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2022年3月23日AGREEBIT株式会社 桑原 英人|AIによる意見集約・ファシリテート・議論構造化の新サービスを展開する注目の企業
議論を深め、合意形成のために必要不可欠な ‶ファシリテート” をAI技術でカバーする事業で注目なのが、桑原英人さんが2019年3月に創業したAGREEBIT株式会社です。
何かについて大勢で議論をしたり、ブレストを行ったりするのはあらゆるシーンで発生します。その際に必要なのが「ファシリテーター」です。
ファシリテーターとは端的に言うと ‶取りまとめ役” のことです。
さまざまな意見を持つ人同士が言いたい放題言い合うだけでは、時間内に議論が収束しないばかりか、妙なわだかまりや険悪なムードさえ生まれてしまいかねません。
議論の場における個人の発言を促し吸い上げつつ、それぞれの意見を整理しながら議論の核となる部分を明確にしていき、参加メンバーそれぞれに納得させ、最終的な答えに導いていく役割がファシリテーターに求められるものです。
このファシリテート力いかんで、会議の生産性を高めたり、個々人からの自由な発想やアイデアや発言が出やすくなったり、その議論がより良質なものになったりするか否かが決まるといっても過言ではないくらい、とても重要な役割なのです。
現状ではファシリテート役は各議論の場に参加している人の中から選出されて、その人の技量で議事進行をしていますが、これだとどうしても個人差が生じてしまい、議論によってはスムーズに進行出来ないとか納得のいく答えを導き出すまでにかなりの時間を要するといった課題が残ります。
ファシリテート力を一定レベルに担保でき、どの議論の場においても適切な進行を担える仕組みが整うとしたら、世の中の課題や社会問題の解決がより早くスムーズに出来るカギとなるのではないでしょうか?
今、より生産性の高い議論を展開し、議論の質を高め、最適解に導ける次世代ファシリテート技術の開発に、注目が集まっています。
AGREEBIT株式会社の事業の特長は、AIの技術によってぶれないファシリテート力を担保し、各議論をより深めたり、広げたりできることで、会議の生産性を高めることが出来る、という点です。
AGREEBIT株式会社の桑原英人さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクト開発するに至った経緯について教えてください。
10年以上前から大学研究室で研究を続け、国家プロジェクトの成果として誕生したエージェント技術を活かして開発したのがD-Agreeです。
D-Agreeを世界中の合意形成のプラットフォームとすることで社会貢献をしたいと考えて、2019年3月に設立したのがAGREEBIT株式会社です。
コロナ以前の社会では、議論の場は同じ空間・同じ時間に集まって行うことを前提としているため、集まることが難しく、議論をしても意見が出なかったり、意見が出てもまとめることが難しいなど、また声の大きな人の意見に引っ張られたり、忖度が発生するなど、多くの課題がありました。さらにファシリテーターの力量次第で議論の成果に差が生まれていました。
D-Agreeでは、議論の場はオンライン上に移行しAIがファシリテーションをおこないます、これにより世の中のディスカッションの課題を解決し、世界中の合意形成の支援をすることができると考え開発に至りました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
従来技術やサービスにない、リアルタイムでのAIによる議論構造の見える化とAIによるファシリテーションを同時に実現し意見集約や合意形成を支援する、世界的に見ても独自性を持ったSaaSサービスです。
対人間の専門家のファシリテーターと比較実験し、AIがファシリテーションしたディスカッションのほうが1.5倍~2倍の発言数が得られることがたデータ上明らかになっています。また、AIのファシリテーションでは、直近で2億以上のセンテンスによる世界最高レベルのAIによる自動ファシリテーションを実現しています。
・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?
議論は、性別、年齢、人種や民族に関係なく、全世界どこでもおこなわれることであり、世界中の多くの方に利用いただければと考えています。現時点では国内・海外ともに行政や教育機関での利用が進んでいます。
行政機関で利用が進んでいる理由は、新型コロナウィルスの影響で実際に集まることに制限があるためオンライン上で意見交換や意見集約をしたいという点と、従来おこなわれていたタウンミーティング等では、現役世代や若い方の参加が少なかったり、意見が出にくかったり、ファシリテーションが難しく議論がなかなか進まなかったりしたという課題にフィットしたからです。
オンラインで開催できれば、参加する側も場所の制約や移動にかかる労力がかからないため、より多くの人が参加できます。そして、会場の空気や、発言力の強い方に引っ張られることなく、フラットな気持ちで参加できることと、AIが進行役となり、中立的な立場でさらに議論を深めてくれるというメリットもあります。実際に人間がファシリテーションするよりも多くの意見を効率的に集めることができています。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
2019年3月に起業して、すぐにこのサービスを国内外に広めようと考えていたのですが、いろいろな企業や機関に提案しても「リアルで集まるほうが早いんじゃない?」「オンラインで議論にはならない」などの意見が多く、利用に至らなかったという経緯があります。
しかし、コロナ禍で状況が大きく変わりました。リアルの場で集まることができなくなり、導入が進み始めました。
2021年5月に正式版をローンチし、現在では延べ50のプロジェクト導入されています。
日本の他に、インドネシアや、アフガニスタンでの利用実績があります。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
AI・マルチエージェントの技術を使い、より高度にグローバルな事業展開ができればと思っています。
私たちは将来さまざまな場所にAIが存在し、AI同士が協調したり連携したりする社会が当たり前になると考えています。
そういった複数のAIの連携や協調を支えるのがマルチエージェント技術です。1人1台スマートフォンを持つ社会が来たように、1人に1つのAIを持つようになります。
人はAIと寄り添い、経験や知識を共有し、AIと一緒に考えを整理したり、議論の場ではAIと一緒に参加したりすることでより自分の考えを正しく発信できるようになる、たくさんのAIと人間が連携協調し、よりよい社会を創っていけるようなサービスに育てていきたいです。
・今の課題はなんですか?
今の課題はPMFに向けプロダクトを磨くことです。また実証実験を通じて、より多くの声をもらい、より良いサービスに進化していくことが、重要だと思っています。
・読者にメッセージをお願いします。
あらゆる人々が生きていく中で、人種や民族、性別、立場も関係なく、ひとりひとりが持っている意見をD-Agreeを使って公平に平等に発信できるようになること。それによって世界中の課題が解決につながり、どんどん世の中が明るくなる、AI・エージェントと共にそういった平和な未来を築くことに貢献していきたいと思っています。
会社名 | AGREEBIT株式会社 |
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代表者名 | 桑原 英人 |
創業年 | 2019年3月5日 |
資本金 | 11,650,100円(資本準備金含む-2021/3/31現在) |
事業内容 | ・議論・合意形成のためのD-Agreeサービス・ソフトウェアの提供 ・人工知能プログラムの研究・開発 ・AIに関連する教育事業、セミナー事業 ・AIやソフトウェアに関するコンサルティング |
サービス名 | D-Agree |
所在地 | 〒451-0042 愛知県名古屋市西区那古野2丁目14番1号 |
代表者プロフィール | ARCHES株式会社代表取締役社長 NPO法人プロジェクト名古屋 前理事長 元名古屋工業大学 プロジェクト准教授 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | AGREEBIT AI ディスカッション 効率化 意見集約 桑原英人 機械学習 |
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