確定申告の医療費控除申請方法|平成29年分から領収書の提出が不要に

資金調達手帳

申請方法が変わります!平成29年分の確定申告の医療費控除を受ける方へ

(2018/01/04更新)

平成29年(2017年)分から、確定申告の医療費控除の申請方法が変わります。2020年までは従来の方法(領収書の添付)で良いとされているものの、新しい方法では集計がやりやすくなりました。

医療費が多くかかった方は、医療費控除を活用することで節税につながります。今回は、医療費控除制度の解説や、改正された申請方法、新しく始まる「セルフメディケーション税制」との違いなど、医療費控除を活用するための知識を分かりやすく解説します。

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平成29年分から改定した点

まずは、平成29年(2017年)分から実施される改正点を確認しておきましょう。

大きく変わるのは、次の2点です。

①個別の領収書ではなく、自分で作成した「医療費控除の明細書」を添付する
②個別の領収書は、自宅で5年間保管する

これまでは、領収書の内容を集計して確定申告書に記載し、すべての領収書を税務署に提出しなければなりませんでした(e-Taxの場合を除く)。そのため、提出書類が分厚くて煩雑になることも。しかし、新しい申請方法であれば、紙一枚を添付すればOKなので、申請が簡単になります。

医療費控除の明細書とは、簡単に言うと「支払った医療費の一覧」のこと。あまり気負わずとも、誰でも作成することができます。詳しい書き方については後述します。
また、健康保険組合等から発行される「医療費通知書」を添付すれば、明細書の記入を省くことも可能です。

この申請方法に完全に切り替わるのは2020年分からで、それまでは従来の方法で申請してもOKです。

なお、2017年分から、健康増進への取り組みを行っている方は、一定の市販薬購入代金について控除が受けられる「セルフメディケーション税制」も始まりました。医療費控除とセルフメディケーション税制の併用はできないので、お得な方を選んで申告するようにしましょう。

医療費控除とは?医療費控除で還付金がもらえる理由

そもそも、「医療費控除」とは一体なんでしょうか?「医療費がかかると、税金が還ってくる」というあいまいな知識しかない方も少なくないと思います。医療費控除を適切に活用するために、まず、仕組みを正しく理解しておきましょう。

医療費控除とは、医療費がたくさんかかった年に、かかった医療費の一部を税金から控除して税負担を少なくする仕組みです。個人事業主も、会社員も、税金を納めている人であれば対象になります。

所得税や住民税は、前年の「所得」に規定の税率をかけて算出されます。
医療費控除では、かかった医療費の一部を所得から差し引くことができます。課税所得が少なくなるので、その分税金が少なくなるというわけです。

給与を受けている人や、源泉徴収されている個人事業主であれば、すでに給料・報酬から所得税が差し引かれている状態=税金を多めに支払っている状態です。確定申告で医療費控除を申告することで、払いすぎていた税金が「還付」されます。納めすぎている税金が還ってきているだけなので、もともと税金の支払いがない人が申告しても還付はありませんから、間違わないようにしましょう。

また、住宅ローン減税などで所得税は0円になっている人も、医療費控除は意味があります。翌年度の住民税も所得額に応じて決められるので、医療費控除を行うことで節税することができるからです。

医療費控除が受けられる条件

医療費控除を受けるためには、以下の条件を満たしていなくてはなりません。

①所得税・住民税を納めている
②1月から12月までの間に支払った医療費が10万円(もしくは合計所得金額の5%)を超えている

そもそも非課税の場合は、還ってくる税金や納めるべき税金がないので適用されません。
また、「支払った医療費」についても、控除の対象となるものかどうか確認する必要があります。

医療費控除の対象となるもの

医療費控除の対象となるのは、「治療」のために支払われたものです。病院での診察や入院費、薬代に加え、治療のためにドラッグストアで購入した医薬品の料金も対象になります。

医療費控除の対象になるものとして、国税庁のホームページで明記されているものは以下の12項目です。

①医師・歯科医師に支払った診察費や治療費
②治療や療養のための医薬品購入費
③病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所に支払った入院費
④あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師へ支払った施術費
 ※疲労回復や体調回復といった治療に関係のないの施術は除く
⑤保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話についての対価
 ※家族に支払った金額は除く
⑥助産師による分べんの介助費用
⑦介護福祉士などによる、たんの吸引や経管栄養の費用
⑧介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
⑨診療や施術を受けるために直接必要なもの(交通費や補聴器、一部のおむつの購入費)
⑩骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
⑪日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
⑫高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金

入院や通院については、医師の支持による差額ベット代、入院時の食事代、治療のための松葉杖・ギドク・補聴器などの購入費、交通費なども対象になります。

出産に関しては、定期検診や出産費用も対象です。通院が困難でタクシーを使った場合は、その費用も含まれます。6か月以上寝たきりで治療を受けている人で、「おむつ使用証明書」があれば、おむつ代も算入可能です。

その他、不妊治療や人工授精費用も対象になります。

医療費控除の対象とならないもの

「治療」のためではない医療費(予防、美容、健康増進のための医療費)は、医療費控除の対象にはなりません。以下に挙げる具体例を参考に判断しましょう。

  • 美容整形
  • 予防接種
  • 医師への謝礼金
  • メガネ・コンタクトの購入費
  • 入院の際に購入した洗面具やパジャマ
  • 問題のなかった定期検診や人間ドック費(検査の結果、治療が必要な病気が見つかれば、検診費用も医療費の対象となります)
  • 通院のためのガソリン代や駐車代
  • 出産のための里帰り費用
  • 美容歯科矯正(子どもの成長のためなど、必要と認められる場合は対象になります)

覚えておきたい医療費控除のポイント


医療費控除をスムーズに、しかもお得に活用するためのポイントを4つ紹介します。

医療費控除4つのポイント
  • 控除対象になるのは支払った分の医療費だけ
  • 家族の分も対象になる
  • 医療費控除の申告は5年前まで遡ることができる
  • 医療費控除の上限は200万円

1. 控除対象になるのは支払った医療費の分のみ

医療費の控除対象になるのは、支払った分の医療費だけです。高額な治療や入院費を、分割やクレジットカードで支払う場合もあると思いますが、申告できるのは「1月~12月に実際に支払われた額」のみです。

例えば、医療費が20万円の場合に、今年15万円払い、翌年5万円を支払うという形はおすすめしません。一般的に、医療費控除は10万円を超えた額が対象となるので、来年他の医療費がなければ、控除額が0円になってしまう可能性があるからです。医療費20万円を年内にすべて支払うと、10万円(20万円ー10万円)の控除が受けられます。

最大限に控除を受けるためにも、年内にまとめて支払うようにしてください。

2. 配偶者や親族の分も対象になる?

医療費は、自分の分だけでなく「生計を共にする」親族の分を合算することができます。

「生計を共にする」とは、同じ財布で生活をしている、ということ。配偶者・子ども・孫・祖父母の医療費も合算することが可能です。
別居していても、生計が同じであれば(生活費や学費、療養資金を送金している、休日一緒に過ごしている状況であれば)大丈夫です。

同居していても、収入が別で生計を独自に立てていれば、合算対象とはなりません。

3. 医療費控除の申告は5年前まで遡れる

医療費控除という仕組みは、自分で申告しなくては還付を受けることができません。「去年大病をして医療費がかかったのに、申告し忘れていた…」「こんな仕組みがあるなんて知らなかった!」というケースもあるかもしれません。

ですが、ご安心ください。医療費控除の申告は、5年前まで遡ることができます。

例えば、2018年の確定申告期間(2017年1月1日~12月31日までの所得を申告する)であれば、2012年1月1日~12月31日の分まで申告することができます。

4. 控除範囲は10万円〜200万円の医療費等

生計が同じであれば、自分と家族の医療費すべてが控除になるわけではありません。控除対象になるのは、基本「10万円を超えた部分(もしくは、総所得金額の5%のどちらか少ない額)で、上限が200万円まで」と決まっています※。

例えば、年間の医療費が15万円であれば、控除金額は5万円となります。控除金額を計算する際には、保険金や出産育児一時金等は差し引く必要があります。計算方法は、次の項目で解説します。

※休職や退職などで通常より年収が下がり、所得が200万円未満になる場合は要注意。1年間の医療費が10万円以下でも、総所得金額の5%に達していれば控除対象になるので、必ず計算するようにしましょう。

医療費控除額の計算方法

医療費控除額は、以下の計算式で求められます。

医療費控除額=1年間に支払った医療費 ― 保険金・一時金で補てんされる金額 ― 10万円または総所得金額の5%のどちらか少ない額

1年間に支払った医療費の集計にあたっては、国税庁が提供している集計用フォーム(エクセルファイル)を活用すると便利かもしれません。

参考:医療費集計フォーム(国税庁HP)

【改正】平成29年分の確定申告から変わります!医療費控除を受けるための必要書類

平成29年分の確定申告から、医療費控除を受けるための必要書類が変わります。

従来は医療費の領収書が必要でしたが、それに変わって「医療費控除の明細書」の添付が必要になりました。
領収書に関しては、提出は必要ないものの、5年間は自宅で保管しておかなくてはなりません(税務署から求められたときには、提示か提出が必要です)。

給与所得者の方であれば、医療費控除の書類と合わせて「源泉徴収票」も提出します。個人事業主であれば、事業の確定申告書類やその他の所得控除証明書類(保険や年金など)と合わせて準備します。

関連記事:再発行できる?源泉徴収票を紛失した時の対処方法

医療費控除の明細書等の書き方

医療費控除の明細書は、税務署が提供している様式に沿って作成します。手書きで作成することもできますし、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーで作成することも可能です。

参考:医療費控除の明細書様式(国税庁HP)

医療費控除の明細は、「医療を受けた人」「病院・薬局」ごとにまとめて記載します。医療費の区分として、「診察・治療」「介護保険サービス」「医薬品購入」「その他の医療費」の該当するものをチェックし、合計額を記載するだけなので、非常に簡単ですよね。

また、おむつ代やストマ用装具等の医療費控除を受ける場合は、「おむつ使用証明書」などの書類を添付・提示することが必要です。

すべての医療費を記入したら、用紙下部の計算式に従って、自分の控除額を算出すれば完成です。

医療費控除申請の注意点

医療費控除を申請する際は、次の2点に注意しましょう。

①2020年までは従来の申請方法でもOK
②セルフメディケーション税制との併用は不可

以下、詳しく解説します。

2020年までは従来の申請方法でもOK

2018年(平成29年分)の申告から、新しい申請方法が導入されます。しかし、「急に言われても困る」「今までの慣れたやり方で進めたい」という人は、2020年(平成31年度分)までは従来の方法でも申請が認められています。

ただ、将来的には「医療費控除の明細」を用いた方法になりますし、新しい方法の方が簡易に申請することができるので、チャレンジしてみる方が良いでしょう。

医療費控除を受ける人はセルフメディケーション税制が受けられない

2018年(平成29年分)から、新たに「セルフメディケーション税制」も開始されます。

セルフメディケーション税制とは、健康増進への取り組みをしている人に関して、一定のOTC医薬品の購入額を控除できるという仕組みです。これは医療費控除の特例として設けられた制度で、医療費控除と同時に受けることはできません。

セルフメディケーション税制では、OTC医薬品の購入費が12,000円を超えた額から、上限88,000円までが控除対象となります。下限が低いので、「医療機関に支払った医療費は少ないけれど、たくさん市販薬を購入している」という人は、セルフメディケーション税制の対象になっている可能性があります。

また、医療機関の受診費が12万円で、OTC医薬品の購入費が2万円という場合など、医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらも対象になる可能性もあります。

しかし、医療費控除とセルフメディケーション税制は、併用することができません。どちらにも当てはまる人は、控除額を算出してよりお得な方を選ぶようにしてください。

提出期限

2018年(平成29年分)の医療費控除の確定申告期限は、2018年3月15日です。

個人事業主など、「確定申告によって税金を納める人」の確定申告は原則2月16日から3月15日ですが、医療費控除の申請で還付を得るだけの場合は、1月1日から申告することができます。

確定申告期間が始まると、税務署も混み合いますから、早めに作成して提出すれば、その分早く還付されます。

また、医療費控除の申請は5年間遡ることができますので、申告していない医療費がある年があれば、忘れずに申告しましょう。

(所得税及び復興特別所得税編)
2018年版|確定申告のやり方/書き方を徹底解説します!

(執筆:創業手帳編集部)

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