「絆」の媒体として顧客と向き合う「プラスワン」社長インタビュー

創業手帳

Tシャツを中心としたオリジナルグッズ業界で圧倒的なシェアを誇る「プラスワンインターナショナル」成功の秘訣

ますます拡大の一路を進むEC市場の中で、Tシャツを中心としたオリジナルグッズの制作・販売を展開している株式会社プラスワンインターナショナル。年商数千万~2億円ほどの企業が大半を占めているオリジナルグッズ業界で、プラスワンインターナショナルの昨年の売上高は約20億円。業界シェアNo.1の地位を盤石なものにしている。頭一つ飛び抜けた形でオリジナルグッズ業界のトップをひた走るプラスワンインターナショナルの成功の秘訣と、消費者のオリジナルグッズへのニーズの源流を探るべく、新開強社長にお話を伺った。

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新開強(しんがいつよし)1975年12月17日生まれ。香川県高松市出身。独協大学入学後渡米し、インディアナ州立大に編入。在学中の1998年に輸入衣料の販売を始め、99年にプラスワンインターナショナルを設立。2003年にオリジナルグッズの制作・販売に業態に変更し、ECサイトを中心とした展開で業界トップシェアの企業へと成長させる。

―オリジナルグッズ制作とは、どういった事業なんでしょうか?

新開:いわゆるマスプロダクションの既製品ではなく、会社のロゴやメッセージを商品にプリントした、他とは差別化したオリジナルグッズの制作を行っています。うちで一番多いのはTシャツですが、企業からの大量発注はもちろん、個人のお客様で1枚だけ作られるという方も、最近多いですね。

フルオーダーなので、お客様と1から一緒にものづくりをしていきます。当然1つ1つ全然違う内容になってくるから、結構手間はかかりますけどね。

例えば「青のTシャツにこんな感じのイラストを入れてほしい」と手書きのイラストを送ってこられるお客様がいらっしゃったら、青の色味からTシャツの形や素材、手書きイラストのトレースやデザイン、デザインに合った加工方法まで、すべてを提案していく。だから、お客様によってかかる時間は全然変わってきますね。

Webと実店舗のタッグで顧客のニーズに応える

―そこまで対応してくれる会社は、特にEC業界では少ないのではないでしょうか?

新開:そうですね、効率を重視していくと、データ入稿じゃないと受け付けないとか、やっぱりある程度の規格化が必要になってくるんでしょうね。だけど、オリジナルグッズを作ろうというお客様は、他にはないオリジナリティを求めてきてうちに来てくれているから、できる限り細かい要望まで応えていきたい。そういう思いから、実店舗も持つようになりました。

3年ほど前までは基本的にWEBだけでやってきましたが、お客様の要望に応えて細やかなサービスを提供していくには、どうしても限界がある。それで、2011年に1号店を渋谷にオープンして、今では6店舗を展開しています。今でも集客はWEBがほとんどで、基本的に店舗はその受け皿。サンプルもたくさんありますし、ショールームとしての役割と、商談のためのスペースとして活用しています。やっぱり、実際に顔を合わせて打ち合わせすることで、強い信頼関係も築けますし、リピーターの方も増えましたね

流行に左右されない付加価値

―オリジナルグッズ事業を始めるまでの経緯を教えて下さい

新開:オリジナルグッズを始める前に、地元の高松で、アメリカン・カジュアルブランドを個人輸入で仕入れて販売していたセレクトショップが前身です。既製品をお店に置いて、来てもらったお客様にそのまま売る、という形で営んでいましたが、そういうものって流行にすごく影響されますよね。開業当初は流行っていたアメリカン・カジュアルもだんだん下火になってきて、それと平行して商売もうまくいかなくなってきた。そんな脆いビジネスモデルに、限界を感じ始めたんですよね。

それだったら、自分が発信してプロモーションしていこうじゃないかと、もともと好きだったデザインを勉強してセレクトショップの中に自分のデザインした商品を置くようになりました。

そんな中たまたま、地元の高松のラーメン屋の社長から「ユニフォームのデザインできるの?」と相談されて、それが、お客様のためのオリジナルグッズを作った第一号です。それが、やってみると数がまとまる訳ですよ。ラーメン店のユニフォームだと結構ハードに着るので数が必要で、最初に100枚くらいのまとまった注文を頂きました。

ちょうど何か突破口を探していた時期だったので、これは商売になるな、と思ったのがきっかけで、2003年にオリジナルプリント事業を始めました。

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―当時は、今の「オリジナルグッズ業界」はまだなかったのですか?

新開: なくはなかったですが、工場や町の印刷屋さんが一部で取り扱っているような、細々した形でしたね。まだネット活用もそれほど主流ではなかったし、どこもアナログで地道に活動してました。僕も最初は地元の飲食店などを、知り合いの伝手で周っていましたね。

そんな中、学校だったら文化祭や部活で使うだろうと思って恩師を訪ねて行った時に、「ネットないの?今すぐって言われると困るけど、サイトがあれば生徒たちも見れるよ」と言われたのがきっかけで、自分でホームページビルダーを買って来て、2,3ヶ月かけてなんとかECサイトの形を作り上げました。

―ちょうどネット普及と同じくらいの時期ですね。

新開:そうですね、ちょうどECサイトが広まりはじめた時期でした。それ以前は、僕もそうですけど、まだネットショッピングを信用していない風潮がありました。特にアパレルものでオーダーメイドとなると打ち合わせも必要ですし、そもそも本当に注文したものを送ってくるのか?というレベルの時代でした。だから、営業先でサイトのニーズを聞いてサイトを作ったはいいものの、僕自身はまだ正直半信半疑でしたね。

成功の光が見えた瞬間

新開:ただ、せっかく作ったからにはどうにか見てもらわないと、という気持ちはあったので、とりあえず検索広告を5万円分だけやってみました。

そうしたら、2日後に見積もり依頼が入って来たんです、東京のお客さんから。今でも覚えてます。最初は信じられなくて、「うそや、これはサクラや」と思いましたね(笑)。それまでは、足使って伝手辿って、やっと獲ってきていた注文ですから。

でも、本当に作りたくて依頼してきて頂いたので、これはネットを上手く活用していけば化けるな、と思った瞬間でしたね。

「理念も哲学も、すべては会社を軌道に乗せてから。それまではとにかく必死で前に進むしかなかったですね。」

 ―今となっては数多あるオリジナル商品業界、その中で郡を抜いてい成功している秘訣はネットを活用した販売戦略とともに、お客様主義が大きな要因なのでしょうか?

新開:正直に言ってしまうと、お客様第一主義という理念が出来たのは後付けなんです。最初は本当に一人で全てやっていましたし、5人や10人の時は、そんなこと考えていられなかったですね。本当はこんなこと、あまり言ってはいけないかもしれないですけど(笑)

まずは一人でも多く、こういうサービスがあるんだ、プラスワンという会社があるんだ、ということを知ってもらうのに必死でしたね。それでサービス利用してもらってお金を貰って、規模を大きくしていかないとそんな綺麗事は言えないから(笑)。だから最初は無理してお金を借りてでも、思いっきり攻めて広告費を入れて、お客様を増やす事に必死でした。

その結果、会社が徐々に大きくなって社内の人間が増えてきてやっと、理念みたいなものが生まれてきました。何の為に日々頑張っているんだろうと、少し立ち止まって自問する気持ちの余裕ができた時に、やっと。

うちの場合は、既製品をそのまま売っているわけではなく、お客様の気持ちを汲み取ってオリジナルを作っていくサービスですから、やっぱり何よりも一番に「お客様に喜んでもらう為に頑張りたい」と考えるようになりましたね。

だから、自分自身に対してもそうですが、「それはお客様のためか?」というのをいつも自問してほしいと、スタッフにお願いしています。会社が大きくなってくると、人が増えて、担当が分かれて、少人数でやっていたときよりも色々な部分が複雑になってきます。そんな時に、「それはお客様のためか?」というひとつの行動指針を据えていれば、必然的に協力体制が組めるようになりますよね。

うちはお客様と一緒になって1からものを作っていく商売ですから、感謝される機会がすごく多いんです。それが僕の一番のモチベーションになっているし、スタッフにも世の中の役に立っている事を実感して欲しいと思っています。

今やっとね、そういう話ができるくらいになりました。

 

オリジナルグッズへのニーズの本質

―オリジナルグッズの、おすすめの活用法はありますか?

新開:やはり一番多い用途としては、ロゴやメッセージを載せたユニフォームです。だけど、オリジナルを作ろうとするお客様にとって、ものを作ることが自体が最終的な目的ではないんです。

チームの理念や共有したいスローガンを常に身に付けることで、チームに帰属しているという帰属意識、いわゆる「絆」を生み出し、成功への意識を共有する。そこがオリジナルグッズの本来の目的だと思います。

起ち上げたばかりの企業は、結束から生まれるパワーが特に重要になってくるので、その媒体として作ってもらえると嬉しいです。

「絆の媒体」というかね。こういう言い方をすると、すごくかっこいいですね(笑)。

 

「用意周到、勇気とスピード」

―最後になりますが、創業した人に向けてメッセージをお願いいたします。

新開:僕には、自分の今までの行動指針を元にしたスローガンがあります。それが、「用意周到、勇気とスピード」です。

これは創業された方に対して特に言えることですが、無数の選択肢がある中で、毎日が選択の連続です。創業する時にまずひとつの大きな決断だったと思いますが、これからどんどん決断しなくてはいけない場面が出てきます。

でも、先の事なんて誰にもわからない。だからこそ、今できることを全てやっておく必要があります。経験が全てではないので、今だったらネットで調べる事もできるし、経験した人から話を聞く事もできますよね。それらのすべてが糧になります。

そこまで用意周到に準備しておけば、あとはやるだけ。それが勇気です。もちろんやめるという選択肢もあって、準備しておけば可能性のないことに対して時間を浪費しないための決断ができる。それもひとつの勇気です。

勇気を持って決断したあとは、スピードを持って行動しよう、それが成功の秘訣だと考えています。

自分で言うのもあれですけど、いい言葉だと思います(笑)。特に創業したばかりの方にとっては、どれもすごく大事なプロセスだと思いますので、参考にして頂けると嬉しいですね。

 

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(創業手帳編集部)

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