所得税の還付金をもらえるのはどんな時?受け取れる人や還付の時期などを解説

資金調達手帳

所得税の過払いや所得控除により還付金を受けられます。還付を受けられる人やいつ還付されるかを解説します。


個人事業主や給与所得者は、源泉徴収税の形で前もって所得税を納めています。しかし、年度終了後に過払い分があった場合は、還付金を受け取れます。
また、還付金は各種所得控除により発生するケースもあるため、所得控除を利用した人は還付金を受け取れる可能性が高いです。

今回は、所得税の還付金について受け取れる可能性のあるケースや、いつ受け取れるかを解説します。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください。

この記事の目次

還付金とは何か


こちらでは、還付金とはどのようなものかについて説明します。

還付金の概要

還付金は、あらかじめ納めている所得税が本来の税額を超えている、もしくは所得控除で所得を圧縮した場合に、超過分を納税する人に返還するものです。

還付金が発生するケース

では、実際に還付金が発生するケースとは、どのようなものでしょうか。下記で解説します。

源泉徴収税を支払いすぎている

個人事業主や給与所得者について、報酬や給与からあらかじめ差引かれている源泉徴収税の1年間の合計が、本来の所得税額よりも多い場合、所得税を支払いすぎています。
このような場合、確定申告および年末調整で本来の所得税額を超えた部分について、還付金として返ってきます。

退職して年末調整を受けていない人は注意

所得税を計算する年の年末までに退職し、その会社で年末調整を受けていない場合、在職中の所得税額を計算できません。

そのため、退職後に年末調整を受けていない場合には、自ら確定申告を行い、正しい所得税を申告した上で過払い分の還付金を受け取るようにしてください。

所得控除を受けている

税制上では、納税をする人の様々な事情を鑑み、所得から一定の金額を控除して所得税を軽減する所得控除の制度があります。
所得控除には多くのものが制定されており、条件に当てはまる人が申告を行うと、軽減した所得税と前もって納めていた源泉徴収税との差額を還付金として受け取れます。

予定納税を行っている

前年分の所得税額などにより計算した額が、5月15日現在で15万円以上である場合、前もって所得税を納付できる予定納税制度があります。
この場合にも、所得税を納め過ぎていた場合には、確定申告により還付金の受け取りが可能です。

還付金を受け取るための手続き

以下では、それぞれのケースで発生した還付金を受け取る時に必要な手続きを紹介します。

年末調整

年末調整は、会社に雇用されている給与所得者について会社が正しい税額を計算し、税務署に申告する手続きです。
この手続きにより、前もって給与から天引きされていた源泉徴収税と正しい所得税額との差額が明確になり、税金の支払いすぎがあった場合に還付金を受け取れます。

また、後述する所得控除を受ける場合は、年末調整の際に控除に応じた申告書を会社に提出しなくてはなりません。

確定申告

個人事業主で、報酬から源泉徴収税を支払っている人は、毎年の確定申告で過払い分が還付金として返ってきます。
給与所得者で年末調整を受けている人でも、一部の所得控除は年末調整では対応していないため、自ら確定申告するよう求められます。

所得税の還付が受けられる所得控除の種類


還付金の返還が見込める条件のひとつに所得控除があり、以下のような種類があります。

年末調整で対応できるもの

下記に示す主な所得控除は、年末調整の際に控除申告書を提出すれば、会社が対応してくれます。個人事業主の場合は、いずれの場合も確定申告を行います。

基礎控除

基礎控除は、事業所得や給与所得など、決められた区分の所得を得た人に対してほぼ条件なく差し引かれる控除のことです。

基礎控除額は、納税する人の年間合計所得金額(すべての所得を合計したもの)によって、以下のように決められています。

  • 合計所得金額が2,400万円以下…48万円
  • 合計所得金額が2,400万円超から2,450万円以下…32万円
  • 合計所得金額が2,450万円超から2,500万円以下…16万円
  • 合計所得金額が2,500万円超…適用なし

配偶者控除

納税する人に、税法上で定められた配偶者がいる場合に受けられる控除です。

一般的な配偶者控除の金額も、納税する人の年間合計所得金額により変動します。

  • 合計所得金額900万円以下…38万円
  • 合計所得金額900万円超から950万円以下…26万円
  • 合計所得金額950万円超から1,000万円以下…13万円

納税する人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、この控除の対象になりません。

保険料控除

健康保険や国民年金・厚生年金の保険料や、1年間に支払った保険料の合計を全額所得控除として差し引けます。
また、生命保険や地震保険に加入している場合、支払った保険料などに応じて決められた計算式があり、これで算出した金額が所得控除の金額として適用されます。

生命保険料控除や地震保険控除については、規定が複雑であるため、国税庁ホームページか税務署などで確認してください。

扶養控除

納税する人に、子供や親のように扶養家族がいる(配偶者を除く)場合、扶養控除を受けられます。控除額は、扶養家族の区分ごとに設定されています。

  • 所得税を計算する年の年末に16歳以上…38万円
  • 所得税を計算する年の年末に19歳以上23歳未満…63万円
  • 所得税を計算する年の年末に70歳以上
  • ※納税する人・配偶者と同居していない…48万円
    ※納税する人・配偶者と同居している…58万円

 

その他にもある所得控除

年末調整で対応できる所得控除の中で、以下で説明するものは、何らかの事情を持った一部の人に適用されるものです。

・障害者控除
納税する人もしくは家族が、税法上の障害者である場合に受けられるものです。

・ひとり親控除
税法で決められた条件により、ひとり親に該当する際に所得控除を受けられます。

・寡婦控除
ひとり親に該当しない場合でも別途条件を満たしていれば、この控除が適用されます。

・勤労学生控除
所定の学校に通いながら働いている人に対し、条件つきで控除が認められています。

所得金額調整控除

所得金額調整控除とは、給与所得者に対して控除できるもので、以下の2種類です。

・子供や税法上の特別障害者等がおり、納税する人の給与収入が850万円超の場合
上記の条件を満たした場合、以下のいずれかの人がいれば控除を受けられます。
※納税する人自身が特別障害者
※扶養家族が23歳以上
※生計を共にする家族が特別障害者である

・給与所得と年金所得を得ている場合
このケースでは、給与所得と年金所得の合計額が10万円超である場合に適用されます。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

税法上で、住宅借入金等特別控除と呼ばれる制度は、一般的に住宅ローン控除といわれています。
これは、住宅ローンにより自宅の購入・新築・増改築など(=取得)を行った際に、所得税を計算したい年の年末時点で残っている住宅ローンの残高から控除額を算出するものです。

住宅ローン控除については、適用されるための条件や住んでいた年数により、計算方法が細かく決められています。

住宅ローン控除を受けるための条件は、おおまかに下記のとおりです。

  • 取得日から半年以内に移り住み、所得税を計算する年の年末まで住み続けている
  • 所得税を計算する年の合計所得金額が3,000万円以下
  • 取得した住宅の床面積50平方メートル以上、床面積の半分以上を居住用としている
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上ある
  • など

 

特定支出控除

給与所得者に対して、税法上では特定支出の規定があります。この規定により、所得控除を受けることが可能です。

特定支出とは、以下にあげる決められた支出を指します。

  • 通勤費
  • 出張等の旅費交通費
  • 転勤にかかる転居費など
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 単身赴任などで勤務地と自宅の往復にかかる旅費
  • そのほか、業務に必要とされる各種資料費や制服費、交際費など

確定申告が必要なもの

次に、給与所得者・個人事業主にかかわらず確定申告が必要である所得控除を紹介しましょう。

雑損控除

雑損とは自宅や家財について、下記のような原因で生じる損失のことであり、所定の計算方法により雑損控除が受けられます。

  • 震災、水害、風害をはじめとする自然災害
  • 火災などの人的災害
  • 害虫などによる異常な被害
  • 盗難、横領

雑損控除の金額には計算方法があり、以下のように算出します。

1.差引損失額を求める
損害金額+災害等にかかる支出+保険金等の補てん額

2.2つの計算式によりいずれか多いほうが適用される

  • (差引損失額-総所得金額等)×10%
  • (差引損失額のうち災害にかかる支出)-5万円
  • ※総所得金額等=合計所得金額から繰越控除(過去の赤字分の控除)を行った上で、合算できる所得を足したもの

  • 柔道整復師などの資格取得者による施術料金

 

医療費控除

医療費控除は、所得税を計算したい年に、納税する人や配偶者、生計を共にする家族が医療機関などで医療行為を受けた際の費用から、所定の計算式で求めた金額を控除するものです。

この場合の医療費には、主に以下のようなものが含まれます。

  • 治療費
  • 処方された薬代
  • 入院費
  • 柔道整復師などの資格取得者による施術料金
  • 助産師による分娩費用
  • 介護福祉士による一定の介護行為
  • 所定の介護施設の利用費用
  • 治療、介護のための各種備品費用
  • 医療機関に通う交通費
  • など

 

医療費控除額は、1年間の医療費合計-保険金等の補てん金-10万円の計算式で求めます。

そのほか、特例として市販の薬の購入・健康診断・予防接種等にかかった金額を、一定額控除できるセルフメディケーション税制もあります。

寄付金控除

寄附金控除とは、所定の団体や機関に金銭の寄付(特定寄附金)を行った場合、決められた計算式で求めた金額の控除を受けられる制度です。

寄附金控除の適用を受けるための寄附は、以下のようなものです。

  • 国や地方自治体、公共団体への寄附(ふるさと納税を含む)
  • 一定の条件を満たした公益社団法人、認定NPOなどへの寄附
  • 独立行政法人、学校法人など(特定公益増進法人)
  • 特定公益信託
  • 政治資金規正法に触れない範囲の政治活動への寄附
  • 特定の新規中小会社の株式の取得額

寄附金控除額については、以下の2つの金額を比較して低いほうを適用します。

1.所得を計算する年の特定寄附金の合計
2.所得を計算する年の総所得金額の40%

ふるさと納税を行った給与所得者については、1年間に寄附した先が5自治体に収まっていれば、確定申告が必要ない「ワンストップ特例制度」を利用できます。

確定申告を行う際に必要な書類とは

雑損控除の場合

雑損控除を申告する時に必要になる主な書類は、以下のとおりです。

  • 確定申告書
  • マイナンバーカード、もしくはマイナンバー通知書と本人確認書類の写し
  • り災証明書、被災証明書
  • 住宅や家財の取得時期や価格がわかる売買契約書、領収書
  • 住宅の面積がわかる登記簿謄本
  • 住宅や家財の取壊し、修繕にかかった費用の領収書
  • 保険金などで補てんされた金額がわかる支払い通知書

ちなみに、災害により必要書類が破損、紛失した際には、「被災した住宅、家財等の損失額の計算書」を使用して、損害額を概算することができます。

医療費控除の場合

医療費控除を受ける際には、以下の書類を用意します。

  • 確定申告書
  • マイナンバーカード、もしくはマイナンバー通知書と本人確認書類の写し
  • 医療費控除の明細書
  • 源泉徴収票
  • 各種医療費、備品費、交通費等の領収書
  • 薬代の領収書

寄付金控除の場合

寄附金控除を受けるのに必要な書類は、主に以下のようなものです。

  • 確定申告書
  • マイナンバーカード、もしくはマイナンバー通知書と本人確認書類の写し
  • 寄附金の領収書
  • 寄附した団体や機関が規定を満たすことを証明する書類
  • など

ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」を利用する場合は、上記にかかわらず、以下の書類をふるさと納税を行った自治体に提出してください。

  • マイナンバーカード、もしくは通知カードと住民票、その他本人確認書類、自治体が認める公的書類との写し
  • ※これらの組み合わせは、用意できるものによって異なります。

  • ワンストップ特例制度の申請用紙

確定申告・還付申告はいつ行うか


所得税の還付金を受けるために、確定申告が必要である場合は申告期限があるため、注意が必要です。また、確定申告とは別に還付申告のみを行うこともできます。

確定申告の期限

確定申告は、毎年2月16日~3月15日が期限です。この期限が土曜・日曜・祝日である場合、その翌日までが申告期限とされています。

還付申告の期限

還付申告については、申告したい年の翌年1月1日から5年間の期限が設けられています。
還付申告は、特に所得控除のみの申告を行いたい時に利用できる制度です。計算により、還付を受けることが明確である場合には、5年間を遡って申告できます。

還付金を受け取れるのはいつか


こちらでは、年末調整もしくは確定申告を行った場合、還付金を受け取れる時期について説明します。

年末調整をした時

給与所得者で、年末調整を受けた際の還付金は、雇用先の会社の規定によりいくつかのパターンがあります。

  • 年末調整を行った年の12月分もしくは翌年1月の給与に上乗せされ振込まれる
  • 給与以外の形で振込まれる
  • 還付金を現金で渡される

ちなみに、給与に上乗せされている場合、給与明細に還付金分が記載されているため、確認すると良いでしょう。

確定申告をした時

確定申告を行った場合は、還付金の受け取りに銀行振込みが選択できますが、申告方法によっていつ還付金が振込まれるかが若干異なります。

税務署で直接申告した場合

確定申告書類を、税務署の窓口に直接提出した場合、還付金が受けられる時期は申告してから1カ月~2カ月程度です。
税務署で直接申告した場合、書類の不備が合ってもその場で修正してその日に提出できるため、ほぼ上記の期間で還付金が返ってきます。

郵送で申告した場合

確定申告の書類を税務署に郵送した場合でも、還付金を受け取れるのは税務署が受理してから1カ月~2カ月を見ておくと良いです。

ただし、書類に不備があった場合には処理が遅れたり、書類の差し戻しがあったり等の事態が考えられるため、このようなケースでは還付金の返還が遅れる可能性があります。

e-Taxで申告した場合

e-Taxを利用し、確定申告をインターネットで行った場合、多少処理が早く済みます。還付金が返ってくるのは、申告してからだいたい3週間くらいです。
この場合も書類に不備があれば処理の遅延や再提出が発生するため、もう少し時間がかかると想定されます。

還付金を受け取る時に注意したいこと


以下では、還付金を受け取る際にチェックしておきたいポイントをあげていきます。

年末調整の提出書類および確定申告書の記載を間違わないようにする

年末調整における控除申告書、また、確定申告書には記載の誤りや不備がないか入念にチェックしてください。
所得金額はもちろん、源泉所得税額に加えて所得控除の計算金額について、きちんと記載しなければ正確な還付金額を受け取れません。

源泉徴収税や所得控除の額が、実際の所得税より多いかどうかチェックする

源泉所得税などで前もって支払っている所得税と所得控除も含めて、実際に支払うべき所得税額よりも上回っているかを確認しましょう。
上記の金額が上回っていれば、還付金を受けられますが、もし実際の所得税額のほうが多い場合は、足りない分を徴収されます。

還付金の振込み先口座は自身の個人名義にする

還付金の受け取りに銀行口座振込みを選択した時、口座名義は納税する人個人のものとします。
特に、個人事業主においては、事業用の口座では税務署で処理してもらえない可能性があります。

そのほか、ネット銀行の口座も利用できないケースがあるため、税務署に問い合わせしてみてください。

還付額が誤っていないかよく見る

還付金が返ってきた時、誤りがないかどうか確定申告書と照らし合わせて見ておくようにします。
もし違っていたら、まずは自分の計算に誤りがないかどうか再計算し、修正申告を行います。税務署側のミスであった場合は、速やかに連絡してください。

まとめ

個人事業主で、報酬から源泉徴収税を支払っている人はもちろん、給与所得者についても源泉徴収税の超過や所得控除により、所得税の還付金を受けられる可能性が高いです。
各所得控除の適用を受けられる条件があれば、個人事業主は確定申告書に盛り込んでください。

給与所得者は年末調整時に控除申告書を提出し、確定申告が必要な控除は申告を忘れないようにしましょう。

創業手帳冊子版(無料)では、所得税における還付金の仕組みや必要な手続き、書類について詳しく説明しています。正しく還付金を受け取るために、ぜひご参考にしてください。
関連記事
控除とは?目的や種類・やり方を学ぼう
確定申告の手続きを税理士に依頼するとどうなる?費用やメリット・デメリットを解説

(編集:創業手帳編集部)

このカテゴリでみんなが読んでいる記事
創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
リアルタイムPVランキングトップ3
カテゴリーから記事を探す
マーケティング担当・広告代理店のご担当者様へ