注目のスタートアップ

スペースデブリ除去など軌道上サービスに取り組む「アストロスケールホールディングス」が10億円調達

company

2023年10月6日、株式会社アストロスケールホールディングスは、株式会社みずほ銀行から10億円の資金調達を実施したことを発表しました。

これにより、2023年2月発表の調達額と合わせたシリーズG調達総額は約111億円、創業からの累計調達額は約445億円となりました。

今回の資金は、新規案件への投資に活用します。

アストロスケールホールディングスは、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去など、軌道上サービスの研究・開発に取り組んでいます。

スペースデブリの低減・除去策として、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去(EOL)、既存デブリの除去(ADR)、寿命延長(LEX)、故障機や物体の観測・点検(ISSA)など、軌道上サービスの実現を目指し技術開発を進めています。

国内では、大型デブリ除去等の技術実証を目指す、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証フェーズIの契約相手方として選定され、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ:Active Debris Removal by Astroscale-Japan)」を開発し、ニュージーランドへの出荷を完了しています。

英国では、英国宇宙庁(UKSA)とのパートナーシップで、デブリ除去プログラム「COSMIC」に取り組んでいるほか、OneWeb社、UKSA、欧州宇宙機関(ESA)と連携して開発を進めるデブリ除去衛星「ELSA-M」の実証を2025年ごろに予定しています。

さらに米国では、アメリカ宇宙軍の宇宙システム軍団から、軌道上で衛星に燃料補給サービスを提供する宇宙機のプロトタイプの開発にかかる2,550万ドルの契約を受注しています。また、米国空軍研究所やアメリカ宇宙軍を含む政府機関と軌道上サービスの研究開発において連携しています。

アストロスケールフランスでは、フランス国立宇宙研究センター(CNES)とデブリ除去研究に関する契約を締結しています。


2010年の世界の宇宙ビジネス市場規模は約27兆円でしたが、2019年には約40兆円に拡大しています。さらに2040年代には100兆円を超えると予測されており、宇宙ビジネスは世界的に成長市場として認識されています。

この成長の背後には、超小型衛星の発展があります。

従来の中大型人工衛星が数百キログラムから数トンの重さを持つのに対し、現在は1キログラムから数十キログラムの小型人工衛星が実現されています。この小型化により、打ち上げコストの削減やロケットの小型化・低コスト化などが実現され、民間企業にも参入できる市場となりました。その結果、世界中での人工衛星の打ち上げ数が急増し、2011年には129機だったものが2021年には1,809機に達しています。

しかしながら、このような人工衛星の急増に伴い、スペースデブリ問題が浮上しています。

スペースデブリとは、使用済みの衛星、故障した衛星、打ち上げたロケットの上段、爆発や衝突によって発生した破片など、宇宙のゴミとして軌道上に残るものです。

スペースデブリは高速で移動しており、宇宙機や人工衛星との衝突により大きな被害をもたらす可能性があります。

アストロスケールホールディングスは、このスペースデブリ問題に対処するため、衛星運用終了時のデブリ生成防止、既存のデブリの除去、寿命延長、故障機や物体の観測・点検など、軌道上でのサービスを開発しています。これにより、持続可能な宇宙環境の実現を目指しています。

スケールの大きなビジネスには、豊富な資金や、数々のパートナーシップの構築などが必要となります。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、創業期の資金調達について詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ BtoB アストロスケールホールディングス インフラ スペース・デブリ スペースデブリ みずほ銀行 宇宙 宇宙インフラ 宇宙ゴミ 宇宙ビジネス 株式会社 資金調達 軌道上サービス 除去
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
法人成りとは?個人事業主が「法人化」をするメリット・デメリットや手続きなどを解説!
持続化給付金の申請開始!最大200万円給付で事業を下支えー概要やポイントは?
クラウド会計ソフト「freee(フリー)会計」を実際に使ってみた
有限会社とは?なぜもう設立できないのか?
【起業準備】会社設立前に絶対にやるべき10のアクションリスト
【初心者向け】事業計画書の書き方18ステップ|起業・融資対応テンプレート付

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

不動産管理会社と入居者をつなぐアプリ「totono」などを提供する「スマサポ」と「大東建託パートナーズ」が資本業務提携
2022年8月1日、株式会社スマサポは、大東建託パートナーズ株式会社と資本業務提携契約を締結したことを発表しました。 スマサポは、不動産管理会社と入居者をつなぐ入居者アプリ「totono」や、不動産の…
AIマッチングテクノロジーを活用したSES企業「Rezon」が3000万円調達
2024年12月2日、株式会社Rezonは、総額3000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 Rezonは、ITエンジニア・現場の不安やミスマッチを軽減し、さらにエンジニアへの高還元とキャリア…
在留外国人向け求人サービス「YOLOバイト」など運営の「YOLO JAPAN」が資金調達
2020年4月7日、株式会社YOLO JAPANは、資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、株式会社JR西日本イノベーションズです。 外国人向けの求人掲載メディア「YOLOバイト」や、留学生…
日本の映像コンテンツの世界流通を手がける「REMOW」が1億円調達
2023年1月27日、REMOW株式会社は、総額1億円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、株式会社MBSメディアホールディングス、株式会社TBSホールディングスです。 REMOWは、日…
TikTokのマーケティングエージェンシー事業を展開する「NEL」が資金調達
2023年3月2日、NEL株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。 NELは、TikTokのマーケティングエージェンシー事業を展開しています。 縦型動画を中心に、企業の要望に合わせたキャステ…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集