給付金に税金はかかる?課税・非課税の違いを種類別に紹介
給付金は種類によって課税・非課税が決まる

国や自治体から支給される様々な「給付金」に対して、「この給付金に税金はかかるの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
実は、給付金はすべてが非課税というわけではなく、種類や目的によって課税・非課税の扱いが異なります。
知らずにいると、後から申告漏れや追徴課税につながるケースもあるため注意が必要です。
この記事では、給付金の基本的な税務上の考え方や、課税・非課税の違いを種類別にわかりやすく解説していきます。
仕訳方法や経理処理の考え方についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
税金がかかる給付金・かからない給付金の違い

給付金や補助金などはすべてが非課税対象というわけではなく、場合によっては収入とみなされ課税対象となります。
税金がかかる給付金とかからない給付金の違いとして、「支払う費用を補填しているか」「売上げの代わりになっているか」が挙げられます。
例えば、費用を支払うことで経費となり、その分利益が減って納める税金額も抑えられます。
もし給付金で支払う費用を補填した場合、その分経費とならないため、補填される金額分利益を増やさなくてはなりません。
また、資金繰りを改善するために給付金を受け取った場合、本来の売上げと同じように計上しなくてはならないため、売上げと同様に税金がかかってくることになります。
このように、税金がかかる給付金は費用や売上げを補填しているかどうかがポイントになってきます。
課税対象になる給付金の種類

課税対象になる給付金は、主に事業所得・一時所得・雑所得の3つに区分できます。ここで、課税対象になる給付金の種類について紹介します。
事業所得に区分されるもの
事業に関連性の高い給付金補助金は、原則事業所得に区分され、課税対象となります。事業所得に区分される給付金・補助金は以下のとおりです。
| 給付金 | 概要 |
| 持続化給付金 | 感染症の拡大に伴い、多大な影響を受けた事業者に対して、事業全般に広く使える給付金 |
| 経営継続補助金 | 農林漁業者の経営の継続を図るために創設された補助金制度 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者が働き方改革や賃金引き上げ、インボイス導入などに対応できるよう、販路開拓の取り組みなどの経費を一部補助する制度 |
| 家賃支援給付金 | 感染症の拡大で売上げが減少した事業者の事業継続を支えるため、地代・家賃の負担を軽減するための給付金制度 |
| 雇用調整助成金 | 経済上の理由から事業規模の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用維持を図るための費用を助成する制度 |
| 小学校休業等対応助成金・支援金 | 一定期間において子どもの世話を行う必要となった労働者に対し、有給休暇を取得させた事業主を支援するための助成金・支援金制度 |
| 休業・時短要請協力金 | 感染症の拡大に伴い、各自治体が飲食店などに休業や時短営業を要請し、協力した事業者に対して支給する制度 |
| 感染拡大防止協力金(東京都) | 感染症拡大防止でまん延防止等重点措置が延長されることに伴い、飲食事業者などの店舗を対象に支給される制度 |
一時所得に区分されるもの
事業に関連するものは事業所得に区分されますが、それ以外の収入は一時所得扱いとなります。
一時所得に区分されるのは、主に個人の生活支援を目的としたもので、年間50万円を超えると課税対象になります。
| 給付金 | 概要 |
| 持続化給付金(給与所得者向け) | 持続化給付金は原則個人事業主・中小法人を対象とする制度だが、対象者が拡大し、主な収入を給与所得とする人も受けやすくなった |
| すまい給付金 | 住宅購入や住宅ローンによる負担を軽減することを目的に、現金を支給する制度 |
| 地域振興券 | 地域振興を目的に配布される商品券で、生活の経済的負担を軽減しつつ、地方での消費を促そうとする経済対策 |
雑所得に区分されるもの
事業所得と一時所得のどちらにも該当しない場合や、明確に区分されていないものはすべて雑所得に分類されます。
例えば、雑所得扱いの給付金・補助金は、以下の制度が挙げられます。
| 給付金 | 概要 |
| 持続化給付金(雑所得者向け) | 副業など雑所得者向けの持続化給付金制度は、雑所得に区分されるため税金が課される |
| ベビーシッター利用者支援事業の助成 | 地方自治体がそれぞれで設けている給付金制度で、ベビーシッターなどの育児サービスを活用すると助成金が受け取れる |
非課税対象になる給付金の種類

非課税対象となる給付金は、様々な根拠に基づき非課税に分類されています。ここで、各根拠別に非課税対象となる給付金の種類と概要を紹介します。
所得税法が非課税の根拠となるもの
所得税法を根拠に非課税対象となる給付金制度などがあります。
例えば、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金は、所得税法9条1項18号「心身または資産への損害について支給を受ける相当の見舞金」に当てはまることから、非課税対象となっています。
| 給付金 | 概要 |
| 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金 | 物価高騰に直面する低所得の子育て世帯に向けた給付金制度 |
| 学生支援緊急給付金 | 感染症の影響で学生が経済的理由により大学などの進学・修学を断念することがないように設けられた給付金制度 |
| 新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業 | 新型コロナウイルスの拡大防止・収束に向けて尽力した従事者に対し、慰労金を給付する制度 |
| 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業(割引券) | 多様な働き方をする労働者が就労のためにベビーシッターサービスを利用した場合、その利用料金の一部または全部を助成する事業で、電子チケットによる割引券が発行される |
新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの
2020年4月に成立した「新型コロナ税特法」は、コロナ禍のあおりを受けて業績不振に陥っている法人・個人事業主に向けた制度です。
この新型コロナ税特法が非課税の根拠となっているものもあります。
| 給付金 | 概要 |
| 特別定額給付金 | 感染防止拡大を防ぎつつ家計を支援するために設けられた給付金制度 |
| 子育て世帯への臨時特別給付金 | 感染症が長期化する中で、子育て世帯を力強く支援するために、0歳から高校3年生までの子どもに対して1人あたり10万円相当を給付する制度 |
| 住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金 | 住民税均等割非課税世帯や新型コロナウイルスの影響で家計急変のあった世帯に対し、1世帯あたり10万円を給付する制度 |
その他法律が非課税の根拠となるもの
所得税法や新型コロナ税特法以外にも、根拠となる法律によって非課税対象に分類されている給付金制度もあります。
例えば、雇用保険の失業等給付は雇用保険法、生活保護の支給は生活保護法が根拠となっています。
| 給付金 | 概要 |
| 雇用保険の失業等給付 | 労働者が失業した際に、生活と雇用の安定を図るための給付 |
| 生活保護の支給 | 生活に困窮する人に対して、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、自立を助長するための支給金 |
| 児童扶養手当 | ひとり親家庭の生活安定と自立を促進するために、児童に向けて手当を支給するもの |
| 被災者生活再建資金 | 被災者生活再建支援法に基づき、支援災害で住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害をうけた被災世帯に、支援金を支給する制度 |
| 新型コロナ休業支援金 | 雇用保険法の特例として、新型コロナの影響で休業を余儀なくされた労働者のうち、休業手当の支払いを受けられなかった人に向けて給付金を支給する制度 |
給付金を受け取った場合の仕訳・経理処理の考え方

給付金を受け取った場合、仕訳はどのようにして行うべきなのでしょうか。
ここで、課税対象と非課税対象それぞれの給付金を受け取ったときの仕訳方法と、経理処理の考え方について解説します。
課税対象となる給付金の仕訳方法
課税対象となる給付金を受け取った場合、勘定科目は「雑収入」を用いるのが一般的です。
これは、給付金は毎年継続して受け取るものではないという考えから、雑収入が用いられる傾向にあります。
給付金であることをわかりやすくしたい場合には、「給付金収入」などの科目を設定して計上するとよいでしょう。
給付金を計上する際は、受給されることが確定し、金額が決まったタイミングで計上します。具体的には決定通知書が届いたタイミングと、入金されたタイミングで行います。
例えば、給付金として10万円の支給が決定した場合の仕訳例は以下のとおりです。
【決定通知書が届き、支給金額が決定したときの仕訳例】
| 借方 | 貸方 | ||
| 未収入金 | 100,000円 | 雑収入 | 100,000円 |
【指定口座に支給金が振り込まれた際の仕訳例】
| 借方 | 貸方 | ||
| 普通預金 | 100,000円 | 未収入金 | 100,000円 |
非課税対象となる給付金の仕訳方法
非課税対象の給付金を受け取った場合、法人と個人事業主で仕訳のやり方が異なります。
まず法人の場合は課税対象の給付金を受け取ったときと同様に、「雑収入」の勘定科目を用います。その後、決算で法人税の計算時に収益から減算する処理を行います。
一方、個人事業主の場合は事業主個人の口座に入金されていれば、会計上の処理は必要ありません。
もし事業用口座に給付金が入金された場合は、収益に影響が出ないよう「事業主借」の勘定科目を用いて仕訳を行います。
| 借方 | 貸方 | ||
| 普通預金 | 100,000円 | 事業主借 | 100,000円 |
給付金にかかる税金に関するQ&A

最後に、給付金にかかる税金についてよくある質問をまとめ、Q&A形式でわかりやすく解説していきます。
非課税対象の給付金なら確定申告は不要?
課税対象になる給付金を受け取った場合は確定申告が必要となりますが、非課税と定められている給付金を受け取った場合、所得に含まれないことから確定申告は不要です。
ただし、事業用口座で受け取ってしまった場合や、帳簿上売上げとして計上してしまった場合は、後から修正が必要となるケースもあります。
給付金は消費税の課税対象になる?
課税対象となる給付金は、基本的に所得税や法人税などが対象となり、消費税の課税対象にはなりません。
これは、給付金が商品・サービスの対価として受け取るものではないためです。
ただし、請負契約や運送契約、委任契約などに基づいた労務やその他サービスなどで「役務提供」の対価としてみなされる支給金については、消費税の課税対象となる場合があります。
決算期をまたいで受け取った給付金の勘定科目は何?
給付金を仕訳する際の勘定科目は、一般的に「雑収入」または「給付金収入」が用いられます。
支給されることが確定し、支給金額も明確になった段階と入金日の2回計上する必要があるため、金額が明確になった段階と入金日で決算期をまたぐ場合は、「未収入金」を活用することになります。
未収入金は、まだ代金を受け取っていないときに活用する勘定科目です。未収入金は原則1年以内に現金化が見込まれているものになるため、流動資産として計上されます。
圧縮記帳は個人事業主でも使える?
圧縮記帳とは、国庫補助金などを活用して固定資産を取得した場合に、税金の支払いを繰り延べられる会計処理の方法を指します。
圧縮記帳によって補助金受給年度の課税所得を減らし、一時的に税負担を軽減することが可能です。
この圧縮記帳は基本的に法人のみが使用でき、個人事業主は使用できません。圧縮記帳は法人税法で定められた制度であり、個人事業主は所得税法に基づくためです。
給付金にかかる税負担を軽減する方法はある?
せっかく給付金が支給されても、課税負担が大きければ支給金による効果は感じにくくなってしまいます。
給付金にかかる税負担を少しでも軽減したい場合には、「少額減価償却資産の特例」を活用しましょう。
少額減価償却資産の特例は、青色申告を申請している個人事業主や中小企業が、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、取得した会計年度内にまとめて損金計上できる制度です。
例えば20万円のパソコンを購入した場合、通常であれば耐用年数の4年間にわたって減価償却をします。
そうなると1年間に計上できる費用は5万円までとなりますが、少額減価償却資産の特例を活用すると1年で20万円を経費にできるため、課税所得を抑えることが可能です。
また、個人事業主は小規模企業共済制度への加入もおすすめです。この制度は掛金が全額所得控除の対象となり、課税所得を圧縮できます。
これらの制度をうまく活用することで、税負担の軽減につながるでしょう。
まとめ・給付金は種類ごとに税金の扱いを確認しよう
給付金は家計や事業を支える心強い制度ですが、すべてが非課税になるわけではなく、種類や目的によって税金の扱いは大きく異なります。
非課税の給付金であれば申告不要なケースが多い一方、事業用の給付金や補助金は課税対象となることもあり、会計処理や申告方法を誤ると後から修正が必要になる可能性もあります。
不安がある場合は税理士などの専門家に相談することで、無駄な税負担や申告ミスを防ぐことができます。給付金を正しく理解し、賢く活用することが大切です。
創業手帳(冊子版)は、経営に役立つ給付金・補助金・助成金制度に関する情報も掲載しています。資金繰りを解消するためのポイントや、資金調達の方法なども解説しているため、ぜひお役立てください。
(編集:創業手帳編集部)






