株式会社Spider Labs　大月 聡子｜アドフラウド（不正広告）対策ツールの開発事業で注目の企業

アドフラウド（不正広告）対策ツールの開発、販売事業で注目されているのが、2011年に大月聡子さんが創業した株式会社Spider Labsです。

アドフラウドとは　インターネット広告において、広告の表示回数やクリック数を不正に水増しするという広告詐欺の一種です。インターネット広告ではインプレッション数やクリック数に応じて広告料の支払いが発生する仕組みになっているため、不正な水増しが多くなれば、それだけ広告主が支払う広告費も不当に多くなります。
すでに海外においてはアドフラウドによる損失額が年間9.3兆円規模と言われており、その手口は年々巧妙化していて大きな社会問題になっています。

アドフラウドによる起業の損失はお金の面だけにとどまりません。
不当な大量クリックによって広告表示が停止され、本来獲得できるかもしれなかった広告ターゲット獲得の機会損失に繋がってしまったり、低品質サイトに広告表示がされることで企業ブランドに傷が付いたりすることさえあるのです。

こうしたアドフラウドを検知・排除し、広告最適化をサポートするプロダクトに、大きな注目が集まっています。

株式会社Spider Labsの大月聡子さんに、事業の特徴や今後の課題などについてお話をお聞きしました。

・このプロダクトの特徴は何ですか？

Spider AFは、デジタル広告における偽装クリックやインストールを検出、ブロック、および防止する広告不正（アドフラウド）対策ツールです。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか？

パフォーマンス広告における最適化、不正転売でお悩みの広告主様、アドネットワーク等の広告配信プラットフォーム事業者様、広告代理店様、モバイル・アプリの広告を配信している広告主様に使用していただくことを想定しております。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか？

アドフラウドの2022年の年間被害額は世界で9.3兆円と言われております。全世界のデジタル広告費がおおよそ59.7兆円と言われているので、そのうちの15.5%がアドフラウド被害にあっているのです。そしてその中でも日本はアメリカに次いで世界2番目のアドフラウド被害を受けている国です。
この問題は表沙汰になりにくく、逮捕されにくい事案でありながらも、企業の本来正しく使われるべき広告費が、不正を働くものによって搾取され、結果企業は無駄な広告費を支払ってしまっていることが多いのです。
弊社サービスは無駄で不正な広告費を搾取することを検知、ブロックすることは、企業の広告費を守り、さらには企業の宣伝活動の手助けとなります。

・創業期に大変だったことは何でしょう？またどうやって乗り越えましたか？

毎月給与を払うのが大変でした。大学院を卒業してすぐ起業だったので、貯金もなく、なのに社員も5人いて、どうやって乗り越えたかはあまり覚えていないです。
とにかくがむしゃらで、最初の2ヶ月くらいは給与が支払えなくて、昼は営業に出て、夜はソースを書いて、たまにお風呂に入るために家へ帰る・・・みたいな感じでしたね。まだ単価を理解できていなかったことに加え、足元を見られて安い金額で発注されていたため、働いても儲からない時期がありました。
今思えば、いいビジネスの勉強期間でした。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか？

私個人的な野心として、外貨を稼ぐ会社や産業を作りたいという思いがあります。（外貨を稼ぐことで、日本の良さを次の世代に繋げたいと思うため）
従って、日本マーケットは当然のこと、日本発のサービスの1つとして、グローバルで広く愛されるサービスに成長させたいです。
トヨタさんや資生堂さんのように、海外での売り上げ比率7割以上の会社を目指します。

・今の課題はなんですか？

私の野心とは裏腹に、なかなかグローバルでのグロースが作れない事です。
いくつか可能性を感じられる案件はあるのですが、日本のようなグロースを再現することがとても難しいです。去年の12月後半からグローバルに力を入れ、半年たって少しづつ目が出てきた気がしますが、ここで気を抜かずに「グロース」を作っていきたいです。

・読者にメッセージをお願いします。

もしあなたが起業を目指すならば、可能な限り日本の外に視野を広く持って欲しいです。
私と同じ野心を持つかは個人の選択ですが、現在のスタートアップの多くは内需を回しているだけのプレイヤーが多く、内需=会社のTAMになってしまい、内需が今後減っていく中だけではスタートアップを伸ばしにくいと思います。それでは私の思い描く未来世界にも繋がっていきません。
あとは、製造系など雇用を産む産業でスタートアップをやれる方はとても凄いと思っています。私にはできない分野であり、是非頑張って欲しいです。