ランサーズが考える広報と社内システム
ランサーズ株式会社代表取締役社長 秋好陽介氏インタビュー
ユーザーのことを第一に考え、これまでさまざまなサービスを生み出してきたランサーズ。
これらを広めるために、ランサーズではどのような広報活動を行っているのでしょうか。
ランサーズ株式会社代表取締役社長の秋好陽介氏に、事業を広めるための広報活動についてお話を伺いました。
1981年大阪府生まれ。大学在学中にインターネット関連のベンチャービジネスを起こし、卒業と同時にニフティ株式会社に入社。
複数のインターネットサービスの企画運営を担当する中で個人と法人のマッチングサービスを思い立ち、2008年4月に株式会社リート(現ランサーズ株式会社)を創業。
同年12月、インターネットを通じてフリーランスの働き手と企業をつなぐクラウドソーシングサービス「Lancers(ランサーズ)」の提供を開始し、国内最大規模のサービスに育て上げた。
クラウドサービスなのにリアルイベントが大事?
秋好:仕事のクライアントに対しては、数十万人いるランサーさんたちの働き方を自社のオウンドメディアで紹介し、まず知っていただくということから始めています。
ランサーの方に対しては、47都道府県すべて巡回して県ごとにセミナーや交流会をしています。
つい先日は、優れたランサーを表彰する「Lancer of the Year 2015」という授賞式を開催しました。
こういったリアルなイベントは、今後も積極的にやっていきたいと思っています。
インターネットの中というのはどうしても分かりにくいため、イベントなどで実際に会うだけで伝わるところがありますよね。
顔が見えた方がトラブルも防げますし、仕事の単価も上がりやすい。
インターネット上のサービスだからこそ、顔が見える透明性の高いものにしていきたいと思っています。
また、このようなイベント開催時にはメディアにプレスリリースを送り、極力取り上げていただくようにしています。
都内近郊の記者の方には直接ご連絡したり、ニュースの優先順位によってPR TIMESを活用するなど、より人の目に触れるPRを考えています。
メディアとは関係ありませんが、中小企業庁と協力して中小企業向けのクラウドソーシング活用セミナーを開いたり、クライアント向けにオンラインセミナーを開催して認知度を広げています。
地方活性がキー
秋好:仕事を依頼するのは5割以上が東京の企業ですが、仕事を受けるランサーの方たちは7、8割が地方在住の方です。
我々も2年前まで鎌倉にオフィスを構えていた地方出身企業なので、地域社会を支援したいという想いは創業時から変わらずあります。
まだ鎌倉にいた頃、IT企業を鎌倉に集めて鎌倉を盛り上げるという目的で、アメリカのシリコンバレーをイメージして「カマコンバレー有限責任事業組合」という団体を立ち上げました。
構想を話し始めた頃は賛同してくれる人は少数でしたが、今はイベントをやると鎌倉のアツい人たちが100人ぐらい集まります。
鎌倉って先進的で、基本的に濃い人たちが多いんですよね。
起業家も多いし、デザイナーや陶芸家、寺の住職など尖った人が多い。
カマコンバレーは当初IT企業がメインでしたが、今はIT率が30%ぐらいまで下がってきました。
東京の企業が鎌倉に移転するパターンと、鎌倉にいる人たちが集まって事業を起こすという2パターンがあります。
ランサーズとしては鎌倉も大事ですが、いろいろな地域を盛り上げていきたいので、鎌倉でうまくいっているモデルを各地で横展開していければと思って活動しています。
秋好:宮城県女川町で働ける人を探す支援活動を行ったり、群馬県桐生市のNPO法人と提携して群馬県内のフリーランスや子育て中の女性に対してスキルを活かせる仕事を提供したりしています。
また、先日は「福岡移住計画」を運営するスマートデザインアソシエーションと業務提携し、福岡への移住者にオンライン上で完結できる仕事を提供するサービスも始めました。
会社としてのビジョン実現のために、地方ではいろいろとやっています。
日本はまだまだ副業規制が厳しいので、国としてもダブルで働く人を推進してもらって、「企業にとってもさまざまな体験できる」という風にポジティブに進めていっていただきたいですね。
最近は新経済連盟で幹事をさせていただくようになったので、そこではもっと世の中にとって良いことを提言していきたい。
実業ではありませんが、そこは大事なポイントかなと思ってやらせてもらっています。
秋好:先日、世界92カ国のデザイナーを抱えるdesignclue(デザインクルー)というクラウドソーシングサイトを買収しました。
これまでも海外在住の方と日本企業とのやり取りはたくさんありましたが、このようなグローバルな会社が入ってくれると、今後ますます海外でも自由に働けるサービスを提供できるようになります。
「場所にとらわれない」を実現するために、どこでも働けるような仕組みを作っていきたいですね。
ベンチャーに必要な情報共有のコツ
秋好:メッセージツールとしてチャットワークを使っています。
チャットワークはスピーディーかつタスクも切れて、プロジェクトごとに部屋を分けられるところがいいですね。
ランサーズの社内コミュニケーションは、チャットワーク頼みというぐらい有効的に活用しています。
それからもう1つ、クラウド上でメッセージを管理したり、WordとExcelを使うところでは「Google for Business」を活用しています。
ベンチャーの場合は何よりもスピードが求められるので、素早く情報共有を行うということを常に考えています。
例えば誰か1人が知らないことがあると、それだけで事業が遅れてしまいますからね。
「Google for Business」は、必要なプロジェクトを自由に設定できるところも重宝しています。
仕事をしていると、スピードを求められる分うっかり忘れてしまうこともありますが、「Google for Business」はその都度思い出せるところが使いやすい。
僕はエンジニア出身なので新しいツールを導入して効率化するのが好きで、こういったものは早い段階から活用しています。
(取材先:ランサーズ株式会社)
(創業手帳編集部)
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