ブロックチェーン超入門・起業家はブロックチェーンとどう関わるべきか?【活用を考える編】
ブロックチェーン技術を活用できるシステムやビジネス領域とは?
ブロックチェーンは金融業界に限らず、様々な領域で活用できる可能性を秘めた技術です。しかし、万能な技術というものは存在しません。ブロックチェーンにも得意・不得意があります。
前回の記事では「信用のコストを落とすことができる」「改ざんできない台帳である」といったブロックチェーンの技術的な特徴をご紹介しました。
今回は、ブロックチェーンはどのようなシステムやビジネス領域に取り入れていくのがよいのか、ブロックチェーンの向き・不向きについて解説します。
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この記事の目次
ブロックチェーン技術が向いているシステム
ブロックチェーンは基本的に改ざんが許されず、誰かとデータを共有する分野に向いています。
ブロックチェーンが向いているシステムとして、一般的に次のようなものがあります。
1.改ざんが致命的になるデータを扱うシステム
ブロックチェーンの改ざんできないという特徴は、改ざんが致命的になるデータを扱うシステムに向いています。
分かりやすい例としては、資産の所有権管理システムのようなものがあります。
2.不特定多数が参加するシステム
ブロックチェーンは、記録された取引履歴が改ざんできないため、ブロックチェーンに記録されている情報をもとに取引を行えば、そもそも相手を信用する必要がなくなるというメリットがあります。
そのため、お互いが信用できるかわからない、不特定多数が利用するシステムにはブロックチェーンが向いています。
3.事実確認が求められるシステム
原則的に、ブロックチェーンの台帳はすべてのノード(ネットワーク)に共有されているため、取引情報はノードを通じて誰でも閲覧できるようになっています。
一般的に、部外者が取引した個人名を判別することは困難ですが、取引が行われたという事実は確実にブロックチェーン上に残ります。そのため、取引の事実確認が求められるシステムにブロックチェーンが向いています。
4.リアルタイム性が求められないシステム
ブロックチェーンは、取引情報をブロックにためていき、ある程度たまったところで取引を確定させるという仕組みになっていることから、取引の確定までにはある程度のタイムラグが生じます。
そのため、現時点ではリアルタイム性が求められないシステムに向いています。ただし、最近はブロックチェーンではないものの、ブロックチェーンと同様のことができる技術が登場し、リアルタイム性が求められるシステムでも実用化されつつあります。
ブロックチェーン技術が向いているビジネス領域
ブロックチェーンが向いているビジネス領域は、基本的に先ほどのブロックチェーンが向いているシステムを利用するようなビジネスです。一例としては、次のようなものがあります。
1.手続きの自動化、低コスト化
会計・経費精算・送金・支払いなどをスマートコントラクトを使って自動化し、改ざん不能にすることができます。
2.効率的で安全なサプライチェーンの確立
原材料・製造・流通・販売などの流通過程をブロックチェーンに記録することで、情報の一貫性を確保でき、詳細な追跡ができるようになります。
3.シェアリングエコノミーの実現
不動産・知財・サービスなどの利用、移転、評価を効率的に運用することができます。
4.データの安全性確保
個人情報・ID情報・権利証明などをブロックチェーン上で扱えるようにすることによって、情報の悪用や流出のリスクを減らすことができるようになります。
上記は、現在ブロックチェーン応用の模索が盛んな領域でもあります。そもそもデータが改ざんできないということは、ほとんどのビジネスに必要とされることです。
そのため、ブロックチェーンのビジネス応用領域はかなり広いと考えることができます。
まとめ
今回は、ブロックチェーンの技術的特性をもとに、システム面とビジネス領域の2つの側面からブロックチェーンが向いているものを解説しました。
ただし、ご紹介したのは現状のブロックチェーンの技術特性に当てはめて考えたもの。今後のブロックチェーンや周辺技術の革新によって、条件が異なってくる可能性もあります。
日々進化していくブロックチェーン技術の動向を追って、正しく理解を深めながらビジネスに取り入れていきましょう。
(編集:創業手帳編集部)