注目のスタートアップ

NUWAロボティクスJAPAN株式会社 郭柳宗/矢吹雅彦|AIスマートロボット、サービスロボット、ロボットプラットフォームの事業展開が注目の企業


AIスマートロボット、サービスロボット、ロボットプラットフォームの事業展開で注目されているのが、郭柳宗さんが2016年に台湾で創業し、2020年に日本法人を立ち上げたNUWAロボティクスJAPAN株式会社(代表:矢吹雅彦 氏)です。

アニメや映画の中においては、既に50年以上前から、ロボットと人とが感情を通わせ、互いに助け合い、慈しみあい、世界を変えていくというお話が描かれており、そのストーリーに胸ときめかせたものですが、ここ数年の間に、ロボットと人とが共存する世界がいよいよ現実味を帯びてきました。
IoT技術を駆使したロボットはもちろんのこと、恐竜やリアルな人形による完全無人の受付システムで話題になっているホテル、前を通ると人の動きを感知し、顔をこちらに向けて話し出す案内ロボット、目の前の人の表情や年齢を検知して、最適な提案をしてくれる自動販売ロボット、子守や高齢者の見守りをしてくれるロボットなど、人や動物に近い形状をした、感情までをも表現できるロボットも次々と誕生し、日常生活の中で触れ合う機会が多くなっています。

今後ますます深刻になるであろう人手不足を補うように、こうしたコミュニケーションロボットたちが各所で活躍してくれることによって、私たち今まで通りの生活を送ることが出来、あるいはそれ以上にワクワクするような新しい日常と出会うことが出来るようになるでしょうし、遠く離れている家族や愛する人たちとのコミュニケーションも、ロボットという自分のアバターを通じて、いつでもいつまでも、側にいる感覚と安心感を持ち続けられるようになるかもしれません。

しかし一方で、このようにロボットが人とより複雑で繊細なコミュニケーションを取れるように進化してくると、今まで以上にロボットの深層学習が複雑になり、その学習に即した動きを制御できるシステムの開発にも莫大な労力と費用が掛かるようになります。
そうなると、どれほど素晴らしいコミュニケーションロボットがこの世に誕生したとしても、それを一般普及させ、誰もが日常的に触れ合うことが難しいという状況に陥ってしまいかねません。

こうしたジレンマを解消し、あらゆる場所であらゆるコミュニケーションロボットが人と共存できる社会を創り上げようと、挑戦し続けている企業に、今注目が集まっています。

NUWAロボティクスJAPAN株式会社の会長を務める郭柳宗さんと、社長を務める矢吹雅彦さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

・このプロダクト(Kebbi)を開発しようと思い立ったきっかけや経緯について教えてください。

郭:このプロダクト(Kebbi)を開発しようと思い立ったきっかけは、海外での仕事が忙しく、大切な娘の相手が出来なかったためです。
私は9年間、日本、中国、英国で働いており、その間、一時帰国の時以外は、娘と一緒に居られなかったので、今までのIT技術の経験と知識を駆使して、なんとか、いつでも娘と一緒に居られる様な状況を作りたいと考えていました。
そこで、コミュニケーションロボットを思いつき、娘と離れていても、いつも一緒に居れるような方法を考えたのが、このプロダクトの開発のきっかけであり、NUWAロボティクスを設立した理由で、同じような多くの親御さんに喜んでもらえるソリューションにしていきたいと考えていました。

・このプロダクト(Kebbi)の特徴や他にない強みは何ですか?

矢吹:今までに多くのコミュニケーションロボットが市場に投入され、近未来の生活に欠かせない、ロボットとの生活を多くの人が夢見てきましたが、なかなか現実では十分にロボットの活用・展開が進んでいないのが現状です。
何故、活用が進まなかったのかを考えた際に、大きな理由が二つあると考えました。
一つは、価格が高いため、簡単に導入が出来ないこと、二つ目が、コンテンツの作成やソリューション化に時間とコストがかかってしまう事でした。
そんな課題を解決できるように、開発がすすめられた結果、例えば、ロボットのコストの中で最大限のコスト要因のAIサーボモーターを自社設計、自社製造で対応することにより、低価格を実現するなどの取り組みを進めてきました。 
その結果として、Kebbiの特徴として、価格がお手頃で、導入しやすくなったこと、又、いろんなツールが準備されているので、特別なプログラミングやITの知識が無くても、ノンコードでコンテンツや、会話、顔のキャラクター、ダンス、クイズ、などが作れ、様々な分野でご利用いただけることです。 又、現在、準備中のRobot WorkFlow (RoFlow)や、ロボットマネージメントシステム(RMS)、各種ツールをまとめて、ロボットプラットフォームとしてパートナーに提供し、パートナー様と一緒になって、様々な分野で、様々な用途向けに、簡単にご利用頂けるようになることが、何よりの強みです。 

・どのような方にこのプロダクト(Kebbi)を使って欲しいですか?

郭:元々、私と同じように、この製品で子供たちと離れていても、子供たちのそばに居れる事を希望する親御さんを対象と考えていましたが、プログラミング教育や英語教育にも非常に効果的であることがわかり、現在、台湾では700校以上の小中学校に導入され、教育分野のロボットとして、広く使われています。

矢吹:日本では、教育以外にもパートナー様経由で、様々な分野・場所で使っていただいています。例えば、図書館の書籍の自動貸し出し・返却ソリューション、事務所、病院、幼稚園、老人ホームなどでの受付システム。 それ以外の産業でも、現在、パートナー様によるソリューション化が進んでいます。

・このサービスが解決する社会課題はなんですか?

矢吹:教育分野での貢献、特にロボットを利用することによる効果的な学習が出来る事(プログラミング教育(プログラムに加え、AI教育、IoT教育の教材を準備中)、英語教育、自閉症のお子さん向けの支援システムなど)。
又、コンパニオンとして、受付など、様々な場面での人と接して何かを処理する場面で、人件費も含めたコスト低減、効率化を目指しています。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

郭: ロボットのスタートアップ企業にとって、ロボットという複雑な製品を設計、製造し、維持していくためには、キャッシュフローは常に厳しい状況にあります。これは、ハードウェア、ソフトウェア(AI、クラウド、アプリ、ファームウェアなど)、機械(可動部品)、さらにはさまざまなコンテンツの設計の為の、多くの優秀な従業員が必要だからです。
台湾では、ある大手メーカーのロボットチームには600人のスタッフがいましたが、NUWAは約90人で、精鋭部隊で少人数で対応できるチームを作り上げ、制限のある予算の中で、事業展開を進めています。このような困難を克服できたのは、NUWAを立ち上げる前の元上司(Softbank時代、Foxconn時代)で様々なことを教わり、経験を積み重ね、又、人脈が出来たこと、さらには、良い商品を設計、開発できたことにより、VCから投資を得ることが出来、事業を継続、拡大していくことが出来る状況になりました。

・今後、どのようなビジネス展開をお考えですか?

郭:コミュニケーションロボットからスタートし、現在はホームロボットとサービスロボットに取り組んでいます。つまり、日常生活に役立つ可能性のあるロボットなら、そこに人々のニーズがあれば、NUWAのターゲット製品、乃至はパートナー様とのOEM/ODM製品として開発を進めていきたいと思います。 

矢吹:我々だけでの展開は限界があるので、我々が開発したロボットプラットフォームをパートナー様に提供し、そのパートナー様にて各分野での最終ソリューション・サービスを完成させて、展開を進めていきます。
又、我々の低価格の開発力を最大限に活用し、OEM/ODMベースのビジネス展開も推進していきたいと考えています。
又、来年度からは、コミュニケーション機能に加え、物を搬送したり、ガイドをしたり、様々なシーンでご利用いただけるサービスロボットの展開を計画しています。

・今の課題はなんですか?

郭:如何にして、ロボットをより親しみやすく、便利で、生活のパートナーロボットと出来るのか、をいつも考え、関係各所のパートナー様たちとも議論をし、最大限の努力をもって、この目標を実現する事だと考えています。

・読者へのメッセージをお願いします。

矢吹:ロボットは皆さんの日常生活のいたるところに存在し、皆さんの生活をより良くしていく、そんなロボットやロボットプラットフォームを提供していけるように、パートナー様と一緒に、最大限の努力をしていきたいと思います。

会社名 NUWAロボティクスJAPAN株式会社
代表者名 会長 郭 柳宗
社長 矢吹 雅彦
創業年 2020年(台湾本社は2016年)
社員数 4-5名(台湾本社含めて100名弱)
資本金 910万円
事業内容 AIスマートロボット、サービスロボット、ロボットプラットフォームの展開・販売
サービス名 スマートロボットソリューション
所在地 本社:愛知県名古屋市中村区名駅4-6-23 第三堀内ビル9階
営業所:横浜市西区みなとみらい3-7-1 オーシャンゲートみなとみらい8階
代表者プロフィール 会長)郭 柳宗:スタンフォード大学大学院コンピュータサイエンス研究科修士
NUWA工程技術チームと製品設計人材を率いて、AI人工知能やスマートロボットを開発し、生活品質を向上させるスマートデバイスを造り、ロボットが社会の一員として認められるよう尽力してる。
過去にフォックスコン、ソフトバンクの上層部を歴任し、製品開発からマーケティングに至るまで豊富な経験を持つ。

社長)矢吹 雅彦:神戸商科大学商経学部卒
日本での事業企画、セールスを牽引する。
過去に、兼松株式会社、UTStarcom Japan、ソフトバンクの上層部を歴任し、事業企画の豊富な経験を持つ。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ AI NUWAロボティクスJAPAN コミュニケーションロボット スマートロボット ロボットプラットフォーム 搬送ロボット 矢吹雅彦 郭柳宗
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

衛星データから地上の構造物を再現した仮想世界を自動生成するAIを開発する「スペースデータ」が14.2億円調達
2022年8月3日、株式会社スペースデータは、総額14億2,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 スペースデータは、衛星データと3DCG技術を活用し、バーチャル空間に現実と瓜二つの仮想世…
中古不動産流通ポータルサービス運営の「GA technologies」が「SBJ銀行」と業務提携
平成30年8月28日、株式会社GA technologiesは、株式会社SBJ銀行と業務提携契約を締結したことを発表しました。 GA technologiesは、AIを活用した中古不動産流通ポータルサ…
モデル予測制御(MPC)×機械学習による最適制御AI「Smart MPC」を手がける「Proxima Technology」が9,000万円調達
2023年8月10日、株式会社Proxima Technologyは、9,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 Proxima Technologyは、機械学習・最適化・制御・3次元デー…
AI育成アプリ提供の「エアフレンド」が1.63億円調達
2022年7月5日、エアフレンド株式会社は、総額1億6,300万円の資金調達を実施したことを発表しました。 エアフレンドは、AI育成アプリ「エアフレンド」を開発・提供しています。 AIによる架空の友達…
船舶の自動運転技術を開発する「エイトノット」が1億円調達
2022年2月15日、株式会社エイトノットは、総額1億円の資金調達を実施したことを発表しました。 船舶の自律航行(自動運転)技術や、環境に配慮したEVロボティックボートによるオンデマンド型水上交通の開…

大久保の視点

国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
「スタートアップワールドカップ2024」世界決勝を現地速報!優勝はEarthgrid(米代表・プラズマでトンネル掘削)
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…
(2024/10/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集