話題沸騰中【SlushTokyo】代表アンティ氏が語る「成功する起業家の必要条件」(前編)
「挑戦することのカッコよさ」を感じてもらいたい
(2017/03/31更新)
フィンランド発・国際的なスタートアップ・カンファレンス【Slush】。昨年幕張で開催された【Slush Asia】、2017年3月29日~3月30日に開催された【Slush Tokyo】など、今や日本でもスタートアップ界で知らないものはないイベントに
なっている。
このイベントの仕掛け人が、アンティ・ソンニネン氏。大ヒットゲーム『Angry Birds』などを手がけたRovio Entertainment日本法人元代表で日本語も堪能で、日本のスタートアップ事情にも通じている。
「アンティさん」とSlushのメンバーから親しまれるアンティ・ソンニネン氏は、約30の協力企業と200人を超えるボランティアを統括し、一般社団法人「Slush Asia」として若手起業家のためのコミュニティを構築している。
フィンランドに生まれ、スタンフォード大や東大でも学び、日本でビジネスをしてきたアンティさんが世界、フィンランド、日本の経験を元に、起業家の条件を語ってくれた。
フィンランド出身。2007年に東京大学への留学生として初来日。米スタンフォード大学でのインストラクター従事を経て、2012年から、「アングリ―バード」を世に出したRovio Entertainmentの日本担当カントリーマネジャーを務める。2015年よりSlush AsiaのCEOを務める。
”安定的”な国から生まれた”刺激的”なイベント「Slush」
アンティ:2008年のことです。フィンランドの起業家たちが「Slush」というイベントを立ち上げました。当時のフィンランドでは企業への就職が一般的だったので、起業家向けのイベントは少なかったですね。最初は、数百人の規模からスタートしました。
アンティ:ええ、起業する人はいることはいたのですが、起業に対する一般的なイメージというのが、あまりポジティブではありませんでした。なにしろノキアブランドが確立している国です。わざわざ起業するよりも、努力するなら安定した企業に入りたいという人が過半数でしたね。
アンティ:2014年です。その前は参加者やボランティアとして関わっていました。
2013年に「Angry Birds」というゲーム会社の日本支社を立ち上げるため、日本に引っ越してきました。Angry Birdsには1年半ちょっといましたね。
その後、日本のスタートアップに参加して、週末プロジェクトだった「Slush Asia」がいつの間にか本業になったという流れです。
イベントではなく大きな変化を起こすための「ムーブメント」
アンティ:Slushというのは、イベントというよりも「大きな変化を起こしたいムーブメント」です。そのなかの一番大きなツールとしてこのイベントをやっています。中には僕だけじゃなくて、いろいろなメンバーがいます。
前回の幕張のSlushAsiaでは400人のボランティアがいました。多くの人が関わっています。
アンティ:
前回のSlush Asiaが4,000人、今回のSlush Tokyoが約5,000人です。
起業家、投資家、大企業の方、メディア、学生、ボランティア、など来場者は様々です。
ITに関連している人もいれば、広告、金融などいろいろな業界から来場頂きました。
大きなイベントは年1回ですが、小さなイベントも開催する予定です。
以前、Slushカフェという、1~2カ月に1回ほどの簡単なミートアップを定期的に企画しました。今年イベントをする時は、もっとスタートアップのためになったり一般の方々に起業に関心を持ってもらえたりするような企画をしていきたいですね。
「起業するってかっこいい!」と感じて欲しかった
単なる起業家スピーチという枠にとどまらず、会場のレイアウトや音響に至るまで、音楽イベントさながらの演出が魅力のSlush Tokyo。
カッコよさを求めた発想の経緯についても伺ってみました。
アンティ:ヘルシンキのSlushの影響です。
ザネフィックスというプロダクションが演出の手伝いをしています。彼らは、照明や音響のデザインにこだわりがあるプロ集団です。
アンティ:「スタートアップってカッコいい」、「起業すること、挑戦することってカッコいいよね」と、来場者に感じてもらえるイベントにしたかったからです。
若き起業家の方々に来てもらいたいという思いもあります。そのため、普通のイベントというよりは、挑戦している人がカッコよく映るように演出し、スピーチや発表ができる場所にしたいという思いがありました。
アンティ:さらに拡大していきたいですし、コミュニティーも強くしていきたいと思っています。改良できるポイントはいろいろあります。海外からの参加者の数を増やしたり、インベスターの数も増やしたいと思っています。
イベントだけじゃなくてコミュニティーにも貢献したいと思っていて、まだどのようにやるか決めていないのですが、できれば本番以外の時にもピッチトレーニングのイベントができたらいいなと思っています。
<後編に続く>
(取材協力:Slush Asia CEO アンティ・ソンニネン)
(編集:創業手帳編集部)