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特許公報にはどんな種類がある?特開や特表の意味や違いは?

日本国内で出願・権利化されている特許の情報は、特許庁が発行する公報類によって広く公開されています。これらの公報類にはいくつかの種類があり、総称して特許公報と呼ばれています。
そして現在、この特許公報はJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)という公的なデータベースを利用して誰でも検索できるようになっています。無料で、Webサービスへの登録なども必要ありません。
企業にとっては、自社技術の特許取得を視野に入れることはもちろん、他社の技術動向を掴んでおくことも重要な経営戦略です。特に技術系スタートアップやベンチャー企業は、シードステージなど創業の早い段階からこの点を意識しておく必要があります。
そのためにも、J-PlatPatから収集できる情報は非常に有益なのですが、特許に関する情報は専門的で分かりにくく見えます。見慣れないうちは文献の種類も分からず、欲しい情報にたどり着くのは困難でしょう。

そこで、ここでは特許公報の種類や基本的な内容について整理し、特許の情報に関する理解を深めていきます。

最初に、公開特許公報について見てみましょう。
原則としてすべての特許出願は、出願日から1年6ヶ月経過後にその内容が公開されることが法律で定められています(特許法64条)。この出願公開を目的とした公報が公開特許公報です。実務では、単に公開公報と呼ばれることもあります。
文献番号の表記では「特開」と省略されるため、もし参考文献が「特開2020-XXXXXX」と記載されていたら、これは公開特許公報の番号だと理解できます。
公開特許公報からは、今後特許権が与えられる可能性のある発明について、誰がいつ、どのような内容で出願したのかなどの詳しい情報が手に入ります。
しかし、あくまで出願中の発明に関する情報なので、公開特許公報に掲載されている発明に必ず特許権が付与されるとは限りません。審査の結果、内容を修正する場合もあれば、拒絶されてしまって特許を取得できない場合もあります。公開特許公報を参照する際は、それらの点にも留意した上で、最新の技術動向を広く知るための資料として参考にすると良いでしょう。
もう1つ注意が必要なポイントがあります。先に述べた通り、公開特許公報に掲載されている発明にはまだ特許権が与えられていません。だからといって、公開特許公報を参考にしてその発明を無断で実施すると、後に出願人から補償金を請求されてしまう可能性があります。「まだ誰も権利を持っていない発明なのだから、自由に利用できるのではないか」と考える人がいるかもしれませんが、法的に認められていないので注意しましょう。

次は、特許掲載公報について見ていきます。
特許掲載公報は、正式に特許が与えられた発明を公にすることを目的としています。審査の結果、特許権の付与が認められ、料金の納付等を済ませて設定登録された発明がこの公報に掲載されます(特許法66条3項)。
正式名称は特許掲載公報ですが、実際は省略されて単に特許公報と呼ばれる場合も多いです。冒頭で説明した、他の公報類も含む意味での広義の特許公報と区別しにくいのですが、どちらの意味かは前後の文脈などから判断するしかありません。狭義の特許公報は「設定登録された特許が載っている公報」で、広義の特許公報は「特許に関する公報全般」と理解しておけばよいでしょう。
特許掲載公報の文献番号表記は、シンプルに「特許」となっています。したがって「特許XXXXXXX」と書かれている文献は、特許掲載公報を指していることになります。
前述の通り、特許掲載公報に載っているのは実際に特許権が与えられている発明です。それぞれに図面や詳細な説明などがあり、詳しい技術内容を知ることが可能です。自社が権利を侵害しないよう注意すると共に、どのような製品・技術なら特許を取得できるのかという研究開発に役立てると良いでしょう。

特許公報の基礎的な知識としては、上記の公開特許公報と特許掲載公報の大まかな理解で十分と言えます。ただし、他にも混同しやすい用語がいくつかあるので、それらについても解説していきます。

J-PlatPatで発明の調査をしていると、「特開(公開特許公報)」の他に「特表」や「再公表(再表)」と書かれた文献も見かけるケースがあります。

まず「特表」ですが、これは正式には公表特許公報という名称です。文献番号は「特表2020-XXXXXX」などの形式になっています。
公“開”特許公報と公“表”特許公報の名称が紛らわしいのですが、両者は内容的にも共通する部分があります。
公表特許公報(特表)も、公開特許公報(特開)と同様にその発明が特許出願されたことを公にするための公報です。ただし、公表特許公報は日本国内での出願ではなく、複数の国で特許を取得するための国際特許出願(専門用語でPCTルートによる出願と呼ばれます)について発行される公報です。そして、その国際特許出願(PCT出願)の中でも、外国語でされた出願の日本語翻訳文を掲載しているのが公表特許公報となります。

次に「再公表(再表)」と書かれている文献ですが、これも公表特許公報(特表)と同様に国際特許出願(PCT出願)について発行されるものです。ただし、こちらは日本語でされた国際特許出願の内容を掲載しています。
再公表(再表)は、正式には再公表特許という名称です。実質的には公報の一種と考えて良いのですが、厳密には法律上の公報ではないため「再公表特許公報」ではなく「再公表特許」という名前です。あくまで発行物を指す言葉であり、特許権の種類として再公表特許というものが存在するわけではありません。
文献番号の表記は「再表2020/XXXXXX」という形式になっています。

改めて、ここまでを図にして整理してみましょう。

【特許公報(広義)の主な種類】

特許出願された発明を公にする┳国内出願━公開特許公報(公開公報/特開)
              ┗国際出願(PCT)━外国語特許出願━公表特許公報(特表)
                       ┗日本語特許出願━再公表特許(再公表/再表)

特許権が設定登録された発明を公にする━特許掲載公報(狭義の特許公報)

最後に、なぜこれらの特許公報が発行され、特許権が与えられた発明だけではなく、出願されただけの発明も公になるのかを説明します。
そもそも特許制度の目的は、「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与すること」にあります(特許法1条)。
つまり、特許権を与えることで発明を保護しながらも、公開特許公報などでスピーディーに広く発明を公開し、技術の発展、そして産業全体の発達を促すことが重要だと考えられています。
この趣旨を理解しておくと複雑な特許の仕組みが理解しやすくなるので、研究開発業務での情報収拾などにも役立つでしょう。また、経営者として事業戦略を立てる上でも、特許をはじめとする知的財産の要所を理解しておくことは非常に重要です。

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