注目のスタートアップ

量子科学に基づく新規材料の社会実装を目指す東大発スタートアップ「TopoLogic」が1.3億円調達

company

2022年4月7日、TopoLogic株式会社は、総額1億3,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

TopoLogicは、量子科学に基づく新規材料の社会実装を目指す東大発スタートアップです。

東京大学大学院理学系研究科、中辻・酒井研究室で研究が進められている「トポロジカル物質」の社会実装のため、新規素子やデバイスの開発を進めています、

具体的には、薄膜化、大面積化、低コスト化が可能な熱電変換デバイスの開発、半導体メモリと比べて省電力化が可能なメモリ素子の開発を行っています。

今回の資金は、熱流センサーのプロダクト・サービスのプロトタイプの開発、トポロジカル反強磁性体によるメモリ素子の基礎開発の推進に充当されます。

トポロジカル物質とは、数学のトポロジー(位相幾何学)という観点から構造や物性・現象が説明される物質です。

トポロジーとは、穴が開いている/いない、穴が何個あるかという部分に焦点を当てた考え方です。穴は形を曲げたり伸ばしたりしても保たれる性質であり、たとえば、ドーナツと把手のあるマグカップはどちらも穴がひとつなので、これをトポロジー的に同一であると言ったりします。

このトポロジーという分野は比較的新しく、数学者ポアンカレによる1900年前後の一連の研究がはじまりであると考えられています。それからトポロジーの研究が進み、素粒子、宇宙、量子情報などの分野においても新しい現象の発見に大きく貢献しました。

物性の世界ではトポロジカル物質というものが発見され、次世代の情報技術への活用が期待されています。トポロジカル物質とは、たとえば中身は絶縁体であるのに表面は電子を通すといった特異な現象を示す物質などです。

ほかにも様々な特異な性質を持つ物質が発見されており、TopoLogicは、このトポロジカル物質を応用し、革新的なデバイスやメモリ素子を開発しています。

たとえば、開発しているメモリ素子は、MRAM(磁気記録式メモリー)への適用が考えられています。MRAMとは既存のDRAMやSRAMといったメモリを大幅に省電力化するため、ウェアラブルデバイスやエッジ端末などの省電力化のために大きく注目されています。

MRAMはすでに実用化され市場に投入されていますが、TopoLogicのメモリ素子が適用されることでさらなる高性能化が図られ、省電力化だけでなく、THz(テラヘルツ)レベルでの高速動作、高集積化が実現されるとしています。

研究開発系のビジネスでは、資金調達が成長に直結してきます。「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資してもらうためのノウハウや、クラウドファンディングの使い方など、創業期の資金調達について詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ TopoLogic デバイス トポロジカル物質 新素材 材料 東京大学 株式会社 研究開発 科学 資金調達 量子科学
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

店舗の混雑状況を簡単に知ることができる飲食店向けサービス「混雑予報AI」がリリース
2020年5月14日、有限会社ゑびやは、「混雑予報AI」をリリースしました。 「混雑予報AI」は、ゑびやが運営する老舗食堂「ゑびや」の経営メソッドから生まれたサービス産業のためのシンクタンク、株式会社…
デザイナーズ・トイを扱うキャラクター雑貨ブランド「tretoy」運営の「アダビト」が資金調達
2020年11月26日、株式会社アダビトは、資金調達を実施したことを発表しました。 海外で人気のデザイナーズ・トイを中心に扱うキャラクター雑貨ブランド「tretoy(トレトイ)」を運営しています。 デ…
AIスマートホームカメラ「ATOM Cam」の「アトムテック」がAI電話サービスの「ディライト」と提携
2021年9月22日、アトムテック株式会社は、株式会社ディライトと提携したことを発表しました。 アトムテックは、AIスマートホームカメラ「ATOM Cam」を展開しています。 ディライトは、AI電話サ…
エンプロイーサクセスプラットフォーム「Well」開発・運営の「Boulder」が1億円調達
2020年7月28日、株式会社Boulderは、総額1億円の資金調達を実施したことを発表しました。 また、クローズド提供していた「Well(ウェル)」のβ版の正式リリースも併せて発表しました。 「We…
ライト・カウンセリング・マッチング・プラットフォーム開発の「the purpose」が1,800万円調達
株式会社the purposeは、総額1,800万円の資金調達を実施したことを発表しました。 匿名性のライト・カウンセリング・マッチング・プラットフォーム「Aizuchi(アイズチ)」を開発しています…

大久保の視点

日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集