美術品を購入することで節税できる⁉ 会社やクリニックなどに飾る絵画のススメ

資金調達手帳

美術品と節税の意外な関係とは

常にPCや数字とにらめっこで、考えることといったらほぼ仕事のことだけ…。そんな生活を送っていませんか? 起業家や経営者の方は非常に忙しいので、そういった生活になるのも致し方ないところではありますが、それではビジネスの発展につながる柔軟な発想は生まれにくいのではないでしょうか。

スティーブ・ジョブスなどの一流のビジネスパーソンは、アートに造詣が深いことで知られています。アート作品に触れることは、あなたのビジネスや私生活にきっと何かしらのいい影響を与えてくれることでしょう。

そんな美術品を購入することが、実は節税につながるということを知っていましたか? 絵画の販売のプロに節税とアートに関する質問に答えていただきました。

髙橋 芳郎(たかはし・よしろう)
株式会社ブリュッケ代表取締役
1979年多摩美術大学彫刻科に入学。1983年に現代美術の専門学校Bゼミに入塾し、1985年に株式会社アートライフ入社。1988年に独立し、1990年5月株式会社ブリュッケを設立。その後、銀座に故郷の四国の秀峰の名を取った「翠波画廊」をオープンする。2017年5月、フランス近代絵画の値段を切り口にした『「値段」で読み解く魅惑のフランス近代絵画』(幻冬舎)を出版。2019年5月に2冊目の著書となる『アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」』(サンライズパブリッシング)を出版。
「翠波画廊」ホームページ >>

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アート作品を経営者が買うメリットとは?

ーアート作品を経営者が買う理由やメリットを教えて下さい。

アート作品は機能性や実用性が伴うものではないので一見無益なものに思われるかもしれません。しかし、一度その魅力が解ると、日常の暮らしに華やぎを与えてくれるのみならず、そこに潜む深い精神性に魅せられアートの世界にはまってしまわれる方が多くいらっしゃいます。

経営者の方がアート作品を購入するメリットはいくつか挙げられますが、特に、広い視野で物事を俯瞰する力がアートによって磨けることは大きなメリットだとだと思います。

例えば絵画作品を見ながら、この作品にはどんなメッセージがあるのだろう?と考えることがありますよね。画家がなぜその作品を制作したのか思いを馳せるなかで、その画家の人生から当時の時代背景などもっと広い視点から、その作品について考察することができますよね。

そういった広い視野でものを見る力というのは、会社経営をしていく上で必要な力だと思います。アートを自分の手元で楽しむことでそういった力を養っていくことが出来るというのが、経営者の方がアートの収集を楽しむ理由のひとつだと考えます。

ーアートや絵画作品で節税ができるってほんとですか?

はい、本当です。会社やクリニックなどにアート作品が飾ってあるのを見かけることがあると思います。会社のエントランスやクリニックの待合室、店舗などに飾る絵画や彫刻などのアート作品は、美的資産でありつつも事業に役立つ設備という一面もあり、減価償却の対象にもなるのです。つまり事業経費として計上ができ、節税対策の1つの手段にもなります。

会社で利益が出ている場合は、何もしなければその利益が丸ごと法人税の課税対象となりますが、出た利益で美術品を購入して会計処理をすれば、法人税の節税対策になります。

節税につながる具体的な基準とは?

ーアートでの節税効果や償却資産額の具体的な基準を教えて下さい。

まず会社で購入するアート作品が、1点30万円未満の場合は、その年の償却資産として一括償却することができます。因みに資産金が1億円以上の企業は、1点につき20万円未満の作品が対象となります。

作品を何点か購入される場合も、年度内で合計300万円までであれば、一括償却が可能です。

ー2015年度から美術品に関する減価償却の取り扱いが変更になったそうですね。どのように変わったのでしょうか?

2015年度から税制改正により、取得価格が100万円未満の美術品でも、一定の条件を満たせば減価償却資産として法定耐用年数で償却できるように変わったのが大きなポイントです。一般的な絵画であれば、法定耐用年数は8年ですね。

100万円未満の美術品というと、選択肢もかなり広がってきます。翠波画廊で販売している作品のなかでは、例えば有名作家の版画作品や、翠波画廊の契約画家の油彩作品など、幅広くご紹介ができます。

また1点100万円以上の美術品であっても、「時の経過によって価値が減少することが明らかなもの」は減価償却ができるようになりました。

「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」には、

  • 会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数が利用する場所の装飾用や展示用の作品
  • 移設困難でその用途だけに使用されることが明らかなもの
  • 他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないもの

が挙げられています。つまり転売ができない類いの作品ということになりますね。

なお、美術品を償却資産として計上する際の詳細は、国税庁のホームページに詳しい記載がありますので、そちらもご覧いただき参考にされると良いと思います。限度額などは会社によっても異なる場合がありますので、自社の場合はどのような条件になるのか、税理士さんと確認しながら進めていくのが一番確実かと思います。

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美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ(国税庁のホームページより)
ーアートや絵画で節税した場合の、モデルケースを教えて下さい。実際どれくらいの節税効果になるのでしょうか?

例えば1年で300万円の利益が出たとします。

会社のエントランスと、会議室に飾るために1点29万円の絵画を2点、合計58万円分を購入します。

1点30万円未満の絵画代金はその年の減価償却資産として一括で償却ができますから、元々の利益の300万円から2点の絵画代58万円を引いて、

最終利益は242万円となります。

※29万円の絵画を2枚購入した場合
 300万円 - 58万円 = 242万円→課税対象

※何もしなかった場合
 300万円→課税対象

300万円そのままを利益として計上した場合と、絵画を購入し経費として処理した場合とで、法人税の課税対象額が大きく変わってきます。

せっかく出た利益を、何も対策しなければ税金にもっていかれるだけですが、絵画は残るものです。オフィスやクリニックに彩りをもたらすアート作品として残していくことは良い選択だと思います。

どのような作品を買うべきか

ー会社でアート作品を購入することで、他にどのようなメリットが考えられるでしょうか。

法人にとって減価償却は大切なポイントです。企業がこの制度を上手に利用することで、節税対策となるのはもちろんですが、何よりアートで空間を彩ることで、会社の印象をより良くしたり、店舗にいらっしゃるお客様に心地よく過ごして頂く場を提供出来たりなど、たくさんのメリットがあります。

例えば、以前、経費で絵画をご購入くださった、とあるクリニックの院長先生から、こんな話を聞いたことがあります。クリニックの待合室というのは、体調がすぐれず不安な気持ちで診察を待つ場なので楽しくて色の綺麗な絵を飾ってみたところ、待合室が明るくなって患者さんからも好評だったそうです。また、患者さんから「いい絵ですね」などと絵を介して話が弾み、コミュニケーションが生まれてとても良かったと教えてくださいました。

このように、翠波画廊にお越しになられるお客様の中には、会社やクリニックに飾る作品をお探しの方も多くいらっしゃいます。

例えばこちらは私どもで扱っているフランス人画家、ギィ・デサップのジクレー版画作品ですが、30万円未満の作品もあり、経費でご購入された方もいらっしゃいました。

エッフェル塔とカフェの看板や街灯がパリらしく、非日常を感じさせてくれる1枚です。

約1,000点の取り扱い作品の中から、ご予算・イメージにあわせてご提案させていただきますので、ぜひお気軽にスタッフにご相談いただけたらと思います。

ー経営者がアートを買う際に、何かアドバイスはありますか。

まずは、自分の直感で良いなと思った作品を一枚選んで購入してみることをお勧めします。自分の感性に合う作品を手元に置いておくことで、自身の内面を豊かにすることに繋がり、経営者にとって重要な俯瞰力や共感力を磨く大きなきっかけになることと思います。

また、絵画の収集を続けていると段々と好みが変わっていくこともありますが、その時はまた新しい自分に合う作品を集めていけば良いのです。現在は多様なアート作品がありますから、新しい作品との出会いはとても刺激的で、感性を磨く素敵な体験になるはずです。

ーアートと節税のお話、非常に興味深く聞かせていただきました。貴重なお話をありがとうございました!
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(取材協力: 株式会社ブリュッケ代表取締役 髙橋芳郎)
(編集: 創業手帳編集部)

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