クラウドサービスとは?種類や導入のメリットを分かりやすく解説

創業手帳

導入前に注意しておくべきポイントは?

(2019/04/26更新)

今回は「クラウドサービス」について解説します。

今、さまざまな分野のクラウドサービスが登場しており、上手に活用することで業務の効率化やコスト削減につなげることができます。しかし、「興味はあるけれど、具体的にどのようなサービスなのか?」「何ができるのか?」「安全性に問題はないのか?」など、クラウドサービスについての知識が不足していて、導入に踏み切れない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、これからクラウドサービスを導入したいと考えている方に向けて、クラウドサービスとは何かという基本的な点から、導入のメリット、選定の際の注意点についてお話します。

クラウドサービスとは

クラウドサービスを簡単に言うと、「インターネットを通じて、サービスを必要なときに必要なだけ利用できるサービス」のことです。

従来は、パソコンなどのハードウェアを購入し、個別のソフトウェアをインストールしないとサービスを使うことができませんでした。例えば、メールやワープロソフトを使うためには、パソコンを購入し、そこにOutlookやWordなどを個別にインストールする必要があり、そのサービスが使えるのは、インストールしたパソコンだけという制限もありました。

しかし、クラウドサービスの登場により、特別なインストール作業を経ることなく各サービスの利用ができるようになりました。パソコンやスマートフォンから携帯電話にアクセスすれば、場所や時間を問わずに活用することができるのです。

クラウドサービスには3つの種類がある

クラウドサービスは、仕組みの違いから大きく3つに分類できます。それぞれ「SaaS」「PaaS」「IaaS」と呼ばれています。この違いを、具体的なサービス名を挙げながらご説明します。

SaaS(Software as a Service)とは

SaaSとは、「Software as a Service」の略で、ソフトウェアを提供するクラウドサービスという意味です。利用者側が個別のソフトウェアをインストールするのではなく、インターネット経由でその機能を利用する仕組みです。

「一番身近で、簡単に利用できるクラウドサービス」といったイメージで、これまでパッケージ製品としてソフトウェアが販売されていたものをインターネット経由で利用できるようになったと考えるとわかりやすいと思います。

具体的には、「Gmail」などのメールサービスやブログサービス、「サイボウズ」などのグループウェア、「Salesforce」などの顧客管理システムが該当します。

PaaS(Platform as a Service)とは

PaaS「Platform as a Service」とは、開発環境自体を提供するクラウドサービスです。一般化されたSaaSではなく、自前のプログラムを使いたい場合に用いられます。

アプリケーションソフトを稼働させるためのデータベースや実行環境が提供されていて、プログラムさえ準備できればよいため、気軽に開発を行うことができます。

「Microsoft Azure」「Google Apps Engine」「Docker」などが該当します。

IaaS(Infrastructure as a Service)とは

IaaS「Infrastructure as a Service」とは、サーバー(インフラ)環境そのものを提供するクラウドサービスのことです。ハードウェアやネットワーク、セキュリティ対策の知識も必要ですが、その分自由度の高い開発が可能です。

「Google Compute 」「Amazon Elastic Compute Cloud」「ALTUS」などのサービスがあります。

クラウドサービス利用のメリット

クラウドサービスを導入すると、次のようなメリットが得られます。なお、ここでは、一般企業が業務の際に使うクラウドサービス(SaaS)を想定して説明します。

導入コスト削減ができる

従来はハードウェア・ソフトウェアを購入するために、導入時にまとまった資金が必要でした。場合によっては、開発費も必要だったかもしれません。しかし、クラウドサービスは毎月継続して利用料金を支払う形なので、導入時の資金負担が少なく済みます。

バックアップやアップグレードも必要ない

自分でソフトをインストールする場合、最新版の維持やデータの保持は使用者の責任となります。もしデータを紛失してしまったり、最新版へのアップグレードをしないままでトラブルになったりしても、ソフトの提供元は責任をとってくれません。一度ソフトを導入すると、バックアップなどの運用管理は企業内で行う必要がありました。

しかし、クラウドサービスの場合は、運用管理はサービスの提供側が行います。また、データの保持や最新版へのアップグレードもサービスの一環として行われます。バックアップやアップグレードを企業で担う必要がないので、社内の作業負担が減ります。

作業時間の短縮と効率化の実現

インストールして利用するタイプのツールは、利用までにさまざまな手続きが必要です。企業のIT部門がインストール作業やサーバー構築などを行わなくてはなりません。また、パソコンそのものにインストールするので、そのパソコンが壊れてしまったり、他の環境で作業したいと思ったときも対応できません。

クラウドサービスは、インターネットに接続されている機器があればいつでもどこからでも作業可能です。利用開始までのスピードも短縮できますし、さまざまな働き方も後押ししてくれます。

クラウドサービス利用の注意点

クラウドサービスは便利ですが、利用の際にはデメリットもあることを覚えておきましょう。

利用にはインターネット環境が必要

クラウドサービスを使うときには、必ずインターネット環境が必要です。ワードやエクセルをインストールしている場合は、移動中やWi-Fiがない場所でも変わらず作業はできますが、クラウドサービスの場合は利用ができなくなります。

セキュリティ対策が万全かどうか確認する

クラウドサービスを利用するということは、情報を外部に保管するということにもなります。自分がどこからでもアクセスできるということは、他人からもアクセスできる可能性があるということです。

もちろん、クラウドサービスはセキュリティ対策を講じているものですが、情報漏えい対策や不正アクセスへの対応をしっかりしているサービスを選ぶようにしましょう。

クラウドサービスの障害によるデータ消失の可能性

サービス側の障害でデータが消失してしまう可能性もあります。

クラウドサービスはデータ保存や利用が便利という側面もありますが、それだけで安心せずに、定期的にバックアップを取るようなフローにすると安心です。

カスタマイズの自由度が低い

ある程度パッケージ化されたサービスなので、企業に合わせたカスタマイズの自由度が低いです。オリジナリティをもたせたい場合は、最初から開発をするという選択も必要かもしれません。

サービスが終了する可能性

クラウドサービスは永続的なものである保証はありません。そのサービスに依存していると、サービスが終了したら他の手段に切り替えるのに苦労します。といっても、サービス終了は早めに告知されることがほとんどなので、その期間に準備をすることになります。

まとめ

クラウドサービスは、上手に活用することで業務効率化やコスト削減が図れます。特に導入時のコストの低さは大きなメリットなので、サービスを導入したいけれど初期費用がネックになりがちな創業時には強い味方です。特に、インターネットに繋がっている機器があればどこでも利用できるというのは非常に便利で、仕事の進め方にも良い影響を与えてくれるはずです。

セキュリティ面で不安がある方もいるかもしれませんが、セキュリティ対策を講じている企業を選ぶことでリスクを減らすことができます。

クラウドサービスのメリットやデメリットを理解して、業務に取り入れてみてください。

(編集:創業手帳編集部)

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