注目のスタートアップ

株式会社アロマオルファクトリー 荘司博行|香りペンの事業展開が注目の企業

色とカタチに香りを乗せることが出来る「香りペン」の事業展開で注目なのが、荘司博行さんが2020年11月に創業した株式会社アロマオルファクトリーです。

私たちは日常的に様々な香りを体感しています。外に出れば、野生の花の香りや木々の香り、雨の香り、季節に吹く風の香り。家の中でもお料理の香り、洗濯の香り、シャンプーの香り、各家や各建物そのものが発する独特の香り等々、数多くの香りと共に生きています。

そうした様々な香りにはそれぞれに効果や効能、影響力があります。知らず知らずのうちに私たちは、香りから多くのインパクトを受け取っているわけです。
心地よいインパクト、ちょっと鼻につくインパクト、懐かしいインパクト、危険なインパクト、皆さんの中には特定の香りに触れた瞬間に、ある体験やある感覚、あるモノを思い出したことがある、というご経験があるのではないでしょうか?
香りはいわば私たち一人一人の経験や思い出や感覚と共にあり、情緒にも影響するものと言えるのかもしれません。

また、モノ・色味・香りが一つに集約されてこそ一般的に認知されている物事も世の中にはたくさんあります。
例えば、バラの花は赤や白やピンク色で、大きな花びらが多重に重なり茎には刺のある形状で、香りは華やかな広がりを感じさせるもの、という一致があってそれと認識されています。もし香りだけが全く別のものに置き換わったとしたら、それをバラの花と捉えることが難しくなるのではないでしょうか。

このように、私たちに多大な影響を与える香りに注目した新たな取り組みに、今注目が集まっています。

株式会社アロマオルファクトリーの香りペン事業の特徴は、
調香師によって開発されたエッセンスを含んだ香り付きマーカーペンを使い、色を付けていくだけで、香りを楽しめたり調香体験ができるという点です。
これにより、煩雑なセッティングや専門知識がなくとも老若難所問わず日常的に香りの持つ好影響を体感できるようになります。

株式会社アロマオルファクトリーの荘司博行さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

アロマスティロは、インクに香料・精油を高含有させた香りマーカーペンです。
普通のマーカーペンと同じ使い方で、色を塗ったところから香料・精油の香りがする、香りを見える化したありそうでなかったツール(特許出願中)です。
数種類の香りの違うペンを使って、誰でも簡単に本格的調香を楽しめるプロの調香師が開発した本格的調香ペンです。
ぬりえをするだけで本格的なバラの香りが創れます。
香りを創る機能がありますが、手軽に携帯できる香りを使って嗅覚トレーニングにも応用できるよう設計してあります。
将来的には軽度認知障害予防の嗅覚トレーニングツールとして活用予定です。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

小学生~高齢者まで。香りに興味のある方。香り創り(調香)に興味のある方や、嗅覚の衰えが気になる方。嗅覚が不調の方にもお勧めしたいです。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか?

①幼少期の嗅覚、香りの教育
五感の中で教育の難しかった嗅覚。誰でも簡単に使えるペンタイプの香りは幼少期からの香りの教育に利用できます。

②高齢者の嗅覚トレーニング
軽度認知障害では嗅覚の衰えが指摘されています。軽度認知障害~認知症に移行するまでの期間の延長のための高齢者向け嗅覚チェックと嗅覚トレーニングに利用できます。

③嗅覚障害回復のトレーニング
コロナウイルス感染などによる嗅覚障害のチェックや回復トレーニングに利用できます。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

大変だったのは、何といっても起業準備中にコロナ禍になってしまったことです。
本格的なコロナ禍が始まる前(2020年2月上旬)、勤めていた会社に早期退職者制度を使って2020年9月末で退職することを伝えました。起業準備期間中に香りペンの製造依頼をしようと考えていましたが、コロナが蔓延しだして人に会うことが難しくなっていき、退職する頃には本格的にコロナ禍となり、想定していた事業が予定通りはじめられませんでした。

商品化に関して言えば、今のペンの形になるまで多くの時間がかかりました。まずは様々な市販されているペンを購入し分解して、片っ端からインクに香料を含有させて試して、最終的にはマーカーペンを選択しました。
当初私は、ペンのインクに香料・精油を入れたら作れるだろうと単純なアイデアで実現できると考えていましたがそんなに甘くはありませんでした。
アイデアの単純さゆえ、問題が起こると問題解決には何度も試作、試験が必要になりました。

一方、市販品を使った試作ではなく、本格的に試作検討するにあたってペンの部品調達が必要になりましたが、ペンの部品だけの調達ができず、販売してくれるメーカーがなかなか見つかりませんでした。
ようやく部品販売をしてくれる企業を見つけ試作することができましたが、今度は製造してくれる製造会社がなかなか見つかりません。
展示会で目を付けていたOEMメーカー様に問い合わせ、本社にうかがい、ペンの概要と使用法をプレゼンし、OEMメーカの社長のOKを頂き、最終的に受託してくれました。
この製造してくれる会社を見つけるのがとにかく大変でした。一社製造してくれる所が見つかったことはラッキーだったと思います。

≪乗り越え方法≫
1)商品価値を認知拡大する取り組みからスタート
オンラインを活用した香りのセミナー開催など、想定していなかった事業でスタートしました。予定になかったオンライン配信、動画作成配信、SNSを利用した動
画作成など、経験のあまりないこと必死に独学し応用しました。

2)世情に合わせた事業展開にシフトチェンジ
コロナ禍で役立つものをと透明インクの香りマーカーペンを検討、マスクの上から香りが塗れるマスク用の香りペンを企画し、発売しました。
当初マスク用のペンが納品される2021年2月頃にはコロナ禍も終わっているのではと思われましたが、さらに悪化していました。マスクが必要で人と接する職業の方に届けいて欲しいとクラウドファンディングを実施し、成功を収めました。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

精油に代表されるアロマだけにとどまらず、18年間香りの業界で調香師として働き培った香料の知識を応用し、今までにない香りの使い方を提案・商品化して、もっと香りを世の中に役立てていける独自性のある会社にしたいです。
サービスとしては小学生~高齢者まで、各年齢層で発生する問題を香りで解決方法を提案していきたいです。今のところ具体的には小学生には香り教育、高齢者には嗅覚トレーニングにとどまっていますが、問題解決に香りが応用できないか検討していきたいです。

・今の課題はなんですか?

香料・精油などを使って効果を示した論文は世界中にありますが、製造した香りマーカーペン、アロマスティロを使って実際に効果が証明できるかどうかを検証していく必要があると思っています。
本格的な香りマーカーペンは類似品がなく、使い方の説明がオンライでは難しく、どのように使い方を説明するのがいいのかまずは使用法と応用法の説明の仕方が課題です。
その先のペンの販売拡大方法も課題です。まだ駆け出しの企業のため我慢するところは我慢が必要と考えています。
コロナ禍が落ち着き実際に香りペンをお見せして説明できる場が増える事を願っています。

・読者にメッセージをお願いします。

創業に必要だと思ったことを記します。
・人に負けない自分の本当に得意なことは何かを見つけることが必要。
・時代の流れに自分を合わせられるよう柔軟な考え方が必要。
・過去の経験に頼りすぎず、今の時代のスタンダードを学び将来を予測する事が必要。
・私のように50歳を過ぎた方は雑用を含め何でも自分でしなければいけないという覚悟が必要。
・貪欲に、謙虚に、何が起こっても必要以上に気にしすぎないことが必要。

会社名 株式会社アロマオルファクトリー
代表者名 CEO荘司博行
創業年 2020年11月
資本金 200万円
事業内容 ・香り、香料の企画、技術指導及び各種コンサルティング業務
・各種商品の企画、開発、販売、通信販売及び輸出入
・セミナー、講座、イベント、研修会等の各種企画、開催、運営及び管理
・各種動画番組の企画、編集、制作及び販売
・インターネットを利用した情報提供サービス、企画、制作、販売、配信、運営及び管理
所在地 茨城県つくば市千現2丁目1番⑥号
代表者プロフィール 大手入浴剤メーカーにて18年間、調香師として香りを創る。140以上の製品の香りを創り世に送り出した実績を持つ。
一般社団法人日本能率協会が選ぶ「サラリーマン100選」の一人にも選ばれる。
2018年10月書籍出版 『最新論文等から香りのプロが考案! 嗅ぎトレ 認知症・ガン予防やダイエットにも!”ながら”嗅ぎで、心と体のアンチエイジン
グ』KADOKAWA
香りの新しい応用法を示す。
2020年9月末退職し、香りの新価値創造のために独立。
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ アロマオルファクトリー アロマスティロ アロマペン 嗅覚トレーニング 荘司博行 香りの教育 香りペン
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