています。
- 「マッチョ採用」がニュース化される背景
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- 若くても実績を上げれば短期間でキャリアアップできること(キャリアアップ制度)
- 体力に自信があり、メンタルの強い体育会系出身者が活躍していること
- 景気に大きく左右される建築業界の中で、増収増益を達成こと
6.独自の魅力を再発見する
採用コンサルティングの現場で、私が最も残念に感じるのは、その会社で働く魅力や理由をまったく伝えていない会社が非常に多いことです。
第一章「応募に至らない原因」でもご紹介しましたが、せっかくあなたの会社の求人情報にたどり着いたとしても、検討する材料が会社情報や募集要項しか掲載されていなければ、報酬が高い、福利厚生が充実しているなど、好条件の会社に流れてしまいます。
「雰囲気の良い職場です」「人間関係が良く働きやすい職場です」などの決まり文句を掲載して安心している方もいらっしゃるかもしれませんが、求職者が知りたいのはあなたの会社ならではの独自の魅力です。
自社の魅力が伝えきれない、把握しきれていないというのは、求人サイトだから、PRだからという手法以前の問題です。
レイオンコンサルティングの例を見ても分かるように、不利な条件を不利な条件のままにせず、その会社独自の魅力に見直していく必要がります。
WEBサイトで説明していなくても、説明会や面接では説明していると考えるのは誤りです。現在の求職者は、まずWEBサイトを確認して応募を決断します。
また、WEBサイトで説明できていない会社は、概ねリアルな場面でも上手く説明できていないのが実状です。私が小さな会社にPRをおすすめる理由は、ここにあります。メディアという第三者にニュースとして取り上げてもらうためには、マーケティングの視点を持ち、独自の魅力や働く意義と真剣に考える必要があるからです。自社の魅力を伝えられない会社に、良い人材が来ないのは当然のこと。自社の魅力を見つめ直して求職者にしっかりと伝えていくことが、良い人材を獲得するすべての基本になります。
(監修:採用支援サイト「ソーカツタイムズ」編集長 白井千絵 )
(編集:創業手帳編集部)