成功するスタートアップの採用戦略!優秀な人材をどう獲得する?
スタートアップの採用が難しいとされる原因を解消し、採用を成功させるための手法とポイントを徹底解説
スタートアップが成功するかどうかを決定する重要なファクターが、採用です。難しいといわれるスタートアップ採用を成功させるために必要なこととは何でしょうか。
本記事では、限られたリソースと変化の激しい経営状況や社内環境の中で、企業の成長を担う優秀な人材を獲得するために必要な戦略と手法、プロセスについて解説します。
重要な成長フェーズにおける人材獲得に失敗しないための参考にしてください。
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この記事の目次
スタートアップにとって優秀な人材とは?
スタートアップは事業の立ち上げや成長に注目されますが、人材の採用も重要な仕事です。
どれだけ優秀な人材を確保できるかによってスタートアップの将来は変わります。
ここでは、スタートアップの企業にとってどのような人材が優秀なのかをまとめていきます。
共に成長できる人
スタートアップにとって大切な人材の条件は、成長しようという意志があることです。
企業のビジョンに共感して同じ方向を向いて成長しようと思える人や、会社の躍進のために自己研鑽できる人が求められます。
スタートアップには、欠けている部分や補わなければならない要素が多くあります。
理想と現状のギャップを把握して、足りないものを埋めるために自分で経験やスキルを積める人材は、採用後の活躍が期待できるでしょう。
意思決定力が高い人
スタートアップと他の企業の大きな違いは、実績や成功例の量です。
実績が少ないスタートアップ企業では、自分で判断して実行できる意思決定力が強い人が求められます。
実績が少ない分だけ自分で決定しなければならないことも多く、迅速で的確な状況判断と柔軟でスピーディーな判断力が必要です。
自走できる人
スタートアップでは、組織体制や指示系統が整っていないことも珍しくありません。
指示を待つのではなく自分自身で課題や仕事を考えて、自ら行動を起こす力や思い切りの良さが必要です。
既存の枠組みにとらわれず、自分から動けるような人がスタートアップでは活躍できます。
スタートアップで優秀な人材の採用が難しい理由
成長段階のスタートアップは多くの人材が必要ですが、優秀な人材の確保は決して簡単ではありません。
スタートアップで優秀な人材を採用するのが難しい理由をまとめました。
即戦力になる人材は獲得のための競争率が高い
スタートアップでは、即戦力としてすぐに活躍できる人材を求めます。
育成しなくても現場で働けるようなスキルや実績を持つ人は、どの企業でも欲しいものです。
他の企業と競合して人材を求めるため、スタートアップだと獲得が困難なケースがあります。
大企業より知名度や待遇面で劣ってしまう
スタートアップ企業は大手企業と比較して知名度が劣り、良い待遇を用意する余裕がありません。
そのため、大手企業から引き合いがあるような人材を確保するのは困難です。
企業も優秀な人材には待遇を良くして離職対策を行ってます。また、転職したとしても取引先企業からのスカウトされるケースが多いです。
そういった理由により、採用市場で優秀な人材と出会いにくいことが考えられます。
スタートアップの採用戦略で重要なポイント3つ
スタートアップの採用は、やみくもに続けるのではなく、戦略的に行ってください。
採用戦略で重視するべきポイントを3つにまとめて紹介します。
①転職潜在層へのアプローチ
採用市場は、すでに転職活動をしている人だけでなく転職潜在層もターゲットです。
転職活動をしていなくても、良い会社があれば転職したいと考えている人は多く存在しています。
本格的に転職活動をしていない層をターゲットに、まずは会社を知ってもらって転職先候補として選ばれるようアプローチしてください。
②採用CXで大企業との差別化
採用CXは「Candidate Experience」の略称で、直訳すると「候補者体験」となります。採用活動では、候補者が自社を知って応募を検討、選考まで多くの接点が生まれます。
採用の各段階で付加価値がある体験を提供できれば、選考離脱や内定辞退も防止可能です。
採用CXは入社後のエンゲージメント、愛着心の向上を促すほか、大企業と差別化するにも効果的な手法となります。
③ストックオプションなど独自のメリットをアピール
求職者は、会社自体の魅力やビジネスの将来性とともに、各企業の待遇や雇用条件を比較します。
採用市場で競合他社に差をつけるのであれば、提示年収やストックオプション、福利厚生など、入社メリットをハード・ソフト双方の面からアピールしてください。
スタートアップは、給与や待遇面で大企業ほどの好条件は出せないかもしれません。
ストックオプションは単なる制度としてではなく、会社がストックオプション付与する意味、価値まで伝えるようにしてください。
条件を提示する時にはストックオプションのような独自の制度について説明を加えることが重要です。
スタートアップの採用成功に効果的な採用手法6つ
スタートアップが優秀な人材を確保するには採用手法も工夫します。どのような採用方法があるのか紹介します。
①採用広報
採用活動として初めにスタートアップがするべきなのが、認知度を高めるための採用広報です。
どれだけ魅力的な会社であっても、知られていなければ応募がないかもしれません。積極的に自社の魅力を発信してください。
ただし、自社の魅力といっても給与や待遇に限定するのは間違いです。
自社の魅力であるビジョンやミッション、ビジネスモデルを発信して企業自身を好きになってもらうようにしましょう。
②SNS採用
広報と聞くと費用がかさむイメージがあるかもしれません。
スタートアップで広告費をあまりかけられない場合には、SNSを使った採用を検討してください。
SNSでの情報発信は、低コストで運用できる上、シェア機能によって広く拡散されれば多くの人に閲覧してもらえます。
SNSを使う強みは、アプローチできる人材の幅と広さです。ありのままを発信することで、自社理解を促進して入社後のギャップを減らす効果も期待できます。
③リファラル採用
リファラル採用は英語で「referral」となり、紹介を意味する言葉です。つまり、社員から人材を紹介してもらう採用手法をいいます。
リファラル採用の魅力は、手軽にスタートできてコストがかからない点です。
社員からの紹介であればスキルや実績、自社との相性を見極めやすいため、採用に時間をかけられない企業にも適しています。
ただし、社員から紹介を受ける方法に限定してしまうと、採用できる数や人材の幅に限界があります。
急成長期のスタートアップの人材確保手段として、リファラル採用だけでは間に合わなくなってしまうかもしれません。
リファラル採用だけに限定するのではなく、他の採用手法と組み合わせるようにして活用しましょう。
④ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が直接候補者にアプローチする攻めの採用活動となります。SNSやスカウトによって、欲しい人材に個別に声をかける方法です。
採用にかかる手間や時間を最低限にして、欲しい人材にピンポイントでアプローチできます。
ダイレクトリクルーティングする相手は、必ずしも転職ニーズが高くありません。
能動的に転職しようとしているわけではない相手に対してアプローチするには、自社の魅力を伝えるだけでは不十分です。
なぜ自社に来て欲しいと感じたのか、どのように活躍してほしいのかといったスカウトする理由を伝えてください。
スキルや経験を評価されることに悪い気分を持つ人はいません。共感で訴求することも効果的です。
⑤ヘッドハンティング
採用に人材は時間をかけられない時には、ヘッドハンティングを活用してください。
ヘッドハンティングは、ヘッドハンティング会社に依頼して求めるスキルや経験の人物にアプローチする方法です。
ヘッドハンティング会社を介することで、転職市場に出回っていない優秀な人材を獲得できます。
採用した場合には、ヘッドハンティング会社に契約金と成功報酬を支払う必要があるため、費用は大きくなる傾向があります。
⑥インターン
求職者に実際に仕事に参加してもらうことで現場の空気を知ってもらうインターンシップは、スタートアップでも活用されています。
新卒採用の場合、働いた時の自分の姿や仕事のイメージがつかめていないケースが多くあります。
インターンやお試し採用を経て正式採用したほうが、企業への理解が深まり企業側もミスマッチによる早期退職リスクを軽減できるでしょう。
ビジネスの現場から学べることが多くあります。飛躍的な成長が期待できる学生のうちにインターンを経験してもらうことで、自分で考えて動ける人材を育成できるのです。
スタートアップ採用で成功するプロセス5つ
スタートアップの採用は、一般的な企業の採用とはまったく違います。ここでは、スタートアップ採用で成功するために必要なことを5つに絞って紹介します。
①採用が必要となる課題を洗い出す
採用をスタートする前に、採用が必要となる理由、現状の課題を明確にしてください。
スキルや実績があり即戦力となる人が足りていないのか、これから会社とともに成長していく人材を求めているのかによって採用の方向性はまったく違います。
自社でどのような人材が足りていないかを見極めるとともに、求める人物像を採用担当者同士が共有してください。
人物像が明確になっていると選考もスムーズに進みやすくなります。
②社内の現状を可視化する
採用活動は企業全体に関わる仕事です。社内の現状がどのような状態にあるか、事業計画と社内リソースの配分状況を可視化してください。
その上で、必要な人材、人数を検討します。
スタートアップは成長フェーズによって採用の戦略が変わります。
自社がどのフェーズにあるのか、将来的にどれだけ採用してどの規模を目指すかまで可視化するようにしましょう。
③「採用以外」で課題を解決する方法を考える
自社の課題を解決する方法が採用だけとは限りません。もしも、採用以外に解決法としてリソースの再配分や外部リソースの利用が挙げられます。
具体的には、営業が足りない場合は単純に営業人材を採用するのではなく、代理店販売を検討するとよいかもしれません。
複数の事業があって手が足りない時には、人材を補充するのではなく、リソースをコア事業に集中することも解決手段です。
人は一度採用すると様々なコストが発生します。採用してから気軽に取り消すようなことはできません。
採用に頼らず課題を解決する方法がないかを考えて、慎重に採用活動を進めるようにしてください。
④求める人物像や採用基準を決定する
採用活動に当たって、あらかじめ採用基準を定めておきます。採用基準は採用目的との整合性に注意してください。
採用基準に具体的なスキルがある場合には、必要資格や必要経験年数を定めます。コミュニケーション能力の高さや、意欲といった人物像も決めておくべき要素です。
これらを基準として以降の選考を進められるように、採用担当者同士で認識に齟齬が生まれないように決定してください。
⑤具体的な採用手法を決定する
スタートアップは認知度が低いため、採用手法にも工夫が必要です。単純に求人を掲載したとしても、大手企業の求人に埋もれてしまうかもしれません。
欲しい人材を獲得するために適した媒体を選んで、採用施策を策定・実行します。
優秀な転職潜在層にリーチするには、受動的な採用手法だけでなくダイレクトリクルーティングのような能動的な採用手法も検討してください。
採用が始まってからは、効果測定を定期的に実施しましょう。採用サイトやSNSアカウントへのアクセス数や、応募率、面談実施率などを分析し、適宜修正するようにします。
改善した採用手法を実施して再度効果測定、修正といったPDCAを回すことでより自社に適した採用手法が確立されます。
まとめ
スタートアップの採用は難しいと感じるのは、決して特別なケースではありません。
知名度の低さや大手企業との競合が原因で想定していたような人材を集められないことは、スタートアップの採用の現場では頻繁に起こります。
スタートアップの採用がうまくいかないのは、一般的な採用手法にこだわりすぎていることが原因かもしれません。
限られた経営資源や環境の中で自社だからできるアピールや採用手法にトライしてみてください。
(編集:創業手帳編集部)
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