注目のスタートアップ

環境負荷の低い農業の普及に取り組む「坂ノ途中」が「双日」と資本業務提携

company

2023年8月8日、株式会社坂ノ途中は、双日株式会社と資本業務提携したことを発表しました。

坂ノ途中は、新たに農業をはじめた新規参入者などをパートナーに、化学合成農薬や化学肥料を使用せずに育てられた農産物の流通販売を手がけています。

新規就農者が生産する収穫が少量・不安定な農産物を適正価格で取り扱い、新規就農者が農業を続けていくことを支援すると同時に、環境負荷の低減を目指した農業を推進しています。

仕入れた農産物は、自社EC、定期宅配、リアル店舗、スーパーなどの小売店といった多様な販路を通じて販売しています。

双日は、全世界で自動車やプラント・エネルギー・金属資源・化学品・食料資源などのビジネスを展開しています。また、国産農作物の販路開拓や商品開発に取り組んでいます。

今回の提携により、有機農業の拡大を見据えたシナジー効果を生み出していきます。


世界では大規模で深刻な災害が多発するようになり、環境・社会の悪化を食い止め、改善していくという取り組みは、事業を今後続けていくために必要不可欠であるという認識が世界的に共有されはじめています。

こうした背景から、さまざまな領域で環境負荷の低減に向けた取り組みなどが進められています。

農業の領域では世界的に有機栽培がトレンドとなっています。これは従来の農薬や化学肥料を利用する慣行農業が環境負荷の高いものであることが理由です。

農業と環境は密接なつながりがあるため、今後持続的に農業を行い、食料を生産するには、環境負荷の低い方法に転換する必要があります。

しかし日本では現在もかなりの割合の農家が慣行農業を行っています。

日本において有機農業が拡大しない理由はいくつかあります。たとえば、日本は高温多湿の気候であり他国よりも病虫害の被害に遭いやすく安定した収量を確保するには農薬の使用が避けられない、病虫害のリスクを抑えるため非効率的な多品目栽培をとる必要があり有機農業の大規模化が困難、有機農産物は高付加価値であるものの栽培にコストがかかり慣行農業よりも収益が低下してしまうといったことが挙げられます。

2020年において有機農業がすべての農地に占める割合は0.6%とかなり低い割合となっています。とはいえ、2010年から比べると51%増加しており、今後のさらなる拡大が期待されています。

さらに、日本の農業では農業人口の減少も課題となっています。農林水産省の「令和3年新規就農者調査結果」によると、2021年の新規就農者は5万2,290人で前年に比べて2.7%減少しています。一方、49歳以下は1万8,420人(前年比0.2%増)とわずかながらも増加しており、若年層の人口増加が期待されています。

こうした若年層は有機栽培などに取り組むケースが多く、今後の農業の発展のためにはこれら若年層の農家を支援することが重要です。しかし、有機栽培は収量が少なく、さらに安定しないことから、販路を確立することが困難であるという課題を抱えています。

坂ノ途中は、こうした新規就農者に対し、収量が少なく安定していなくても農産物を適正な価格で継続的に販売できる仕組みを構築することで、農業を始めやすい・続けやすい世界の実現を目指しています。

企業・事業の成長には戦略的な資金調達やシナジーのある企業との提携が重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ サステナブル バリューチェーン 双日 坂ノ途中 小売 新規就農 新規就農者 有機栽培 株式会社 流通 環境 環境負荷 生産物 資本業務提携 資金調達 農家 農業 農産物
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
法人成りとは?個人事業主が「法人化」をするメリット・デメリットや手続きなどを解説!
【起業準備】会社設立前に絶対にやるべき10のアクションリスト
キャッシュフロー計算書のサムネイル
キャッシュフローとは?計算書(C/F)の見方や作り方などをわかりやすく解説!
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!
合同会社とは?メリット・デメリット、株式会社との違いをわかりやすく解説
【2025年版】補助金・助成金を活用しよう!起業・創業・開業に役立つ15選の制度

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

保険管理アプリ「保険簿」提供の「IB」が2億円超の資金調達を実施
2022年5月20日、株式会社IBは、総額2億円超の資金調達を実施したことを発表しました。 IBは、保険管理アプリ「保険簿」を提供しています。 加入している保険をデジタル管理することにより、保険の請求…
物語を通じて作家・作品と出会うEコマース「ナラティブ・プラットフォーム」を運営する「物語運輸」が資金調達
2024年1月5日、物語運輸株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。 物語運輸は、物語を通じて作家・作品と出会うEコマース「ナラティブ・プラットフォーム(ナラプラ)」を運営しています。 職人…
ブロックチェーン技術を活用したファンプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」展開の「Gaudiy」が25億円調達
2022年6月1日、株式会社Gaudiyは、総額25億円の資金調達を実施したことを発表しました。 Gaudiyは、ブロックチェーン技術を活用したファンプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」を…
令和7年度「ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業(製品開発助成)」説明会が開催【6/25開催】
令和7年度「ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業(製品開発助成)」(ゼロエミッション助成金)説明会のご案内です。 ゼロエミッションに資する製品の開発、改良、規格等適合化に取り組む都内中小企業等…
環境に配慮されたアパレルブランドを運営する「SHEMM」が7,000万円調達
2023年12月7日、株式会社SHEMMは、総額約7,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 SHEMMは、環境に配慮されたアパレルブランド「SHEMM(シェム)」を運営しています。 オリ…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集