固定費を削減する7つの方法とは?メリットや注意点を知って賢く利益向上しよう!
固定費の削減は継続的なコストカットに!企業の生産性や利益改善にもつながる!
事業を運営する時には、経費を分析して適切に管理することが重要です。
利益率を高めるためにも、経費がどのように計上されているのは把握しなければいけません。
固定費と変動費の違いや削減する方法を知り、企業の生産性や利益改善をはかるためにも、固定費の削減を検討してください。
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この記事の目次
企業の固定費には何がある?
企業が存続するためには、日常的に経費が発生します。経費は固定費と変動費に分けられ、変動費は、売上げなどに比例して増減するものをいいます。
具体的には、原材料費や仕入原価、販売手数料などが代表的な変動費です。
一方で、固定費は毎月一定額発生する費用となります。固定費は、売上げの増減に関係なく発生する費用です。減価償却費や地代家賃、水道光熱費などが挙げられます。
また、社員の給与や賞与、福利厚生費といった人件費も増減はあるものの毎月一定額発生するため、固定費です。
以下では、固定費の具体例をまとめています。
人件費 | 労働の対価として従業員に支払う費用。 給与、各種手当、通勤定期代、法定福利費も含まれる。 |
オフィス賃料・地代 | 毎月支払う家賃や地代。 |
通信費 | 電話やインターネットの通信費。 |
水道・光熱費 | 電気、水道、ガス代。 |
広告費・宣伝費 | 看板広告料や折込チラシなどの費用。 ただし、顧客数や売上数に応じて変動するノベルティ代などは変動費に分類される。 |
消耗品費 | コピー用紙やボールペン代など。 ただし、製造経費の消耗品費は変動費に分類されることもある。 |
減価償却費 | 毎年計上する減価償却費や固定資産税。 |
変動費との違い
固定費は売上げに関係なく計上される経費ですが、変動費は売上げに応じて金額が変わります。
ただし、固定費と変動費は、明確に区分できるとは限りません。
業種によっては、リース代や人件費、水道光熱費が変動費として扱われます。売上げが伸びて業務が増えれば残業代も発生するため、変動費に区分されます。
その経費が変動費と固定費のどちらの性質が強いかは、個別の判断が必要です。
企業の固定費を削減するメリットは?
経営で発生するコストのうち、変動費より把握しやすい固定費は削減しやすいコストです。
企業が固定費を削減するメリットについて紹介します。
売上げに対する利益が増加する
売上げが増えれば企業経営が安泰になるかというとそうではありません。売上げが大きくても固定費の割合が多ければ利益を残しにくくなってしまいます。
逆に、固定費を削減できれば売上げが伸びなくても利益率が高まるということです。
売上げを伸ばそうとすれば、相応の労力やコスト、時間がかかります。
一方で固定費の削減であれば、利益を増やすためのコストも少なく実現性も高い方法です。
業務の効率化・生産性の向上に期待ができる
固定費を削減するために、多くのアプローチがあります。
ペーパーレス化を進めて業務コストや保管スペースを減らしたり、簡単に導入できるSaaSサービスを活用したりといった方法があります。
従来の業務を見直すことの効果は、単純にコストを削減するだけではありません。
固定費を削減する見直しの過程で、業務を可視化できます。
固定費の削減は、より効率が良い方法を探す、生産性を向上させるためにも効果を発揮します。
継続的な効果が見込める
固定費はそもそも毎月一定額発生する費用なので、削減できれば効果が継続的する点が強みです。
変動費の削減よりも、長期的に費用削減効果が期待できます。
売上げの増減に関わらず削減のメリットを享受できるので、意識的に削減に取組む意味は大いにあります。
固定費を削減するための準備
固定費の削減と簡単にいっても、いきなり取組むとうまくいかないことがあります。
固定費を削減するための準備を進めておいてください。あらかじめ手を付けておきたい準備についてまとめました。
何にどのくらい固定費がかかっているか把握する
固定費を削減するには、まず全体の支出を把握してください。
全体を見渡すことなく、やみくもに費用を削減していると仕事のモチベーションが下がったり、提供する商品やサービスの質が落ちたりといった事態に陥ることがあります。
初めに帳簿や会計システムといった記録から、毎月何にいくらの費用が発生しているかを把握しましょう。
光熱費や消耗品のようにまとめて記録しているものがあれば、細分化することによってより細かい部分までわかるようになるかもしれません。
削減の目標を決める
固定費がどれだけ発生しているか確認したら、削減目標を設定してください。
目標は、毎月の経費に予算を立てたり、光熱費を〇%削減するといった具体的な数字で設定するようにします。
明確に目標を定めることによって、「このプランを導入すればいくらの削減になる」といった方策を具体的に計画を立てることが可能です。
また、目標を設定していないと無理な削減策立てて、経営に支障をきたすことがあります。
光熱費や通信費のプラン、インターネット回線の変更といった取組みは、実際にいくらの経費削減になるのかシミュレーションしてください。
削減の意図を社内全体で理解してもらう
固定費の削減策の中には、既存の仕組みやルール、労働環境の変更をともなうものもあります。
経営陣だけでなく現場に負担を強いるような削減策は、反感を持たれるリスクがあります。
従業員の労働環境悪化につながる可能性がある削減策は特に理解を得られるような工夫が必要です。
現場の事情を考慮せずに削減策を押し付けてしまえば、従業員のモチベーションを下げてしまいます。
従業員のモチベーションや労働意欲の低下、ひいては商品やサービス、顧客満足度の低下を招く恐れがあるので注意してください。
企業の固定費を削減する7つの方法とは?
ここからは、どうやって企業の固定費を削減すればいいのかについて紹介します。
企業の業態によって、適した方法は違います。自社に合った削減方法を選択してください。
1.人件費を抑える
固定費の中でも、比較的大きな割合を占めるのが人件費です。まず手を付けやすいのが、時間外労働です。
残業や時間外労働を削減するだけで、大幅にコストカットできるケースがあります。また、労務管理システムを導入して労働時間を見える化する方法もあります。
業務自体をIT化したり、単純作業は業務委託やアルバイト、人材派遣を活用してアウトソーシングしたりすることも検討してください。
人件費の中には、社会保険料のように法的に削減できないものや雇用契約、労働基準法で削減困難なものもあります。
削減によって従業員のモチベーション低下を招く恐れもあるので、慎重に行うようにします。
まずは、無駄な業務の削減から進めてください。
2.オフィス賃料・地代を見直す
オフィスの賃料や地代も、固定費の中で大きな割合を占めます。オフィスの家賃交渉を行うほか、より家賃が安い地域に引っ越す方法があります。
そのオフィスの規模が本当に必要なのか考えてみてください。
テレワークを推進することによって、事務所自体をコンパクトにする方法があります。
フレキシブルオフィスやサテライトオフィスといった柔軟に契約できるサービスも利用可能です。
すでにデスクやパソコンといった設備を備えているオフィスを借りて働く方法もあります。
必要最小限のオフィスからスタートして、従業員の増減に合わせて変えられるので無駄がなくオフィス運営できます。
3.通信費を見直す
電話代やインターネット回線は事業を行う上で必須です。通信費は、主にインターネット通信費と固定電話の回線費、携帯電話代やFAX代などで構成されています。
まずはインターネット回線とプロバイダを見直してみてください。インターネット回線とプロバイダは、業者によって大きく違います。
料金プランや特典を比較して安いところに乗り換える方法があります。
ただし、価格だけで選ぶと通信スピードや契約後のフォローが不十分なケースもあるため、価格とサービスのバランスを見極めてください。
電話代もキャリアやプランの見直しで安くなることがあります。
固定電話機の数によっても料金が異なることもあるため、固定電話の数が多すぎないかどうかも考えてください。
また、固定電話やFAXといった機器は本当に必要なのかを考え、不要であれば廃止することも検討しましょう。
4.水道・光熱費を削減する
電気やガスの自由化にともなって、多くの企業が新規参入しています。
電力やガスはエネルギー会社を自由に選べるようになっています。
法人プランの中にはお得なものもあるので、見積もりを取って契約内容と契約会社を見直してみてください。
5.広告・宣伝の方法を見直す
商品やサービスの販売促進のため、プロモーションは必要です。
しかし、費用対効果を確認するために効果測定して運用しなければ無駄なコストになってしまうことがあります。
広告がどれだけの効果を発揮しているのかを確認して、費用対効果が悪ければ取りやめも検討しましょう。
広告・宣伝にはいろいろある中で、多くの大企業で使われているのが代理店制度です。
これは、完全成果報酬で成果に見合ったマージンを支払う方法となります。
また、ブログやSNSを使ったアフィリエイト広告も同様に成果報酬なので無駄なコストを減らせます。
近年はWebサイトやSNSを使って、お金をかけずに集客したり認知度を高めたりすることができるようになりました。
広告・宣伝の方法を見直すことでよりパフォーマンスの高いプロモーションが可能です。
6.消耗品費を削減する
消耗品費は、それぞれのコストは少なくとも積み重ねれば大きな出費となります。毎月の消耗品を品目ごとに確認して無駄を把握してください。
紙でのやり取りが多い企業は、コピー用紙や印刷費用、バインダー、倉庫代がかさんでいるかもしれません。
経費精算システムや請求書発行システムなどを使って電子化、ペーパーレス化を推進してください。
ペーパーレス化を進めることで、紙に出力する必要がなくなり業務が効率化できる点も魅力です。
さらに、印刷や発送費用、保存スペースにかかる費用も削減できます。
7.減価償却費を削減する
減価償却費は、機械設備や車両など高価なものを購入した時に代金を一括にまとめるのではなく、分割して計上する方法です。
すでに減価償却費として計上したものの削減は困難ですが、これから導入する機械設備や車両については再検討できます。
例えば、新しいもの買わなくても現状の設備稼働率を高めて対応できないか、未稼働の設備がないかも考えましょう。
新しい設備を導入する時には、導入コストやメンテナンスがどれだけ発生するか把握するようにしてください。
車両は、保有していると税金や駐車場代、メンテナンス代も発生します。カーシェアリングなどを活用することも検討してください。
企業の固定費を削減する際の注意点
固定費の削減は、経営上では大きなメリットです。しかし、固定費を削減することによって従業員のモチベーションや生産性に影響するリスクもあります。
企業の固定費を削減する時の注意点を紹介します。
生産性やサービスの質が下がる方法は避ける
固定費の中には、人件費や光熱費、消耗品費のように生産性を維持するために必要な費用も含まれています。
例えば、水道光熱費を削減するためにエアコンを使わなければ、水道光熱費は下がっても生産性が悪化してしまうかもしれません。
無理なコスト削減は、生産性やサービス、顧客満足度の低下につながるリスクがあります。
コスト削減を最終的な目的にしてしまうと、本来企業が生み出すべき価値を見失ってしまいます。
コスト削減でどのような影響があるのか、事業における価値基準はどこにあるのかを明確にしなければいけません。
長期的な視点で取組む
固定費は、事業を支えている費用です。そのため、質を下げられないものも多くあります。
短期的に削減効果を上げるのではなく、長期的に取組み続けるようにしてください。
例えば、ペーパーレス化は導入してから運用が安定するまでに時間がかかります。また、料金プランのように定期的な見直しが必要なものもあります。
長期的にコスト削減意識を持ち続けられるように、担当者を設定することも有効です。
従業員の負担増加やモチベーション低下に留意する
人件費の削減など働き方に影響する施策やペーパーレス化、リモートワークといった新しい取組みは現場で働く従業員から不満の声が上がることがあります。
業務環境に影響する取組みを導入する時には、事前に説明会やガイダンスを行って理解を得るようにしてください。
また、導入して終わりではなく導入後の不満や不都合がないかヒアリングするといったアフターフォローも重要です。
現場の事情や従業員の労働環境に配慮した上でコスト削減を行います。
企業の固定費を削減するには長期的な視点と無理なくできる方法を選ぼう!
固定費は、毎月一定額を支払う費用です。一度減らせれば、それ以降もメリットを享受し続けられます。
無理をして一時的に変動費を減らすよりも、固定費をどうやったら減らせられるかを考えてください。
長期的な視点で固定費を見直すことを、おすすめします。
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(編集:創業手帳編集部)