融資が通る!飲食店創業計画書の書き方のポイント  ~取扱い商品・サービスの内容 セールスポイント編~

資金調達手帳

メニューとコンセプトから経営戦略を伝える

融資が通る創業計画書の書き方

日本政策金融公庫の借り入れ申し込みのポイント3つめが「取扱商品・サービス」と「セールスポイント」です。

飲食店にとって商品、サービスとはなにか?と思ってしまいますが、難しく考えることはありません。書き方はありますし、それは開店にも必要な情報です。しっかりと開店準備をしていれば、簡単に書くことができます。

逆に、開店をしようとしている人で、これから説明する内容を考えていないのならば、開店を少し延期した方が良いでしょう。それほど基本的なことです。

※この解説は、日本政策金融公庫が発行している冊子「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引き+」に載っているチェックポイントを元に、私が携わった飲食店開店のコンサルタントと、日本政策金融公庫の担当者との面談の中で気づいた事を加えて書いています。

【取扱商品・サービス内容 このコンテンツについて】

飲食店にとっての取扱商品、サービス内容とはなにか?

あまり難しく考えなくても良いです。それはあなたがお客さんに出そうと考えている料理やお酒です。さらにお客さんへあなたが伝えたいお店のコンセプトです。それを一番分かりやすく表しているものがあります。開店までに用意するメニューです。

ただし、日本政策金融公庫に提出する資料に、メニューを貼付ければ良いという訳でもありません。お金を借りるためには、そのビジネスの収支が分からないといけません。別添資料としてそのメニューに、売値だけでなく、原価、原価率をしっかりと入れておきましょう。なお、提出するのはワードなどで作成したもので十分です。

メニューの項目は、カテゴリ別にしておくと見やすいです。これはお客に見せるものも同じです。例えば大枠はフード・ドリンクなどとします。さらに細かく分類をしていきます。フードならサラダ、お刺身、炒め物、揚げ物、お肉料理、お魚料理、汁物など、ドリンクならビール、ワイン、焼酎、日本酒、サワーなどにわけると見やすいでしょう。特におすすめのメニューは写真などをつけるのも効果的です。

ここで、メニューを作る際のコツをお教えします。それは、メニューがお店のコンセプトに沿っているかということです。お店のコンセプトとは「無農薬野菜を美味しく楽しめるレストラン」などです。そんなお店コンセプトで、メニューには野菜のないお肉やお魚の料理ばかりが載っていたら、このお店は大丈夫か?と思ってしまい、融資が難しくなってしまいます。

コンセプトとメニューが決まっていれば、「ターゲット客層」や「ターゲット層の利用動機」が分かりやすくなります。そして、お客さんが喜ぶ料理やお酒、価格が決まります。
もし、時間があるならメニュー表の原価についてレシピシートを添付して原材料、使用料、加工法なども記載すると更にプラス要因になると思います。

最後にフードとドリンクの売上のシェアについても書いておきましょう。

【セールスポイント】

セールスポイントとは、あなたのお店が他のお店と比較したときに異なっている売りとなるポイントです。それはお店コンセプトや料理やお酒のユニークさだけではないです。同じようなお店が同じ商業圏にある場合は、質や値段なども差別化要因となります。

①立地の特性

他のビジネスと異なり、飲食店にとって立地は特に重要です。集客の要素の4〜6割を占めるともいわれています。そのため、日本政策金融公庫の融資にとっても、どのような立地なのかということはかなり審査上重要な要素になっていきます。

ただし、家賃が安く、平日も土日も集客が簡単にできるような立地というのはありません。例えば、飲食店の多い銀座でも土日の夜の集客は厳しくなるというデメリットがあります。
その中で、あなたのお店の立地の特性を下記の観点から一つずつ説明をしていくと良いでしょう。

  • お店の周辺環境は?
  • 住宅立地、ビジネス立地、繁華街立地など

  • その立地の問題点は?
  • 立地の良い所をアピールするより、その立地の問題点を知っていて対策を考えていることをアピールしましょう。先ほどの銀座の例もそうですし、住宅街の場合は平日が売上落ちるといった例があります。

  • 立地特性の問題点に対する対策は?
  • 住宅立地の例でいえば、ハッピーマンデーなどでドリンクをビール以外半額にして平日の集客を強化するといった工夫があります。こういった集客方法は、既存のお店がどんなことをやっているかを見ると、よいアイデアが浮かぶでしょう。

②競合店調査

日本政策金融公庫としても、近隣に同じ業態=競合店があるかを気にします。

そして、競合店がある場合には、なぜ自分の飲食店がライバル店に負けないかと言う理由を記載できるとよいです。

具体的にライバル店を最低3から4店舗上げて、ライバル店の特徴や自分の飲食店がライバル店に負けない理由、差別化要因を記載してください。
この時、現地での調査は勿論、飲食店の集客サイトを参考にするのもよいと思います。 同業者マーケティングをしっかりやって、自分のお店の戦略を練っていますというアピールになります。

【その他】

最後に、日本政策金融公庫が発行している「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引き+」から紹介します。

  • 商品・サービスのセールスポイントは何ですか?
  • 接客面のセールスポイントは何ですか?
  • それ以外のセールスポイントはありますか?
  • 他店ではなくあなたのお店を選んでもらえる理由を説明できますか?
  • お店のコンセプトに合った商品・サービスを提供できますか?

これらを書くときも、できるだけ具体的に書くようにしましょう。例えば、よくあるセールスポイントで、「アットホームな雰囲気の飲食店」というのがありますが、これではだめです。より具体的に書くようにしましょう。

このような漫然としたセールスポイントの場合、どういうコンセプトに基づいて、どんなイメージの内外装にして、どんな商品・サービスを提供するのかを具体的に考えておく必要があります。

言葉で表現しづらい場合は、内外装のデッサン、提供する料理の写真などを用いると相手、つまり日本政策金融公庫の融資担当者に伝わりやすくなります。

日本政策金融公庫の担当者がイメージが湧きやすいように抽象的でなく具体的に写真などを用いて下さいということがポイントになります。

以上のように 、創業計画書のポイント の「取扱商品・サービス」+「セールスポイント」は、飲食店経営戦略をアピールできる重要な記載箇所になります。

時間をかけて整理して考えていきましょう。飲食店を経営する戦略の基本となることですので、ここでしっかり考えることで、開業後の集客などを考える際に役に立っていきます。繁盛飲食店をOPENさせてお客様を幸せにしていきましょう!!

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(監修:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士)
(編集:創業手帳編集部)

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