接待交際費とは。経費で損金算入できるルールは絶対に知っておくべき!
ベンチャー・中小企業が交際費を損金算入できるルールのまとめ
(2018/5/24更新)
交際費は経費と認められれば、損金算入することができ、結果として節税の効果がある。資金繰りを上手にやりたい、ベンチャー起業家・中小企業の経営者は、交際費についてルールを深く理解し、経費として認められる分の交際費は、キッチリ正しく経費として処理したいところだ。
今回は、交際費を経費で損金算入できるルールをまとめた。
経費はしっかり理解していると節税になりますが、専門家レベルに理解するのは時間も労力もかかります。そこで起業家は、信頼できる情報を得て、判断することになるでしょう。
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この記事の目次
交際費は経費にならないのか?
「交際費は経費にならない」
そんなことを耳にしたことはないだろうか?
交際費と聞くと、何となく「取引先のお偉いさんとクラブで豪遊」といったイメージがあって、さも悪いことをしているように語る人もいるようだが、決して違法なことをしている訳ではない。
基本は「交際費は経費とならず、損金不算入」だが、取引を円滑に進めるために必要な経費なので、きちんと要件さえ満たしていれば、交際費は経費として認められるのだ。
交際費とは?
そもそも交際費とは何だろうか?
国税庁のHPによると、「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用をいいます」と規定されている。
専門家ではない人間がイメージしやすいように一言で言うと、「仕事上の付き合いがある人(自社の社員含む)に対する『おもてなし』」に対する支出が交際費なのである。
具体的には飲食店での飲食、旅行・観劇への招待、お中元・お歳暮、結婚祝い金・香典などが、交際費に該当する。
交際費を損金算入できる会社の規模と金額
交際費が経費になるかならないかは、会社の規模と交際費の金額によって決まる。
会社の規模
スタートアップベンチャーや中小企業の場合、一定額の交際費が経費として認められる。ここで言う「ベンチャー・中小企業」とは、「期末の資本金の額あるいは出資金の額が1億円以下である法人」である。
損金算入できる金額
金額については、下記の通り、最近頻繁に改正が入っている。この規定には「冗費の節約」(≒「無駄遣いの削減」)という意図がある。しかし、政府が接待交際費の増大による景気浮揚を目的として、徐々に規制を緩くしている。
平成25年4月からは、「10%が経費にならない」という規定が無くなり、年間800万円以下であれば、無条件で交際費を経費にして損金算入できるようになった。
平成26年4月以降は、飲食費に関する規定がさらに緩和されている。
下記いずれかの選択適用できるようになった。
- 年間800万円を超える部分の金額は経費にならない
- 飲食に要する費用の50%を経費とし、それ以外は経費とならない
例3)年間の飲食費が1,700万円以上ある場合
1,700万円 × 50% = 850万円 で、800万円以上となるので、「飲食に要する費用の50%を経費とし、それ以外は経費とならない」を適用する方が有利だ。
このように制度は頻繁に変更されます。最新の情報をつねに入手していないと、間違った会計処理をしてしまって、節税チャンスを逃してしまうこともあります。もっと悪いのが脱税とみなされて、指導が入ってしまうことです。そうならないよう、専門家に相談することは重要です。創業手帳では、無料会員向けに専門家の紹介を行っています。紹介に際して料金は一切無料です。また、無料会員登録と同時に、冊子版の創業手帳(無料)の資料請求も行えます。この冊子も鮮度をよくするため、月に一度最新の情報にアップデートしています。(創業手帳編集部)
大企業でも飲食費の50%は損金算入できる
先ほどの例のように、起業したてのスタートアップベンチャー・中小企業では、1,700万円も飲食費として使うような会社はあまり存在しないと思われるので、一見すると「飲食に要する費用の50%を経費とする」のは意味がないように見える。
しかし、この「飲食に要する費用の50%を経費とし、それ以外は経費とならない」の規定は大企業にも適用されるというのが革新的だ。この改正により、今までは大企業では、交際費は全額経費とならならず、損金不算入だったのが、飲食費であれば50%を経費にできることになった。大企業にとってみるとかなり「オイシイ」改正だと言えるだろう。
飲食費1人当たり上限5000円まで会議費にできるルール
交際費の中でも、特に多くなるのが飲食店での飲食費だ。
飲食費は、企業規模に関わらず、「1人当たりの金額が上限5000円まで交際費から除く」という規定があり、交際費以外の費用として経費となる。「会議費」として損金算入するのが一般的である。
ただし、自社社員やその親族のみに対して接待等のために支出する「社内飲食費」は、「1人当たり上限5000円」という金額上限関係なく、規定の対象外になる。当然だが、身内の飲食代金などは、経費とは認められないのである。
個人事業主は交際費に損金算入上限がない
これまで、交際費を経費にして損金算入できる細かいルールについて述べてきたが、これらは「法人」のケースだ。
個人事業主は、交際費の損金算入の上限がない。よって、「支出額=経費」とすることができる。
ただし、法人と同様に、事業を進める上で必要な飲食費でなければいけないので、当然、身内の飲食代金などは損金不算入となるので注意が必要である。
交際費を損金算入できるケース、損金不算入になるケース
交際費の判定は正直ややこしい。
面倒だからといって、交際費でないものまで交際費としてしまっては、せっかくの節税のチャンスを失い、無駄な税金を支払うことになりかねない。そうならないために、いくつかの具体例で、交際費が経費として損金算入できるケース、経費にできずに損金不算入になるケースを、それぞれ紹介していこう。
取引先社長とランチへ。代金2000円はこちらで負担した。
これは基本的には接待交際費に該当する。しかし、飲食費で一人当たりの金額が5000円以下であるため、交際費ではなく会議費とし、損金算入することができる。
社員数人を誘って呑みに行った。1人当たり5000円以下だった。
こちらも飲食費で5000円以下となるため、交際費から除外できそうだ。
しかし、社員と行っていることから、社内飲食費となり、「飲食費1人あたり上限5000円」の対象外となる。全額交際費に該当し、損金不算入となる。
ただし、新年会や忘年会など、社内行事として社員全員に均等に参加の機会が与えられているものについては、福利厚生費とすることができる。
宴会場までタクシーで送迎した。
一般的な感覚からすると、「タクシー代」 = 「交通費」・「飲み代」 = 「交際費」となると考えてしまうが、税務上はタクシー代を含めた金額が交際費となる。したがって、タクシー代は経費にはならず、損金不算入となる。
盛り上がって2次会に参加した。
2次会の場所によって、取り扱いが異なる。国税庁HPによると、
「それぞれの行為が単独で行われていると認められるときには、それぞれ1人当たり5000円の判定を行って差し支えない」とある。つまり別のお店に行った場合は、それぞれのお店ごとに「飲食費1人あたり上限5000円」の判定をする。
しかし、中締め後に有志が残って同じお店で飲み直した場合には、1次会からの合計額での判定となる。
レシートに参加者をメモ書きして保管
飲食代金を交際費から会議費とするためには、以下を記載した書類を保存しなければならないとされている。
- 費用が発生した年月日
- 参加者氏名
- 参加人数
- 金額及び店舗所在地
レシートの裏に参加者をメモ書きするのが一般的だ。領収書でも問題ないが、領収書に人数を記載してくれるお店は少ないと思われる。もしレシートに人数が記載されている場合は、後で見返した時に何人で行ったか確認できるように、レシートもあわせて保管しておくとよいだろう。
交際費を経費で損金算入できるルールのまとめ
交際費には「〇〇だから交際費、△△だから会議費」という明確な基準がない。それに関するものだけで数百ページに及ぶ書籍が何冊も出版されるほど多種多様である。
税務調査の際は、「本当に事業遂行のために必要なものだったのか?」「個人的な支出が含まれていないか?」といったポイントが論点となる。もし不明点がある場合は、税理士にしっかりと確認したうえで、経費化できる交際費はキッチリ正しく経費として処理し、上手に節税していこう。
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