個人事業主はスマホの法人契約を検討しよう!メリットや審査内容について解説

創業手帳

個人事業主はスマホの法人契約がおすすめ


ビジネスにおいては取引先への電話やメールなど、スマホを活用するシーンが多くあります。
そのため、個人事業主として事業を展開している場合には、プライベート用と仕事用でスマホを分けけたほうが良いと考える人もいるでしょう
個人事業主でもスマホの法人契約が可能ですが、「法人契約にすればどのようなメリットが得られるのか」「法人契約する場合の選び方がわからない」といった疑問も残るかもしれません。

そこで今回は、個人事業主がスマホを法人契約する際のメリットや契約に必要な審査について、法人向けスマホを選ぶポイントなどを解説していきます。
スマホの法人契約で悩んでいる個人事業主の人は、ぜひ参考にしてみてください。

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「みなし法人」となればスマホの法人契約が可能


スマホの法人契約と聞くと、株式会社や有限会社といった法人格を持つ組織でしか契約できないと考えるかもしれません。
しかし、法人格を持っていない個人事業主でも法人契約ができるケースもあります。その場合は、確定申告で青色申告をして「みなし法人」と認められる必要があります。
青色申告は、税務署に対して「青色申告承認申請書」と「開業届」を提出しなければいけません。
青色申告をすれば、税制上の優遇措置も受けられるため、メリットが非常に多いです。
スマホの法人契約、税対策のためにも青色申告での確定申告を検討してみてください。

ただし、青色申告をしてみなし法人になったからといっても、絶対に法人契約ができるとは限りません。
キャリアによっては法人契約を取り入れていない場合もあるため、前もって法人契約を提供しているのか調べてから契約をする必要があります。

個人事業主がスマホを法人契約するメリット


個人事業主が事業でスマホを使うために法人契約をするメリットは以下の通りです。

法人限定のプランを契約できる

スマホを法人契約ではキャリアによって様々な法人限定のプランが用意されています。
例えば、以下のような特典付きのプランです。

  • グループ内での国内通話料が24時間無料
  • 有料のオプションが割引価格で利用できる
  • 通信容量をグループ内で共有できる
  • 機種代金が割引価格で購入できる

プラン内容は、各キャリアによって異なります。オプション内容や数にも違いがあるので、必ず比較をしてから事業に見合うプランへの申し込みを検討してください。

仕事とプライベートを切り分けられる

個人事業主がプライベート用以外に仕事用のスマホを契約すれば、公私のメリハリがつきやすくなります。
プライベート用のスマホを仕事でも利用していた場合、休憩時間や休日関係なく仕事の電話連絡がプライベート用のスマホにきます。
無視をするわけにはいかないため、休みの日でも対応に追われるケースも少なくありません。

しかし、法人契約をしてスマホを2台持ちすれば、仕事とプライベートの線引きが可能です。
休みの日にスマホに仕事の連絡が来ることもなくなるため、精神的な負担も軽減するでしょう。

料金を経費計上できる

個人事業主がスマホを法人契約するメリットとして、費用を経費計上できる点も挙げられます。
個人契約のまま使用していた場合は、全額経費にはできず、家事按分をすれば経費計上が可能です。
しかし、どの程度仕事で使用していたのかわからず、作業が複雑化しやすいデメリットがありました。

一方、法人契約であれば利用した分の費用は全額経費計上可能です。
法人契約したスマホは、仕事のみで利用するため利用料金を家事按分する必要がないのです。
そのため、確定申告の手間も省けるメリットがあります。経理作業の負担が軽減されるので、本来の業務に集中できる利点もあります。 

セキュリティが強化される

個人契約をしたスマホを事業で使用している場合、取引先となる企業や担当者の連絡先や仕事上で使うデータなどを保管しているケースもあります。
その場合は、個人での管理が必要になりますが、端末の紛失や情報漏洩といったリスクが問題視されます。
スマホを紛失した場合、第三者によってすぐに届け出がされれば問題ありません。
しかし、情報を盗み取られるケースや拡散される可能性もあり非常に危険です。ハッキングされるリスクもあるかもしれません。
その場合、信用度に関わるため事業にも影響を与える可能性があります。

そのような時、法人契約をしたスマホであればリスクを軽減できます。
個人契約したスマホよりもセキュリティレベルが高く、場合によってはアプリの利用制限や遠隔での端末ロック、データの消去といった機能もあり安心です。
しっかりとしたセキュリティ対策を講じてスマホを使用したい場合にも、法人契約はおすすめです。

事業に役立つツールを活用できる

法人契約をするキャリアによっては、事業に役立つツールも活用できます。
例えば、以下のようなツールです。

  • 経費精算
  • スケジュール管理
  • 日報作成
  • データの共有
  • 利用状況の把握

パソコン並みの機能をアプリによって備えられ、簡単にできる作業は法人契約をしたスマホ、複雑な業務はパソコンなど、効率良く仕事をしていくために工夫をすれば、業務の円滑化を進められます。

スマホの法人契約に必要な3つの審査


個人事業主がスマホを法人契約する場合、個人スマホを契約するよりも厳しい審査が設けられているため、通過しなければスマホを利用できません。
審査は、「契約審査」「分割審査」「与信審査」の3種類です。それぞれの審査の特徴を解説していきます。

1.契約審査

契約審査は、契約者となる個人事業主に支払い能力があるのかをチェックするための審査です。
スマホを利用した場合、契約者はサービス利用料に応じて料金を支払う必要があります。
そのため、契約者が料金を支払う能力がなければ通信会社は審査を通すことができません。

契約審査では、過去に契約者が携帯料金を滞納していないか、短期契約や強制解約などをしていないか、利用実績がチェックされます。
利用実績に問題があれば各会社が加盟している電気通信事業者協会やテレコムサービス協会に内容が登録されているため、各キャリア間で共有される仕組みです。
審査によって実績にリスクとなる点があれば、審査を通過することはできません。

2.分割審査

スマホの端末代金を分割払いする際に実施される審査が分割審査です。
契約審査は月額料金の支払い能力に対する審査ですが、分割審査は端末料金の分割支払い能力に対する審査となります。

分割審査は、キャッシングの履歴やローンの状況、クレジットカードなどの利用履歴など、信用情報機関に登録されている内容から見定められる仕組みです。
これまでにローンの滞納やクレジットカードを利用した代金の未払いなどがあれば審査を通過できないリスクが高まります。

信用情報の多くは、過去5年分が保存されています。そのため、法人契約をしたいからといって、完済してもすぐには削除されない仕組みです。
滞納分を支払ったとしても数年間は審査に影響を与えるので、ローンの契約やクレジットカードの使い方には注意しなければいけません。

3.与信審査

与信審査の「与信」は、「信用供与」を指し、申し込みを行う個人事業主が契約先として信用できる相手なのか判断するための審査となります。
法人契約で必ず実施される審査ではありませんが、スマホ端末の購入台数が多い時や法人契約で銀行から融資を受ける時に必要となる審査です。

「支払い能力を確認するため」「不正利用を防ぐため」が審査の目的となり、会社概要や代表者の情報、決算内容などを審査していきます。
与信審査に必要となる書類は以下の通りです。

  • 印鑑登録証明書、登記簿謄本、現在事項証明書いずれか1点
  • 本人確認書

場合によっては決算書が必要となるケースもあります。
キャリアによっては異なる書類を有する場合もあるため、前もって必要な書類は確認しておき、スムーズに契約をするためにもあらかじめ用意しておいてください。

個人事業主がスマホの法人契約審査に落ちる原因


個人事業主がスマホの法人契約で審査に落ちてしまう要因には、以下のような内容が挙げられます。

携帯料金の支払いを滞納したことがある

審査に落ちる大きな要因として挙げられるのが、携帯料金の支払いを滞納した経験です。
大手キャリアを利用していた実績がある場合、料金の滞納があれば情報が電気通信事業者協会やテレコムサービス協会に登録されて共有されてしまいます。

法人名義だけではなく、代表者となる個人事業主が個人名義で滞納していた場合も影響を与えるため、過去にプライベート用のスマホ契約で対応した経験があれば、審査に通らない可能性があることを理解しておいてください。

ただし、直近1カ月分の支払いを忘れていた場合、その場で支払いを済ませれば審査に通るケースもあります。
万が一支払っていない分があれば、すぐに精算するようにしてください。

ローンの滞納や自己破産をした経験がある

ローンの滞納や自己破産の履歴が残っていても審査に通らない可能性があります。
住宅ローンや教育ローンなど、様々なローンの種類がありますが、どれかひとつでも滞納した経験があれば、信用情報機関に事故情報として記録されてしまいます。
記録は5年程度残り、各キャリアで共有される仕組みです。

また、スマホの分割払いもローンの扱いです。
滞納があれば審査に影響を与えるため、必要であれば契約までに支払いを終えられるよう精算しておくことが大切です。

自己破産に関しては、契約審査に通る可能性があっても、分割購入の審査が通らない可能性が高いです。
そのため、スマホ端末の購入はできる限り分割ではなく一括での購入がおすすめです。

返済能力に不安な点がある

個人事業主として起業したばかりであれば返済能力に不安な点があるため、審査に通らない可能性もあります。
各キャリアは、企業の安定性やキャッシュフローで返済リスクを評価していきます。

そのため、設立直後であれば実績がないので返済能力に疑問を持たれやすいです。
起業したばかりであれば、収支契約や成長見込みなどをしっかりと提示することで審査を通過できる可能性が高まります。

書類に不備がある

詐欺といった不正利用を防止するためにも審査は実施されます。
そのため、住所や電話番号、メールアドレスに不備があると「怪しい」と判断されて審査に通りにくくなってしまいます。
記入ミスや記入漏れによって発生する可能性もあるため、書類を提出する際には必ず間違いがないかチェックしてから提出してください。

個人事業主が法人向けスマホを選ぶポイント


法人契約でスマホを利用する場合、どのような点を意識して各キャリアを選べば良いのかポイントを解説していきます。

料金を比較

法人向けスマホを選ぶ際には料金を比較しなければいけません。基本料金や端末料金、オプション費用など、あらゆる点を見比べていきます。

オプションが有料ばかりであれば、基本料金が安くても費用が割高になるケースもあります。
利用状況によって費用が変動する従量料金の場合は、使い方によっては費用が高額化する恐れもあります。
定額料金を提供していると、コストが高くなりにくいのでおすすめです。

サポート体制を比較

サポート体制も重要なポイントのひとつです。スマホの紛失やハッキングなど、トラブルが発生する可能性はゼロではありません。
万が一の時でも、すぐに対処してくれるサポート体制が整ったキャリアであれば安心して利用できるでしょう。
緊急ロックや代替端末の用意、専門スタッフによるサポートなど、有効だと判断できるキャリアとの契約が大切です。

使いやすさを比較

法人契約をする際には、端末の使いやすさにも注目してください。スマホを仕事用に新しく用意する場合、端末も一緒に購入する個人事業主もいます。
その場合は、スマホの使いやすさを比較することも大切です。

スマホだと、iPhoneとAndroidの2種類があります。
iPhoneは操作性に優れた特徴を持ち、ほかのApple製品ともスムーズに連携できるメリットを持ちます。
セキュリティ面も優れているため安心して利用できるスマホです。しかし、端末料金が高い点がデメリットです。

一方、AndroidはiPhoneと比較すると価格が安く、機種の種類も豊富なので自分に合う端末を見つけやすい特徴があります。カスタマイズ性に優れている点もメリットです。
しかし、iPhoneと比較するとセキュリティが低い点がデメリットとされています。データを守るための対策が必須です。

まとめ・個人事業主はスマホを法人契約して仕事とプライベートで使い分けよう

個人事業主は、みなし法人と認められればスマホの法人契約が可能です。
法人限定のプランを契約でき、抑えた費用でスマホを使える利点や利用した料金を全額経費計上できる点がメリットです。
仕事とプライベートを分けることができるので、精神的な負担も軽減するでしょう。しかし、法人契約をする場合は3つの審査を通過しなければいけません。
審査に落ちてしまえば法人契約ができないので、ローンやキャッシングの支払い滞納があれば、契約までに完済しておくことが大切です。

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(編集:創業手帳編集部)

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